| I.本年の動向 〈成田一衛 柏原直樹 富野康日己〉 | |
II.Basic nephrology
A.生理
1. | プロレニンと(プロ)レニン受容体 〈市原淳弘〉 | |
腎臓におけるプロレニン/レニンの産生・分泌
(プロ)レニン受容体によるプロレニン活性化とその意義
(プロ)レニン受容体細胞内シグナルの意義
可溶性(プロ)レニン受容体とAtp6ap2
2. | アルドステロン 〈北田研人 中野大介 西山 成〉 | |
アルドステロン/MR系による腎障害
アルドステロンによるMR活性化
アルドステロン/MR系に対するCaチャネル拮抗薬の腎保護効果
アルドステロン非依存的なMR活性化
3. | 新規インスリン-WNK4-NCCリン酸化カスケードと血圧調節 〈蘇原映誠〉 | |
偽性低アルドステロン症II型(PHA II)とWNKキナーゼ
WNK1変異とPHA II発症メカニズム
WNK4変異とPHA II発症メカニズム
WNK-OSR1/SPAK-NCCリン酸化カスケードの生理的な制御機構
PHA II変異WNK4R1185Cとインスリン-WNK-NCCリン酸化カスケード
今後のWNK研究
B.免疫・病理
1. | IgA腎症の成因 〈鈴木 仁 富野康日己〉 | |
IgA免疫複合体形成における惹起抗原
遺伝因子
IgA腎症におけるIgA免疫系の異常
糖鎖異常IgA1の産生メカニズムについて
糖鎖異常IgA1はどこで産生されるのか?
糖鎖異常IgA1の病的意義
糖鎖異常IgA1免疫複合体の病態における役割
2. | 小胞体ストレスとメサンギウムの細胞応答 〈北村正敬〉 | |
小胞体ストレス応答の主要3経路
小胞体ストレスとアポトーシス
小胞体ストレスと細胞増殖
小胞体ストレスと細胞外基質産生
小胞体ストレスと細胞分化
小胞体ストレスと細胞間コミュニケーション
小胞体ストレスと炎症応答
検証:メサンギウム増殖性腎炎と小胞体ストレス―A Lesson from acuteglomerulonephritis―
3. | 腎疾患の病態形成における低酸素と新規グロビンの役割 〈西 裕志 三村維真理 南学正臣〉 | |
古典的なグロビン: ヘモグロビンと腎
新規グロビン: サイトグロビンと腎
C.分子生物学
1. | GWAS 〈後藤 眞 成田一衛〉 | |
GWASのデザインと解析
GWASにより明らかにされた知見
腎臓領域でのGWAS
Missing heritability
今後のゲノム解析とGWAS
2. | Sirt1とカロリー制限 〈久米真司 前川 聡 古家大祐〉 | |
腎臓におけるSirt1発現
腎臓病の病態形成ならびに腎生理作用におけるSirt1の役割
腎疾患の病態形成における栄養関連シグナルの関与
3. | 腎疾患の病態形成におけるBMP4・Smad1の役割 〈安部秀斉〉 | |
糖尿病性腎症の疫学と経過
アルブミン尿の問題点
糖尿病性腎症の分子病態
アンジオテンシンIIとSmad1
形質転換と腎障害
Smad1と硬化関連遺伝子
尿中Smad1の意義
4. | 幹細胞から腎臓への分化誘導 〈長船健二〉 | |
多能性幹細胞を用いた再生医学研究
脊椎動物の腎臓発生
両生類アニマルキャップを用いた試験管内での腎臓形成
ES細胞から腎臓系譜への分化誘導の試み
ES/iPS細胞から腎臓への分化誘導法の開発に向けて
iPS細胞研究の現状と腎臓領域での応用
5. | ゲノム遺伝子解析による尿路結石の発症機序解明 〈伊藤恭典 郡健二郎〉 | |
遺伝子多型
vitamin D receptor(VDR)
calcium sensing receptor
osteopontin(OPN)
urokinase
hNaDC-1
CLDN14
androgen/oestrogen receptor
体系的遺伝子発現情報解析
D.検査・診断
1. | 腎臓のプロテオーム解析 〈山本 格〉 | |
プロテオミクス
ヒト腎臓組織のプロテオーム
ヒト尿のプロテオーム
2. | 尿バイオマーカーのパネル化 〈菅谷 健 木村健二郎〉 | |
バイオマーカーの定義
Neutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL)
Interleukin 18(IL-18)
Kidney injury molecule-1(KIM-1)
L-type fatty acid binding protein(L-FABP)
尿中バイオマーカーのパネル化
3. | バイオイメージング 〈佐藤 稔 桑原篤徳 柏原直樹〉 | |
2光子レーザー顕微鏡,CCDカメラの開発と応用
新規蛍光標識プローブの開発
各種蛍光標識プローブの腎臓研究への応用
バイオイメージングによる腎組織構築,生理機能の研究
慢性腎臓病の病態解析へのバイオイメージング技術の応用
III.Clinical nephrology
A.糸球体障害
1. | 膜性腎症の抗原 〈今井圓裕 松尾清一〉 | |
膜性腎症の原因抗原に関する研究の歴史
新生児のネフローゼの抗原Neutral Endopeptidase(NE)
特発性膜性腎症の抗原の本命PLA2受容体
今後の展望
2. | IgA腎症: Oxford分類 〈片渕律子〉 | |
Oxford分類のエッセンス
小児例での検証
Oxford分類への反響
3. | 難治性ネフローゼ症候群の治療 〈斉藤喬雄〉 | |
難治性ネフローゼ症候群とは
難治性ネフローゼ症候群に対する免疫抑制療法
わが国における治療成績
難治性ネフローゼ症候群における補助療法
治療に関して注目される基礎的研究
4. | 小児ネフローゼ症候群の新たな治療 〈飯島一誠 佐古まゆみ〉 | |
小児ネフローゼ症候群に対する標準治療とその問題点
リツキシマブとは
リツキシマブの小児ネフローゼ症候群への応用
小児期発症の難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ開発研究
リツキシマブの問題点
B.尿細管・間質障害
1. | 間質障害の機序についての新たな知見 〈丸山彰一 松尾清一〉 | |
リンパ管新生と間質障害
補体と間質障害
重曹投与によるCKD進行阻止
TLRと間質障害
C.全身性疾患と腎障害
1. | ANCA関連疾患(NETsとLAMP-2-ANCA) 〈臼井丈一 山縣邦弘〉 | |
NETs
LAMP-2-ANCA
2. | SLE(ループス腎炎) 〈豊田智子 佐田憲映 槇野博史〉 | |
ループス腎炎の分類
治療
3. | IgG4関連疾患 〈佐伯敬子〉 | |
IgG4関連疾患研究の歩み
IgG4関連疾患の診断
IgG4関連疾患における腎病変
IgG4関連間質性腎炎の臨床
今後の課題
4. | 食塩感受性高血圧,血圧日内変動と腎臓 〈水野晶紫 木村玄次郎〉 | |
血圧日内リズムとNa代謝
CKDにおける夜間高血圧
夜間降圧までの時間(Dipping Time)の重要性
CKDにおける夜間高血圧の治療
5. | CKDにおける降圧併用療法のあり方 〈木村健二郎〉 | |
CKDにおける降圧の意義
CKDにおけるACE阻害薬/ARBの使用の意義
併用薬としての利尿薬
第二選択薬は利尿薬か,カルシウム拮抗薬か?
ACE阻害薬とARBの併用
尿蛋白のみられないCKDにおけるACE阻害薬/ARBの位置づけ
6. | 直接的レニン阻害薬の臓器保護作用 〈光山勝慶〉 | |
レニン阻害薬の臓器保護作用―基礎データ―
糖尿病患者におけるレニン阻害薬の腎保護作用
レニン阻害薬の心保護効果の臨床でのエビデンス
(プロ)レニン受容体に対するレニン阻害薬の効果
7. | 糖尿病における微量アルブミン尿の機序―糸球体・血管系と尿細管系の相互的関係の観点から― 〈細島康宏 蒲澤秀門 佐藤博慶 斎藤亮彦〉 | |
糸球体内皮細胞,糸球体上皮細胞の異常
近位尿細管上皮細胞の役割
megalin,cubilin
Genome-wide association study(GWAS)
インスリン抵抗性
ネフロン傷害の不均一性
8. | 糖尿病における血管病変 〈荒木信一 柏木厚典〉 | |
厳格な血糖管理と大血管合併症
厳格な血糖管理と細小血管合併症
厳格な血糖管理は有害か?
一次予防と低用量アスピリン
9. | 肺・腎連関 〈湯沢由紀夫 林 宏樹〉 | |
AKIにおける肺腎連関
CKDにおける肺腎連関
10. | 酸化ストレスと腎障害 〈神保りか 下澤達雄〉 | |
酸化ストレスが問題となる病態
抗酸化作用のある薬剤
11. | 寛解を目標とした糖尿病性腎症治療のあり方 〈赤井裕輝〉 | |
糖尿病性腎症の治療効果を示すエビデンス
顕性糖尿病性腎症の寛解をめざす多角的強化療法
寛解に向けての筆者らの取り組み
D.水電解質異常
1. | 水チャネル異常と疾患 〈太田英里子 佐々木 成〉 | |
腎臓における各々のAQPの分布
腎臓に発現しているAQPとその異常による疾患
2. | 中性アミノ酸輸送体LAT―糸球体での存在意義― 〈楊 國昌〉 | |
LAT3
LAT2
E.腎不全
1. | CKD-MBD 〈駒場大峰 深川雅史〉 | |
早期CKD患者におけるFGF23の役割
FGF23の直接作用と抵抗性
ミネラル代謝におけるKlothoの役割
腎移植後のミネラル代謝とFGF23の役割
リン管理の進歩と今後の展望
ビタミンDの非古典的作用と生命予後
シナカルセト塩酸塩への期待
2. | AKIの病態 〈平和伸仁〉 | |
軽度のCr上昇の意義
AKIの病態と尿量
AKIの組織変化と病態: 尿細管壊死とアポトーシス
感染症,SIRSとAKI
多臓器障害とAKI
AKIの病態とバイオマーカー
3. | トランスポーター機能を応用した尿毒症物質除去 〈鈴木健弘 豊原敬文 阿部高明〉 | |
尿細管排泄機構の構成分子群
OATと尿毒症物質輸送
腎臓のOATP,SLCO4C1
SLCO4C1トランスジェニックラットのメタボローム解析
CKD患者のメタボローム解析
ヒトSLCO4C1プロモーター領域の解析と転写活性増強物質の探索
4. | CKDにおける心不全の治療のあり方 〈中川直樹 長谷部直幸〉 | |
心腎連関の分類
心腎連関におけるバイオマーカー
CKDにおける心不全の治療
5. | 血液透析導入基準 〈渡邊有三〉 | |
わが国の導入基準の実態
諸外国の導入基準の実態と今後の問題
早期透析導入の是非に関する議論
透析導入前教育と早期の専門医への紹介
6. | 腹膜透析ガイドラインと導入基準 〈中山昌明 林 義満 旭 浩一〉 | |
腹膜透析ガイドラインとは?
腹膜透析ガイドライン: 導入基準
7. | 透析施設における新型インフルエンザ対策 〈秋葉 隆〉 | |
新型インフルエンザ対策〜2009年のH1N1の新型インフルエンザ流行前
新型インフルエンザ対策〜2009年のH1N1新型インフルエンザ発生後
新型インフルエンザ対策〜2009年のH1N1新型インフルエンザワクチン後
今回の新型インフルエンザパンデミックの反省
新型インフルエンザパンデミック後の流行
今後の新型インフルエンザ感染対策
8. | 血液透析患者のかゆみの病態と,カッパ受容体作動薬ナルフラフィンの臨床効果 〈熊谷裕生 丸山資郎 江畑俊哉 高森建二 中元秀友 鈴木洋通〉 | |
これまで考えられていた透析患者のかゆみの成因
かゆみの原因として内因性オピオイド系が重要である
透析患者の血中のμペプチドおよびκペプチド濃度
リンパ球表面のμ受容体およびκ受容体の発現
マウスのかゆみに対するκ受容体作動薬ナルフラフィンの効果
経口治療薬としてのカッパ受容体作動薬ナルフラフィン
ランダム化した前向き二重盲検試験の結果
337人を対象とする大規模前向き二重盲検試験
1年間のオープンラベル試験
ナルフラフィンは中枢神経内だけでなく皮膚でも作用している
発売以来の効果と副作用
9. | リン吸着剤の進歩 〈大矢昌樹 重松 隆〉 | |
リン吸着剤における指針
Ca含有P吸着剤
塩酸セベラマーとコレスチミドなどのポリマー
炭酸ランタン
10. | 腎移植免疫抑制療法における最近の進歩 〈井手健太郎 大段秀樹〉 | |
ABO血液型不適合腎移植におけるリツキシマブの使用
抗HLA抗体陽性腎移植における免疫グロブリン療法
抗体関連型拒絶反応に対する治療戦略
新規免疫抑制剤の現況
免疫モニタリングによるテーラーメード医療
索 引