アトラス形成外科手術−見てわかるエキスパートのテクニック−
内容
基本的な手技から応用的な術式まで,形成外科の診療と手術の実際を豊富な写真と図で理解できる一冊
形成外科では近年,マイクロサージャリーや人工真皮,陰圧閉鎖療法などの技術革新により,治療の選択肢は飛躍的に広がっているが,技術が進歩しても基本に忠実な技術の習得と適切な術式の選択を確実にできるようにすることが安全かつ良好な手術結果に不可欠である.本書では「狭義の形成外科」,「再建外科」,「美容外科」のいずれでも共通して身に着けるべき形成外科の診療と手術の実際を,基本から応用まで豊富な症例写真と図を用い実践的に解説.簡潔かつ分かりやすい解説文でポイントを抑え,視覚的に理解しやすい構成となっている.
序文
巻頭言
形成外科は,生まれつきの形態異常から外傷,腫瘍切除後の再建,加齢による変化や美容まで,幅広い領域を扱う診療科です.広義の形成外科は,狭義の形成外科,再建外科,美容外科の三本柱から成り立っています.
狭義の「形成外科」は,先天異常を対象とする外科領域であり,唇裂・小耳症・合指症など,生まれつきの形態的な問題を正常に近づける治療を行います.「再建外科」は,熱傷や外傷,がんや糖尿病などによって失われた組織を再建し,機能や外観を回復させる領域です.すなわち,後天的な損失を補い,元の状態に近づけることを目的としています.「美容外科」は,医学的に正常な組織や形態に対して,より美しく整えることを目的とした治療を行います.
これら三つの領域は,患者さんが医療を求める動機こそ異なりますが,整容的・機能的な改善を目指すという理念と手術手技を共有しており,広義の形成外科として一体のものと考えられています.この三本柱の違いを正しく理解し,それぞれの役割を認識した上で診療にあたることが重要です.そのため,日本医科大学付属病院の形成外科は,「形成外科・再建外科・美容外科」という名称を掲げ,包括的な診療体制を整えています.
形成外科の治療では,機能の回復に加え,審美的な調和を考慮したアプローチが求められます.近年,マイクロサージャリーや人工真皮,陰圧閉鎖療法などの技術革新により,治療の選択肢は飛躍的に広がっています.しかし,どれほど技術が進歩しても,基本に忠実な技術の習得と適切な術式の選択は不可欠であり,それらを確実に身につけることが,安全かつ良好な手術結果へとつながります.
本書『アトラス形成外科手術―見てわかるエキスパートのテクニック―』は,形成外科の診療と手術の実際を,豊富な症例写真と図を用いて解説した実践的な書籍です.基本的な手技から応用的な術式まで幅広く網羅し,視覚的に理解しやすい構成としました.また,各手術のポイントや工夫,合併症対策についても詳述し,臨床の現場で役立つ情報を提供しています.
本書が,若手医師の技術習得の一助となるとともに,経験を積んだ形成外科医にとっても日常診療の参考となり,より良い治療を提供する一助となれば幸いです.最後に,本書の執筆にご尽力いただいた諸先生方,編集部の皆様,特に弘津香奈子様に深く感謝申し上げます.
2025年3月
日本医科大学付属病院
形成外科・再建外科・美容外科
教授
小 川 令
目次
CONTENTS
総 論 〈小川 令〉
1●皮膚腫瘍,皮下腫瘍摘出 〈土肥輝之〉
2●皮膚レーザー治療 〈杉本貴子〉
3●頭頸部再建術 〈梅澤裕己〉
4●胸部再建 〈多賀麻里絵 梅澤裕己〉
5●腹壁再建 〈三羽英之 梅澤裕己〉
6●四肢軟部組織再建 〈桑原大彰〉
7●乳房再建 〈青木宏信 亀谷美菜 井上真梨子〉
8●耳下腺腫瘍手術 〈近藤 曉 梅澤裕己〉
9●頭蓋先天異常治療 〈桑原広輔 加持秀明〉
10●顔面骨骨折再建 〈江浦重義〉
11●外傷手術 〈秋山 豪〉
12●熱傷初期治療 〈奈良慎平〉
13●熱傷再建 〈小川 令〉
14●唇顎口蓋裂 〈桑原広輔 加持秀明〉
15●耳形成手術 〈柘植琢哉〉
16●手先天異常治療 〈張 萌雄 小野真平〉
17●手の外傷再建 〈小野真平〉
18●爪疾患治療 〈栄 由貴〉
19●難治性潰瘍におけるデブリードマン 〈藪野雄大〉
20●褥瘡再建 〈石井暢明〉
21●血管腫・血管奇形治療 〈西本あか奈〉
22●肥厚性瘢痕・ケロイド保存的治療 〈赤石諭史〉
23●肥厚性瘢痕・ケロイド手術治療 〈土佐眞美子〉
24●性別不合,性同一性障害 〈中村加奈恵 櫻井 透〉
25●上眼瞼手術 〈村上正洋〉
26●下眼瞼治療 〈朝日林太郎〉
27●リンパ浮腫治療 〈比留間 英 小川 令〉
28●多汗症・腋臭症治療 〈久保村 憲〉
29●美容外科診療 〈朝日林太郎〉
30●美容後遺症診療 〈朝日林太郎〉
31●リハビリメイク 〈かづきれいこ 朝日林太郎〉
索引