JUNTENDOエキスパートによる新生児蘇生ポケットブック
内容
新生児蘇生は,小児医療の「一丁目一番地」と言える.常に早急かつ確実な処置が求められるが,いざ蘇生現場に立つと焦りや恐怖にとらわれる人も少なくない.本書は新生児蘇生のエッセンスを凝縮し,白衣に入るポケットサイズとした.知りたい情報にすぐアクセスできる利便性は,現場での安心感に繋がるだろう.小児科医や産科医のみならず,研修医や看護師,助産師など新生児医療に携わる全ての医療スタッフにお勧めしたい1冊だ.
序文
刊行にあたって
私が小児科医になって,すでに20年以上が経過しました.この間,所属している順天堂大学の附属病院や関連病院で多くの新生児蘇生の現場に立ちあい,経験を積んできました.近年は新生児蘇生法の普及も相まって,ベテランから若い先生まで安全で効果的な蘇生の手技が身についていることを実感しています.しかし一方で,ベテランであるはずの私にとっても,蘇生現場で起こり得るすべての出来事は,未だに新鮮であるとともに,未だに怖いという認識は拭い切れません.そんな時は,頭に入っているはずの新生児蘇生の手順をもう一度,思い浮かべてシミュレーションしてから臨んでいます.
本書はサイズも小さく,新生児蘇生の現場でもサッと気軽に読めるポケットブックという位置づけです.分娩立ちあいの可能性がある小児科医,産科医,看護師,助産師のみならず,麻酔科医,救命救急医,および小児科をローテーションする初期臨床研修医などすべてのスタッフにとってきっと頼りになるはずです.
順天堂大学にはたくさんの新生児医療のエキスパート陣が在籍しています.本書はこのエキスパートの皆さまに臨床現場で役に立つノウハウを含めて新生児蘇生をまとめて頂きました.ご存じのように,新生児蘇生で最も重要なことは「遅延なき有効な人工呼吸」による低酸素血症の回避です.そしてその先には,新生児医療の究極目標である「後遺症なき生存」があります.新生児蘇生の現場での本書のちょい読みがこれらの目標達成のためにお役に立つのであれば甚だ幸いです.
2023年1月
順天堂大学医学部附属浦安病院小児科
西崎直人
目次
目 次
(1)NCPR2020のアルゴリズム 〈西崎直人〉
(2)チームメンバーによるブリーフィング 〈西崎直人〉
[COLUMN]蘇生時の感染曝露に対する予防策 〈久田 研〉
(3)出生直後の児の評価 〈大川夏紀〉
[COLUMN]なぜ出生直後のチェックポイントに「皮膚色」が含まれないのか? 〈大川夏紀〉
(4)ルーチンケア 〈高島えり子〉
[COLUMN]早期母子接触の意義 〈東海林宏道〉
(5)蘇生の初期処置 〈池田奈帆〉
[COLUMN]気管内の胎便除去は必要か? 〈池田奈帆〉
(6)蘇生の初期処置後の評価 〈田中 登〉
[COLUMN]なぜSpO2モニタを右手に装着するのか?〈田中 登〉
(7)人工呼吸 〈東海林宏道〉
[COLUMN]最も重要とされている「遅延なき有効な人工呼吸」の意味 〈東海林宏道〉
(8)人工呼吸の効果の評価と次の処置(胸骨圧迫) 〈幾瀬 圭 久田 研〉
[COLUMN]新生児蘇生法におけるApgarスコアの位置づけは?〈山田啓迪 久田 研〉
(9)薬物投与 〈菅沼広樹〉
[COLUMN]薬剤の気管内投与,および骨髄針による投与について〈佐藤浩之,菅沼広樹〉
(10)薬剤投与でもうまくいかないとき 〈寒竹正人〉
[COLUMN]蘇生はいつまで続ければよいのか? 〈寒竹正人〉
(11)呼吸障害の安定化 〈醍醐政樹〉
[COLUMN]アルゴリズム内における「救命の流れ」と「安定化の流れ」とは? 〈渡邊晶子〉
(12)蘇生後のケア〈湯原弘子〉
[COLUMN]体温維持の重要性 〈湯原弘子〉
(13)早産児の蘇生のポイント 〈宮山千春〉
付録
索引