これからの小児科外来 成功の鉄則
内容
激しく移ろう社会環境,IT・AIなどの最新技術.それらの中で,プライマリケアに取り組む小児科医はどうあるべきか.小児科外来・クリニック経営のエキスパートである著者が,7つの「鉄則」に添ってわかりやすく解説する.必要なのは医療現場での個々の事象を日々解決しながら,俯瞰的視点を忘れないこと.日本の小児医療の未来のために.
序文
はじめに
現場実践と制度理念 その交点─変貌する医療のなかで
私たち医療者は,現場の医療を担うことで多くの子どもやご家族の悩み,学校・社会の問題点に直面します.日本の地域医療の現状やその課題を日々感得しています.本書ではそうした地点から出発し,個別の課題をある程度俯瞰できる視点まで記載するよう心がけました.現場の個々の事象の解決と対応から始めて,改革を担う者にとって,それが現在の医療にとって何を意味するのかという問題提起にまで至ることができたと思います.必要なのは,〈総合の知〉と〈現場からの情報発信〉です.俯瞰的視点だけでは具体的な個々の事象を知ることはできません.現場からの情報発信が重要な所以です.一方,現場の具体的事象のみ掌握するだけでは医療の大枠や方向性を見失ってしまう可能性があります.俯瞰的視点は制度理念の構築へとつながります.医療現場で起きる具体的事象の掌握と俯瞰的視点,この双方が有効に機能することが,地域医療の向上につながります.現場実践と制度理念の交差する光芒に私たちの未来があります.
また,小児医療は本来,全人的な「小児」を対象としています.そのため多職種の領域横断的な共同作業が必要です.医療とは本来そうした構造を有するものです.本書では,最新のIT技術が地域医療にもたらすオンライン診療や,医療現場で大きな問題となっている医療従事者への暴言・暴力にどう対応するかという課題なども含めました.これらは小児医療に関与する多くの皆様にお役に立てるものと考えております.
本書読者の皆様とともに,日本の小児医療の未来を作りたいと熱望しています.
2018年7月
外房こどもクリニック理事長 黒木春郎
目次
目次
序論
本書の用法
鉄則その1 ITの素養を身につけよう!
鉄則その2 体系化された知識によって,迅速かつ正確に診断できる医師になろう!
鉄則その3 「融解する医療」への対応力を身につけよう!
鉄則その4 「変遷する医療保険制度」の時代を生き抜ける医師になろう!
鉄則その5 高いコミュニケーションスキルをもった医師になろう!
鉄則その6 「個別・精密医療と東アジア伝統医学」の考えかたを身につけよう!
鉄則その7 (小児)医療の変遷─子どもと家族のQOL向上への対応力を身につけよう!
第1部 総論
第1章 ガイドラインを超えた診療
マニュアル通りでは何か間違う
問診しない限り発見できない
ガイドラインを踏まえて,ガイドラインを超えて
第2章 個別・精密医療―患者志向と医療へのAIの参入
医学に関する情報の質の変化
個別医療と臨床研究
第3章 オンライン診療
オンライン診療が始まる
れまでの歴史─遠隔診療・オンライン診療の「解禁」
オンライン診療とは具体的にどんなものか
当院がオンライン診療を開始した理由
オンライン診療の適応,オンライン診療に対する否定的意見について
当院におけるオンライン診療の具体例
保護者と患者さんはオンライン診療をどう捉えるか
これからのオンライン診療
小児医療でこその必要性
制度上の問題
制度上の小児科領域における課題
総括
コラム 医療と健康産業の境界
第4章 医療従事者への暴力の問題
院内暴力はなぜ,診療科を問わず発生するか
医療従事者への暴力問題の背景にある3つの柱
すぐそこに潜む医療従事者への暴力
不幸に襲われたとき─歴史に学ぶ
暴力を知る
暴力の変遷
医療従事者への暴力に対処するための3つの柱
悪例(A院長)
適例(B院長)
診療所が備えるべき院内暴力への体制
どんな患者に気をつけるか
地域医療を暴力から守るため
第2部 さまざまな疾患・症状などの診かた
第5章 神経発達症について
投薬について親御さんにどう納得してもらうか
投薬の適応
投薬終了のタイミングについて
ADHD治療薬処方のコツ
自閉スペクトラム症(ASD)の易刺激性に対する薬物療法
家族の神経発達症の拾い上げ
第6章 不登校,あるいは認知の特性について
不登校を治療する目的とは
不登校児の2タイプ
まず,授業についていけているかの見極めを
不登校の裏に潜む障害
いじめと不登校
学校教育と家庭教育
学校教諭への応援─「文部科学省は解体せよ」
褒めることの大切さ
コラム バーコードを読める子ども,共感覚,空想の友達
第7章 睡眠時無呼吸症候群(SAS)について
第8章 便秘・夜尿などについて
便秘
夜尿
夜泣き
チック
第9章 風邪をひきやすい子どもについて
第10章 付き添いの母親への対応について