医療従事者のための臨床小児栄養学入門

定価:
2,420円(本体価格2,200円+税)

在庫あり

書誌情報

書誌情報
サイズ A5判
104頁
ISBN 978-4-498-14550-4
発行日 2017年04月13日

電子書籍はこちらから(外部サイト)

内容

臨床栄養学の重要性は最近とみに注目され,このことは小児医療においても例外ではない.むしろ幼児期からの生活習慣が成人になっても影響することは自明であり,医療者が新生児の段階から栄養管理に配慮することが望ましい.小児NST(栄養サポートチーム)の一層の普及のために.医師,薬剤師,看護師,管理栄養士など,すべての医療者必読の書.

序文

序文


 わが国だけではなく,多くの国において成人にみられる生活習慣病の増加が著しいといわれるようになって久しい.子どもの生活リズムが家族である成人の生活リズムの影響を受けることで子どもの睡眠障害が悪化することは知られるようになり,小児科医の間でも次第に子どもの睡眠障害の問題に注意を払う医師が増え,今日では小児睡眠障害に関するいくつかの書籍も刊行されている.一方,小児の食に関する医師による医療関係者に向けた情報を記した書籍は意外と少ない.特に,初学者に理解しやすい低価格でコンパクトな書籍は医学書にはほとんどないのが実情である.そのため,地方の一般病院では,薬剤師はもちろん,看護師,リハビリテーション科の作業療法士などのスタッフ,管理栄養士,医事課や資材課の若い人々にNutrition Support Team(NST,栄養サポートチーム)に関する知識を伝えるために活用しやすい教科書は,探し当てるのが難しい.
 幼児期からの生活習慣は,学童期はもちろん成人になっても影響することが多く,特に食生活の問題は肥満や2型糖尿病,あるいは,動脈硬化や高血圧などの生活習慣病に大きく影響することは周知の事実であり,小児期から取り組んでいくべき問題である.また,1型でもなく2型でもない新生児糖尿病の存在を知らない医療関係者も少なくないのが現状である.小児の栄養に関する基礎的な知識を普及させることは,小児に対するNSTの活動の幅を広げ,小児医療の一層の充実に繋がる.
 私が医学生の頃,大学で学んだ栄養学的知識は生物学と生化学および生理学の講義のほんの一部に過ぎず,学内の進級試験にもあまり出題されない分野であったことも手伝って,関心を示す医学生は少なかった.そのためか,今でも詳しい関連分野の医学書が少ない状況は,さほど変わっていないようである.
 かくいう私も,かつて関心が薄かったその一人であり,小児科研修医になってからも子どもの食について考えることはあまりなかった.国立療養所において障害児医療を担当するようになり,はじめて栄養摂取の大切さと口腔衛生の大切さを感じるようになったが,その当時は医師向けの情報誌もなかなかみつからず,既成の流動食などの資料をみる程度で済ませていた面が多々あった.その後,小児科医としてではなく,総合診療科医として成人,特に高齢者のさまざまな疾患に対応する立場となり,疾患の治療のためにも如何に栄養管理が大切であるかという経験を重ねるにつれ,いろいろなことを積極的に学ぶようになった.今日では,小児の栄養や食の重要性が強調されているのは周知の事実でもある.
 本書は,臨床栄養学のうち,小児に関する情報を私なりにまとめてみたものである.内容としては研修医や看護師あるいはこれから業務をはじめる新人栄養士や薬剤師に役立つ基礎知識を中心に記載することに重点を置いた.つまり,本書は小児NSTの入門書として位置づけされるべきものであるが,その守備範囲は入院や外来だけではなく,健診や在宅・訪問診療をもカバーするものである.

2017年3月
東大阪生協病院小児科・内科
橋本 浩

目次

目 次

序章 NSTとは  
 1 NSTの定義  
 2 NSTの主な活動  
 3 医療機関の経営とNST  

第1章 子どもの成長と栄養  
 1 子どもの食の重要性  
 2 栄養学的基礎知識  
  (1)消化と吸収  
  (2)栄養素  
  (3)食事摂取基準  
  (4)栄養素の過剰摂取と不足  
 3 小児の成長と食事の特徴や食育の目標  
   Column  乳幼児摂食障害  

第2章 小児の栄養評価  
  (1)発育実測値とパーセンタイル法  
  (2)子どもの栄養状態の評価  
  (3)食事内容の把握  
  (4)哺乳・摂食行動の評価  
  (5)体格指数による判定  
  (6)栄養にかかわる血液・生化学検査  
  (7)臨床における小児に適した確実な栄養アセスメント方法はあるのか?  

第3章 小児栄養ケアの基本  
 1 小児に対する栄養投与量に関する基本事項  
 2 栄養投与量を考えるうえでの注意  
 3 目安となる静脈栄養投与量  
 4 栄養投与法の基本  
 5 経口栄養摂取法の要点  
 6 経管栄養実施方法の要点  
  (1)経鼻胃管(NGチューブ)の挿入と留置  
  (2)経鼻十二指腸・空腸チューブ(EDチューブ)の挿入と留置  
 (3)胃瘻の作成方法  
 (4)空腸への栄養チューブの留置  
 (5)経管栄養剤投与の管理  
 Column 栄養に関するガイドライン  

第4章 さまざまな病児に対する栄養管理  
 1 新生児・乳児  
 2 先天代謝異常症  
 3 小児肥満と脂質異常症  
 4 小児の糖尿病 
 5 炎症性腸疾患  
 6 肝・胆疾患による肝機能不全  
 7 心不全  
 8 腎疾患・腎不全  
 9 呼吸器疾患  
 10 食物アレルギー  
 11 悪性腫瘍  
 12 小児集中治療と栄養管理  
 13 精神・心理疾患と栄養管理  
 14 障害児医療における栄養管理  
  (1)肢体不自由児と重症心身障害児  
  (2)知的障害児  
  (3)自閉症スペクトラム障害などの神経発達障害  
  Column  栄養失調  

【参考文献】実践しながら,よりくわしく学ぶための参考書  

【索引】  

執筆者一覧

  • 東大阪生協病院小児科・内科 橋本浩
ページの先頭へ