子どもの発達のみかたと支援
- 定価:
- 4,180円(本体価格3,800円+税)
在庫なし
書誌情報
| サイズ | B5判 |
|---|---|
| 頁 | 138頁 |
| ISBN | 978-4-498-04590-3 |
| 発行日 | 2001年09月01日 |
内容
本書は,医療・福祉・教育の分野で必要とされる乳幼児・小児の正しい発達の知識についての理解を図り,それをどう評価するかというスクリーニング検査法と発達遅滞や歪みの早期発見法の実際を解説し,これを治療・教育・支援にいかに結びつけたらよいかを実践的に示したものである.子どもを対象に仕事をする方々にとっては発達とその診かたに関する知識と技術の修得は不可欠である.多くの事例を織り込み,図表を多用して分かり易く解説した本書はその為の最適なテキストである.
序文
序
1978年に米国デンバー市で開催された第2回国際発達スクリーニング学会において研究発表を行った際に,筆者は初めて地域支援community interventionという言葉を耳にしてこれを最も適切に表現する日本語を求めてしばらくの間考え続けていました.理由は1970年代の我が国において発達的リスク児を早期にみつけ地域で支援するという新しい考え方が普及していなかったので,専門家の方々に相談しても回答を得ることが困難だったのです.疾病の早期発見と治療は理解できても発達リスク児の早期発見は「治療しても治らない子どもを発見してもかわいそうだし,親の悩みを増大させるだけだ」として反対する意見は専門家と称される人々の間にも一般的でした.
しかし,今日では発達の縦断的研究成果が公表され,発達や障害の概念が変化するに伴って子ども時代,特に乳幼児期の発達や障害が固定されたものではなく,力動的に変化すること,子どもと環境との相互作用によって子ども時代の発達はいくつもの経路をたどって成人に至ることが明らかになっています.これらの事実は乳幼児期に定期的な発達評価を行い,特定の子どもの発達状態に適したタイミングのよい支援の必要性が認められるようになり今日に至っています.
本書はこのような時代的要請により,従来の発達検査とは異なって新しい観点から保健医療の分野で考案された発達スクリーニング検査(その具体例の1つとして日本版デンバー式発達スクリーニング検査--改訂版)と,その他の乳幼児期における発達スクリーニング検査,およびそれらの検査の結果から必要とされる支援に結びつく発達のみかたを述べてあります.具体的な事例もあげているので,これらを通じて発達の新しいみかたと支援方法の理解に役立つことを期待しています.
この本が,子どもの行動発達に関心をもたれる方々に広く読まれること,そして専門職者,およびそれを目指す学生,大学院生の方々には疾病,障害のあるなしにかかわりなく,個人としての子どもの発達状態と養育環境を的確に把握し,養育,教育,福祉にかかわる方々への助言,支援を行うときの参考になれば幸いです.
最後に,本書の出版に御盡力くださった中外医学社荻野邦義氏はじめ関係者の方々に謝意を表します.
2001年7月
編著者 上田 礼子
目次
目 次
序説:本書の概要〈上田礼子〉
第1章 子どもと発達〈上田礼子〉
1.子どもとは
a.子どものとらえ方
b.発達の縦断的研究にみる子どもの姿
2.成長と発達
3.発達の一般的原理
4.発達の方向性
5.発達の分化と統合
6.発達の臨界期・敏感期
7.個体と環境の相互作用
8.生涯発達
9.発達の個人差
第2章 発達のみかたと発達検査〈上田礼子〉
1.基本となる考え方
a.統計的概念
b.価値的概念
c.疾病的概念
2.発達検査と知能検査
a.発達検査と知能検査の関係
b.発達検査の目的と意義
c.発達検査の種類
d.発達指数とその評価
e.発達検査の結果とその読み方
f.発達検査の効用とその限界
第3章 発達検査および知能検査の応用
1.縦断的方法と横断的方法〈上田礼子〉
2.事例:短期的〈花岡真由紀〉
3.事例:長期的〈花岡真由紀〉
第4章 発達スクリーニング検査〈上田礼子〉
1.発達スクリーニング検査の目的
2.発達スクリーニング検査の条件と種類
a.一定の検査用具を必要とする検査法
b.質問紙による検査法
c.発達スクリーニング検査の妥当性
第5章 発達スクリーニング検査の応用〈花岡真由紀〉
1.1歳6カ月健診で言葉の遅れのあった事例M
2.障害のある事例K
第6章 乳幼児の家庭環境評価法と支援〈上田礼子〉
1.乳幼児の発達と家庭養育環境
2.JHSQ(日本版乳幼児の家庭環境評価法)
a.JHSQの特徴
b.評価法
c.JHSQの使用法
3.事例:家庭養育環境刺激と発達支援--短期的縦断研究--
第7章 発達スクリーニング検査の具体例:JDDST-R〈上田礼子〉
1.JDDST-Rの特徴
2.検査項目の実施方法
a.個人-社会領城
b.微細運動-適応領域
c.言語領域
d.粗大運動領域
第8章 発達プレスクリーニング用質問紙(JPDQ)〈上田礼子〉
1.検査用紙
2.使用法
a.検査の順序
b.結果の解釈とその後の処理方法
c.JPDQの定期的使用
d.種々の利用法
3.使用の意義
第9章 言語発達と支援--JDDST-Rの評価から--〈上田礼子〉
1.子どもの言葉が発達する条件
2.言葉の発達の一般的傾向
3.言葉の獲得にとって重要な時期
4.適切な言語刺激
5.JDDST-Rによる言語発達の評価
a.正常な発達過程における個人差
b.言葉に遅れのある幼児:1歳6カ月児と3歳児との関係
第10章 情緒・社会的発達と支援〈上田礼子〉
1.大人が気にする乳幼児の行動と微症状
a.年月齢による変化
b.地域差など--日米の比較
2.上手な支援のあり方:関係者間のコミュニケーション
第11章 簡易検査〈上田礼子〉
1.新生児行動評価スケール
a.検査用紙
b.検査の技法
2.新生児の知覚検査(NPI)
a.検査用紙
b.検査の順序
c.結果の処理および解釈
d.使用の意義
3.その他
参考文献
索 引