精選 感染症外来プラクティカ

定価:
4,400円(本体価格4,000円+税)

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書誌情報

書誌情報
サイズ
206頁
ISBN 978-4-498-02162-4
発行日 2026年10月07日

内容


脱丸暗記! 忙しい現場でも実践できる,感染症の考えかた.
薬剤不足が続く現代の感染症診療では,限られた時間・選択肢のなかで患者の症状や検査所見から感染症を捉え,適切な治療を組み立てる思考力がこれまで以上に求められる.本書では,忙しい現場で実践可能な感染症の考えかたを整理し,外来で頻出するcommonな疾患を例に,診断から治療までの思考プロセスを身につけることができる1冊である.

序文

序 文


 臨床感染症学を扱う教科書は今,まさに戦国時代です.大型書店の医学書コーナーに行くか,大手ECサイトで「感染症 教科書」と検索すればすぐにわかりますが,さまざまな背景・環境・時代でトレーニングを受けた先人たちが,わかりやすく解説した教科書が山ほどあります.わざわざ新刊を狙わなくても,既刊の中に読者一人ひとりの手に馴染む一冊が既に存在している,そういう時代です.
 その市場の中で,本書も果たすべき役割を模索しなければなりません.「記録より記憶に」とはよく言ったものですが,読者の頭に残らないのならば,あるいは現場で手が動かせるようにならないのならば,その教科書を読む意味はない,そう覚悟して筆を取りました.
種明かしをするようで恥ずかしいですが,本書の仕掛けを先にご紹介しておきましょう.
 まず本書が目指すのは知識の羅列ではなく,ベッドサイドで再現できる理解の形成です.本書は全編を通して人間の思考回路に順行するような展開を心がけています.「こう言われたら,こう考えるのが/こう疑問に思うのが自然ですよね,では説明しますね」というスキームが基本です.
 図表を用いた説明もあえて避けています.図表は眺めているだけで何となくわかった気になれる(書く側としても何か説明した気持ちになれる)のですが,万能ではないように思うのです.その代わりに「読めばわかる」を地で行けるよう,細心の注意を払い言葉を尽くしたつもりです.
 本書は2部構成です.第Ⅰ部第1章は総論,第2章は抗微生物薬の各論,第Ⅱ部は症例の解説,と進んでいきます.通読を想定していますが,第Ⅰ部第2章は読み終えた後もアンチョコとしても使えるように,各薬剤が見開きで完結するよう工夫して配置していただきました.また第Ⅱ部も初学者にとっては少々突っ込んだ内容まで触れている箇所がありますので,時間が経って読み返していただくとまた違った旨みがあるかもしれません.読了後は古本屋に出すも後輩に譲るもリサイクルに出すも各人の自由なのですが,何度も繰り返して使える(楽しめる)内容に整えましたので,ぜひ末長く使っていただけると幸いです.
 本書を編むにあたってはたくさんの方々からご協力を賜りました.まず写真撮影に協力していただいた済生会横浜市東部病院 初期臨床研修医の蕨 彰寛先生,奥本弘樹先生,筆者行きつけのラーメン店「駒岡家(横浜市鶴見区)」の阿久津雄一店主.忙しい合間に一部の原稿を精読したくさんの示唆を与えていただいた千葉大学病院 血液内科の松村 凱先生.精細なグラム染色画像をご提供いただいた公立昭和病院 細菌検査室の横沢隆行先生.そして筆者の臨床感染症の師である谷山大輔先生,小田智三先生.最後に編集をご担当いただいた中外医学社の中島 崚様,根気強く校正に付き合ってくださった笹形佑子様.皆様に心より御礼申し上げます.本当にありがとうございました.
 普段はSNSで140文字を超えない文章ばかり書いているせいか本作の完成も難儀を極めましたが,読者の皆様にとって日々の診療の一助となるならば,著者冥利に尽きます.

2026年9月
髙野哲史

目次

目 次

第Ⅰ部 総論
第1章●感染症診療の基礎知識
感染症診療の「総論」
感染症診療のプロセス
要素 ① 患者背景の把握
要素 ② 臓器・解剖学的診断
要素 ③ 微生物学的診断
要素 ④ 抗微生物薬(抗菌薬)の選択
要素 ⑤ 治療計画と経過の予測
プロセスから臨床経過を予想する
外来用にプロセスを最適化する

第2章●外来感染症の抗微生物薬
アモキシシリン
アモキシシリン・クラブラン酸
セファレキシン
セフトリアキソン
ドキシサイクリン
レボフロキサシン
ST合剤
クリンダマイシン
抗インフルエンザ薬
オセルタミビル・ザナミビル・ペラミビル
バラシクロビル

第Ⅱ部 各論
第1章●上気道感染症
Commonest
なのに教わる機会がない不思議
「だけじゃない」
長引く風邪,の向こう側

第2章●下気道感染症・肺炎
慣習を破る
擦り尽くされた市中肺炎に思うコト
名が体を表さない
“pneumoniae”はどうした

第3章●腹腔内臓器・消化管
あとのまつり
「うまい」に潜むカモメの影

第4章●尿路感染症
隠しきれない やましさがいつしか尿路に浸みついた

第5章●皮膚・軟部組織感染症
結局,黄色ブドウ球菌
抗菌スペクトラムの矛先
飼い猫に手を咬まれる右手にアモキシシリンを,左手にクラブラン酸を

第6章●性感染症 125
梅は咲いたか  薬はまだかいな治療などなど  病期次第

第7章●ウイルス感染症
“Formulary”
オセルタミビル以外不要論
時代の疫禍
年の功より
帯状疱疹のあれやこれや
じこはおこるさ
案外知らない? 針刺し対応

第8章●内科救急疾患
内科救急オムニバス
どう初療するか,どう転送するか

索引

執筆者一覧

  • 戸田中央総合病院 感染症内科 髙野哲史
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