Medical Note presents こどもの「症状」から考える 外来小児診療 伝え方の極意
内容
信頼できる医療情報を分かりやすく提供し,一般生活者のみならず,医療者にも絶大な支持を得ている医療サイト「メディカルノート」の人気コンテンツを書籍化.頻度の高い子どもの症状を取り上げ,その診療のポイントを「保護者への説明の仕方」に重点を置いて解説した.不安を感じている保護者へ,どの言葉を選択して,どう伝えればいいのか.保護者対応の機微を知れば,日々の診療が劇的に変わる.熟練者の英知満載のお薦めの1冊.
序文
編集の序
「保護者の目線に立って考えた,小児医療のメンター達からの子どもの症状への説明の仕方」と「その極意」を感じられるonly oneの小児医学書が出来あがりました.
株式会社メディカルノートは,木畑宏一さん,井上祥さんらが立ち上げた気鋭の医療メディアです.この会社の「こどもの症状プロジェクト」が本書の出発点であり,「小児外来や電話相談で上位の主訴となる症状に対し,保護者向けのわかりやすいweb記事を専門医師の語りで作ろう」と,井上信明先生や上村克徳先生に相談しつつ始まりました.縁あって私はこの企画に出会いました.
本書のonly one の理由は,「説明の仕方」に焦点を当てているからです.一人前の医療者になるため,どうやって患者さんの命を救うか・臨床推論を行うか・検査や治療の技術を磨くか,そういう勉強にプライオリティがあるのは勿論であり,医学書も数多くあります.
しかし,医療の真髄の一つには「コミュニケーション」もあります.それは各々が試行錯誤し,素敵な先生(メンター)を見ては真似をし,まさに背中から学ぶものとされ,それぞれが自分なりのスタイルを作るのが慣習です.逆に言えば,教科書もほとんどなく,実地で経験を積むのがすべて.もちろん重症・緊急の場合は,チーム医療としての対応を学ぶ機会が多々あり,小児の医療者たちは熱心に教えてくださいます.しかし,日々のちょっとした訴えに対する対応は本当に多いのに,適当な対応でも問題になりにくいため,どのように学び進めばよいか後回しになりがち.私自身も,日常の忙しさを言い訳に時間をかけて他の先生の診察にマンツーマンで陪席する機会は少なく,本当にこれでいいのかともどかしさを感じていました.
プロジェクトは,ありがたいことに素敵な先生方に快く取材を引き受けていただけました.特に,「Red flag(緊急性の高い症状)」「ホームケア」の伝え方に焦点を当てました.私も医師10年目で経験を積んだつもりでしたが,「保護者の立場」に立った時に本当に必要な説明の取材は,目からウロコの連続でした.言い回し一つ違うだけで印象がガラッと変わるため,注意して言葉を選ぶ.また,お話には,子どもに対する優しい視点・家族も含めて幸せにしたいという視点が溢れていて,取材中感動することが多々ありました.「必要最低限の情報を,シンプルに伝える」「難しい話を医療者の自己満足で行っても,保護者は覚えきれず不安になる」「保護者の不安を受け止める」など,書き出すときりがありません.やはり小児医療者は,皆,暖かく,優しく,大きい.取材・記事作成を共にした田中理子さん(メディカルノート編集部)の尽力も多大です.彼女がいなければ,企画の完遂はできませんでした.
この素晴らしい内容を若手医療者にもぜひ伝えようと,中外医学社の鈴木真美子さん・メディカルノートの井上祥代表取締役が書籍化を進めて下さいました.監修の井上信明先生は,現場でも私の尊敬するメンターの1人でしたが,書籍の編集においても「読み手(みなさん)」に配慮するという,極意を教えてくださいました.
実はこの企画に出会う前,私は小児科医として燃え尽きる寸前で,日常診療にある小さな幸せにも鈍感になっていました.しかし,取材で得た極意をもとに,その人に合わせた説明をすると,患者さんたちの反応が少し良いと気付きます.また繰り返す,笑顔に触れる,自分も幸せになる.患者さんとのちょっとした会話や,一期一会の時間の貴重さを体感する.「コミュニケーション」の極意は重症軽症に関わらず診療に常に存在している!と気付く.この本のおかげで,私は「小児科医になって心からよかった」と思える自分に再会しました.本書が,私以外にも,「小児医療のよろこび」を感じていただける,一助になれば心より幸いです.
最後に,本書に関わってくださった皆様に心より感謝いたします.
2017年4月
小児科専門医・公衆衛生修士(MPH) 安藤恵美子
目次
目次
第I章 内因系
I 子どもの発熱〈上村克徳〉
1 基本編
2 素朴な疑問への対応集
II 子どもの機嫌が悪い〈笠井正志〉
III 子どものけいれん〈後藤知英〉
IV 子どもの発疹〈平本龍吾〉
V 子どもの嘔吐〈井上信明〉
VI 子どもの下痢〈宮田章子〉
VII 子どもの腹痛〈伊藤友弥〉
VIII 子どもの咳〈崎山 弘〉
IX 子どもの鼻水〈片岡 正〉
第II章 外因系
I 子どもの外傷〈萩原佑亮〉
1 創傷
2 骨折・歯が折れた・動物に咬まれた・虫に刺された
II 子どもの頭部打撲〈天笠俊介〉
III 子どものやけど〈池山由紀〉
IV 子どもの誤飲・誤嚥〈多賀谷貴史〉
1 子どもの誤飲
2 子どもの誤嚥
V 事故による子どもの傷害の予防〈山中龍宏〉
あとがき
索引