ガイドラインに基づく成人先天性心疾患の臨床
- 定価:
- 9,460円(本体価格8,600円+税)
在庫なし
書誌情報
| サイズ | B5判 |
|---|---|
| 頁 | 276頁 |
| ISBN | 978-4-498-13600-7 |
| 発行日 | 2001年10月01日 |
内容
心臓外科の発達に伴い増加している成人の先天性心疾患をいかに理解し,診断・治療・管理するかを日本循環器学会で作成されたガイドラインに基づいて解説したものである.成因・遺伝,妊娠と出産,チアノーゼの合併症,心不全,細菌性心内膜炎,不整脈といった諸問題の理解から各種成人先天性心疾患の病態・診断・治療・管理等についてを簡潔且つ具体的に記載した.またカナダ心臓学会が作成した診療ガイドラインの全文を翻訳して付し,一層の理解を図っている.
序文
序文
成人の先天性心疾患が年毎に増加している.東京女子医科大学の心臓血圧研究所病院に入院した成人先天性心疾患の患者数は,1980年代に比べて1990年代には40%増加している.その疾患別の内訳では,チアノーゼ性の複雑心奇形の手術後例の増加が目立つ.即ち,Fallot四徴症極型のRastelli手術後,三尖弁閉鎖や単心室のFontan手術後,完全大血管転位のMustard手術後などの20歳代の成人が,conduit狭窄,不整脈,心不全,心内血栓,細菌性心内膜炎など,様々な問題を生じて診断と治療のために入院してくる.これらの患者の多くは1970年代に幼少児期に手術を受け,幸い生存して成人に達したものの,こうした様々な問題を抱えて治療が必要となったものである.
これらの手術後心奇形は医学的に全く新しい疾患であり,これに対処する内科医,小児科医,外科医はこれら新しい疾患の理解と対応に苦慮している.例えば,Fontan手術後はFontan circulationと呼ばれる右室なしの肺循環となる.1970年以前にはFontan circulationは存在しなかった.Fontan手術後の患者が不整脈,心不全,心内血栓,妊娠と出産など,様々な問題を抱えて医師を訪れる時,医師は現在の医学がFontan circulationを十分理解していないことに気づいて愕然とするのである.しかも問題をもつ患者は待ったなしで,医療を必要としている.
ここ10年来,欧米では成人先天性心疾患の研究が盛んになった.英国のSomerville,米国のPerloffなど内科出身の成人先天性心疾患の専門家が活躍しており,米国の心臓病学の2学会(AHA,ACC)ではくり返し成人先天性心疾患をシンポジウムやセミナーで取り上げてきた.カナダでは1996年に成人先天性心疾患のシンポジウムを開き,成人先天性心疾患の診療にあたるセンターを地域毎に確立し,1998年には成人先天性心疾患の診療ガイドラインを発表した.
我が国でも門間が班長で成人先天性心疾患の日本循環器学会ガイドライン作成班がつくられ,これを機会に1998年より成人先天性心疾患の研究会が発足した.この研究会は毎年1月に小児科,内科,外科,産婦人科の150人以上の医師が集まり,1日熱心な発表と討論を行い,新しい知識の吸収につとめている.日本循環器学会のガイドラインは2000年に発表され,そのダイジェスト版も完成している.
本書は日本循環器学会のガイドライン作成班の班員と協力員で,ガイドラインを更に詳しく解説したものである.カナダのガイドラインの日本語訳も付けてある.この日本語訳は訳者の1人,丹羽博士が成人先天性心疾患の北米での研究・留学中に交渉して実現した.何れにも現時点での成人先天性心疾患に関する知識が盛り込まれており,本書が日常診療に即時に役に立つことを期待している.
2001年9月
女子医大心研研究室にて 門間記す
目次
目 次
I.総 論
A.頻 度〈門間和夫〉
B.成因,遺伝性〈松岡瑠美子〉
付1 : 遺伝学的検査に関するガイドライン
付2 : 出生前検査・診断に関する見解
付3 : 着床前検査・診断について
C.肺高血圧症〈中西宣文 宮武邦夫〉
D-1.妊娠と出産--総論〈赤木禎治 加藤裕久〉
D-2.妊娠と出産--妊娠出産管理〈千葉喜英〉
D-3.妊娠と出産--避妊・中絶〈中林正雄〉
E-1.チアノーゼの合併症--脳膿瘍〈富田 英〉
E-2.チアノーゼの合併症--腎合併症〈太田真弓〉
E-3.チアノーゼの合併症--喀血〈堀米仁志〉
E-4.チアノーゼの合併症--赤血球増多症〈赤木禎治〉
E-5.チアノーゼの合併症--チアノーゼ性心疾患の肺結核,類似疾患,空洞〈門間和夫〉
F.心不全〈中澤 誠〉
G.細菌性心内膜炎〈篠原徳子 中澤 誠〉
H-1.不整脈--上室性〈相羽 純〉
H-2.不整脈--心室性〈庄田守男〉
H-3.不整脈--房室ブロック〈大西 哲〉
II.各論 : 成人の主な先天性心疾患
A-1.心房中隔欠損症--内科〈石光敏行〉
A-2.心房中隔欠損症--外科〈松田 暉〉
B.心内膜床欠損〈柳川幸重〉
C.心室中隔欠損〈龍野勝彦 森 克彦〉
D.Eisenmenger症候群〈丹羽公一郎〉
E.動脈管開存症〈中西敏雄〉
F.肺動脈弁狭窄〈瀬口正史〉
G.先天性大動脈弁狭窄症〈森田紀代造 黒澤博身〉
H.大動脈縮窄症〈石澤 瞭〉
I.Ebstein奇形〈高橋長裕〉
J-1.Fallot四徴症--内科〈楠元雅子〉
J-2.Fallot四徴症--外科〈寺田正次 今井康晴〉
K.完全大血管転位症〈坂崎尚徳 槇野征一郎〉
L.Rastelli手術後〈益田宗孝 安井久喬〉
M.修正大血管転換症〈石塚尚子〉
N.Fontan手術後〈八木原俊克 吉川義朗〉
O.老人の先天性心疾患〈大川真一郎 千田宏司〉
P.冠動脈奇形〈遠藤真弘〉
Q.その他の疾患〈門間和夫〉
両大血管右室起始症
単心室
三尖弁閉鎖
総動脈幹症
無脾症候群
多脾症候群
染色体22q11欠失症 : del22q11
体動静脈瘻
肺動静脈瘻
III.カナダ循環器協会 成人先天性心疾患管理に関する指針
I.総 論
II.心房中隔欠損
III.心室中隔欠損
IV.房室中隔欠損
V.動脈管開存
VI.左室流出路狭窄と大動脈二尖弁
VII.右室流出路狭窄
VIII.Fallot四徴
IX.大動脈縮窄
X.Ebstein奇形
XI.完全大血管転換
XII.修正大血管転換
XIII.Eisenmenger症候群と肺動脈閉塞性疾患
XIV.Fontan手術
XV.冠動脈奇形
XVI.移植
XVII.妊娠出産
XVIII.感染性心内膜炎
XIX.心理社会的問題
付表1 一般地域の循環器専門医,一次医療担当医師による経過観察が可能な疾患
付表2 RRCでの管理が必要な患者
付表3 心内膜炎の予防に関する指針
付表4 証拠のレベルと指針の程度の定義
付表5 この指針に用いられた略語と用語
用語説明
文 献
索 引