Annual Review循環器2015

定価:
12,100円(本体価格11,000円+税)

在庫なし

書誌情報

書誌情報
サイズ B5判
318頁
ISBN 978-4-498-13419-5
発行日 2015年01月29日

内容

注目すべきトピックを厳選し,その分野の第一人者が内外の文献を踏まえて最新の進歩を展望する.定評あるシリーズの最新年度版である.

序文



 「Annual Review 循環器」は1986年の創刊で,2015年版は創刊30周年の記念誌となる.本書の主旨に従って,2014年に発表された循環器領域の基礎研究や臨床研究の論文のなかでエビデンスレベルが高く分野別に注目に値する論文を選んで紹介している.かくして本書は循環器に携わる諸兄に時宜を得た重要な知見を紹介しつつ30年の歴史を刻んできた.1年間に公表される循環器領域の論文は膨大で,基礎研究から臨床研究まで幅広くかつ奥深い.これらの中から分野のバランスよく論文を厳選し,循環器領域全体の最新知見を一冊の書物にまとめて提供するのが本書の使命である.
 ところで2014年は,わが国の医学論文の不正が大きな話題となった年でもあった.降圧剤「ディオバン」研究,同じく降圧剤「ブロプレス」研究,そしてアルツハイマー治験薬研究など,いずれも最近わが国でも盛んになってきた大規模臨床研究に関わるものであった.これらの不正が発覚した当初は国もマスコミも,従って国民も,研究に携わる医師の研究遂行能力の不足が根本にあり,それを補完する目的で企業人が参画して不正の土壌が醸し出された,との論調であった.しかし問題の本質は医師の研究遂行能力の有無ではない.能力の有無に関わらず実際の診療に関与するものはデータの取り扱いやデータ分析に関わってはいけないとする臨床研究の大原則の真意を理解せず,ご都合主義に胡坐をかいて安直に成果を求めた研究姿勢の未熟が本質的であろう.
 上記の臨床研究には企業側から数千万〜数億円の資金が提供されている.莫大な資金である.実際の研究費としていくら掛ったのか知る由もないが,しかし臨床研究には労力も資金力も必要であることもまた事実である.それらの殆どは,研究での不正とバイアスを除去する仕組みつくりとその運営に費やされる.研究のエビデンスレベルは不正とバイアス除去の厳格さと同義である.
 わが国で臨床研究の重要さが認識されるようになったのは2000年代初頭であろう.以来ようやく臨床医学研究者に研究計画―プロトコル―の何たるかが学ばれ始め,しかしその拡がりは極めて緩除であったように思われる.わが国の大規模臨床研究が,莫大な研究資金の何故に必要かの理解に至る前に,外形をのみ真似て始まったところに事件の萌芽があったのかもしれない.
 「Annual Review 循環器」は前年に公表された関連論文の中から,エビデンスレベルの高い,インパクトのある論文を取り上げ解説するのが使命である.それらの中に,不正やバイアスの混入したものがあるとしたら,我々は誤った情報を拡散させていることになる.医学研究に携わるものとして肝に銘じ,編集者として一層の眼力を養わねばと思う今日この頃である.

2014年12月
編集者一同

執筆者一覧

  • 【編集】
  • 小室一成  東京大学教授
  • 佐地 勉  東邦大学教授
  • 坂田隆造  京都大学教授
  • 赤阪隆史  和歌山県立医科大学教授
  • 【著者】
  • 武田憲文  原 弘典  小室一成
  • 森崎裕子  森崎隆幸  笠原敦子
  • 脇本博子  山上喜由  岡  亨
  • 李 政哲  大門雅夫  椎名由美
  • 八尾厚史  筒井裕之  坂東泰子
  • 室原豊明  後藤義崇  佐久間 肇
  • 北端宏規  久保隆史  赤阪隆史
  • 梶波康二  高野信太郎  高村敬明
  • 小林欣夫  上妻 謙  内藤 亮
  • 宮内克己  夛田 浩  赤尾昌治
  • 草野研吾  深田光敬  青沼和隆
  • 岩崎雄樹  清水 渉  栗田隆志
  • 相庭武司  島本和明  浅山 敬
  • 大久保孝義  石光俊彦  里中弘志
  • 八木 博  波多野 将  渡邉裕司
  • 高月晋一  佐地 勉  安河内 聰
  • 山岸正明  宮本隆司  石井陽一郎
  • 小林富男  松本 崇  伊吹圭二郎
  • 市田蕗子  大内秀雄  丸井 晃
  • 坂田隆造  南方謙二  齋藤武志
  • 齋木佳克  宮田哲郎  角 秀秋
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