疾患別整形外科理学療法ベストガイド 上肢・脊椎編
内容
整形外科理学療法の押さえておきたい評価・検査・リハビリテーションの実際について,それぞれ臨床・教育・研究の専門家で,経験豊富な現役の臨床家でもある執筆陣が上肢・脊椎の疾患別に解説した.臨床に真に必要な知識と実践についてポイントを絞ってまとめられており,学生時代の実習はもちろん,卒後も自身の臨床や新人指導の味方になる,新しい時代の整形外科理学療法の参考書である.
序文
序
「疾患別整形外科理学療法ベストガイド」を手に取って頂き誠にありがとうございます.本書はタイトルに「ベストガイド」とあるように,整形外科疾患への理学療法評価・治療のスキルアップに向けて,ベストと思われる手本を示しながらガイド(案内・誘導)することをコンセプトとして企画・編集を進めてまいりました.
理学療法に関する書籍は山ほどありますが,その内容から実際に「どこを見て何をチェックするのか」,「どこをどのように触ってどのように動かすのか」など,読者がすぐにテクニックを再現できるような工夫がなされた実用書は多くはないように思います.本文に「他動的なストレッチングを行う」とだけ記載されていたり,図があってもキャプションとの対応がわかりにくいと,著者が意図した具体的な方法やコツを読者が理解し,再現することは容易ではありません.優れた師匠は答えをすぐに与えずにあえて悩ませるという考え方もありますが,我々の対象が症状のある患者である以上,「失敗しても色々チャレンジしてみよう」というわけにはいきません.その道のエキスパートからテクニックを効率よく盗むことも重要ではないでしょうか.
本書では,整形外科疾患に関わる理学療法士や養成校学生が避けては通れない代表的な33の疾患を上肢,脊椎,下肢に分類して取り上げました.それぞれにおいて「疾患の特徴」をわかりやすく解説した上で,「理学療法評価」と「理学療法治療」について症状別の視点で系統的に理解できるよう紙面構成を工夫しました.そして,最も特徴的な点が「ガイド」と称した図であり,図内のコメントにより,読者が著者の意図したテクニックを再現,実践できるよう工夫をしたことです.そして,各章の最後には「XXときかれたらどうする?」というコミュニケーションガイドの頁を設け,エキスパートの先生方が患者さんによく聞かれる疑問と,その返答へのアドバイスを執筆して頂きました.普段の臨床や現場での活動で役立つこと間違いないと思います.
執筆はケア,研究,教育の第一線で活躍されているエキスパートの先生方にご依頼しました.少々手の込んだ紙面構成で頭を悩ませながらも素晴らしい玉稿を書き上げてくださいました.校正・編集は執筆・編集の経験が豊富で,私が尊敬する中丸宏二先生,平尾利行先生に助言を頂きながら進めてまいりました.学生や新人理学療法士は勿論ですが,指導的な立場にある先生方にも「使える」指導用参考書としてご活用いただけると幸いです.
最後に,我々に素晴らしい企画を提案して頂き,出版まで導いてくださった高橋様をはじめとする中外医学社の方々にお礼を添えて編集の序とします.
2018年9月 相澤純也
目次
目 次
第1章 上肢
1 胸郭出口症候群〈地神裕史〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.感覚異常
1-2.ROM制限と代償性アライメント
1-3.筋力低下
1-4.類似疾患症状
1-5.アライメント・姿勢の異常
1-6.下部体幹の機能異常
2.理学療法治療
2-1.疼痛・感覚異常に対する物理療法
2-2.症状に直接関係する筋のストレッチング
2-3.上肢・肩甲帯のエクササイズ
2-4.体幹機能エクササイズ
2 肩関節周囲炎(五十肩,凍結肩)〈川井誉清〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み
1-2.関節可動域制限,スティッフネス
1-3.姿勢・アライメント異常
1-4.腱板機能低下
1-5.肩甲上腕関節機能の低下
1-6.肩甲胸郭関節の可動性,安定性の異常
1-7.日常生活動作の障害
2.理学療法治療
2-1.患者教育
2-2.痛みへのアプローチ
2-3.肩甲上腕関節のROMエクササイズと徒手療法
2-4.肩峰下圧を軽減するためのエクササイズ
2-5.肩甲胸郭関節の可動性改善のためのエクササイズ
2-6.姿勢・運動パターンの修正エクササイズ
3 投球障害肩〈見供 翔〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.情報収集
1-2.痛み
1-3.関節可動域の異常
1-4.上腕骨頭の異常運動
1-5.肩甲帯の機能不全
1-6.胸郭の機能不全
1-7.腱板の機能不全
1-8.下肢・体幹の機能不全
1-9.投球動作パターンの異常
2.理学療法治療
2-1.痛みに対する治療
2-2.ROM制限への徒手療法とエクササイズ
2-3.筋機能トレーニング
2-4.下肢・体幹機能エクササイズ
2-5.投球動作を想定した機能エクササイズとフォーム修正
4 肩関節脱臼(外傷性前方脱臼)〈大路駿介〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.肩関節不安定性
1-2.痛み
1-3.筋機能異常
1-4.ROM制限,筋の硬さ
1-5.肩甲帯の機能不全
1-6.神経筋コントロール不良
1-7.姿勢・アライメント異常
1-8.運動連鎖不良
2.理学療法治療
2-1.患者教育
2-2.筋のリラクセーション
2-3.姿勢・アライメントの修正
2-4.肩甲胸郭関節のエクササイズ
2-5.ROMエクササイズ
2-6.インナーマッスルの筋力トレーニング
2-7.神経筋コントロールエクササイズ
2-8.アウターマッスルや患部外を含めた筋力トレーニング
2-9.動作修正トレーニング
5 上腕骨近位部骨折〈池田 崇〉
疾患の特徴
1.理学療法評価(外固定期)
1-1.痛み,感覚異常
1-2.腫脹・浮腫
1-3.筋機能異常
1-4.関節可動域制限
1-5.胸郭・体幹可動性の低下
2.理学療法治療(外固定期)
2-1.肩外転装具の装着指導
2-2.徒手療法
2-3.上肢遠位部の自動運動
2-4.肩関節のROMエクササイズ
3.理学療法評価(固定解除後)
3-1.筋緊張異常
3-2.ROM制限
3-3.筋機能の異常
3-4.転倒リスク
4.理学療法治療(固定解除後)
4-1.筋緊張のコントロール
4-2.ROMエクササイズ
4-3.筋機能エクササイズ
4-4.転倒予防のためのエクササイズ
6 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)〈仲島佑紀〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み
1-2.アライメント異常・筋タイトネス
1-3.ROM制限
1-4.筋機能異常
1-5.日常生活動作
2.理学療法治療
2-1.痛みの管理
2-2.ROMエクササイズ・ストレッチング
2-3.セルフエクササイズ
2-4.装具療法
7 投球障害肘〈仲島佑紀〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み
1-2.肘関節機能異常(アライメント異常・ROM制限・筋機能異常)
1-3.肩関節機能異常(アライメント異常・ROM制限・筋機能異常)
1-4.肩甲胸郭関節機能異常(アライメント異常・可動性低下・筋機能異常)
1-5.下肢機能異常
2.理学療法治療
2-1.痛みの管理
2-2.徒手療法(ROMエクササイズ)
2-3.筋機能エクササイズ
2-4.投球動作エクササイズ
8 橈骨遠位端骨折〈関口貴博〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.浮腫
1-2.痛み
1-3.ROM制限
1-4.筋機能異常
1-5.動作異常
1-6.総合的手関節機能異常
2.理学療法治療
2-1.浮腫に対するアプローチ
2-2.ROMエクササイズ
2-3.筋機能トレーニング
2-4.患者教育
9 手根管症候群〈波戸根行成〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み・しびれ・感覚異常
1-2.筋機能異常
1-3.不良姿勢
2.理学療法治療
2-1.装具による固定,安静
2-2.界面構造へのアプローチ
2-3.神経系への直接的アプローチ
2-4.環境へのアプローチ
10 TFCC損傷〈関口貴博〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み
1-2.ROM制限
1-3.筋機能異常
1-4.動作異常
2.理学療法治療
2-1.痛みに対するアプローチ
2-2.ROMエクササイズ
2-3.筋機能トレーニング
2-4.姿勢・運動パターンの修正
第2章 脊椎
1 頚椎症性神経根症〈中丸宏二〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み・しびれなどの症状
1-2.姿勢・アライメント異常
1-3.ROM制限,運動パターンの問題
1-4.筋機能異常
1-5.関節機能異常
2.理学療法治療
2-1.急性期の症状に対する治療
2-2.筋機能異常に対する治療
2-3.関節機能異常に対する治療
2-4.姿勢,運動パターンの修正
2-5.患者教育(ADL・ホームエクササイズ指導)
2 胸椎・腰椎圧迫骨折〈三森由香子〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み
1-2.関節可動域制限
1-3.筋機能障害
1-4.姿勢アライメント異常
1-5.歩行能力低下
1-6.バランス能力低下
1-7.活動量低下
2.理学療法治療
2-1.患者教育
2-2.体幹装具(コルセット)の選定,治療環境の調整
2-3.関節可動域制限の予防と改善のためのストレッチング
2-4.筋出力,筋力の強化
2-5.起居移動動作の指導
2-6.姿勢の修正,歩行練習,バランス練習
2-7.体力増強,活動量維持
2-8.再発予防
3 非特異的腰痛〈瓦田恵三〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み
1-2.アライメント異常
1-3.ROM制限
1-4.筋長の異常
1-5.運動・動作パターン,筋機能異常
1-6.腰椎不安定性
1-7.仙腸関節機能障害
1-8.心理社会的要因
2.理学療法治療
2-1.痛みに対する治療
2-2.ROM制限に対する治療
2-3.筋機能トレーニング
2-4.姿勢,運動・動作パターンの修正エクササイズ
2-5.患者教育,カウンセリング
4 腰椎椎間板ヘルニア〈大石敦史〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み・しびれなどの症状
1-2.姿勢・アライメント異常
1-3.ROM制限,運動パターンの問題
1-4.筋機能異常
2.理学療法治療
2-1.患者教育
2-2.筋機能異常に対する治療
2-3.神経の滑走性や伸張性に対する治療
2-4.腰椎の関節機能異常に対する治療
2-5.体幹の不安定性に対する治療
2-6.ADL指導
5 腰椎分離症〈小山貴之〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み
1-2.アライメント異常
1-3.抗剪断力の低下
1-4.ROM制限・過可動性
1-5.筋力・筋持久力低下
1-6.動作パターンの機能不全
2.理学療法治療
2-1.痛みに対する治療
2-2.ROM制限・過可動性に対する治療
2-3.抗剪断力,筋力・筋持久力に対する治療
2-4.動作パターンの機能不全に対する治療
2-5.患者教育(ADL・ホームエクササイズ)
6 腰部脊柱管狭窄症〈伊藤貴史〉
疾患の特徴
1.理学療法評価
1-1.痛み
1-2.感覚異常
1-3.ROM制限
1-4.アライメント異常・体幹筋機能異常
1-5.筋機能異常
1-6.立位バランス能力の低下
1-7.日常生活動作能力の低下
1-8.精神的QOLの低下
2.理学療法治療
2-1.姿勢・アライメント修正のためのストレッチング
2-2.下肢筋機能トレーニング
2-3.体幹筋機能トレーニング
2-4.持久力トレーニング
2-5.生活動作指導・練習,コルセット
2-6.患者教育
索引