上部消化管内視鏡スキルアップノート
- 定価:
- 13,200円(本体価格12,000円+税)
在庫なし
書誌情報
| サイズ | B5判 |
|---|---|
| 頁 | 312頁 |
| ISBN | 978-4-498-04178-3 |
| 発行日 | 2012年11月01日 |
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内容
胃疾患の診療を検討する研究会「TOKYO GASTROLOGY CLINICAL DIAGNOSIS CONFERENCE」が編んだ上部消化管内視鏡の入門書.
序文
序
ESDが一般臨床で普及しつつあり保険収載も直前に迫った2005年,都内の若手有志を中心に診断をもう一度見直そうという機運が生まれた.そして,その基本理念を“普通”とした.上級者・先進施設における“普通”ではなく,一般病院における中堅・若手の明日の日常診療で即役立つ診断技術とした.幸いに基本理念をエーザイ株式会社の方々にご理解いただき,ご協力いただけることになった.しかし,基本理念が“普通”である以上,一般社会の常識に従うことにした.自分達が勉強するのであるから,エーザイ株式会社に高価なお弁当や懇親会をご負担いただくことはお断りし,今回は会議室のみの提供をお願いすることとした.
研究会をどのように運営していくか.まずは上級医からの一方的な知識の提供ではなく,風通しのよい双方向の議論が成り立ち,お互いに成長できる全員参加型の会であるよう努めた.世の中の常として,発足当初の大きな目的や目標はいつしか会そのものの継続が目的になってしまう.盛者必衰で仕方がないことである.しかし,若手が自らの為に自ら考え自ら行動することで各自が自らの研究会であると実感できる.これは非常に重要なことで,惰性にならず常に新陳代謝が行われるような運営を心がけた.
自らが本心から組織の為に働きたいと思うことが,思えるようにすることが重要なのだと考えている.私の好きな言葉に,“ask not what your country can do for you―ask what you can do for your country”(JFK)がある.countryをそれぞれが属する組織に当てはめていただきたい.藤城先生,小田先生の発案と指導力で研究会から英語論文が2編刊行されたことは,参加者の全員が“自分たちの会のために”と思えたからこそだと思っている.
さらに今回の症例アトラス集の出版である.研究会で持ち寄って議論した大切な症例を書籍として残すことができた.喋ること,見せること,聞かせることは文化をもつ他の動物でも可能かもしれない.しかし経験を記録として残すことは,人間のみに許された英知であり,文明である.壁画を残すことは,経験することなく知識を後世に伝えることを可能にした.また,協力して行うことも人間が人間である証であろう.
多くの研究会で最先端の技術・機器を使用した診断学が議論されていることは承知している.学術集会で議論されているトップクラスの知識は当然日々吸収していかなくてはならない.しかし,“普通”のことを基礎に日々知識を積み上げた先に最先端の知識や技術が生かされるのだと信じている.“まことに小さな国が,開化期を迎えようとしている.…”で始まる「坂の上の雲」(司馬遼太郎)の冒頭の一節はまさに本書を手に取った若手の皆様に贈る言葉だと思う.
今回の我々の実績は本当に小さな一歩である.しかし,次世代への大きな励みとなることと信じている.
最後に,研究会に参加者していただいた全ての方々,長く共催いただいたエーザイ株式会社ならびに出版に当たってご尽力いただいた中外医学社の関係者の皆様に感謝を述べたい.
2012年9月
東京医科大学消化器内科 後藤田卓志
目次
目 次
序説 TGCDCのあゆみ 〈藤城光弘 小田一郎〉
Chapter1.胃(食道)癌診療 〜私はこう思う〜
1.上部消化管内視鏡での前処置 〈森下慎二〉
前処置について
2.上部消化管内視鏡検査法の注意点 〈山本頼正〉
上部内視鏡のグリップの方法
上部内視鏡挿入時の注意点
3.ルーチンの上部消化管内視鏡挿入観察法 〈大圃 研〉
咽喉頭
食道
食道胃接合部
胃(十二指腸挿入前)
十二指腸
胃(十二指腸観察後)
食道
4.上部消化管内視鏡スクリーニング検査における胃ルーチン撮影法 〈池原久朝〉
高位反転法による胃ルーチン撮影
基本的な注意事項
高位反転法の実際
知っておくべき内視鏡の死角
5.上部消化管内視鏡検査は各種内視鏡検査処置の基本 〈石井直樹〉
6.食道癌 拾い上げから精査まで 〈藤原純子 門馬久美子〉
拾い上げ診断
ヨード染色の位置づけ
治療前の精密検査
7.食道癌におけるEMRとESDの棲み分け 〈藤城光弘 新美惠子〉
内視鏡治療の適用範囲とは
EMRとESDの選択
コラム TGCDCの思い出 〈伊藤俊之〉
8.画像強調観察の基本(色素法,光デジタル法を含む) 〈藤原 崇〉
色素法の種類とインジゴカルミンについて
インジゴカルミン色素内視鏡の前処置と投与法
インジゴカルミン色素内視鏡検査の実際
NBI
9.胃癌リスクを考慮した上部消化管内視鏡スクリーニング
〈秋山純一 小飯塚仁彦 上村直実〉
H. pylori感染による胃粘膜の組織学的変化と内視鏡像
H. pylori非感染者と感染者における内視鏡像の違い
胃癌のハイリスク群とは?
10.Helicobacter pyloriと胃癌: 内視鏡医の立場から 〈草野 央〉
Helicobacter pyloriとは
Helicobacter pyloriは胃癌の原因か
Helicobacter pylori感染と胃癌のリスク
鳥肌胃炎と胃癌
11.胃炎と胃癌―内視鏡観察から学ぶこと― 〈渡辺一弘 横井千寿〉
H. pylori感染と胃炎
胃炎と胃癌
H. pylori感染と内視鏡観察
12.早期胃癌拾い上げのポイント―この所見に注意!― 〈植村昌代〉
観察前および観察時の注意
まずは背景胃粘膜の所見を念頭に!
早期胃癌を疑う所見
生検
13.精査(生検など)が必要な病変の判断方法 〈小田島慎也〉
胃のスクリーニング観察から病変の拾い上げまで
生検の必要性の判断
14.胃ESDのための範囲診断―ESD後に断端陽性となった例から― 〈角嶋直美〉
胃ESD切除例における断端陽性例の検討
ESDで断端陽性となった病変の特徴
ESDで断端陽性と判断された要因
考察
15.胃癌の深達度診断 〈小田一郎 鈴木晴久 野中 哲〉
肉眼型と深達度
肉眼型別の深達度診断ポイント
コラム TGCDC第1回アンケート調査
胃粘膜生検と胃EMR/ESD 2007年11月〜12月実施 〈藤城光弘〉
Chapter2.内視鏡医への提言 〜病理の立場から〜
1.内視鏡医が病理を学んだら―病理学へのご招待― 〈植村昌代〉
なぜ病理を学びたいと思ったか?
いざ,病理の世界へ!
学んだこと
内視鏡に戻って〜病理を学んでから変わったこと〜
病理への招待〜まずは第1歩を踏み出してみましょう〜
2.消化管病理の基礎―組織で見る癌の広がり― 〈立石陽子〉
正常胃の組織像
胃癌の組織像
潰瘍瘢痕を有する病変
3.肉眼所見を裏づける組織所見について 〈谷口浩和〉
胃壁の正常構造
粘膜ヒダの太まりや癒合とは
消化性潰瘍瘢痕と粘膜下層浸潤
陥凹内隆起と粘膜島
粘膜模様が消えるとき
横這・手つなぎ型の癌の範囲がわかりにくいわけ
癌のできた場所と組織型(体部大彎病変は要注意)
Chapter3.内視鏡の読み方,考え方
Chapter4.症例アトラス
索引