人工心肺ハンドブック 改訂4版

定価:
4,400円(本体価格4,000円+税)

在庫あり

書誌情報

書誌情報
サイズ A5
278頁
ISBN 978-4-498-03919-3
発行日 2026年09月04日
人工心肺ハンドブック 改訂4版

内容


人工心肺操作の必携本.さらに実践的になった第4版!
人工心肺はそのトラブルが直接患者の生命を脅かす危険性をはらみ,スタッフは装置の仕組みとトラブル回避の専門知識に習熟する必要がある.本書は,長年人工心肺運転のエキスパートとして第一線で活躍してきた著者が,実践的なノウハウと理論をビジュアルな図を駆使して平易に解説した.第4版では著者の豊富な経験から身に着けた選り抜きのテクニック、ロボット手術の対応法などを新たに紹介.初学者に分かりやすくベテランも納得の人工心肺の必携書である.

序文

改訂4版の序

 人工心肺は文字通り,人工的に心臓と肺の機能を代行する装置であり,究極の生命維持装置といえます.人工心肺の運転中に心臓は停止され,拍出されるべき血流は途絶え,その間に外科医は心臓や大血管を修復することができるのです.人工心肺の登場によってそれまで治療不可能だった多くの人々が救われ,人類は多大な恩恵を受けてきました.心臓血管外科手術の発展は,この人工心肺の発達と表裏一体といっても過言ではなく,人工心肺が安全に運転できることが治療成績向上の前提となっています.医学と科学技術の発展とともに順調に発達してきた人工心肺ですが,今も人工心肺による体外循環に関連した事故の報告が散見されます.その多くは初歩的な人為的ミスと関連しており,後からみれば防止できた事例が大半なのです.
 人工心肺に携わる我々は,人工心肺に命を預ける患者さんの期待に応えられるよう「安全第一」を目標に掲げて,日々ハードウエア(装置)とソフトウエア(技術と教育)の改善と向上への努力を怠ってはなりません.特に,体外循環操作に注意をはらうだけでなく,さまざまなトラブルを想定し,それらから脱出する術(すべ)を身に着けることが必要です.トラブルからの脱出に失敗すれば,患者の死にも直結しかねないのが人工心肺なのです.
 本書は好評を得た2004年出版の初版,そして2009年出版の改訂第2版,完全カラー化の2020年出版の改訂第3版,そして今回は多くの人工心肺関連の学術書や学術論文にはあまり解説がない著者らが体外循環1万例の経験から得たテクニック(小技)の紹介,小切開心臓手術(MICS)やロボット手術への対応法なども加え改訂した第4版となります.これから人工心肺を学ぼうとする学生にも,これまで人工心肺に携わってきたベテランにも納得して頂けるものを目指し改訂いたしました.
 なお本書は,理論と筆者らの経験により導かれた技術書です.体外循環のエビデンスは医学の進歩と共に日々進化し更新されるので,最新の学術報告や学術書籍も参考にし,病める患者のために安全かつ確実な体外循環を目指して頂ければ幸いです.

2026年7月
著者

目次

目次

序章 心臓血管外科手術と人工心肺 〈山口敦司〉
 1.人工心肺装置の開発
 2.人工心肺に関わるさまざまな開発と心臓血管外科手術への応用
 3.人工心肺の安全管理
第1章 体外循環の実際 〈百瀬直樹〉
 1.情報の収集と体外循環プランの作成
 2.体外循環回路の組み立て
 3.回路の充填
 4.各部の点検
 5.ヘパリンの投与
 6.カニューレの挿入(カニュレーション)
 7.体外循環の開始
 8.冷却(低体温体外循環の場合)
 9.完全体外循環(全体外循環:total perfusion)
10.大動脈遮断
11.心筋保護液の注入
12.体外循環の維持
13.復温開始
14.大動脈遮断解除
15.心拍動再開
16.体外循環からの離脱
17.体外循環終了後の処理
第2章 テクニックと解説 〈百瀬直樹〉
 1.酸素チューブ外れを防ぐ小技
 2.熱交換器からの水漏れチェックの小技
 3.ポンプチューブの掛け違いを防ぐ小技
 4.回路の接続と補強
 5.体外循環回路の充填量
 6.細かいエアを除去する小技
 7.圧閉度確認の小技
 8.圧センサーのゼロ点補正の手間を省く小技
 9.送血・脱血の接続違いを防ぐ小技
10.鉗子の誤操作予防の小技
11.点検とチェックリスト
12.回路の接続でエアを残さない小技
13.送血テストとベントテスト
14.体外循環開始の基本操作
15.血圧の因子とその調節
16.体外循環開始時の貯血レベルとイニシャルドロップ
17.キャビテーションと溶血
18.血液ガスの調節
19.送血流量の調整
20.心筋保護液
21.心筋保護液の圧力測定
22.制御装置を用いない圧力制御の小技
23.心筋保護操作を容易にする小技
24.ローラーポンプの静電ノイズを消す小技
25.体外循環中の記録と監視
26.異常値の補正
27.薬を入れる場所と達するまでのタイムラグ
28.補液と輸血
29.体外循環中の出血
30.貯血槽・心内貯血槽で凝血を防ぐ小技
31.サクションの調節
32.出血部位をサクションで判断する小技
33.ベントの調節
34.ベントが多い症例への小技
35.ベントの先当たりを判断する小技
36.体外循環の温度管理
37.貯血レベルの調節
38.離脱時の心機能の評価
39.体外循環離脱時の操作
40.離脱時の注意点
41.補助循環の選択肢
42.安全な残血返血の小技
43.スパゲッティシンドロームを防ぐ小技
第3章 人工心肺装置 〈百瀬直樹〉
 1.体外循環システム
 2.血液ポンプ
 3.人工肺
 4.貯血槽(リザーバー:reservoir)
 5.体外循環回路
 6.付属回路

第4章 人工心肺の安全装置と周辺機器 〈百瀬直樹〉
 1.人工心肺の安全装置と安全モニター
 2.冷温水槽
 3.自己血回収装置
第5章 体外循環中のモニター 〈百瀬直樹〉
 1.患者側モニター
 2.人工心肺側モニター
第6章 特殊体外循環 〈百瀬直樹〉
 1.脳分離体外循環法
 2.部分体外循環法(F-Fバイパス)と上下半身分離体外循環
 3.左心バイパスと部分バイパス法
 4.超低体温循環停止法
 5.ミニサーキットによる循環補助法
 6.MICS(minimally invasive cardiac surgery:小切開心臓手術)の体外循環
 7.ロボット支援下の体外循環
第7章 補助循環 〈百瀬直樹〉
 1.心不全と機械的循環補助
 2.PCPS(経皮的心肺補助装置)/ECMO(体外式膜型人工肺)
 3.IABP(大動脈内バルーンポンプ)
 4.補助人工心臓(VAD)
 5.補助循環用(心内留置)ポンプカテーテル
第8章 体外循環の危機管理 〈百瀬直樹〉
 1.人工心肺のリスクの分析
 2.安全な人工心肺システムの構築
 3.トラブルの対処の流れ
 4.トレーニング
 5.具体的な体外循環トラブルの対処法と予防策
第9章 システムの設計と教育管理 〈百瀬直樹〉
 1.ポンプシステムのレイアウト
 2.使用材料の選定
 3.体外循環回路の設計
 4.教育
 5.マニュアル作成
 6.日常点検と定期点検

索引

執筆者一覧

  • 自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科 教授 山口敦司
  • 自治医科大学附属さいたま医療センター臨床工学部 参与 百瀬直樹
ページの先頭へ