高齢者のがん診療ハンドブック 〜個別性と不確実性の評価と対応、ぜんぶ見せます〜

定価:
4,400円(本体価格4,000円+税)

在庫あり

書誌情報

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サイズ A5判
202頁
ISBN 978-4-498-02296-6
発行日 2025年09月26日

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内容


高齢がん患者の診療で困ったら,まず読む一冊
超高齢社会のがん診療に対する強い味方が登場しました! いまやがん患者の多くが75歳を超え,併存症や機能障害を考慮に入れて治療・療養計画を組む必要性,いわば“慢性疾患診療”の考え方が大事になってきました.本書では,高齢がん患者の診療を安全,かつ確実に進めるために,「高齢がん患者の治療を検討する際に,まず押さえておきたいこと」「高齢者の基本的な評価を知る」「高齢者の安全でやさしいがん治療を実現するためのアプローチ」をわかりやすく解説しました.また,ガイドラインをそのまま適用できない場面も想定し,「実践編」「ベストプラクティス」などの明日からすぐに役立つ内容も盛り込んでいます.

序文

前 文

 がんの診療技術は大きく進歩をし,がんの治療の大半は外来通院で行う時代になりました.
 一方で,超高齢社会を迎えたことにより,治療の様相も大きく変わりつつあります.がんに罹患する方のうち,75歳以上の方の比率が高まってきています.75歳というのは,日本人の健康寿命です.個人差がありますので一律にとは言えませんが,おおよそ75歳を超えると,併存症や機能障害を考慮に入れて治療・療養計画を組む必要がでてきます.実際に,がん患者の約5割がなんらかの併存症を持ち,約4割に機能障害を認め,約3割に一人暮らしなどの社会生活を維持する上で注意が必要な状態といわれています.ある意味,がんは高齢者の慢性疾患の様相を呈するようになってきたともいえます.
 安全,かつ確実に診療を進める上で,「機能低下を防ぎ」,「社会生活を維持する」ことにも目を配ることが重要です.しかし,がんの治療方針を決定しようとすると,「機能障害をどのように評価すれば良いのかわからない」とか,「意思決定支援が求められるが何をしたらよいのか」など悩むことも多く出てきます.複数の併存症や社会的課題を併せ持つ状態に対しては,ガイドラインをそのまま用いれば解決できることは少なく,戸惑うことも多いです.一方,高齢者のfrailtyを評価するスクリーニング(G8など)を検討する動きも出てきています.しかし,スクリーニングは評価単独で効果を出すことは難しく,スクリーニングの上での詳細な評価が求められます.高齢者機能評価が紹介されますが,高齢者機能評価は評価と共に介入を検討する点にポイントがありつつも,どうしても見逃されがちです.多忙な臨床場面では,ガイドラインや高齢者機能評価の考え方を踏まえた,実践の工夫が大事です.しかし,高齢者の診療の場面を共有する機会は残念ながら言うほどないのが現状です.
 ここでは,高齢者のがん診療を進める上で,重要な点を臨床に沿って取り上げるよう試みました.高齢者の評価を理論的には理解しているが,具体的にどのように落とし込まれるのか,施設ごとの工夫を紹介することを意識しています.
 みなさまが高齢者のがん診療を実践する上で,本企画が何らかのお役にたてれば幸いです.

2025年8月
小川朝生

目次

目 次

第1章 高齢がん患者の治療を検討する際に,まず押さえておきたいこと 〈山本 寛〉
 1.ゴール設定が「治癒」や「長生き」ではない
 2.介護予防のための支援
 3.予備力を評価すること
 4.エビデンスの限界とどう向き合うか
 5.その後の見通しを立てる
 6.支援者を知る

第2章 高齢者の基本的な評価を知る 〈西嶋智洋〉
 1.高齢者評価に関する背景と用語
 2.高齢がん患者におけるCGAの意義
 3.日本における高齢者評価の実践

第3章 高齢者の安全でやさしいがん治療を実現するためのアプローチ
1  機能障害 〈小川真寛〉
 1.高齢者のIADLの障害が注目される背景
 2.IADLの特徴
 3.機能障害の評価方法
 4.機能障害への臨床での対応
2  Frailty(フレイル)と栄養 〈松岡 歩〉
 1.フレイルの概念
 2.フレイル評価の重要性
 3.サルコペニア
 4.フレイルと栄養
 5.高齢がん患者における栄養評価
 6.高齢がん患者に特有の問題
3  転倒 〈原田剛志〉
 1.転倒の臨床的意義
 2.転倒の評価方法
 3.転倒に対する介入
4  認知症をどうする 〈谷向 仁〉
 1.認知症とは
 2.がん医療における認知症併存のインパクト
 3. 認知症を併存するがん患者の様々な問題〜機能障害による医療現場での影響〜
 4.さまざまな認知症
 5.機能障害を把握する
 6.認知症に気付く
 7.せん妄との鑑別
 8. 入院・外来でのがん治療を円滑に進める上での評価のポイント
 9.認知症の各段階での対応を判断する
5  せん妄をどうするか 〈井上真一郎〉
 1.せん妄とは
 2.せん妄の予防
 3.せん妄に気づく
 4.せん妄の対応

第4章 実践編
1  外来・在宅支援をどうするか 〈?川まどか〉
 1.高齢者がん患者に対する外来フォローのpitfall
 2.地域連携パスの活用を!
 3.介護保険は高齢者がん治療においても強い味方
2  痛み・身体症状への対応をどうする 〈松本禎久〉
 1.痛みとは
 2.高齢者における痛み
 3.高齢者における痛みの評価
 4.認知機能低下がある患者における痛みの評価
 5.痛みへの対応
 6.痛み以外の身体症状
3  意思決定支援 〈小川朝生〉
 1.がん治療の進歩
 2.高齢者のがん診療
 3.認知症
 4.認知症が疑われる場合の対応

第5章 ベストプラクティス
A わが国の高齢のがん患者への治療の現状 〈奥山絢子〉
 1.がん種別にみる高齢がん患者の治療状況
 2.診療規模別にみる患者の年齢
B 主要な施設での取り組み
1  東京都健康長寿医療センター 〈山本 寛〉
 1.施設紹介
 2.東京都健康長寿医療センター呼吸器内科の取り組み
 3.症例提示
 4.課題と今後の展望
2  杏林大学医学部付属病院 〈長島文夫〉
 1.杏林大学医学部付属病院の概要
 2.院内(全病棟入院患者)の支援体制
 3.腫瘍内科外来での対応
3  名古屋大学大学院医学系研究科 〈田中千恵〉
 1.術前管理
 2.手術
 3.術後管理
4  島根大学における取り組み 〈津端由佳里〉
 1.島根県における高齢肺癌患者の予後調査
 2.電子カルテシステムへのGAツールの組み込み
 3.国内外における老年腫瘍学研究の発展
 4.機能評価加算算定への取り組み
5  高齢者機能評価に基づく外科治療法の選択 〈海堀昌樹〉
 1.消化器外科領域における高齢者がん手術の現状
 2.機能評価に基づく外科治療法の選択
 3.高齢者のがん治療アルゴリズム
6  埼玉医科大学国際医療センターでの取り組み 〈濱口哲弥〉
7  九州がんセンター 〈北川善子〉
 1.現状把握
 2.対応の枠組み
 3.施設内での足並みの揃え方
 4.今後の方向性
8  国立がん研究センター東病院 〈平野勇太〉
 1.入院準備センター・退院支援看護師の概要
 2.施設での取り組み(入院準備センター)
 3.情報収集・評価
 4.関連部門との連携(コーディネーション)

索引

執筆者一覧

  • 国立がん研究センター東病院 精神腫瘍科 ・先端医療開発センター精神腫瘍学開発分野 小川朝生 編著
  • 東京都健康長寿医療センター 内科総括部長(呼吸器内科部長 兼務) 山本  寛
  • 国立病院機構九州がんセンター 老年腫瘍科 科長 西嶋智洋
  • 神戸学院大学総合リハビリテーション学部作業療法学科 教授 小川真寛
  • 国立がん研究センター がん対策研究所 松岡  歩
  • 国立がん研究センター東病院リハビリテーション科 原田剛志
  • 名古屋市立大学大学院看護学研究科精神保健看護学 教授 谷向  仁
  • 新見公立大学健康科学部看護学科 教授 井上真一郎
  • 名古屋大学附属病院化学療法部(老年内科)講師 柳川まどか
  • がん研究会有明病院緩和治療科 部長・緩和ケアセンター長 松本禎久
  • 聖路加国際大学大学院看護学研究科・公衆衛生大学院 教授 奥山絢子
  • 杏林大学医学部腫瘍内科学教室 臨牀教授 長島文夫
  • 名古屋大学医学部附属病院消化器・腫瘍外科 病院准教授 田中千恵
  • 岐阜大学大学院医学系研究科内科学講座 呼吸器内科学分野 教授 津端由佳里
  • 関西医科大学肝臓外科学講座 教授 海堀昌樹
  • 埼玉医科大学国際医療センター腫瘍内科・消化器腫瘍科 診療部長・教授 濱口哲弥
  • 国立病院機構九州がんセンター看護部 がん看護専門看護師 北川善子
  • 国立がん研究センター東病院看護部 がん看護専門看護師 平野勇太
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