専門医が伝える 血液がん在宅療養 血液のがんでも家で過ごせる
- 定価:
- 3,960円(本体価格3,600円+税)
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書誌情報
| サイズ | A5判 |
|---|---|
| 頁 | 246頁 |
| ISBN | 978-4-498-22564-0 |
| 発行日 | 2026年07月02日 |
内容
<br><font size=4><b>血液のがんでも家で過ごせる! 医療者にも患者にも役立つガイド</font></b><br>国をあげて在宅医療の普及を推進するなか,血液がんの在宅療養については難しさを感じる医療者も多いのではないでしょうか.本書では,「輸血は家でもできるのか」「発熱にはどう対応すればよいのか」「最期まで家で過ごすことはできるのか」などの多彩な疑問に対し,血液内科医として訪問診療を行ってきた著者の知識とスキルを解説します.出血や感染,急な体調不良への対応や,安全な輸血療法を習得することが,患者・家族が安心して家で過ごせるケアの提供につながります.在宅医療スタッフから非医療者まで,血液がんにかかわるすべての人に安心・安全の在宅医療を届けるための一冊です.
序文
はじめに
初めまして。血液内科医として訪問診療を行っている塚本裕之と申します。
この本を手に取ってくださった方は、血液のがんと診断されたご本人、あるいはそのご家族かもしれません。また、患者さんを支えるケアマネージャーや看護師、医師など、医療・介護の現場で働かれている方もいらっしゃると思います。どのような立場であっても、この本にたどり着いてくださった皆さまのお役に立てれば幸いです。
血液のがんと聞くと、多くの方が大きな不安を抱かれると思います。難しい病名に戸惑ったり、無菌室でのつらい治療を想像したりする方もおられるでしょう。なかには、テレビやインターネットで、有名人が白血病や悪性リンパ腫で亡くなったというニュースを目にし、怖い病気という印象を持っている方も少なくないかもしれません。
血液のがんは患者さんの数が少なく、身近に同じ病気を経験した方がいないことも多い病気です。突然「輸血が必要です」「抗がん剤治療を始めます」と告げられ、どう受け止めればよいのかわからなくなることもあると思います。また、治療が進むにつれて、「この先どうなるのだろう」という漠然とした不安を抱える方も少なくありません。
さらに、「最期は自宅で過ごしたいけれど、主治医にどう相談すればいいのだろう」「血液のがんでも本当に家で過ごせるのだろうか」と、一歩を踏み出せずにいる方もいるかもしれません。忙しい外来の中で、聞きたいことを十分に聞けず、不安やもやもやを抱えたまま帰宅された経験がある方も多いのではないでしょうか。
私はこれまで大学病院で血液の病気の診断や治療に携わり、現在は訪問診療という場で、患者さんにより近い立場から在宅療養を支援しています。在宅医として日々患者さんのご自宅を訪ねる中で、「輸血は家でもできるの?」「熱が出たらどうすればいい?」「最期まで自宅で過ごせるの?」といった、多くの疑問や不安の声を伺ってきました。その中で私が強く感じてきたのは、「家で過ごしたい」という願いは、決して特別なものではないということです。
血液のがんの在宅療養は、決して簡単ではありません。出血や感染、急な体調の変化など、医療者にとっても難しさを感じる場面があります。それでも、工夫と支え合いによって、自宅で穏やかな時間を過ごすことは十分に可能です。
住み慣れた部屋で過ごす時間。家族と食卓を囲むこと。好きな音楽を聴き、窓から季節を感じること。そうした何気ない日常は、病院では得がたい、その人らしい大切な時間なのだと思います。
本書では、血液のがんの診断から治療、在宅療養、そして最期の迎え方まで、患者さんがたどる道筋に沿って解説しています。それぞれの場面で起こりうる悩みや困りごとについて、できるだけわかりやすく、実際の暮らしに役立つ形でまとめることを心がけました。今のご自身の状況と重ね合わせながら、必要なところから少しずつ読み進めていただければと思います。
また、医療や介護の現場で働く方々にとっても、血液のがんはどこか特別で、難しい病気に感じられるかもしれません。本書を通して、在宅療養における血液疾患の特徴や支援のポイントを知っていただくことで、「血液の病気は難しい」という先入観が少しでも和らぎ、患者さんを支える際の助けになれば幸いです。
本書の制作にあたり、多くの方々に支えていただきました。中外医学社の桂様、中村様には、企画から制作まで長い期間にわたり温かく伴走していただきました。また、これまで診療に携わらせていただいた血液のがんの患者さんとご家族との出会いが、私に「暮らしを支える医療」の大切さを教えてくれました。昭和医科大学血液内科医局の先生方、医療スタッフの皆さま、ホームアレークリニックのスタッフの皆さま、そして日々在宅療養を支えてくださっている在宅支援チームの皆さまにも、心より御礼申し上げます。病院で学んだ知識や経験と、多職種で支える在宅医療の実践、そのどちらもが今の私の診療の礎となっています。最後に、いつも明るく支え続けてくれる妻と、かけがえのない存在である子どもたちへ。本当にありがとう。
この本が、血液のがんとともに生きる患者さんやご家族、そして支える医療・介護職の皆さまにとって、「安心して過ごすための道しるべ」となり、「自分らしく過ごしたい」という願いを支える一冊になれば幸いです。
2026年6月30日
ホームアレークリニック 不動前
塚本 裕之
目次
目 次
CHAPTER 1 血液を知る
§1 血液の役割
§2 赤血球の働き
§3 白血球の働き
§4 血小板の働き
§5 血球は骨髄で作られる
§6 血液のがんについて
CHAPTER 2 血液のがんと診断されるまで
§1 血液内科の受診のきっかけ
§2 血液内科で行われる検査
CHAPTER 3 病気を受けとめる
§1 診断を受けたときに大切なこと
§2 主治医に確認しておきたいこと
§3 キーパーソンを決める
§4 セカンドオピニオンという選択肢
§5 気持ちの整理がつかないときに
§6 仕事との両立について
§7 ひとりで抱え込まないために
CHAPTER 4 血液のがんの治療
§1 血液のがんの治療の考え方
§2 薬物療法
§3 造血幹細胞移植
§4 放射線療法
§5 支持療法
CHAPTER 5 血液のがんの在宅療養〜安心して自宅で過ごすために〜
§1 自宅での療養を考え始めたら
§2 信頼できる在宅支援チームを作る
§3 自分らしく暮らすために
§4 知っておきたい療養のサポート制度
§5 血液疾患を在宅で支える(医療者向け)
CHAPTER 6 血液のがんの症状とケア
§1 起こりうる症状とケア
§2 「自宅で輸血」という選択肢
CHAPTER 7 最期まで「自分らしく」暮らすために
§1 自分らしく生ききるために
§2 血液のがんだからこそ話しておきたいこと
§3 最期をどこで過ごすかを考える
§4 旅立ちが近づいたときに見られるサイン
§5 在宅での看取り
CHAPTER 8 病気ごとに見る、在宅療養の物語
§1 骨髄異形成症候群
Case 1:通院が難しくても在宅で治療を続けられた方(82歳男性)
Case 2:輸血をやめて、最期は緩和ケア病棟で(80歳男性)
§2 急性骨髄性白血病
Case 3:患者さんの「最後にやりたいこと」に寄り添って(78歳男性)
Case 4:元気なうちは自宅で、体調が崩れたら病院へ(98歳女性)
§3 悪性リンパ腫
Case 5:婚約者と歩む時間を支えて──若い血液がん患者さんの在宅療養(22歳女性)
Case 6:一人暮らしでも最期まで自宅で過ごされた方(84歳女性)
§4 多発性骨髄腫
Case 7:医療用麻薬で痛みを和らげ、窓の向こうの景色とともに過ごす最期(84歳男性)
Case 8:自宅での療養が不安なときは、介護付き有料老人ホームという選択も(77歳男性)
§5 真性多血症、本態性血小板血症
Case 9:通院から在宅へ 本態性血小板血症とともに自分らしく生きる(81歳女性)
Case10:在宅から入院へ移行した本態性血小板血症の症例(78歳女性)
付録:ACPのためのチェックリスト
参考文献
索引
コラム
この紫斑、大丈夫? ― 加齢による紫斑と病気のサインの見分け方
ここがポイント! 診察の際は毎回検査結果をもらおう
余命や生存率の考え方について
インターネットやSNSとの付き合い方
在宅化学療法という選択肢
在宅でのオピオイド(医療用麻薬)の使用について
在宅支援チームが最期の診療で支援できること
一人暮らしでも最期まで自宅で過ごせる?
血液のがんの看取りで気をつけたいこと