EBM血液疾患の治療2019-2020
内容
血液疾患における諸問題をいかに解決し、対応すべきか、最新のエビデンスをもとに解説したレファランス。治療に必須の知見を「序論、指針、エビデンス、根拠となった臨床研究の問題点と限界、患者に適応する際の注意点、コメント」の順に紹介し、今日の時点における最新の治療法、考え方だけでなく、現場で判断に迷うような事柄・問題点に指針を与えるものとなっている。
序文
序
「EBM血液疾患の治療」は,2013—2014年版より現在の編集体制となり2年ごとに改定を加えてきた.血液疾患の日常診療で遭遇するさまざまな疑問に対し,最新のエビデンスを持って答える書として,多くの読者に愛読されてきた.
本年2月中旬,編集会議を東京で行い,項目立て,最近の進歩,トピックス,執筆者などを含めいつものように熱い議論が交わされた.全体の構成は2017—2018版通り,I造血器腫瘍の新しい分類,II赤血球疾患,III白血病,IVリンパ系腫瘍,V多発性骨髄腫と関連疾患,VI出血・血栓性疾患,VII支持療法・輸血,VIII造血幹細胞移植とした.項目については,重要なものについては前号を踏襲したが,執筆者に関しては,マンネリ化を避ける為にも,また,新たな視点から血液疾患の治療を論じていただくためにも,原則として前号とは異なる方に執筆をお願いすることにした.また,前号で取扱った一部の項目については削除し,トピック性の高い新規項目を追加した.
本号は,治療に関するEBMを取り扱った書籍であるが,近年のゲノム解析の急速な進展により骨髄不全症や白血病の分子病態が明らかになるとともに,加齢と共にクローン性造血の頻度が高くなる報告が数多く見られるようになった.これらの問題については,治療にも密接に関わってくる重要な問題であり,新規項目として取り上げた.各項目ともきわめて明快に最近の知見がまとめられており,この領域に疎い方々にも大いに参考になるであろう.
血液疾患に対する治療法は,加速度的に進歩している.例えば,多発性骨髄腫の最近の治療薬として,新規免疫調整薬ポマリドミド,プロテアソーム阻害剤カルフィルゾミブやイクサゾミブ,HDAC阻害剤パノビノスタット,抗体薬エロツズマブ,ダラツムマブなどが相次いで承認されている.以前は不治の病と言われていた多発性骨髄腫が,最近の相次ぐ新薬の登場で治療成績が日々向上している.しかし,治療法が多様化しているのも事実である.
進歩の著しく速い血液疾患治療に関する膨大な最新情報を,日常業務に多忙な臨床医が全て把握することは困難である.本書は,治療に必須の知見を,「序論,指針,エビデンス,根拠となった臨床研究の問題点と限界,患者に適応する際の注意点,コメント」の順に紹介する構成であるが,他の書籍とは異なりエビデンスの基になる主要文献が主役となっている.重要なエビデンスとなる論文が何時出版されたかが一目瞭然で,主題として設定した疑問に対する答えを時系列に把握することが可能になっている.
この改訂版が,医師のみならずさまざまな医療スタッフに役立つ一冊になることを祈念している.最後に,ご多忙の中,素晴らしい原稿をご執筆くださった先生方に御礼を申し上げる次第である.
2018年9月
編者
目次
目 次
I.造血器腫瘍の新しい分類
1.WHO分類改訂第4版(2017)における骨髄系腫瘍 〈通山 薫 北中 明〉
2.WHO分類改訂第4版(2017)におけるリンパ系腫瘍 〈大島孝一〉
II.赤血球系疾患
1.骨髄不全症の分子病態研究の進歩 〈牧島秀樹〉
2.加齢とクローン性造血 〈吉里哲一〉
3.重症再生不良性貧血の治療 〈山崎宏人〉
4.低リスクMDSの治療 〈後藤明彦〉
5.高リスクMDSの治療 〈町田真一郎〉
6.アザシチジン不応MDSの治療戦略 〈新谷直樹 原田浩徳〉
7.MDSに対する新規治療薬開発の現状 〈鈴木隆浩〉
8.MDSに対する同種造血幹細胞移植 〈前田嘉信〉
9.発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療 〈川口辰哉 上野志貴子〉
10.腎性貧血 〈小原 直〉
III.白血病
A.急性骨髄性白血病(AML)
1.AMLにおける分子病態と予後 〈眞田 昌〉
2.初発AMLの治療 〈宮本敏浩 島 隆宏〉
3.高齢者AMLの治療 〈渡邉純一 木崎昌弘〉
4.再発・難治AMLの治療 〈柳田正光〉
5.CBF—AMLの寛解後療法 〈藤枝敦史 片山直之〉
6.第一寛解期AMLに対する同種造血幹細胞移植 〈矢野真吾〉
7.AMLに対する新規治療薬開発の現状 〈合山 進〉
8.家族性白血病の病態と治療 〈平林真介 真部 淳〉
B.急性前骨髄球性白血病(APL)
1.初発APLの寛解導入療法 〈麻生範雄〉
2.APLに対する維持療法 〈柳田正光〉
3.再発APLの治療 〈井上あい 南 陽介〉
C.急性リンパ性白血病(ALL)
1.成人Ph陽性ALLの治療 〈八田善弘〉
2.成人Ph陰性ALLの治療 〈賀古真一〉
3.再発・難治急性リンパ芽球性白血病の治療 〈加藤光次〉
4.AYA世代ALLの治療 〈富澤大輔〉
5.高齢者ALLの治療 〈薄井紀子〉
D.慢性骨髄性白血病(CML)
1.初発慢性期CMLの治療 〈伊藤史子 高橋直人〉
2.慢性期CMLの二次治療 〈田中淳司〉
3.移行期/急性転化CMLの治療方針 〈田内哲三〉
4.TKI長期投与による有害事象とその対策 〈近藤 健〉
5.TKIsによるCML治療のモニタリングと予後予測 〈木村晋也〉
E.骨髄増殖性腫瘍(MPN)
1.骨髄増殖性腫瘍における分子病態研究の進歩 〈幣 光太郎〉
2.真性多血症の治療 〈桐戸敬太〉
3.本態性血小板血症の治療 〈佐々木 光〉
4.原発性骨髄線維症の治療 〈田中宏和 松村 到〉
5.好酸球増加症候群の治療 〈猪口孝一〉
6.妊娠合併MPNに対する治療 〈竹中克斗〉
IV.リンパ系腫瘍
A.慢性リンパ性白血病(CLL)
1.初発CLLの治療方針 〈横濱章彦〉
2.再発・難治CLLの治療指針 〈三宅隆明〉
3.CLLに対する分子標的療法 〈青木定夫〉
4.リヒター症候群に対する治療 〈石田文宏〉
B.Indolent B細胞リンパ腫
1.進行期低腫瘍量濾胞性リンパ腫の治療方針 〈山本一仁〉
2.進行期高腫瘍量濾胞性リンパ腫の治療方針 〈福原規子〉
3.再発・再燃濾胞性リンパ腫の治療方針 〈丸山 大〉
4.消化管MALTリンパ腫の治療方針 〈入山智沙子 冨田章裕〉
5.節性辺縁帯リンパ腫の治療方針 〈錦織桃子〉
C.マントル細胞リンパ腫
1.若年者マントル細胞リンパ腫の治療方針 〈瀧澤 淳〉
2.高齢者マントル細胞リンパ腫の治療指針 〈三浦勝浩〉
D.Aggressive B細胞リンパ腫
1.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の初回治療方針 〈山口素子〉
2.再発・再燃びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針 〈石澤賢一〉
3.高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針 〈辻村秀樹〉
4.中枢神経原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における自家造血幹細胞移植 〈伊豆津宏二〉
5.バーキットリンパ腫の治療方針 〈村山 徹〉
6.Double—hit,double—expressorリンパ腫の診断と治療 〈内田晶子 磯部泰司〉
E.T/NK細胞リンパ腫
1.T細胞リンパ腫の初回治療方針 〈坂田(柳元)麻実子〉
2.節外性NK/T細胞リンパ腫の治療方針 〈鈴木律朗〉
F.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)
1.ATLLの治療方針 〈福島卓也〉
2.ATLLに対する造血幹細胞移植 〈藤 重夫〉
G.ホジキンリンパ腫
1.限局期ホジキンリンパ腫の治療方針 〈永井宏和〉
2.進行期ホジキンリンパ腫の治療方針 〈楠本 茂〉
3.ホジキンリンパ腫における分子標的治療 〈照井康仁〉
V.多発性骨髄腫と関連疾患
1.くすぶり型多発性骨髄腫に対する治療 〈高松 泰〉
2.移植適応初発多発性骨髄腫の治療 〈李 政樹〉
3.移植非適応初発多発性骨髄腫の治療 〈伊藤薫樹〉
4.再発・難治多発性骨髄腫に対する治療 〈柴山浩彦〉
5.多発性骨髄腫に対する地固め・維持療法の意義 〈半田 寛〉
6.多発性骨髄腫に対する合併症の治療(腎,骨,感染症) 〈大浦雅博 安倍正博〉
7.形質細胞性白血病の治療 〈今井陽一〉
8.原発性マクログロブリン血症の治療 〈鈴宮淳司〉
9.原発性アミロイドーシスの治療 〈淵田真一 島崎千尋〉
10.キャッスルマン病の治療 〈角南一貴〉
11.POEMS症候群の治療 〈栢森健介 大和田千桂子 中世古知昭〉
12.TAFRO症候群の診断と治療 〈岩城憲子〉
VI.出血・血栓性疾患
1.難治性ITPの治療 〈冨山佳昭〉
2.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療 〈吉井由美 松本雅則〉
3.aHUSの診断と治療 〈菅原有佳 南学正臣〉
4.血友病治療の進歩 〈武山雅博 嶋 緑倫〉
5.後天性血友病の診断と治療 〈大森 司〉
6.DICの診断・治療 〈山本晃士〉
VII.支持療法・輸血
1.造血器疾患患者の赤血球輸血における適切な目標ヘモグロビン値 〈正本庸介 岡崎 仁〉
2.造血器疾患患者の血小板輸血における適切な目標血小板数 〈原口京子〉
3.輸血後鉄過剰症に対する介入によって得られる効果 〈生田克哉〉
4.ムーコル症の早期診断と治療 〈木村宗芳〉
5.トキソプラズマ症の早期診断と治療 〈住 昌彦〉
6.発熱性好中球減少症における適切な血液培養 〈木村俊一〉
7.造血器腫瘍患者における耐性菌 〈松尾貴公 森 信好〉
8.腫瘍崩壊症候群のマネージメント 〈細野奈穂子 山内高弘〉
9.血球貪食症候群の治療 〈新井文子〉
VIII.造血幹細胞移植
1.65歳以上の患者に対する同種造血幹細胞移植 〈藤原慎一郎〉
2.同種造血幹細胞移植前後の免疫チェックポイント阻害薬使用の影響 〈寺倉精太郎〉
3.同種造血幹細胞移植後の長期予後の評価指標 〈河村浩二〉
4.腸内細菌が同種移植後の経過に及ぼす影響 〈橋本大吾〉
5.ステロイド抵抗性急性GVHDに対する救援治療 〈西脇聡史〉
6.慢性GVHDに対する初期治療・救援療法 〈松岡賢市〉
7.非寛解期急性白血病に対する同種造血幹細胞移植 〈立花崇孝〉
8.同種造血幹細胞移植後のGVHDの発症と長期予後との関連 〈渡邊瑞希 諫田淳也〉
9.同種造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス感染症の管理 〈戸澤圭一 菊池 拓 森 毅彦〉
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