CCUグリーンノート 第2版
内容
日本有数の実績と経験を有し、医師の研修,教育にも注力する国立循環器病研究センタースタッフが初版刊行以来の最新の知見を反映させて改訂したCCUグリーンノート第2版。循環器医療を学ぶうえで欠かすことのできないCCUでの基礎知識、診断、治療、手技などのポイントを簡明に解説し、臨床で役立つ実践的な内容を目指して作成されている。
序文
2版の序
国立循環器病研究センターでは,1977年創立時より「Coronary Care Unit」を開設し,急性心筋梗塞症や狭心症などの虚血性心疾患を対象とした集中治療を行ってきた.その後2010年からは,多様な基礎疾患や合併症に対応する「Cardiovascular Care Unit」として,虚血性心疾患のみならず種々の心疾患を基礎とした重症心不全,合併する致死的不整脈,さらには解離・血栓による血管疾患に対する集中治療に取り組んでいる.循環器治療の“醍醐味”は,急性期にダイナミックに変動する患者の病態を的確に判断し治療していくことにある.循環不全(ショック)を呈するような場合は特に,診断・治療を,「時間との戦い」の中で進めていくことが求められる.高齢化と多疾患罹患を特徴とする重篤な症例では,医師(内科・外科・放射線科),看護師,臨床工学技士など多職種による全身管理・集学的治療(チーム医療)が重要な位置を占めるようになってきている.国立循環器病研究センターCCUでは,ドクターカーやモバイルテレメディシンシステムなどのPre-hospital Care(病院前診療),心エコー検査や右心カテーテル検査を駆使した血行動態管理および補助循環装置の管理など,他施設では経験できない心臓血管系集中治療(Critical Care Cardiology)を経験することができる.
国立循環器病研究センターでは創立40周年を迎え,多くのレジデントを輩出してきた.時代を超えて普遍的なもの,それは疾患に対する知識と理解(理論)である.本書では,サブ スペシャリティーとして最近特に注目されている心臓血管系集中治療に必要な情報のエッセンスをまとめると共に,実践的なポイントについてもサイドメモやピットフォールとして解説を加え,理解の助けとなるように配慮した.さらに版改訂にあたり,最新のエビデンス・ガイドラインの内容を反映させた内容とした.
最後に本書が成るにあたり大勢の執筆者にご協力をいただいた.日常の診療で忙しいなか,依頼を引き受けていただいた各位に,この場を借りてお礼を申し上げたい.
2018年3月
国立循環器病研究センター副院長心臓血管内科部門長
安田 聡
国立循環器病研究センター
CCUグリーンノート2018年改訂版
発刊に向けて
国立循環器病研究センターにCCUが開かれたのは1977年10月24日である.私も第4期レジデントとして1981年から1984年まで勤務した.CCUは当時から最もハードな病棟であった.現在のレジデントが第40期になる.多くの若い医師が40年にわたりここから育って全国で活躍している.CCUグリーンノートは,2015年に私が会長として日本循環器学会JCS 2015が大阪で開かれるのを機に心臓血管内科部門長であった安田聡副院長が編集して初版が刊行された.CCUの神髄で埋められた教科書である.2018年改訂版では2019年7月にJR新大阪駅から7分のJR岸辺駅に直結した場所に移転される新センターCCUなど循環器の未来も示されている.是非皆様に御一読願いたい.
2018年3月
国立循環器病研究センター理事長
小川久雄
序
循環器疾患における集中治療は当初Coronary Care Unitとして開設された.すなわち急性心筋梗塞症や狭心症などの虚血性心疾患を対象として集中治療を行う部門として発展してきた.国立循環器病研究センターでは1977年に開設され40年近くの歴史を有する.その間 急性心筋梗塞症に対しては冠動脈インターベンションによる再灌流療法が主流となり,院内死亡率は開設当時の20%から近年では数%へと劇的に減少した.さらに3つの大きな流れが近年顕著である.第一に,治療にスピードが求められるようになり,その活動は“院外へ”とひろがってきている.第二に,虚血性心疾患に限らず,心不全,動脈瘤などの血管疾患,重症不整脈など対象疾患が多様化し,Cardiovascular Care Unitへと変化してきた.第三に,重篤な症例に対しては特に,医師(内科・外科・放射線科),看護師,臨床工学技士など多職種による集学的治療(チーム医療)が重要な位置を占めるようになった.本書では,これらの変化にも対応した内容とした.
一方 時代を超えて普遍的なもの それは疾患に対する知識と理解(理論)である.本書では,必要な情報をコンパクトにまとめると共に,実践的なポイントについてもサイドメモやピットフォールとして解説を加え,理解の助けとなるように配慮した.
最後に本書が成るにあたり大勢の執筆者にご協力をいただいた.日常の診療で忙しいなか,依頼を引き受けていただいた各位に,この場を借りてお礼を申し上げたい.
2015年4月
国立循環器病研究センター心臓血管内科部門長
安田 聡
目次
目 次
略語一覧
1 当センターCCUの実績 〈巷岡 聡 浅海泰栄 安田 聡〉
2 循環器救急
(1)プレホスピタルケア 〈開地亮太 川上将司 田原良雄〉
(2)院内循環器救急における急変時対応について 〈開地亮太 川上将司 田原良雄〉
(3)症候別アプローチ
A.心停止
1 BLS(一次救命処置) 〈川越康仁 中島啓裕 田原良雄〉
2 ALS(二次救命処置) 〈川越康仁 中島啓裕 田原良雄〉
3 心拍再開後集中治療 〈開地亮太 中島啓裕 田原良雄〉
B.ショックの初期対応 〈津田浩佑 細田勇人 田原良雄〉
C.胸背部痛 〈入江勇旗 西平賢作 田原良雄〉
D.呼吸困難 〈真玉英生 米田秀一 田原良雄〉
E.失神 〈真玉英生 米田秀一 田原良雄〉
3 補助循環装置
(1)PCPS 〈若宮輝宜 川上将司〉
(2)IABP 〈新谷康広 川上将司〉
(3)IMPELLA補助循環用ポンプカテーテル 〈真玉英生 安田 聡〉
(4)LVAD 〈兼田浩平 黒田健輔 瀬口 理〉
4 人工呼吸管理 〈真玉英生 川上将司〉
5 せん妄 〈中村隼人 細田勇人 菅野康夫〉
6 急性心不全 〈中野宏己 大塚文之〉
7 急性冠症候群
(1)概念および診断の手順 〈三角香世 片岡 有〉
(2)ST上昇型心筋梗塞 〈土井貴仁 片岡 有〉
(3)不安定狭心症,非ST上昇型心筋梗塞 〈土井貴仁 片岡 有〉
(4)急性冠症候群に対する心臓カテーテル治療 〈菅根裕紀 中島啓裕 浅海泰栄〉
(5)急性心筋梗塞における機械的合併症 〈宇佐美俊輔 西平賢作 浅海泰栄〉
8 冠攣縮性狭心症 〈九山直人 大塚文之〉
9 たこつぼ心筋症 〈柴田佳穂 中島啓裕 浅海泰栄〉
10 重症不整脈 〈中島健三郎 宮本康二〉
11 急性肺血栓塞栓症 〈林 浩也 辻 明宏 大郷 剛〉
12 劇症型心筋炎 〈灘濱徹哉 細田勇人 浅海泰栄〉
13 緊急を要する弁膜症
(1)大動脈弁狭窄症 〈天木 誠 神崎秀明〉
(2)感染性心内膜炎 〈中川頌子 和田 暢 神崎秀明〉
14 急性大動脈解離 〈姉川英志 柳生 剛 河原田修身〉
15 安定冠動脈疾患
(1)冠動脈CTとMRI 〈岡本千聡 中尾一泰 野口暉夫〉
(2)SPECT/PET 〈竹内 智 木曽啓祐 野口暉夫〉
(3)運動負荷試験 〈北原 慧 荒川鉄雄 野口暉夫〉
(4)薬物治療 〈西川 諒 藤野雅史 中西道郎〉
16 CCU看護 〈烏脇麻希子 小林明日香 水間かおり〉
(1)急性心筋梗塞クリニカルパス
(2)早期心臓リハビリテーションプログラム
(3)チーム医療
17 心臓リハビリテーション 〈三浦弘之 中西道郎〉
付録
1 CCUレジデント業務 〈小永井奈緒 川上将司〉
(1)カルテ記載
(2)プレゼンテーション
2 CCU基本手技
(1)ブラッドアクセス 〈青山大雪 藤野雅史〉
(2)不整脈の緊急治療 〈上田暢彦 宮本康二〉
(3)血行動態の把握 〈澤田賢一郎 中島啓裕〉
(4)心タンポナーデ解除 〈真玉英生 川上将司〉
3 CCUで使用する薬剤
(1)循環作動薬の適応と組成 〈高橋 力 細田勇人 米田秀一〉
(2)医療安全のための薬剤情報 〈竹中裕美 和田恭一〉
4 CCU栄養プロトコール 〈中村隼人 細田勇人 米田秀一〉
索 引