呼吸器感染症の診かた,考えかた ver.2

定価:
4,620円(本体価格4,200円+税)

在庫あり

書誌情報

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サイズ A5判
332頁
ISBN 978-4-498-13001-2
発行日 2020年05月29日

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内容

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような新興の呼吸器感染症に対峙するためには、適切に情報のアップデートを行うことはもちろん、呼吸器感染症診療を行ううえでの基本的、普遍的かつ網羅的な知識が必要となる。もちろん従来の呼吸器感染症を診る場合もその基本は変わらない。本書では、旧版の内容に最新知見を反映させながら大幅に手を加え、「呼吸器感染症といえばこの一冊」と呼ぶに相応しい内容にまとめあげた。

序文

第2版 改訂にあたり

 このたび拙著『呼吸器感染症の診かた,考え方』を全面的に改訂し上梓させていただいた.初版は2010年に上梓したが,それから10年が経過し改訂版の必要性を感じたからである.
 医学・医療の進歩は新薬の開発と密接に関わっている.呼吸器内科がカバーする診療では,がん領域での免疫チェックポイント阻害薬が診療を変え,抗がん化学療法との併用がスタンダードとなり,次世代シーケンシング(NGS)を含むゲノム医療の導入など進歩が目覚ましい.また,アレルギー・喘息領域でも複数の抗体製剤の導入など診療の選択肢が広がっているが,逆に薬剤選択に悩む場面も増えている.これらは疾患の理解の急速な進歩に依っている.感染症の領域は新薬の開発が滞り逼塞の感があり,呼吸器感染症診療も進歩がないと思われがちであるが,一方で検査技術の進歩により,病原の迅速診断の幅が広がり,さらに2019年から新規抗菌薬上市の新たな波が起きている.このように呼吸器感染症の領域でも,着実な進歩がみられ,初版の上梓から肺炎の枠組みの変化や国内外での複数のガイドラインの改訂・公表,慢性下気道感染症に関連して本邦で遅れていた気管支拡張症への注目も高まりつつあるのを実感している.
 初版の序にも書かせていただいたが,自分は決して呼吸器感染症限定の専門家ではなく,「呼吸器内科」の専門医でありたいと常々思っている.近年は呼吸器の領域でも,高度な専門分化が進み,呼吸器の中での特定の分野の診療に特化している医師や施設も少なくない.自分はあくまでも「呼吸器ジェネラリスト」として特定の分野に特化せず感染症,肺がん,喘息,COPD,間質性肺疾患,アレルギー性肺疾患,職業性肺疾患,気胸をはじめとするさまざまな胸膜疾患,睡眠時無呼吸症候群などの異常呼吸,呼吸管理などすべてを診療できなければ呼吸器内科の専門医とは言えない,との信念で診療と教育を行っている.初版からの10年のうちの大部分は,そのこだわりを持って亀田総合病院呼吸器内科で診療,教育を続けてきた.本書は呼吸器感染症の本でありながら,感染症以外の内容にも触れているのはそのこだわりのためである.
 新型ウイルスによる呼吸器感染症のアウトブレイクが起きるように,呼吸器は開いた臓器であり,外界の影響を受けやすい.このため呼吸器感染症も時代とともに変化するため知識のアップデートは不可欠だが,一方で時代が変わっても変わらない診療もある.本書はできる限りその両者を取り入れ両立するようにしたつもりである.
 呼吸器疾患全般の中での呼吸器感染症診療という立ち位置で,呼吸器感染症に興味を持ってくれる医師が増えてくれれば望外の喜びであり,ひいてはその目で呼吸器全般を診ることができる医師が増えてくれることを期待したい.
 最後に編集部の岩松宏典さんには初版の企画段階から一貫してお世話になった.改訂版の出版も予定より大幅に遅れたが,辛抱強く待ってくれた彼の支援があって本書が日の目を見たことは間違いない.心から感謝したい.
 
 2020年3月
 東京女子医科大学 八千代医療センター
 呼吸器内科 准教授 / 診療科長
 青島 正大

目次

目次

第1章 総論・呼吸器感染症を理解する
 呼吸器感染症はほかの部位の感染症とどこが異なるか?
 呼吸器系の解剖と感染部位
 呼吸器感染症の原因となる微生物
  1 解剖学的部位と微生物の関係
  2 呼吸器感染症の感染経路
 呼吸器感染症を診断する
  1 最 も大切なのは感染による病態かどうかの診断である! 
    Mimicker に注意!
  2 原因微生物を診断する
   2-1 検体の採取方法
   2-2 グラム染色と培養検査の見方
   2-3 抗原検出法
   2-4 抗体検査
   2-5 遺伝子診断

第2章 呼吸器感染症の治療に用いる薬剤
 はじめに
 抗菌薬
  1 ペニシリン系抗菌薬 ─ ペニシリンを上手に使おう
  2 セフェム系抗菌薬 ─ たくさんある薬剤の使い分け
  3  カルバペネム系抗菌薬
    ─ 大切なのはカルバペネムが必要なケースを見落とさないこと!
  4 モノバクタム系抗菌薬
  5 マクロライド系抗菌薬
    ─ 耐性菌が増えている現実を知った上で使う
  6 テトラサイクリン系抗菌薬
  7 リンコマイシン系抗菌薬
  8 キノロン系抗菌薬 ─ エンピリック使用における位置づけ
  9 アミノ配糖体系抗菌薬 ─ 呼吸器感染症における位置づけ
  10 抗MRSA 薬
 抗真菌薬
  1 トリアゾール系
  2 エキノキャンディン系
  3 ポリエンマクロライド系
 抗結核薬
  1 rifampicin(RFP)
  2 isoniazid(INH)
  3 pyrazinamide(PZA)
  4 ethambutol(EB)
  5 streptomycin(SM)
  6 二次抗結核薬
  7 MDR-TB の治療に用いる薬剤
 抗ウイルス薬
  1 インフルエンザ治療薬
  2 抗サイトメガロウイルス薬
 新規に上市された抗菌薬
  1 colistin(CL)
  2 metronidazole(MNZ)
 抗菌薬のPK/PD

第3章 病態ごとの診断と治療 
 気道感染症 
  1 気道感染症の成立は肺炎とどのように異なるか 
  2 かぜ症候群とインフルエンザ 
   2-1 抗菌薬治療の対象となる上気道感染症を見落とさない 
   2-2 感染性咳嗽への対応 
   2-3 かぜ症候群への対応 
   2-4 インフルエンザ 
  3 慢性肺(気道)疾患における慢性下気道感染症 
   3-1 慢性期の管理 
   3-2 増悪への対応 
 肺炎 
  1 院外発症肺炎
   1-1 院外発症肺炎の診療の流れ 
   1-2 画像診断の位置づけ 
   1-3 重症度判定と治療薬選択の実際 
   1-4 キノロン系抗菌薬をエンピリックに使用しないわけ 
   1-5 院外発症肺炎におけるマクロライドの位置づけ 
   1-6 治療効果を評価するには 
   1-7 原因微生物が判明したときの治療 
   1-8 原因微生物が判明せず,治療に反応しない場合の対応 
   1-9 肺炎に対するステロイド 
  2 院内肺炎 
   2-1 院内肺炎の基礎 
   2-2 院内肺炎診療の実際 
   2-3 特殊な病態への対応 
  3 感染によらない肺炎を見分ける 
   3-1 肺癌(特に浸潤性粘液腺癌IMA) 
   3-2 特発性器質化肺炎(COP) 
   3-3 好酸球性肺炎(EP) 
   3-4 薬剤性肺炎 
 抗酸菌感染症 
  1 抗酸菌の分類と診断法 
  2 結核菌感染症の治療 
   2-1 肺結核 
   2-2 潜在性結核感染症(LTBI) 
  3 非結核性抗酸菌症 
   3-1 治療対象の見分け方 
   3-2 肺MAC症 
   3-3 肺M.kansasii症 
   3-4 肺M.abscessus症 
   3-5 肺NTM症の外科治療 
 肺真菌症 
  1 アスペルギルス感染症 
   1-1 SPA 
   1-2 CPPA 
   1-3 IPA 
  2 クリプトコックス感染症 
  3 カンジダ感染症 
  4 接合菌症(zygomycosis) 
  5 輸入真菌症 
   5-1 コクシジオイデス症(coccidioidmycosis) 
   5-2 ヒストプラズマ症(histoplasmosis) 
   5-3 パラコクシジオイデス症(paracoccidioidomycosis) 
 免疫不全を有する患者の呼吸器感染症 
  1 大切なのは患者背景から考えること 
  2 ニューモシスチス肺炎 
  3 サイトメガロウイルス肺炎 
  4 侵襲性肺アスペルギルス症 
  5 肺ノカルジア症 
  6 免疫抑制療法中のリウマチ患者の肺炎への対処 
 胸膜炎 
  1 感染が関与する病態かどうかの診断が最初の一歩 
   1-1 生化学検査 
   1-2 細菌検査 
   1-3 細胞分画・細胞診 
   1-4 胸膜生検 
  2 結核性胸膜炎 
    1 抗結核薬への反応が不良の場合の対応 
  3 膿胸 
   3-1 難治性膿胸への対応 
   3-2 線維素溶解療法の適応 
   3-3 外科へのコンサルテーションへのタイミング 

第4章 難治性呼吸器感染症の集学的治療

事項索引
薬剤名索引

執筆者一覧

  • 青島正大
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