レビー小体型認知症〜臨床と病態〜
- 定価:
- 3,740円(本体価格3,400円+税)
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書誌情報
| サイズ | A5判 |
|---|---|
| 頁 | 170頁 |
| ISBN | 978-4-498-12966-5 |
| 発行日 | 2014年06月27日 |
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内容
患者数の増加が著しく,今やアルツハイマー型認知症の次に多いと言われているレビー小体型認知症についてを,初学者にも理解しやすいよう平易にまとめた.ごく基本的な概要から,診断や治療,ケアまでと幅広い内容を網羅.しかし,それぞれ実際の現場で必要となる重要ポイントに絞られて紹介されているため,一冊楽に読み通すことができる.コンパクトながらも十分な知識が詰まった,今後の診療の指針となる,頼れる一冊だ.
序文
序
本書を刊行するにあたり,ここに至る経緯を述べてみたい.現在,私は順天堂東京江東高齢者医療センターの認知症専門外来と早期診断のための物忘れドックで認知症患者を診ているが,そのうちの2割あまりがレビー小体型認知症(DLB)であり,この他にDLBに進む可能性の高い前駆状態の患者もいる.これは,私が初めてDLB患者を診察した1990年頃を考えると驚くべきことである.
当時,私が所属していた横浜市立大学精神医学教室に小阪憲司教授が赴任してこられたが,私は小阪先生が見出されたびまん性レビー小体病(DLBD)については,神経病理を専門としていた関係で剖検例は目にしていたが,臨床の現場では診たことがなかった.小阪先生にDLBDの臨床的特徴を教えていただいた上で診察すると,次々にDLBDと診断される患者が現れ,DLBDと臨床診断した患者が剖検によりDLBDであったと証明できたときはうれしかった.ただし,当時のDLBDは,認知症専門医や神経病理学者の一部で知られるのみであった.その後,私は講師,助教授として,若手研究者とともにDLBDの臨床・病理学的研究を進めた.この間,1996年にDLBの臨床・病理診断基準が発表され,DLBDが基となったDLBは認知症専門医の間でよく知られるようになり,2005年に改訂版臨床・病理診断基準ができてからは,一般医にも知られるようになった.さらに小阪先生のご努力でDLB研究会が開催され,家族の会も結成されるようになり,現在DLBはアルツハイマー型認知症(AD)に次いで多い高齢者の認知症として,一般人にもよく知られるようになっている.
私は2004年に現在の施設に移ってからは,グループの若手研究者とともにDLBの画像診断や神経心理などの臨床研究に力を入れている.本書は,これらの研究者と共同執筆をしており,DLBを様々な観点から扱いながらも,共通した考え方のもとにまとめられている.この中には,これまで積み上げられてきた知見に加えて,DLBの前駆状態・早期診断など,私たちが初めて明らかにした最新の知見も盛り込んでいる.本書は,若手専門医向けに書かれたものであり,今後のDLBの診断と治療に役立てていただけることを期待している.
2014年5月
井 関 栄 三
目次
目 次
I概念・歴史 (井関栄三)
A 概念
B 歴史
II疫学・遺伝 (井関栄三)
A 疫学
B 遺伝
III臨床症状 (井関栄三,村山憲男)
A 必須症状
1)記憶障害
2)他の認知機能障害
B 中核症状
1)認知機能の動揺
2)幻視
3)パーキンソニズム
C 示唆症状
1)レム睡眠行動障害
2)抗精神病薬に対する過敏性
D 支持症状
1)繰り返される転倒や失神,一過性の意識障害
2)自律神経症状
3)幻視以外の幻覚,妄想
4)抑うつ
IV臨床経過・予後 (井関栄三,村山憲男)
A 臨床経過
1)前駆期
2)初期
3)中期
4)後期
B 予後
C 症例呈示
症例1 82歳,男性
症例2 65歳,男性
V診断
1.臨床診断基準・診断法 (藤城弘樹,井関栄三)
A 病歴聴取と精神・神経学的診察
1)既往歴の重要性
2)必須症状について
3)中核症状について
4)示唆症状について
5)支持症状について
6)前駆症状について
B DLBの診断を支持しない特徴と鑑別診断
C DLBの1年ルール
D 臨床診断を正しく行うために考慮すべきこと
2.前駆状態・早期診断 (千葉悠平,井関栄三)
A DLBの前駆状態
B 前駆症状に注目した早期診断
C 早期診断に有用な検査
1)神経心理学的検査
2)画像診断学的検査
D DLBのリスクファクター
E 症例呈示
症例1 70歳,男性
症例2 71歳,女性
(付記)DSM―5 (千葉悠平,井関栄三)
A NCDLBの診断基準の概要
B NCDLB診断基準の解説
C NCDLBを支持する所見
D NCDLBのコード
VI検査
1.神経心理学的検査 (村山憲男,井関栄三)
A DLBの神経心理学的特徴とその検査法
1)進行性の認知機能障害
2)認知機能の動揺
3)幻視
症例 「IV.臨床経過・予後」の症例1
4)パーキンソニズム
B 神経心理学的検査によるDLBの早期発見
1)軽度認知障害とは
2)軽度認知障害の神経心理学的検査
3)他の認知機能障害に対する早期からの神経心理学的検査
4)幻視に対する早期からの神経心理学的検査
2.画像診断学的検査 (笠貫浩史,井関栄三)
A 脳形態画像所見
B 脳機能画像所見
1)脳FDG―PET画像とSPECT画像
2)Neurotransmitterをトレーサーにした画像
3)アミロイドイメージング
C 心筋シンチグラフィー
3.その他の検査 (笠貫浩史,井関栄三)
A 心拍変動解析
B 他の心血管系機能評価法
C 高炭酸換気応答検査
D 発汗機能評価
VII治療
1.治療の考え方 (井関栄三)
2.薬物療法 (笠貫浩史,井関栄三)
A 認知機能障害に対する薬物療法
B BPSDに対する薬物療法
1)抗認知症薬の効果
2)非定型抗精神病薬の効果
3)漢方薬の効果
4)Ramelteonの可能性
5)レボドパの与える影響
C 不安・抑うつに対する薬物療法
D 睡眠障害に対する薬物療法
E パーキンソニズムに対する薬物療法
1)抗認知症薬のパーキンソニズムへの影響
2)レボドパの効果
F 自律神経症状に対する薬物療法
3.非薬物療法・ケア (太田一実,井関栄三)
A 認知症全般に対する非薬物療法・ケア
1)回想法
2)芸術療法
3)リアリティ・オリエンテーション
4)パーソンセンタードケア
5)運動療法・リハビリテーション
B 家族への心理教育・介入
C DLBの中核症状に対する非薬物療法・ケア
1)幻視
2)パーキンソニズム
3)認知機能の動揺
VIII病態・病理 (藤城弘樹,井関栄三)
A DLBの病理学的特徴
1)レビー小体
2)レビー神経突起
3)海綿状変化
4)アルツハイマー病理
B 各臨床症状の病理学的対応
1)認知機能障害
2)認知機能の動揺
3)幻視
4)パーキンソニズム
5)レム睡眠行動障害
6)抗精神病薬に対する感受性の亢進
7)基底核ドパミントランスポーター取り込みの低下
8)自律神経障害
9)体系化された妄想
10)抑うつ
11)CT/MRI画像における比較的保持された側頭葉内側
12)SPECT/PET画像での後頭葉の機能低下
C DLBの病理診断基準
D PD Braakステージと臨床症状
E 加齢性変化および他の神経変性疾患のレビー病理
F アミロイド沈着とDLB/PDDとの関係
G DLBの前駆状態と病理学的背景
索引