Annual Review糖尿病,代謝,内分泌2015
- 定価:
- 10,780円(本体価格9,800円+税)
在庫なし
書誌情報
| サイズ | B5判 |
|---|---|
| 頁 | 208頁 |
| ISBN | 978-4-498-12353-3 |
| 発行日 | 2015年01月30日 |
内容
注目すべきトピックを厳選し,その分野の第一人者が内外の文献を踏まえて最新の進歩を展望する.定評あるシリーズの最新年度版である.
序文
序
Annual Review糖尿病・代謝・内分泌2015をお届けします.この1年を振り返ると,青色発光ダイオードの発明に対して授与されたノーベル物理学賞に象徴されるような誇らしい出来事が,日本の医学研究分野でも相次ぎました.そのひとつが小胞体ストレスの分子機序を解明した京都大学の森和俊教授の功績に対するラスカー賞の授与です.小胞体ストレスは,本誌の乙田論文でも取り上げられているように,2型糖尿病におけるインスリン分泌不全,メタボリックシンドロームにおける肝臓や脂肪組織でのインスリン抵抗性の形成機序として注目されている生命現象です.
サイエンス誌のbreakthrough of the yearとして取り上げられた今年の重大成果のうちの2つは,糖尿病・代謝・内分泌に関係するものでした.ひとつは,1型糖尿病の究極の治療になる可能性を秘めた成果です.患者の皮膚から採取した細胞を再プログラム化し,7週間かけてブドウ糖応答性インスリン分泌能を保持したインスリン分泌細胞に変えることができるそうです.この方法を用いると,500mLのフラスコで3億個のインスリン分泌細胞を培養でき,この数は1人の1型糖尿病患者を治癒せしめるに十分な量だそうです(Pagliuca FW, et al. Cell. 2014; 159: 428-39).もうひとつの朗報は,人類の悲願であった「若返り」の術の発見です.若いマウスの血液には老いたマウスの脳や筋肉を若返らせる成分が含まれることがわかりました(Katsimpardi L, et al. Science. 2014; 344: 630-4, Sinha M, et al. Science. 2014; 344: 649-52).GDF11という分子がその正体のようです.
これらの成果は目立ちますが,大きな氷山のほんの一角に過ぎず,その他にも内容の濃い研究が営々と進められ,その成果が新しい治療法として次々に登場していることが,本誌をご覧になってもおわかりいただけると思います.毎年報告される科学論文の数は増加の一途をたどり,その全てに眼を通すことは一個人の努力では到底叶いません.学会も専門分化が進み,仮に一生懸命に参加聴講しても,必要な情報が得られるとは限りませんし,そんなことをしていたら肝心の仕事が進まなくなります.そのような状況を鑑みるとき,情報収集のツールとして小誌の存在意義をご理解いただけるのではないかと思います.
最後になりましたが,ご多忙のなかをご執筆いただいた方々,中外医学社の方々に心から感謝申し上げます.
2014年12月
編集者一同