プライマリ・ケア医のためのLUTS診療ハンドブック
- 定価:
- 4,180円(本体価格3,800円+税)
在庫あり
書誌情報
| サイズ | A5判 |
|---|---|
| 頁 | 188頁 |
| ISBN | 978-4-498-06422-5 |
| 発行日 | 2014年04月28日 |
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内容
近年,下部尿路症状(LUTS)を訴えて一般内科を受診する患者が増加傾向にある.加えて,新しい薬剤が次々と開発・市販され,プライマリ・ケア医が一次的な診療を行うようになってきた.このような現状を踏まえ本書では,実際にLUTS患者を前にした時のプライマリ・ケア医に必要な最低限の知識と専門医との連携についてを具体的に解説した.どのような立ち位置で診療し,どう専門医につなげるべきか,LUTS診療に自信が付く一冊.
序文
序
本書タイトル中の「LUTS」とは何なのかと思われるプライマリ・ケア医の先生が多いと思います.LUTS(ラッツ)とは,Lower Urinary Tract Symptom(下部尿路症状)の略語であり,泌尿器科領域では一般的な用語となっています.LUTSとは,前立腺肥大症,過活動膀胱,神経因性膀胱,尿路炎症性疾患など,さまざまな下部尿路機能障害によって起こる排尿・蓄尿に関する症状の総称です.LUTSの用語が一般的になってきたことには重要な意味があり,下部尿路機能障害の診断・治療が,従来泌尿器科医が行ってきた病態に基づく診療ではなく,より実践的な自覚症状に基づいた診療にシフトしてきたことを意味しています.
2003年に日本排尿機能学会が行った疫学調査により,排尿の問題を抱える方がきわめて多いことが示され,大きな潜在的診療需要があることが明らかとなり,病態研究や治療の開発が急速に進歩しています.特に,薬物治療の開発は目覚ましく,LUTSに対する多くの有効で安全な薬剤が市販されています.また,マスコミや製薬会社による患者さんや社会への啓発により,診療機関を受診するLUTS患者さんは増加し,特に,薬物治療の発達,自覚症状に基づく診療の進歩により,プライマリ・ケア医への受診が急増しているのが現状です.泌尿器科医の数は十分ではなく,膨大なLUTS診療の需要に対応することは困難であり,プライマリ・ケア医によるLUTSの一次診療の担当は,非常に有用で効率的ですが,他方,初期治療による効果不良例や専門医が診療すべき症例があることも確かであり,LUTS診療においてはプライマリ・ケア医と専門医の連携が必須となります.プライマリ・ケア医がLUTS診療の重要性を認識し,診療ガイドラインに基づいた初期診療を行い,各地域において泌尿器科専門医との診療連携体制を確立することにより,高い診療の質を担保した上で,LUTSの診療需要に応えることができるものと思います.
本書では,プライマリ・ケア医向けに,LUTS診療と専門医との診療連携について,実践的で具体的な内容を示すよう企画しました.本書がプライマリ・ケア医の先生のLUTS診療,専門医との診療連携のお役にたてば望外の喜びです.
2014年2月
名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学教授 後藤百万
目次
目 次
第1章 総 論
1 定義と病態<相川 健>
A.LUTSに関する用語
B.LUTSの病態および関連疾患
2 疫 学<加藤久美子 鈴木省治>
A.日本排尿機能学会大規模疫学調査を押さえる
B.LUTS頻度の性差:もれる女と出にくい男
C.LUTS頻度の年代差:加齢が重要な危険因子
D.LUTSの危険因子
E.診療に生かす疫学の数値
F.LUTSの医療機関受診率:女性で特に低く市民啓発・医療連携を
3 プライマリ・ケア医と専門医の診療連携と関連診療ガイドライン<後藤百万>
A.下部尿路症状(LUTS)の概念の確立と意義
B.下部尿路機能障害診療の変遷
C.下部尿路機能障害に対する診療需要の増大
D.自覚症状と他覚所見
E.QOL評価の重要性
F.下部尿路機能障害に関する診療ガイドライン
G.プライマリ・ケア医と専門医の連携
4 診 断<山西友典>
A.プライマリ・ケア医が行う検査
B.泌尿器科専門医が行う評価
5 薬物療法<吉田正貴>
A.排尿障害の薬物療法
B.蓄尿障害の治療薬
6 理学療法<長岡 明>
A.理学療法(physical therapies)
B.膀胱訓練,計画療法
C.neuromodulation
D.プライマリ・ケア医に実践していただきたい治療ならびに専門医との連携
7 生活指導<三井貴彦>
A.生活指導によるLUTSへの効果
8 男性下部尿路症状の診療アルゴリズム<野口 満>
A.基本となる診療アルゴリズム
B.基本評価
C.治 療
9 女性下部尿路症状の診療アルゴリズム<高橋 悟>
A.ガイドラインにおける女性下部尿路症状の診療アルゴリズム
第2章 各 論
1 前立腺肥大症<福多史昌 舛森直哉>
A.定義・病態・症状
B.プライマリ・ケア医による診断と治療
〜どこまでプライマリ・ケア医でも可能か
C.専門医による診断と治療
D.プライマリ・ケア医と専門医の連携ポイント
2 過活動膀胱<鈴木康之>
A.定義・症状・病態
B.プライマリ・ケア医による診断と治療
C.専門医による診断と治療
D.プライマリ・ケア医と専門医の連携ポイント
3 低活動膀胱…<小林英樹 武田正之>
A.定義・病態・症状
B.プライマリ・ケア医による診断と治療
C.専門医による診断と治療
D.プライマリ・ケア医と専門医の連携ポイント
4 腹圧性尿失禁<小澤秀夫>
A.定義・病因・症状
B.プライマリ・ケア医による診断と治療
C.専門医による診断と治療
D.プライマリ・ケア医と専門医の連携ポイント
5 夜間頻尿<青木芳隆 横山 修>
A.定義・病態・症状
B.プライマリ・ケア医による診断と治療
C.専門医による診断と治療
D.プライマリ・ケア医と専門医の連携ポイント
6 間質性膀胱炎<巴ひかる>
A.定義・病態・症状
B.プライマリ・ケア医による診断
C.専門医による診断と治療
D.プライマリ・ケア医と専門医の連携ポイント
第3章 症状から診るケーススタディ
1 排尿困難を主訴に受診した男性<海法康裕>
A.必要な検査と結果の捉え方
B.プライマリ・ケア医による治療
C.専門医に紹介するタイミング
2 尿閉で受診した男性<橘田岳也>
A.行った検査と結果
B.その結果から行った治療
C.他の治療オプション
D.専門医に紹介するポイント
3 頻尿・尿意切迫感を主訴に受診した女性<舟橋康人>
A.行った検査と結果
B.その結果から行った治療
C.他の治療オプション
D.専門医に紹介するポイント
4 夜間頻尿を主訴に受診した男性<曽根淳史>
A.検査結果
B.診 断
C.治 療
D.考 察
E.専門医に紹介するポイント
5 排尿困難と尿意切迫感を主訴に受診した男性<松川宜久>
A.行った検査と結果
B.その結果から行った治療
C.本症例から考えるBPH+OABに対する治療戦略
D.専門医に紹介するポイント
6 膀胱充満時痛を主訴に受診した女性<小川輝之>
A.行った検査と結果
B.その結果から行った治療
C.他の治療オプション
D.専門医に紹介するポイント
付 録
付録 1 国際前立腺症状・QOLスコア
付録 2 過活動膀胱症状スコア
付録 3 主要下部尿路症状スコア
付録 4 排尿日誌
索 引