専門医必携 ストーマ手術手技 イラストと写真で学ぶ よいストーマ造設とトラブルシューティング
内容
必須手技だからこそ,ストーマ造設術は質にこだわりたい! 管理しやすく,合併症やトラブルの起きにくい良い形状のストーマ造設のコツと安全な手技,合併症への対応を豊富なイラストと実際の手術写真でわかりやすく解説.手術は患者の人生を変える.よりよいQOLのための,よりよいストーマ手術を叶える1冊.
序文
刊行にあたって
よいストーマとは,オストメイトの患者さんが管理しやすく,日常生活において,装具の逸脱や装具からの便漏れ,尿漏れなどの想定外の出来事を極力起こさず,ストーマ周囲皮膚炎や脱出などのトラブルが少なく,本人が習得した範囲での管理をしていれば支障なく生活が送れるようなストーマであろうと思われます.傍ストーマヘルニアやストーマ皮膚離開,サイズや高さが不適切なストーマは,それだけでオストメイトの生活の質をかなり落とすことは,これまでの数多くのオストメイトのQOLに関する内外の論文からも明らかです.もともと,オストメイトのQOLに関しては,ボディイメージの変化による性生活や社会生活への心理的影響を伴う場合も多いと考えられているところ,ストーマの合併症により,その管理に難渋することは,患者さんの精神的な負担をより強いることになり,健全で前向きな社会生活を送ることを障害する場合もあることを,医療者は認識しておく必要があると思います.したがって,外科エキスパートの手による,管理のしやすい,よいストーマを造設する手技やその工夫は,患者さんの術後の生活そのものに直結する,重要な手術操作であると考えます.
以前から,ストーマ造設法については数多くの成書や教科書がありますが,このような,合併症の少ない定型的なストーマ造設法のテクニックに関しては,各治療者,各施設での手技的な差異も時に大きくあり,造設の手順や手技について多くの先人やエキスパートからの知識を得ておくことは,大切なことであると考えます.本書の執筆においては,特に,直腸や尿路系の疾患を原因とする排泄経路の変向術に関して,数多くの経験をもつ施設および治療医を選定し,ストーマ全般に関する知識の再確認と,これらの施設でのよいストーマの造設ないしは閉鎖手技を,見やすいイラストと写真を交えてわかりやすく解説していただくことにしました.特に造設の機会の多い左側結腸での定型的ストーマをトラブルなく造設する工夫や,よい形状のストーマ形成が難しい場合もある双孔式結腸ストーマ造設を解説していただきました.また近年,肛門温存手術の増加に伴い,一時的回腸人工肛門が造設される機会が多いことから,これをうまく造設する手技,また閉鎖時の整容的な面を考えた一時的回腸人工肛門を臍部に造設する手技も解説いただきました.大事なストーマ関連合併症への手術手技に関しても,傍ストーマヘルニア,脱出,狭窄,壊死に対する手術手技を取り上げてもらい,さらに術前の患者さんへの説明や,マーキングをはじめとした前準備についても記述していただいています.執筆された先生方には,特に安全な手技,また上手に造設するためのコツについても言及していただくようにお願いいたしました.本書がストーマ造設に係わる医師,医療者にとって長く参照されるものになれば幸いです.
2022年8月
帝京大学ちば総合医療センター副院長/外科教授
幸田圭史
目次
目 次
1 総論
1.ストーマの種類とストーマが造設される適応疾患・病態〈船橋公彦,長嶋康雄,鏡 哲〉
A.ストーマの分類
B.各種ストーマの特徴
C.ストーマが造設される疾患・病態
2.ストーマ造設前の準備〈板橋道朗,小川真平〉
A.ストーマの説明と術前患者ケア
B.ストーマサイトマーキング
2 Colostomy
1.単孔式左側結腸ストーマ
1.開腹による単孔式左側結腸ストーマの造設手技〈井上 学,塚本俊輔,金光幸秀〉
A.適応疾患
B.手術手技
2.腹腔鏡下単孔式左側結腸ストーマ造設の手術手技〈山口茂樹,近藤宏佳,隈本 力〉
A.適応疾患
B.腹腔内経路による造設の手術手技
C.腹膜外経路による造設の手術手技
2.双孔式横行結腸ストーマ
1.開腹による双孔式横行結腸ストーマ造設術〈古賀史記,藤田文彦,赤木由人〉
A.適応疾患
B.術前(ストーマサイトマーキング)
C.手術手技
2.腹腔鏡下双孔式横行結腸ストーマ造設の手術手技〈河合雅也,高橋宏光,坂本一博〉
A.適応疾患(病態)
B.手術手技
3 Ileostomy
1.回腸ループ式人工肛門
1.腹腔鏡下回腸双孔式人工肛門造設術〈西澤祐吏〉
A.適応疾患
B.これからの直腸癌手術
C.ストーマ関連合併症について
D.ストーマ造設手技
E.チーム医療で支える直腸癌手術治療
2.臍ストーマの造設法と管理法〈奥谷浩一,竹政伊知朗〉
A.適応疾患
B.手術手技
C.臍ストーマの管理法
4 ストーマ関連合併症に対する手術
1.傍ストーマヘルニア修復術〈野澤慶次郎,松田圭二,橋口陽二郎〉
A.発症のリスク
B.症状および診断
C.治療
D.手術術式
2.ストーマ脱に対する修復術〈小森康司,木下敬史,清水泰博〉
A.定義
B.メカニズム
C.治療方針
D.処置,術式
3.ストーマ狭窄,ストーマ壊死に対する修復術〈渡部通章〉
A.ストーマ狭窄
B.ストーマ壊死
C.壊死を疑った時
D.再造設
5 Urostomy
1.尿管皮膚瘻の造設法〈荒木千裕,納谷幸男〉
A.適応
B.ストーマサイトマーキング
C.手術手技
D.ピットフォール―カテーテルフリーを目指すには
2.回腸導管の造設法〈上川禎則〉
A.適応
B.手術手技
3.禁制型尿路変向術の手術手技〈米山高弘,大山 力〉
A.術式選択のポイント
B.自己導尿型代用膀胱
C.自然排尿型新膀胱
D.U字回腸新膀胱
E.ロボット支援体腔内U字回腸新膀胱
4.新膀胱造設術の手術手技〈古賀文隆〉
A.適応
B.手術手技:Studer法による回腸利用新膀胱
6 ストーマ閉鎖法
1.ストーマ閉鎖・ハルトマンリバーサルの適応,非適応〈辻仲眞康,柴田 近〉
A.ストーマ閉鎖の適応
B.ストーマ閉鎖の非適応
C.ストーマ閉鎖の時期
2.合併症の少ないストーマ閉鎖法と皮膚縫合法〈高橋賢一,羽根田 祥,舟山裕士〉
A.ストーマ閉鎖法の種類と特徴
B.手縫い端々吻合
C.自動縫合器を用いた機能的端々吻合
D.ストーマ閉鎖術後の合併症について
E.ストーマ閉鎖術後の切開創SSI予防策―筆者らの施設での取り組みを含めて
F.創部感染発生率低下を目指した創閉鎖法の工夫―巾着縫合について
索引