日常診療で臨床疑問に出会ったとき何をすべきかがわかる本

定価:
3,080円(本体価格2,800円+税)

在庫あり

書誌情報

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サイズ A5判
132頁
ISBN 978-4-498-01408-4
発行日 2019年03月26日

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内容

最新の版はこちら ⇒ 『日常診療で臨床疑問に出会ったとき何をすべきかがわかる本 第2版』

日々の診療でぶつかる臨床疑問とは何か、そして、それを解決するためには何が必要なのか、という観点から、臨床研究とは、研究デザインとは、GRADEとは、などなど正しいEBMを実践するうえで知っておかなければならない基本中のキホンをわかりやすく解説する。
初期研修医に対する日常の検索指導や診療ガイドラインの作成、一次研究の実地まで行った著者の経験を余すところなく盛り込んだ“臨床疑問を解決する”ための良書。

序文

はじめに

 ここを読んでいるあなたは,どんな目的で本書を手に取られたでしょうか? 「EBM」を身につけるため? 人よりも知識をつけるため? よい診療を実践するため? それとも暇つぶし?
 本書では,これまでの類書で多かった「頑張ればよいことができる」というスキームから外れて,「なるべく省エネをしながら,よりよい選択を患者さんと日々行っていくにはどうすればよいか?」という疑問を元にして筆者が実践してきたノウハウを,みなさんと共有していこうと思います.
 本書のメッセージを一言にまとめるとこうなります.

 「臨床疑問の適切な調べ方は,疑問の種類によって異なる」

筆者の立ち位置
 まず,筆者のプロフィールを述べましょう.
 卒後12年目の医師で,普段は呼吸器内科医として大規模市中病院で働いています.初期研修のころ,病院で教育を行うシステムがなかったことを不満に思ったのをきっかけに,初期研修医向けの多施設共同勉強会に出入りするようになり,そこで医学教育と出会いました.ちなみに,この勉強会の成果は,『鑑別診断+αを知る! 関フェデ流臨床推論カンファレンスLive』(中外医学社)という本にまとまっています(宣伝).
 医学部のとき,本書の中心テーマの1つである疫学と印象的な出会いをしました.ある日のこと,薬理の授業で,同級生が降圧薬について調べて発表をしました.アンジオテンシン受容体拮抗薬とアンジオテンシン転換酵素阻害薬のメカニズムについてのプレゼンでした.プレゼン後に筆者が,「どちらを先に使えばいいのか?」と質問したところ,その同級生は答えられず,チューターからも上手い答えは得られませんでした.
 その後,公衆衛生の授業の際に,実はこの疑問はランダム化比較試験によって答えられる,ということを知りました.薬理のメカニズムではなく,臨床のデータこそが,処方をするかしないかの判断の根拠になるんだ,ということを教えられ,目から鱗が落ちた思いでした.ちなみに,この臨床疑問に関する執筆時点(2019年2月)での答えは,“Angiotensin converting enzyme inhibitors versus angiotensin receptor blockers for primary hypertension”1)にあります.筆者の解釈としては,原発性高血圧症の患者さんでは,中断とコストのバランスを患者さんと相談して,ACEIかARBの選択を行おう,ということになります.
 その後いろいろあって,卒後7年目に大学院に入って疫学について勉強し直すことにしました.大学院卒業後は,市中病院で働く医療従事者が,臨床研究を通じて日々の診療を向上させることを目的とした教育活動を行っています.本書は,その入り口として行ってきたワークショップの内容をまとめたものです.

本書の“強み”と“弱み”
 本書の“強み”は,診療現場にいて,初期研修医への日常の検索指導から,診療ガイドラインの作成や一次研究までを実際にやったことがある人間が執筆していることによる,臨床疑問に関する経験の網羅性と,そこから来る割り切りだと考えています.
 人には,直観的な判断を司る“システム1”と論理的思考を司る“システム2”という2つの思考モードがあります.このうち“システム2”は有限なリソースであり,忙しすぎたり,空腹だったりすると上手く働かせることができないことが知られています2).病棟で抱いた疑問を時間を費やして調べても答えが見つからず,不全感を抱いている読者が,本書で提案する「ズボラ」を実践することで,患者さんによりよいケアを提供するために使える時間を増やすことができるようになると確信しています.
 一方で,英語論文の抄録を読める程度の英語力を前提としていますから,それは“弱み”の1つといえるでしょう.また,思考過程とともに可能な限り具体的な検索例を入れて解説してはいますが,文章を読むことではなく,自身の経験を通じてでしかスキルを身につけられない(=本を読むのが苦手な)人には,本書は向きません.加えて,あくまで臨床疑問に出会ったときに一本釣りで調べる方法について述べており,専門性をもってから地引網のように,特定領域の知識をアップデートし続けることについては解説していません.
 しかし,実際に系統的レビューをやったことがない,一次研究をやったことがない,という多くの読者にとって,きっとすぐに役立つやり方を多数紹介していますので,自分のスタイルに上手く取り入れてみてください.

 それでは,臨床疑問をめぐる旅に出発しましょう!


2019年2月
春を待つ京都にて
片岡裕貴

目次

目次

第1部 臨床疑問の調べ方
 1 臨床疑問の分類
 2 EBMの5つのステップ
 3 Background questionの扱い方
 4 二次文献を読もう
 5 ガイドラインとは?
 6 Background questionの検索具体例
 7 Foreground questionの分類と構造化
 8 エビデンスのピラミッドから系統的レビューへ
 9 治療の疑問に関する系統的レビューの読み方
 10 検査の有効性に関する疑問
 11 検査の有効性に関する疑問の調べ方
 12 割合,曝露に関する疑問と一次研究論文
 13 予測指標の探し方と使い方
  コラム1●予測指標の未来とAI
  コラム2●未来の系統的レビュー
 14 適用する
 15 振り返る
  コラム3●Google—based medicineの可能性

第2部 症例報告のための調べ方
 1 症例報告をするために 「一つ新しい」ロジックを作る
 2 「一つ新しい」を証明するための検索方法=系統的検索
 3 症例報告のための検索 実践編

おわりに

謝辞

索引

執筆者一覧

  • 兵庫県立尼崎総合医療センター呼吸器内科 片岡裕貴
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