鑑別診断+αを知る! 関フェデ流臨床推論カンファレンスLive
内容
関西を中心に,新進気鋭の若手医師のアカデミックな交流と卒後医学教育文化の共有や活用を目指して2008年に立ち上げられた“関西若手医師フェデレーション”.本書は,その“関フェデ”が行ってきた臨床推論カンファレンスの中から,特に選り抜きのテーマを臨場感溢れるライブ感満載でお届け.また,“関フェデ”創立の背景や歴史,さまざまなエピソード,カンファレンスをスムーズに運営するためのノウハウも公開された貴重な一冊.
序文
「関フェデ」とは
「関西若手医師フェデレーション」は関西一円を対象とした若手医師の人的ネットワークを設立する構想として,2008年に設立されました.もともと,感染症医の青木眞医師にあこがれ脳外科医から内科医への道に転向した志水が縁あって大阪の市立堺病院に後期研修に東京からやって来たこと,そして研修医2年目の春にたまたま志水が出席した家庭医療のセミナーで隣の席で眼底を見合ったことがきっかけで知り合った羽田野義郎医師が,後期研修先で洛和会音羽病院を選び東京からやってきたこと,この2人の2つの同地域への転勤がすべての始まりでした.関西の研修病院群は関東と比べると,あたかも大阪のJR環状線と東京の山手線を比べるように関西,特に大阪,京都,神戸という3都市が近いこともあり各病院がギュッと近接して集中している印象です.そのような近接関係にある研修病院群同士がそれぞれ密な教育的な交流を持っていなかったことは,当時総合診療系の研修環境が関西に比べ“疎”といわれていた関東からやってきた志水・羽田野には不思議に映りました.
お互いが関西に来て1年.自分の病院の初期研修医の送別会で志水が卒業する初期研修医に「研修で何かこうしたかった,ああしたかったというようなことはあった?」と聞いたとき「研修には満足していますが,もっと他の施設の先生と交流できたらなと思いました」という一言がきっかけになり,「それでは多施設の若手が集まり,有用な情報交換やキャリア形成の助けを実現できるような緩やかな連携の機構を作ってはどうか」というアイディアが浮かびました.それを当時同じく4年目の羽田野医師に話し賛同を得たこともあり,初期研修医を中心とした関西若手医師のための交流の場,名称を「関西若手医師フェデレーション(以下,関フェデ)」として創立するに至りました.ここに,数年前より英国医学部留学の先輩として日に影に交流をさせていただいていた松本謙太郎医師がアドバイザーとして加わってくださいました.
関フェデのスローガンは関西という土地であること,忙しい研修医たちがせっかく時間を取って集まってくれるということを考慮して「おもろい,そして勉強になる」に決めました.さらに,できるだけ多くのメンバーが集まってくることができるように,何か会を開く参加費用は無料,スポンサーはつけない,会場は各参加メンバーの病院が持ち回りでコストをゼロにする,そして継続可能な運営委員会を作るため集まりやすい雰囲気にすることを考慮し,食事をしながらのフランクな会議「小籠包会議」という運営会議を立ち上げました(立ち上げの会議でよく使っていた,当時オープンしたばかりの「なんばパークス」の小籠包屋にちなんで).忙しい後期研修医クラスが代表を務めるので,代表が忙しくても成り立つようにと2トップ制にし,任期をずらして半年ごとに交代していくというルールにしました.広報は非常に大事で,初期研修医がいる関西圏のほぼすべての研修病院に総務などを通じて電話をして挨拶した後,同期が作ってくれたフライヤーを作り,挨拶状とともに送付しました.各病院に知り合いがいたわけではなかったためどうなるかわかりませんでしたが,ふたを開けてみると第1回は100人近い参加者でごった返す大盛況の会となりました.この第1回は大成功に終わり,また会の最後に募集した小籠包会議のコアメンバー募集にも各病院の代表者が手を挙げてくださるとトントン拍子にうまくいき,運営の骨組みが固まりました.初代の代表は志水と羽田野医師が努めましたが,2代目は羽田野医師に加え,天理よろづ病院(当時)の佐田竜一医師が引き継いでくださることになり,これ以降各代表者の創意工夫と前向きなリーダーシップで関フェデはさらに発展しました.現在代表は第15代目,小籠包メンバーや参加者の皆様のご協力もあり,関フェデは関西エリア最大規模の若手医師医のネットワークとして発展を続けるだけでなく,他地方の同様の若手医師ネットワークの立ち上げにも積極的にサポートを行ったり,国内・国際問わず学会や出版物でも若手医師の試みとして発表を続けたり,また関フェデで培った繋がりや経験を活かし様々な組織で活躍のきっかけを広げる場となる,参加者それぞれの実臨床やキャリアのステップアップを切り開くカギとなるような場にも成長しています.
獨協医科大学病院総合診療科 志水太郎
聖マリア病院感染症科 羽田野義郎
大阪医療センター総合診療科 松本謙太郎
図1 第3回関フェデ・ケースカンファレンス終了後の小籠包メンバー打ち上げの集合写真
目次
目 次
Part 1 よりぬきケースカンファレンス
(1) ある日の不明熱 【小笠原充幸 朴澤憲和】
(2) 何故か話が通じない 【小林正尚 山本修平】
(3) 人は見た目が9割! ? 【村上 学 上月友寛】
(4) 高齢者の全身倦怠感と下腿浮腫 【夜久英憲 西村正大】
(5) Good Presentation is like a Whisky 【宮里悠佑 朴澤憲和】
(6) 問診塾:咽頭痛の診療フローチャート 【長野広之 宮里悠佑】
(7) 愚直に病歴と身体診察をするものが救われる! 【網屋亮平 森川 暢 井村春樹】
(8) 発熱・意識障害の鑑別 【吉田全宏 伊東直哉】
(9) 熱が下がらない 【上月友寛 山本修平】
(10) 胸痛 【岩崎 惇 脇 大輔】
(11) 病歴? それとも検査所見? 【山田裕揮 劉 彦伯 井村春樹】
(12) 慢性の心窩部痛と下腿浮腫 【田原慎太郎 日和良介】
(13) 胸部異常陰影〜あなたなら,どうする?〜 【北 和也 朴澤憲和】
(14) 若年女性の慢性下痢症 【酒井清裕 朴澤憲和】
(15) 虚弱な高齢者での臨床判断 【芥子文香 小林正尚】
(16) 高齢者の脱力 【吉田知宏 山本修平 片岡裕貴】
Part 2 関フェデの舞台裏─ケースカンファレンス作成ガイド
(1) ケースを用いた参加型ワークショップ作成ガイド 【山本修平 片岡裕貴】
コラム[1] 会の準備のためのマニュアル・チェックリスト 【朴澤憲和 片岡裕貴】
(2) ファシリテーションとは 【柴田綾子 上月友寛】
コラム[2] キャリアパスとしての家庭医・病院総合医・総合診療専門医 【朴澤憲和 玉井友里子】
(3) チキチキとは? 【柴田綾子 佐田竜一】
コラム[3] 情報管理 【芥子文香 小林正尚】
(4) アンケート作成 【小林正尚 片岡裕貴】
コラム[4] 他領域との交流 【酒井清裕 大武陽一】
(5) うまくいく! 広報のコツ 【芥子文香 小林正尚】
コラム[5] 「問診塾」について 【森川 暢 小林正尚】
(6) カンファ開催後のnext step:学会発表・教育活動へのチャレンジのススメ 【佐田竜一 片岡裕貴】
付録 マニュアル,チェックシート
付1.ケースカンファレンス運営マニュアル
付2.会場設備事前チェックリスト
付3.会場設備チェックリスト
付4.受付マニュアル
おわりに─K先生との思い出─
索 引