臨床医のための医学からみた認知症診療 医療からみる認知症診療―治療編
内容
「診断編」に続く第2弾.認知症診療について,エビデンスに基づいた医学的知識と臨床経験に基づく知識の2つの視点からディベート形式で平易に解説.患者さんそれぞれが持つ背景や家族の考え方など多くの要因が影響を及ぼす認知症治療において,個々の患者さんに最適な治療の提供を目指すために、両者の視点を学ぶことは、治療スキル向上に役立つこと間違いなしだ.
序文
はじめに
本書は,2019年に刊行致しました「臨床医のための医学からみた認知症診療,医療からみる認知症診療 診断編」の治療編に該当するものです.認知症診療で重要な位置を占める非薬物療法ならびに薬物療法について実地臨床に即した視点で解説を行っています.診断編と同様に医学からみた治療,それは多くはガイドラインや文献に準拠した内容になっていますが,同時に医療からみた治療,それは著者の臨床経験に基づいた内容の2つの視点から執筆しております.昨今はエビデンスに基づいた治療が求められていることは十分理解できるのですが果たして実臨床でエビデンスに基づく医療,とくに認知症治療が可能でしょうか.ガイドラインは医師側に求められる内的規制といえますが認知症診療における実際の治療では個々の患者さんの背景や家族の考えかたなど多くの要因に左右され必ずしも画一的なガイドラインが役に立つわけではないといえます.著者は,ガイドラインやエビデンスよりもその患者さん個々人に合った治療を提供すべきであろうと長年考えており,現在までにその臨床経験に基づいた書籍の出版を心がけてきました.前作と同様に本書でも海老手先生という架空の人物を介してガイドラインを中心とした客観的な治療原則を記述することに致しました.一方,加賀利先生の役割は著者の臨床経験を述べることであり,海老手先生と対照性を持たせることで認知症診療における治療を医学からあるいは医療からの2つの視点で理解できるよう心がけて作成したのが本書です.客観的な事実に留め著者の本音が出てこない多くの書籍と異なって著者の本音は加賀利先生が述べていることに投影されています.著者の本音が妥当であるか否かについては実際に認知症患者さんを診療しているかかりつけ医・非専門医の先生がたの判断にお任せすることになりますが本書の内容が実臨床に関わっている先生がたに多少なりともお役に立つことができればそれは著者の喜びとするところであります.
2020年9月
川畑信也
目次
目 次
第1章 認知症治療の原則
服薬管理の問題
診断後に医師がやるべきこと
第2章 アルツハイマー型認知症の薬物療法(抗認知症薬の使いかた)
抗認知症薬4剤の作用機序
ガイドラインからみた抗認知症薬の処方手順
抗認知症薬の処方の実際
各抗認知症薬の特徴と注意点
抗認知症薬による易怒性や攻撃性への対応
抗認知症薬投与の意義
抗認知症薬の少量投与
第3章 アルツハイマー型認知症の非薬物療法
ガイドラインからみた非薬物療法
かかりつけ医ができる非薬物療法
第4章 レビー小体型認知症の薬物療法
認知機能障害に対する薬物療法
幻覚・妄想に対する薬物療法
レム睡眠行動障害RBDに対する薬物療法
パーキンソン症状に対する薬物療法
うつや不安症状に対する薬物療法
第5章 レビー小体型認知症の非薬物療法
非薬物療法のポイント
介護指導する際の注意点
幻視に対する非薬物療法と介護指導のポイント
パーキンソン症状の非薬物療法
症状の動揺性に対する介護指導のポイント
レム睡眠行動障害RBDに対する介護指導のポイント
第6章 血管性認知症の薬物療法
認知機能障害に対する薬物療法
抗血栓療法
血管性認知症の予防
第7章 血管性認知症の非薬物療法
非薬物療法のポイント
アパシーに対する非薬物療法
易怒性に対する非薬物療法
第8章 軽度認知障害MCIへの対応
薬物療法のポイント
非薬物療法の実際
第9章 行動・心理症状BPSDの薬物療法
9-1 睡眠障害(不眠症)
9-2 暴言,暴力行為
9-3 妄想・幻覚
9-4 アパシー
9-5 不安症状
第10章 行動・心理症状BPSDの非薬物療法
10-1 妄想・幻覚
10-2 無断外出・徘徊・迷子
10-3 性的逸脱行為
10-4 万引き行為
第11章 合併身体症状に対する薬物療法
11-1 てんかん・けいれん発作
11-2 慢性便秘症
第12章 認知症入院患者の薬物療法
入院患者の行動・心理症状BPSDの実態
睡眠障害と夜間の行動障害
暴言・暴力行為
索引