臨床医のための 医学からみた認知症診療 医療からみる認知症診療―診断編

定価:
5,060円(本体価格4,600円+税)

在庫あり

書誌情報

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サイズ B5判
258頁
ISBN 978-4-498-32836-5
発行日 2019年05月22日

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内容

認知症診療において,ガイドラインや医学研究などの医学的な知識と実臨床で実際に役立つ技術の双方を学ぶ必要があるなか,実際には双方間にギャップが存在するのが現状である.そこで本書では,双方の立場からディベート形式で認知症の診断について平易に解説した.認知症の診断スキル向上に役立つ1冊である.

序文

はじめに

 私は,1996年からもの忘れ外来を開設し現在まで市中総合病院2カ所で認知症診療に従事してきました.学会関係では日本神経学会ならびに日本認知症学会などの専門医に認定されています.臨床の現場での診療経験と学会参加などによる認知症の医学的知識の吸収などを通じて常に感じていることは,認知症に関する医学的な立場と実臨床での医療には大きな隔たりがあるということです.たとえば,認知症の診断を例に取りますと,権威ある診断基準には専門的な医学用語が羅列されていますが,それぞれが無機的な繋がりで並べられているだけであり,これを根拠に認知症の判断はできないだろうなと考えています.一方,実臨床ではしまい忘れやおき忘れを主訴に受診してくる患者に対して,正常老化の範疇なのか認知症に進展しているのかの判断をわれわれ臨床医は求められるのです.そのときにわれわれに求められるのは医学的な知識ではなく医療の現場での診断であり判断といえます.医学的な知識だけでは診断ができないと同時に実臨床の経験だけでは診断が独りよがりになってしまう可能性があります.
 そこで私は,認知症に関する医学的な知識とともに実臨床での診療に役立つスキルの双方を同時に学べる書籍が必要ではないかと以前より考えておりましたが,私を満足させてくれる書籍は残念ながら今までに見つけることができませんでした.そこで医学の立場からの解説(エビデンスの象徴として海老手先生)と実臨床の立場からの解説(かかりつけ医を代表して加賀利先生)を司会者(間を取り持つ中館先生)を介して対話形式で行う書籍を書くことを考え,その結実として本書を刊行する運びとなりました.医学的な事柄に関しても平易な表現を心がけて記載しておりますが,私の理解の誤りや不十分な表現があるかもしれません.その際にはご指摘を頂けますと幸いです.
 本書は,診断に特化した内容となっていますが,現在,認知症診療の治療ならびに介護についても医学からの視点,医療からの視点で執筆を進めております.近い将来に続刊として出版できるかと思っています.私は,基本的には臨床医であることから医学的な知識の記載にはやや力不足を感じていますが,本書が認知症を専門とされないかかりつけ医・非専門医,認知症診療に関心のある臨床医,そして若い先生方や研修医の先生方の認知症診療における診断スキルの習得にお役に立つことができれば,それは私の望外の喜びであります.
 
2019年3月9日
川畑信也

目次

目 次

第1章 認知症について
 認知症の診断基準を理解する
 実臨床で認知症を患者や家族にどう説明するか
 認知症の診断手順をマスターする
 問診票を活用すると診療時間を短縮できる
 病歴聴取のこつ
 独居患者の病歴聴取の考えかた(事例呈示)
 認知機能検査をどう診断に活用するか
 中核症状と周辺症状
 知っておきたい記憶の知識
 再来患者から認知症をみつけるポイント
 認知症とてんかん

第2章 認知症診療の問題点
 早期診断の重要性とその困難さ
 認知症サポート医の位置づけ
 かかりつけ医と専門医での診療の棲み分け
 介護家族の問題

第3章  軽度認知障害と高齢健常者
 診断基準と病態の疑問点
 診断の手順をどう進めるか
 脳画像検査の役割と限界
 SCDとは

第4章 各認知症の診断
 4-1  アルツハイマー型認知症の診断
  要領よく病歴を聴取するポイントとその実際(事例呈示)
  問診の手順と判断基準
  生活障害の判断をどうするか
  身体症状や外観から診断するには
  家族から,耳が遠いので大きな声でといわれたら
  Preclinical ADとは(最小限知っておくべきこと)
  実臨床からみた4つのパターン
  神経心理検査の解釈とその注意点
  脳形態画像検査の功罪
  脳機能画像検査の功罪
  アミロイドPETについて
  実臨床でのアルツハイマー型認知症の説明のしかた
 4-2  レビー小体型認知症の診断
  疫学的なこと
  診断基準(2017年改訂版)の概略と問題点
  症状の動揺性について
  幻視と妄想を考える
  パーキンソン症状の診断をどうするか
  非専門医がパーキンソン症状を診断するためのポイント
  レム睡眠行動障害
  薬剤過敏性について
  脳形態画像検査をどう利用するか
  脳機能画像検査の功罪
  ダットスキャンは必要か
  かかりつけ医・非専門医が診断をするために知っておくべきこと
  アルツハイマー型認知症との鑑別のポイント
  血管性認知症との鑑別が難しい
  認知症を伴うパーキンソン病(PDD)
 4-3  血管性認知症(血管性認知障害)の診断
  概念と診断基準を理解する
  臨床診断の際の問題点
  アルツハイマー型認知症との関連性
  血管性認知障害(VCI)について
 4-4  前頭側頭葉変性症の診断
  概念と診断基準を理解する
  原発性進行性失語(PPA)の概念と診断基準
  脳画像検査について
 4-5  嗜銀顆粒性認知症,神経原線維変化型老年期認知症の診断
  嗜銀顆粒性認知症
  神経原線維変化型老年期認知症
  PARTとSNAPとは

第5章 治療可能な認知症
 病態と診断
 事例呈示
 認知症とうつ,アパシーの関係

第6章 検査の限界
 6-1  脳画像検査の意義と限界
  脳形態画像検査の意義と問題点
  脳機能画像検査の意義と問題点
 6-2  神経心理検査の意義と限界
  神経心理検査の結果を解釈する際の注意点
  HDS-R・MMSEの結果解釈の注意点
  時計描画テストの手順と結果解釈の注意点
  どの神経心理検査を施行するか

第7章 運転免許に関連する認知症診断
 改正道路交通法の概略
 診断書作成を依頼されたときの選択
 通常外来と比して運転免許に関連する診療の難しさ
 診断書作成時の注意点とコツ
 医学・医療の立場からみた改正道路交通法の問題点

付録
 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
 Mini-Mental State Examination(MMSE)
 ADAS-J Cog.

索引

執筆者一覧

  • 八千代病院神経内科部長 愛知県認知症疾患医療センター長 川畑信也
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