神経心理検査ベーシック 改訂2版

定価:
5,280円(本体価格4,800円+税)

在庫あり

書誌情報

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サイズ A5判
384頁
ISBN 978-4-498-22913-6
発行日 2023年12月26日

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内容

神経心理検査の好評書に最新の検査や研究・実臨床で役立つ新たな内容を加えた改訂版が登場!

神経心理検査を医学・心理学の両面から解説した好評書の改訂版が登場.初版刊行後の検査の改訂や最新の研究を反映させたほか,新たな内容として「注意障害」「アセスメントにおけるICTの活用」「検査レポートの作成」を追加した.検査レポートの作成時のポイントやCOVID-19パンデミックを経て急速に普及したオンラインでのアセスメントなど,時代に即した神経心理検査を行うための実践的な内容が盛り込まれている.

序文

改訂2版 はじめに

 2019年に刊行された本書の初版は,幸いにも多くの読者に恵まれ,また好意的な反応をいただく機会もしばしばであった.執筆者一同を代表して心からお礼を申し上げたい.今回,比較的早い段階で改訂を行った理由の一つは,初版に掲載されたいくつかの重要な検査で改訂が行われ,対応が必要になったためである.特にウェクスラー式知能検査については,初版の刊行直前の2018年に成人用のWAIS-IVが,2022年には小児用のWISC-Vが公刊された.また,2022年には標準注意検査法・標準意欲評価法も改訂された(CAT-R・CAS).今回の改訂2版ではそれらの検査の改訂の内容を反映した.特にWAIS-IVに関しては日本版WAIS-IV刊行委員会の松田修氏に新たに解説を執筆していただいた.これらの検査の改訂に関しては十分な情報を提供することができたと考えている.また,各執筆者から集まった原稿の調整中であった2023年の9月に「DSM-5-TR 精神疾患の分類と診断の手引」の日本版が公刊された.これに関してもできる限り対応することとし,各執筆者に急遽無理をお願いして修正を行った.しかし,これに関してはまだ不十分な点があるかもしれない.今後の修正に向けてご意見をいただければ幸いである.さらに今回,3つの項目を追加した.1つは初版にはなかった検査レポートの作成に関する内容で,読者からの要望が多かったものである.心理士(公認心理師)の立場から足立耕平氏に解説していただいた.また,注意障害に関する内容を充実させるため,神経内科医の内山由美子氏に医学的解説をお願いした.
 そして,今回特に重要な項目として追加したのがICTの活用である.2019年12月初旬から世界を席巻した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって遠隔診療が急速に広まった.その中で神経心理検査の遠隔実施も重要な課題となっている.さらに目下の最大の話題はAI(人工知能)の活用である.特に2023年には対話型AIであるChatGPTの日本版が利用可能になり,本格的なAI時代が到来した感がある.最近の海外の神経心理学的アセスメントのジャーナルでは神経心理検査のデータを利用して,機械学習や深層学習によって正常とMCI(軽度認知障害)の鑑別,あるいはMCIと認知症の鑑別,MCIから認知症への移行の判定などを自動的に行う研究が急増している.AIに関する現状の研究の多くは,既存の診断体系や専門医の臨床診断をベースにしているが,将来的には疾病の概念や診断体系さえ変えていく可能性がある.近い将来,神経心理学的アセスメントは被検者にタブレットを渡すだけで,後はAIで自動的に採点・判定されるようになるのだろうか.今回はわが国の精神科におけるこの領域のトップランナーである岸本泰士郎氏・木下翔太郎氏に解説をお願いした.
 私ごとではあるが,初版の刊行時には愛媛県で勤務していたが,2020年から現在の大阪の大学で教えている.この原稿を書いている時点で,大阪は阪神タイガースの38年ぶりの日本一の話題で持ち切りである.実は前回の日本一の年(1985年)に私は大学院に入学し研究者を目指して勉強を始めた.それが今や年齢だけはベテランの教授になっているのだから,38年とは長いものだなと実感した.その頃はとにかく海外の新しい研究に食らいついて,将来につながる成果を得ようと貪欲に学んでいた.それが今や研究に関しても新しい内容についていくのがやっとであり,なかなか人名が出てこない.駆け出しの頃に,検査を嫌っていた多くの患者さんの気持ちが実感として分かるようになってきた.これからどういう形で,神経心理学と関わっていくのかを考えていかなくてはならないが,私の脳ではもうとても追いきれないくらいの大いなる発展を期待している.
 最後に初版の購入からまださほど間もないにもかかわらず,改訂版を再購入していただいた熱心な読者・関係者のみなさまに,また今回初めて手にしていただいた新たな読者のみなさまに感謝の意を表したい.また,相応の増ページをしたにもかかわらず価格を抑えていただいた中外医学社のみなさまにもお礼を申し上げる.本書が初版以上に臨床・研究のお役に立てば幸いである.

2023年11月23日
自宅で阪神タイガースの街頭パレードのTV中継を横目でみながら
山下 光

目次

 目 次
 
Ch.1総 論 
 A神経心理学的アセスメント概論[山下 光]
  1.神経心理学的アセスメントとは 
  2.神経心理学的アセスメントの目的
  3.神経心理学的アセスメントの実際
  4.神経心理学的検査の前提条件
  5.神経心理学的検査に影響する被検者変数
  6.利き手と大脳半球機能の側性化(laterality)
  7.神経心理学的検査に影響を与えるその他の要因
  8.結果の解釈におけるピット・フォール
  9.解法プロセスの分析
 10.受傷前の能力の推定
 11.検査のタイミング
 12.検査の反復実施
 13.詐病の扱いについて
 14.ICTの導入
 15.神経心理学的アセスメントの侵襲性
 B医学からの概論[武田克彦
  1.神経心理学の臨床に果たす役割
  2.神経心理学的症状を見いだすためにどのように しているのか
  3.神経心理学的診察を終えた後

Ch.2記 憶
 A記憶障害[海野聡子
  1.記憶の段階
  2.記憶のシステム
  3.記憶障害の臨床
  4.記憶システムと関連する脳の領域
  5.それぞれの病巣による健忘の特徴
  6.記憶障害を生じる主な疾患
  7.記憶障害の評価の実際
 B検査の実際[太田信子
  1.WMS-R
  2.ROCFT
  3.AVLT
  4.BVRT
  5.RBMT
  6.SP-A

Ch.3注意・意欲
 A注意障害[内山由美子
  1.注意とは
  2.注意の分類
  3.全般性注意の分類
  4.注意についての心理学的研究  視覚的注意・空間的注意
  5.注意に関連する脳部位,脳内ネットワーク
  6.注意と関連する臨床症状
  7.疾患でみられる注意障害
 B検査の実際:標準注意検査法改訂版(CAT- 標準意欲評価法(CAS)[白川雅之]
  1.注意について
  2.注意に関する評価法
  3.意欲について
  4.意欲に関する評価法

Ch.4遂行機能
 A遂行機能障害[上田敬太]
  1.遂行機能とはどんな能力か
  2.遂行機能障害の特徴
  3.Miyake下位分類
  4.Fluency
  5.より高次の遂行機能
 B検査の実際[種村 純]
  1.遂行機能検査の種類
  2.遂行機能評価の手順
  3.FAB
  4.BADS:遂行機能障害症候群の行動評価 日本版
  5.ストループテスト
  6.ウィスコンシンカード分類検査(WCST)
  7.流暢性検査
  8.ハノイの塔
  9.そのほかの遂行機能検査
 10.遂行機能検査のリハビリテーションへの意義

Ch.5全般性知能検査
 A知能検査の概要[平林 一]
  1.ウェクスラー知能検査
  2.Japanese Adult Reading Test(JART)
  3.コース立方体組み合せテスト(Kohs)
 B日本版WAIS-IV[松田 修]
  1.日本版WAIS-IVの概要
  2.日本版WAIS-IVの実施における留意点
  3.WAIS-IV結果処理における留意点
  4.WAIS-IV解釈と報告における留意点

Ch.6認知症
 A認知症[福井俊哉]
  1.「認知」とは
  2.「認知症」と「軽度認知障害」
  3.認知症と軽度認知障害の診断基準
  4.認知症の「中核症状」
  5.認知症の「行動・心理症状」
  6.認知症の原因疾患
  7.4大認知症の臨床的特徴
 B検査の実際[江口洋子]
  1.Mini-Mental State Examination
  2.改訂長谷川式簡易知能評価スケール
  3.Montreal Cognitive Assessment日本語版
  4.Alzheimer’s Disease Assessment Scale 日本版
  5.Clock Drawing Test
  6.Clinical Dementia Rating
  7.Neuropsychiatric Inventory

Ch.7失語症:標準失語症検査(SLT WAB失語症検査)[飯干紀代子]
  1.失語症
  2.失語症の評価
  3.代表的な総合的失語症検査
  4.検査を行う際の注意点

Ch.8
 標準高次動作性検査(SPTA)を中心に[早川裕子]
  1.SPTAの概要
  2.SPTAの実施
  3.SPTA以外の高次動作性障害の検査・評価
 
Ch.9
 標準高次視知覚検査(VPTA)を中心に[小山慎一]
  1.検査の総論
  2.視覚性失認の概要
  3.標準高次視知覚検査の概要
  4.部分的特徴の知覚障害の評価方法

Ch.10半側空間
 BIT行動性無視検査日本版を中心に[太田久晶]
  1.検査の総論
  2.通常検査
  3.行動検査
  4.結果の解釈での留意点

Ch.11小 児
 A小児の神経心理学的アセスメント[山下 光]
  1.小児神経心理学
  2.発達障害
  3.自閉スペクトラム症(ASD)
  4.注意欠如多動症(ADHD)
  5.限局性学習症(SLD)
  6.小児高次脳機能障害
  7.発達障害と高次脳機能障害の包括的理解
  8.小児のためのアセスメント手法
  9.成人用神経心理学的検査の応用
 10.発達障害のスクリーニング・診断用ツール
 11.今後の課題
 B認知神経科学的アプローチ[相原正男]
  1.前頭葉の成長・成熟
  2.小児の認知神経科学的検査
 C検査の実際[後藤多可志]
  1.WISC-V知能検査
  2.KABC-II心理・教育アセスメントバッテリー
  3.DN-CAS認知評価システム
  4.レーヴン色彩マトリックス検査
  5.改訂版 標準読み書きスクリーニング検査

Ch.12アセスメントにおけるICT
 [木下翔太郎,岸本泰士郎]
  1.医学におけるICTの活用の総論
  2.神経心理学的アセスメントにおけるICTの活用
  3.遠隔で行う神経心理学的アセスメント

Ch.13検査レポートの作成[足立耕平]
  1.検査レポート作成に際しての全般的留意点
  2.検査レポートの内容
  3.検査レポートの構成
  4.まとめと今後の課題
 
 
索引

執筆者一覧

  • 文京認知神経科学研究所 所長 武田克彦 編著
  • 関西福祉科学大学教育学部 教授 山下 光 編著
  • 富士脳障害研究所附属病院リハビリテーション科 海野聡子
  • 川崎医療福祉大学リハビリテーション学部 言語聴覚療法学科 准教授 太田信子
  • 九段坂病院内科(脳神経内科) 内山由美子
  • 姫路中央病院リハビリテーション科 白川雅之
  • 京都光華女子大学健康科学部 教授 上田敬太
  • びわこリハビリテーション専門職大学リハビリテーション学部 特任教授 種村 純
  • 長野大学,長野保健医療大学 兼任講師 平林 一
  • 上智大学総合人間科学部心理学科 教授 松田 修
  • 医療法人三星会かわさき記念病院 院長 福井俊哉
  • 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 特任助教 江口洋子
  • 志學館大学 学長 飯干紀代子
  • 横浜市立脳卒中・神経脊椎センターリハビリテーション部 担当係長,課長補佐 早川裕子
  • 筑波大学芸術系プロダクトデザイン領域 教授 小山慎一
  • 札幌医科大学保健医療学部作業療法学科 教授 太田久晶
  • 山梨県子どものこころサポートプラザ センター長 相原正男
  • 目白大学保健医療学部言語聴覚学科 准教授 後藤多可志
  • 慶應義塾大学医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座 特任助教 木下翔太郎
  • 慶應義塾大学医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座 特任教授 岸本泰士郎
  • 長崎純心大学人文学部地域包括支援学科 教授 足立耕平
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