バスキュラーアクセス治療学
- 定価:
- 13,200円(本体価格12,000円+税)
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書誌情報
| サイズ | B5判 |
|---|---|
| 頁 | 300頁 |
| ISBN | 978-4-498-22400-1 |
| 発行日 | 2013年06月20日 |
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内容
『バスキュラーアクセス診断学』に続く「治療学」編.バスキュラーアクセス(VA)の機能・形態に関わるトラブルの解決法を網羅的かつ詳細に提示するハンドブック.修復法の解説ではPTA法と外科的手技の双方につき詳述している.2005年に初のガイドラインが策定されたVAも,診療の標準化が進み,個別の患者への細やかな対応が求められる段階に移りつつある.新時代の透析医療を支える医師,技師,看護師など,すべての医療者のために.
序文
序
「シャントは上手に作って,上手に使う」と,故太田和夫教授がよく話されていたが,バスキュラーアクセス(VA)の作製と管理はこのことに尽きる.本書は,「上手に作る」ことに主眼を置いて,編集させていただいた.しかしどんなにうまく作製しても,シャントは非生理的血流を有し,頻回の穿刺にさらされる.そのために生じた内膜肥厚と狭窄によって,さまざまなトラブルが発生する.シャントはその性質上,ある一定のトラブルを避けることができないのである.このようにして生じたトラブルに対して,外科治療だけでなく,インターベンション治療が普及し,修復の方法も多岐にわたるようになった.
例えば,シャント閉塞に対しては,従来外科的血栓除去術が施行されていたが,現在は,経皮的血栓溶解,吸引などさまざまな方法がある.また,外科治療とインターベンションのハイブリッド治療も試みられている.VAの作製と修復には,腎臓内科医,泌尿器科医,一般外科医,放射線科医などさまざまな職種の医師がかかわっているが,その背景によって考え方が異なる.本書ではVAIVTと外科治療のバランスを考えて,どのようなバックグラウンドの医師でも参考にできるよう配慮した.
VAの外科治療においては,多くの革新的なアイデアが試みられているが,残念ながら治療法・修復法についてまとまったテキストがほとんどない.「研究会で知った治療法を行ってみたいが,具体的な手技や注意点がわからず,実践することができない」といった悩みを持つ医師は多いであろう.さまざまな治療法の知識を持っていれば,その病態に最も適した治療を実践できる.いわゆる「引き出し」を多くもつことは重要と考える.本書で学んだ治療法を1つでも取り入れて,引き出しを増やし,一例,一例の貴重な経験をその引き出しの中に入れてほしい.
良好なバスキュラーアクセスを維持管理することは,患者のみならず,透析スタッフにおいても重要課題であろう.昨年発刊した「バスキュラーアクセス診断学」に引き続いて,本書で学んだ知識を実践していただき,患者の治療に役立ていただければと願う.当該の第一人者の先生方に,明日からでも使える知識・考え方・技術を惜しげもなく投入していただき,素晴らしい内容となった.また監修は,前書に引き続き大平整爾先生にお願いし,貴重なご意見をいただいた.おかげで多岐で複雑なVA治療法の編集をどうにか進めることができ,本書として結実した.本書にかかわったすべての方々に,この場を借りて厚く御礼申し上げる.
2013年6月
春口洋昭
目次
1 現状と歴史
1.バスキュラーアクセス治療の現状と問題点 [天野 泉]
1.バスキュラーアクセス治療の流れ
2.VAIVTと医療費
3.バスキュラーアクセス合併症の実態
4.バスキュラーアクセス狭窄の診断と臨床症状
5.バスキュラーアクセスの治療方針
6.バスキュラーアクセス管理と早期対応の重要性
7.これからのバスキュラーアクセス不全対策とその展望
2.バスキュラーアクセスにおける外科治療とVAIVT治療の歴史 [大平整爾]
1.作製されたバスキュラーアクセス(AVF,AVG)の運命
2.バスキュラーアクセス障害に対する修復法の変化─外科的手技からバルーンPTA法へ─
3.PTA法の特性─利点と欠点
4.グラフト使用内シャント(AVG)の登場
5.過剰血流量と心機能
6.シャントの狭窄や閉塞の診断法:エコー(超音波)法の普及
7.バスキュラーアクセス穿刺法
8.血管内カテーテル留置法
9.バスキュラーアクセス不調時の修復法の選択
2 血管吻合
1.血管吻合法の歴史 [井上芳徳]
1.動静脈シャント作成用の吻合法
2.人工血管使用時の遠位側吻合部における工夫
2.基本的な血管吻合法 [地引政利]
1.血栓除去
2.内膜摘除
3.端々吻合
4.端側吻合
5.側々吻合
6.吻合部のトリミング(吻合口を大きくする工夫)
3 バスキュラーアクセス作製
1.バスキュラーアクセス作製前の全身と局所の評価 [赤松 眞]
1.バスキュラーアクセス作製における局所の評価
2.全身状態がバスキュラーアクセス作製に与える影響
3.バスキュラーアクセス作製が全身状態に与える影響について
4.末梢循環状態がバスキュラーアクセス作製に与える影響について
5.バスキュラーアクセス作製が末梢に与える影響について
2.作製法
(1)AVF
◆標準的AVF作製 [廣谷紗千子]
1.解剖・血管走行
2.AVF作製法
3.血流開始後AVFの流れが弱くなったら
◆AVF作製変法 [葛原敬八郎,葛原信三,三浦康子]
1.前腕尺側皮静脈トランスポジションによるAVF作製法
2.上腕尺側皮静脈トランスポジション(表在化)によるAVF作製法
(2)AVG作製 [大川博永]
1.AVG作製の留意点
2.AVGデザイン
3.人工血管抜去
4.各人工血管の特徴
5.AVG作製時の注意点
(3)上腕動脈表在化 [室谷典義,林 独志]
1.動脈表在化の適応
2.動脈表在化の作製
3.動脈表在化の管理
(4)カテーテル [内野 敬]
1.透析用カテーテルの歴史
2.透析用カテーテルの分類
3.透析用カテーテルの適応
4.透析用カテーテルの材質
5.透析用カテーテルの構造
6.透析用カテーテルの挿入部位
7.透析用カテーテルの挿入手技(右内頸静脈)
8.透析用カテーテル挿入直後の管理
9.透析用カテーテルの日常管理
(5)上腕動脈ジャンピングバイパスグラフト術 [鵜川豊世武]
1.対象と方法
2.成績
3.考察
3.バスキュラーアクセス作製後早期の管理 [宮田 昭]
1.バスキュラーアクセス作製後早期の一般的管理
2.各種バスキュラーアクセスの作製後早期の管理
4 バスキュラーアクセス修復(AVF)
1.狭窄に対する治療の考え方 [佐藤 隆]
1.狭窄の機序とVAIVT
2.臨床病態とVAIVTの適応
3.バスキュラーアクセス作製部位と治療法の選択
4.狭窄・閉塞病変と治療法の選択
5.VAIVTか外科的治療か?
2.狭窄に対するVAIVT
(1)一連の流れ [中山祐治]
1.術前評価
2.シャント造影
3.器具・薬剤の準備
4.手技
(2)血管造影法 [中山祐治]
1.術前準備
2.血管造影手技
3.被曝対策
(3)ガイドワイヤー通過テクニック [後藤雄]
1.基礎知識
2.ガイドワイヤーを進めるための基本操作
3.AVFの動静脈吻合部でのガイドワイヤー基本操作
4.ガイドワイヤーによる病変通過の手順
5.ガイドワイヤーを進める際の合併症とその対策
(4)バルーン拡張テクニック [後藤雄]
1.バルーンカテーテルの分類
2.バルーンカテーテルの選択について
3.バルーンカテーテルの準備
4.バルーンPTA基礎編
5.バルーンPTA応用編
6.特殊なバルーンでのPTA
7.合併症とその対策
(5)ステント留置 [堀田祐紀]
1.透析シャント病変に使用可能なステント
2.ステント留置の実際
3.ステント留置後の薬物療法
4.中心静脈に対するステント留置の現状と成績
(6)合併症とその対策 [笹川 成]
1.シース挿入時合併症
2.PTA中の合併症
3.PTA後合併症
(7)エコーガイド下PTA [佐藤純彦]
1.適応
2.エコーガイド下PTAの実際
3.狭窄に対する外科治療 [土田健司,橋本雪司,兩坂 誠,水口 潤]
1.外科的再建術
2.血管形成術
5 バスキュラーアクセス修復(AVG)
1.狭窄に対する治療の考え方 [佐藤 隆]
1.狭窄の機序とVAIVT
2.臨床病態とVAIVTの適応
3.バスキュラーアクセス作製部位と治療法の選択
4.狭窄・閉塞病変と治療法の選択
5.VAIVTか外科的治療か?
2.狭窄に対するVAIVT [池田 潔]
1.適応─考え方
2.AVG狭窄に対するVAIVTの絶対的適応の診断法
3.治療法
4.ステント治療の適応
5.症例
6.治療のendpointと戦略
7.その他の注意点
3.狭窄に対する外科治療 [久木田和丘,星野拓磨]
1.グラフト移植例の狭窄部
2.狭窄部の外科的治療
6バスキュラーアクセスの閉塞(AVF,AVG)
1.閉塞に対する治療の考え方 [野口智永]
1.総論
2.各論
2.閉塞に対するVAIVT
(1)血栓溶解+PTA [葛原敬八郎,中野寿美]
1.バスキュラーアクセストラブル治療の考え方と対応
2.当院における過去7年間のPTAの実績
3.バスキュラーアクセス閉塞例のバスキュラーアクセストラブル種類とその頻度
4.バスキュラーアクセス閉塞例の治療方法
(2)血栓吸引+PTA [安藤哲郎]
1.治療にあたり
2.実際のVAIVT手技
3.注意点
4.デバイス
3.閉塞に対する外科治療 [久木田和丘,服部優宏]
1.閉塞の症状と診断
2.血栓性閉塞の治療として血栓除去のみでは不十分
3.非血栓性閉塞に対する外科治療
4.血栓性閉塞に対する外科治療
7 静脈高血圧症に対するVAIVT[中村順一]
1.原理
2.適応
3.手技
8 静脈高血圧症に対する外科治療[中村順一]
1.原理
2.適応
3.手技
9過剰血流・スチールに対する血流調節法
1.外科的バンディング(動脈バンディング,静脈バンディング) [神應 裕]
1.静脈バンディング
2.動脈バンディング
3.治療成績
4.遠隔
2.グラフトインターポジション [廣谷紗千子]
1.原理
2.適応
3.手技
4.症例提示
5.まとめ
3.GIT(graft inclusion technique) [野島武久]
1.原理
2.適応
3.手技
4.DRIL(distal revascularization and interval ligation) [中村 隆]
1.DASSの診断
2.DRIL法の手技
3.症例提示
4.DRIL法に関する報告
5.考察
5.RUDI(revision using distal inflow) [神應 裕]
1.原理
2.適応
3.手技
6.PAI(proximalization of arterial inflow) [末光浩太郎]
1.適応
2.手術手技
3.自験例
4.PAI臨床成績
7.MILLER法変法 [新宅究典,川西秀樹,森石みさき,土谷晋一郎]
1.対象
2.方法
3.症例
4.Millerらの成績
8.橈骨動脈結紮 [下池英明]
1.原理
2.適応
3.手技
4.手術成績およびフォローアップデータ
5.主な過剰血流に対する治療法の比較
10 瘤に対する治療[東 仲宣]
1.瘤の分類
2.基本的な瘤の治療に関する考え方について
11 感染
1.自己血管感染・人工血管感染 [池田 潔]
1.AVFの穿刺部感染
2.AVGの穿刺部感染
3.消毒による感染予防の重要性
2.カテーテル感染 [宮田 昭]
1.カテーテル感染の分類と症状
2.治療
3.感染予防
12 アクセス関連痛に対する治療[室谷典義,林 独志]
1.GL−1 透析中に血管痛を呈する場合は,
以下のようなことを考慮すべきである
2.GL−2 非透析時にも疼痛を呈する場合は,
以下のようなことを考慮すべきである
3.GL−3 アクセス関連疼痛に類似した疼痛は,
以下のような原因を考慮する必要がある
4.症例
13 バスキュラーアクセス治療の将来展望[大平整爾,増子佳弘]
1.バスキュラーアクセス治療に関与するスタッフ
2.AVFおよびAVGの機能不全発生機序
3.バスキュラーアクセスの作製と修復を困難にする諸因子
4.患者の余命を考慮したバスキュラーアクセス作製の戦略
5.AVF,AVGによくみられる合併症は何か
6.バスキュラーアクセス手術・処置に関連する手技・器材・薬剤の進歩
7.バスキュラーアクセスの長期的開存性に影響を及ぼす諸因子
8.慢性血液透析治療形式の動向:穿刺が容易で,頻回透析に耐えうるバスキュラーアクセス
9.バスキュラーアクセスの作製・維持管理・修復における標準化と個別化
索引