こういうことだったのか!! 肺エコー

定価:
2,860円(本体価格2,600円+税)

在庫あり

書誌情報

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サイズ A5判
146頁
ISBN 978-4-498-13058-6
発行日 2022年11月25日

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内容

エコーは系統立てて学ぶ機会が乏しく,なんとなく苦手意識を持っている人も少なくない.
本書では,比較的新しい分野である肺エコーにスポットを当て,その原理や使い方,画像の見かたなどについてごく平易な言葉で解説している.また,従来の診断方法に肺エコーをどのように組み込むか,周辺知識にも言及.俯瞰的に理解できるようになり,肺エコーの使い時を正確に判断できるようになる.実践能力が身に付く心強い1冊だ.

序文

肺エコー沼への招待状

研修医の頃から何となくエコーが好きで,空き時間に同期達とERの片隅でエコーの当て合いっこをしていたのが懐かしいです.とはいえ,なかなかまとまったエコー教育を受ける機会もなく,参考書を片手にみんなで「こんな感じかなー?」とか言いながら見様見真似でエコーをやっているつもりになっていました.今思えば荒野の中をコンパスなしで彷徨うような有様でした.
初期研修終了後,救急研修を経て呼吸器内科医となり,そこで肺エコーに本格的に取り組み始め,たくさんの失敗と少々の成功体験を重ねました.さらにその後,ベストセラー作家 小尾口邦彦先生のもとで集中治療医としての歩みを始め,どっぷりとエコー沼にハマっていきました.その頃くらいから,かつての私と同じようにエコーの荒野を彷徨う後輩医師達の助けになればと,自分の勉強したこと,経験したこと(主に失敗談)を伝えることにも力を入れ始めました.
そしてある日,とうとう「今までにないエコーの本を書かへん?」とお誘いを受け,今回共著者として参加させて頂くことになりました.研修医の頃から小尾口先生の本で勉強させてもらっていた自分がまさか一緒に本を書かせてもらえるとは,人生何があるかわからないものです.ということで,今回先生の胸を借りるつもりで楽しく執筆させて頂きました.
さて,本書に込めたコンセプトは「決して肺エコー至上主義ではない」ということです.本文中でも繰り返し強調しています.私は肺エコーを愛してはいますが,あくまで迅速かつ正確な診断・治療が最優先です.したがって,肺エコーに拘って時間をかけるよりも適切な検査があれば迷わずそちらを優先させるべきですし,また病歴・身体所見も重要視します.そうした中でエコーならではのメリットを活かして日々の診療を向上させたいという日頃からの思いを込めたつもりです.
また,実際に肺エコーをしていて騙されやすい点や,ちょっとした評価のポイントなど,意外と他書ではあまり触れられていないような内容も盛り込んでいます.肺エコーをやり始めた初学者の方から,「ある程度慣れてはきたけどもう少し理解を深めたい」という中級者の方まで,読んでみてよかったと思ってもらえるはずです.
最後に,本書を手に取られる方は,年次的に進路選択について色々と迷われることも多いかと思われます.正解はないとは思いますが,やはり好きなことを深めて「オタクを目指す」というのは一つの道かも知れません.最近は「〇〇沼にハマる」という表現のほうがしっくりくるでしょうか.回り道をしながらも「エコー沼」の住人となった私は,もちろん日々良いことも,辛いこともあったりしますが,とくに後悔することもなく楽しい日々を過ごさせてもらっています.本書をきっかけに,新たな沼の住人が誕生することを楽しみにお待ちしています.

2022年10月
恒石鉄兵

目次

目 次

CHAPTER 01 肺エコーの基本 まず胸膜コンプレックスとAラインを理解する
 ●肺エコーとは虚構の中から真実を拾い出す作業
 ●まずは胸膜コンプレックスを同定する
 ●Aライン
  本当に空気が超音波を跳ね返すの? 〜コウモリのパラドックス〜
  音波の性質
  エアエコー実験
  ゼリーを塗ったエアエコー実験

CHAPTER 02 肺エコー 縦線Bラインとその仲間たちを理解する
 ●Bライン
  肺の構造の復習
  Bラインの意味
  BラインもAラインと同様に虚像
  Bラインの特徴をしっかり押さえる
 ●Bライン以外の縦線lung cometなどとの鑑別が重要
 ●皮下気腫を示唆するEライン
 ●肺エコーによるコンソリデーションの評価

CHAPTER 03 肺エコーは胸膜コンプレックスにフォーカスをあわせることから始まることを知る
 ●リニアプローブ
  Spatial compound
 ●オンボロエコーは肺エコーに向いているかも?
  エコー深度(depth)
  フォーカス
 ●セクタープローブ
 ●コンベックスプローブ
 ●筆者の肺エコープローブの使い分け
 ●プローブの当て方のコツ
  胸膜コンプレックス同定を怠ると…

CHAPTER 04 肺エコーを用いた呼吸障害の原因検索と臨床推論 BLUE-protocol
 ●避けては通れぬBLUE-protocol
  Lung slidingの確認がスタート
  Aプロファイル,Bプロファイル,Cプロファイル,A/Bプロファイル
  PLAPS(posterolateral alveolar and/or pleural syndrome)
 ●BLUE-protocolはあくまで短時間で病気の目星をつけるツール

CHAPTER 05 肺エコープローブを当てる部位と当てるコツ
 ●肺エコープローブを当てる部位
 ●BLUE-protocol提唱部位
 ●肺エコーにおけるプローブの当て方のコツ
 ●基本が大切 肺エコー画像?
 ●基本が大切 肺エコー画像?

CHAPTER 06 心原性肺水腫と非心原性肺水腫

CHAPTER 07 肺エコーと緊張性気胸
 ●緊張性気胸の身体診察
  身体診察と肺エコーのどちらを優先させる?
  肺エコーによる気胸診断の実際
 ●肺エコーによる気胸診断のピットフォール
  Lung slidingがない⇒気胸,seashore signの消失⇒気胸 ではない
  Lung pointがなければ?
  Lung slidingがないBプロファイル
  前胸部におけるlung slidingの観察は難しい
  【コラム】肺エコーによる気胸評価を経験するために

CHAPTER 08 偽lung pointに騙されるな!
 (1)生理学的lung point
 (2)偽lung point
 (3)Bleb point

CHAPTER 09 緊張性気胸と緊急脱気
 ●緊張性気胸の診断方法
  非挿管患者の緊張性気胸の症状と頻度
  進行した緊張性気胸の症状と頻度
  人工呼吸管理中患者における緊張性気胸の症状と頻度
  救急医療テキストで語られる緊張性気胸
  偽性気胸(pseudopneumothorax)
 ●「緊張性気胸を疑えば即脱気」をすればよいのか?

CHAPTER 10 偽性緊張性気胸?
 ●緊張性気胸 or 痰詰まり??
 ●偽性緊張性気胸?
 ●痰詰まりによる偽性緊張性気胸
  気道閉塞(痰詰まり)による偽性緊張性気胸の診断精度を高めるために
 ●片肺挿管にも注意
 ●人工呼吸管理中トラブルの標語DOPE・いきつめ

CHAPTER 11 肺エコーで肺炎に挑む
 ●肺エコーを用いて肺炎を診断する(…こともある)
  心不全っぽいのか肺炎っぽいのか肺エコーで方向性がわかることに意義がある
  肺エコーにおいて胸水とコンソリデーションの鑑別が困難であるとき

CHAPTER 12 肺エコーを炎症肺と非炎症肺の鑑別に活用する
 ●炎症肺か非炎症肺かの鑑別に肺エコーを活用する
 ●肺エコーの胸膜面に注目
 ●心原性肺水腫を見抜く!

CHAPTER 13 重症肺血栓塞栓症の診断・治療を整理する
 ●肺梗塞と肺塞栓症
  造影CT撮影前,初期診療において肺塞栓症を疑う所見
 ●肺塞栓症を想起したら即時心エコーはマスト業務
 ●静脈血栓症と動脈血栓症
  日本と海外では血栓溶解薬の認可状況が異なる
  急性心筋梗塞に対しての血栓溶解療法
 ●ショック状態の肺塞栓症には血栓溶解薬の積極使用を考えたい
  肺塞栓症に対する血栓溶解薬使用の実際
  肺塞栓症に対する抗凝固療法

CHAPTER 14 アバウト下肢静脈エコーを学ぶ
 ●アバウト下肢静脈エコーのススメ
 ●下肢静脈エコーで血栓を探す!
  血管へカテーテルがうまく入らないときにも…
 ●下肢静脈の部位によるDVTの名称
  DVTの発生と進展
  プロの下肢静脈エコーと一般医レベルの下肢静脈エコー
 ●下肢静脈血栓を簡易的に探す2 point study
  ポイント1
  ポイント2
  2 point studyの意義
 ●DVT治療
  下大静脈フィルター(IVCフィルター)
  IVCフィルターは決して侵襲性が低いデバイスではない
  IVCフィルターの適応

CHAPTER 15 肺エコーを日々の病棟管理に活用する
 ●水が入りすぎかなあ? もっと除水したほうがいいのかな?
 ●肺炎はよくなっている? つぶれた肺は開いている?

CHAPTER 16 横隔膜をエコーで評価する
 ●横隔膜エコー
 ●横隔神経麻痺も評価できる
  肺保護換気
  VIDD
 ●横隔膜保護換気と横隔膜機能評価
  肺保護換気と横隔膜保護換気はときとして両立し得ない

CHAPTER 17 エコーを胸腔穿刺・胸腔ドレーン留置に活用する
 ●胸腔穿刺・胸腔ドレーン留置時にエコーは必須
  胸腔穿刺部位
  胸腔ドレーン留置の実際
  胸腔ドレーンの固定は意外に難しい
  エコー本体の位置も重要

CHAPTER 18 外傷初療とFASTとEFAST
 ●事前準備と第一印象の把握
 ●Primary survey
  A(Airway,気道)の評価と気道確保
  B(Breathing,呼吸)の評価と致死的な胸部外傷の処置
  Cは評価だけでなくマスト業務が多くある
  C(Circulation,循環)の評価
  Cにおける活動性出血の止血(外出血のコントロール)
  Cにおける静脈路確保・輸血の準備
  Cにおける画像による内出血の検索:胸部・骨盤部X線写真
  Cにおける画像による内出血の検索:FAST
  EFAST
  Primary surveyに頭部CT画像は入らない
  切迫するDの評価
  Exposure and environmental control(脱衣と体温管理)
  Primary surveyの総括
 ●Secondary survey
  FAST・EFASTの実践機会は膨大にある

  索引

執筆者一覧

  • 京都府立医科大学麻酔科学教室・集中治療部 恒石鉄兵
  • 京都府立医科大学麻酔科学教室・集中治療部 小尾口邦彦
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