注射薬がわかる! 注射箋監査と適正使用ハンドブック

定価:
5,500円(本体価格5,000円+税)

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書誌情報

書誌情報
サイズ A5
頁 336頁
ISBN 978-4-498-07932-8
発行日 2026年11月04日

内容


やり直しがきかない注射薬に,根拠をもって向き合おう
内服薬の監査には慣れていても,注射箋には身構えてしまう――本書はそうした若手病院薬剤師に向けた注射箋監査の実践書です.基礎編では,注射薬の取り扱い,投与量・投与経路・投与速度の監査,配合変化の考え方,輸液療法の基本を整理しました.応用編では循環器,抗不整脈薬,抗凝固薬,鎮静薬,抗菌薬,抗がん剤など16領域の注射薬を取り上げ,処方監査のポイントをQ&A形式で解説しました.注射箋に関する現場の疑問に,根拠をもって答えるための一冊です.

序文

序  文

『注射薬がわかる! 注射箋監査と適正使用ハンドブック』の発刊を迎えることができました.
 注射薬の適正使用は,薬剤師の専門性が最も高度に発揮される領域であり,医療安全の根幹を支える重要な業務です.注射薬は経口薬と異なり初回通過効果を受けず,血中濃度の立ち上がりが速いという特性を持つため,投与設計の誤りや製剤特性の理解不足が即座に重篤な有害事象へと結びつく危険性を孕んでいます.特に,ハイアラート薬,生物学的製剤,抗悪性腫瘍薬,集中治療領域で使用される薬剤などについては,薬物動態学的特性,製剤学的安定性,配合変化の機序,投与速度・希釈条件の妥当性など,多角的な視点からの精緻な評価が不可欠です.
 薬剤師は注射箋監査において,単なる投与量や投与経路の確認にとどまらず,薬物動態(PK/PD),溶解度,pH・浸透圧,溶媒特性,安定性,配合変化,投与設計の根拠,臨床状況との整合性といった高度な専門知識を統合し,処方の妥当性を科学的に評価する役割を担います.また,腎機能・肝機能の変動,体液量の変化,血行動態の不安定性など,患者個別の病態生理を踏まえた投与調整も求められます.さらに,看護師・医師と協働し,投与手技の標準化,投与計画の策定,リスクマネジメントの実践,医療安全文化の醸成に寄与することも薬剤師の重要な職責です.
 本書は,注射薬に関わる薬剤師が臨床現場で直面する複雑な判断課題に対し,科学的根拠に基づく実践的な指針を得られるよう構成しています.特に,配合変化の科学的背景,投与設計の理論的根拠,臨床現場で頻発する疑義照会の論点,医療安全上のリスク因子,さらには多職種連携における薬剤師の役割など,実務に直結するテーマを重点的に取り上げています.また,単なる情報集ではなく,「なぜその確認が必要なのか」「どのようなリスクを回避するための判断なのか」を明確に示すことで,薬剤師が自らの専門性を深化させ,臨床判断の質を高めることを目指しています.
 注射薬の安全管理は,薬剤師の高度な専門的判断と介入によって支えられています.本書が,注射薬に携わる薬剤師の知識基盤を強化し,臨床現場における安全で質の高い薬物治療の実現に寄与する一助となることを心より願っております.なお,本項目中には海外研究に基づく結果を含むため,本邦では適応外使用となる場合があります.処方時には本邦での取扱いに十分ご留意ください.
 最後になりましたが,本書の執筆にご協力いただいた多くの先生方に深く御礼申し上げます.また,本書の企画をご支援いただきました株式会社中外医学社編集部の輿石祐輝氏ならびに関係各位に心より感謝申し上げます.
 
2026年10月
編者を代表して
櫻下弘志

目次

目 次

Ⅰ 基礎編
A 注射の基礎知識 〈櫻下弘志〉
 1. 注射薬の基本と取り扱い
 2. 注射の方法:種類(皮内注射,皮下注射,筋肉注射,静脈注射)
 3. ラベル表示
 4. シリンジポンプ 輸液ポンプ
 5. 三方活栓
B 注射箋の監査
 1. 注射箋の監査 投与量(単位換算,計算も含めて)
 2. 注射箋の監査 投与方法(投与経路)
 3. 注射箋の監査 投与速度
C 配合変化の基礎
 1. 配合変化の定義
 2. 配合方法
 3. 配合変化試験の評価方法
 4. 試験時間や評価時間
D 輸液療法の基本 〈髙井 靖〉
 1. 輸液療法と輸液の種類
 2. 末梢静脈栄養法(PPN)
 3. 中心静脈栄養法(TPN)高カロリー輸液
 4. Q&Aで考える輸液療法の基本

Ⅱ 応用編 注射箋解析実例55
A 循環器
 1. ドパミン 〈大舘祐佳〉
 2. ドブタミン
 3. ノルアドレナリン
 4. ミルリノン 〈古野喬志〉
 5. ニトログリセリン
 6. ニコランジル
B 抗不整脈薬
 1. アミオダロン 〈芦川直也〉
 2. ニフェカラント
 3. リドカイン
 4. ランジオロール
 5. ベラパミル 〈南部広夢〉
 6. ジゴキシン
 7. ピルシカイニド
C 抗凝固薬 〈鈴木達也〉
 1. 未分画ヘパリン
 2. アルガトロバン
 3. ナファモスタットメシル酸塩
D 利尿薬 〈梶間勇樹〉
 1. フロセミド
 2. カルペリチド
E 痙攣 〈西田祥啓〉
 1. フェノバルビタール
 2. レベチラセタム
 3. ジアゼパム
F 鎮静 〈安藝敬生〉
 1. ミダゾラム
 2. プロポフォール
 3. デクスメデトミジン
G 潰瘍 〈水上皓喜〉
 1. オメプラゾール
 2. ファモチジン
H 抗菌薬
 1. ペニシリンG 〈尾田一貴,近藤昭志〉
 2. セフトリアキソン
 3. メロペネム
 4. バンコマイシン
 5. アジスロマイシン
 6. シプロフロキサシン 〈山田智之,松本裕喜〉
 7. アミノグリコシド,アミカシン
I 抗真菌薬 〈山田智之,松本裕喜〉
 1. ボリコナゾール
 2. リポソーマルアムホテリシンB
 3. スルファメトキサゾール・トリメトプリム
J 抗ウイルス薬 〈竹内祐介〉
 1. アシクロビル
 2. ガンシクロビル
 3. レムデシビル
 4. ペラミビル
K 抗精神病薬 〈中村友喜〉
 1. オランザピン
 2. パリペリドン
 3. アリピプラゾール
L 睡眠薬 〈中村友喜〉
 フルニトラゼパム
M せん妄 〈中村友喜〉
 ハロペリドール
N 認知症 〈中村友喜〉
 レカネマブ
O 麻薬 〈泉谷 悟〉
 1. フェンタニル
 2. モルヒネ
 3. オキシコドン
P 抗がん剤
 1. イリノテカン 〈熊谷史由〉
 2. カルボプラチン 〈熊谷史由〉
 3. ゲムシタビン 〈濟川聡美〉
 4. シスプラチン 〈櫻下弘志〉
 5. ダカルバジン 〈石原泰子〉
 6. ドセタキセル 〈熊谷史由〉
 7. トラスツズマブ 〈槇原洋子〉
 8. ナブパクリタキセル 〈槇原洋子〉
 9. ニボルマブ 〈二瓶 哲〉
 10. パクリタキセル 〈槇原洋子〉
 11. ビンクリスチン 〈石原泰子〉
 12. ベバシズマブ 〈二瓶 哲〉
 13. ペムブロリズマブ 〈濟川聡美〉
 14. メトトレキサート 〈石原泰子〉
 15. リツキシマブ 〈濟川聡美〉
 16. フルオロウラシル(5-FU) 〈二瓶 哲〉
 
 コラム 連携が鍵! 薬剤師が共有すべきステロイド薬の「見過ごしがちな落とし穴」 〈江淵愛〉
 索引

執筆者一覧

  • 三重ハートセンター診療支援部長 高井 靖 編著
  • 広島大学病院薬剤主任 櫻下弘志 編著
  • 日産厚生会玉川病院 医療技術部薬剤科 大舘祐佳
  • 大崎病院東京ハートセンター 薬剤部 古野喬志
  • 豊橋ハートセンター 薬局 芦川直也
  • 春日部中央総合病院 薬剤部 南部広夢
  • 千葉大学医学部附属病院 薬剤部 鈴木達也
  • 三重ハートセンター 薬局 梶間勇樹
  • 金沢医科大学病院 薬剤部 西田祥啓
  • 小倉記念病院 薬剤部 安藝敬生
  • 広島市立広島市民病院 薬剤部 水上皓喜
  • 熊本大学病院 薬剤部 尾田一貴
  • 熊本大学病院 薬剤部 近藤昭志
  • 大阪医科薬科大学病院 薬剤部 山田智之
  • 大阪医科薬科大学病院 薬剤部 松本裕喜
  • ベルランド総合病院 薬剤部 竹内祐介
  • 三重県立こころの医療センター 診療技術部/感染管理室 中村友喜
  • 広島大学病院 薬剤部 泉谷 悟
  • 東北労災病院 薬剤部 熊谷史由
  • 愛媛大学医学部附属病院 薬剤部 濟川聡美
  • 倉敷中央病院 薬剤本部 石原泰子
  • 九州大学病院 薬剤部 原 洋子
  • 岩手医科大学附属病院 薬剤部 二瓶 哲
  • そうごう薬局 天神中央店 江淵 愛
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