患者のサインを見逃さない! 薬剤師のための患者フォローアップ術

定価:
6,600円(本体価格6,000円+税)

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書誌情報

書誌情報
サイズ B5判
280頁
ISBN 978-4-498-07926-7
発行日 2026年07月07日

内容


薬剤師×服薬フォローアップの道しるべ
「対物業務」から「対人業務」へ——薬剤師に求められる役割が大きく変わるなか,患者が薬を安全かつ有効に服薬し続けられているかを確認し,必要に応じて介入する「フォローアップ」が,専門職としての真価を発揮しうる業務として重要性を増しています.本書は,糖尿病・高血圧・心不全・各種がん・認知症など日常診療で多く遭遇する20疾患について,病院薬剤師と薬局薬剤師がそれぞれの立場から,いつ・何を・どのように診るのかを具体的に解説しました.バイタルサインや検査値の活用,ポリファーマシー,在宅・緩和医療まで幅広く網羅し,薬薬連携と地域連携の実践にも資する一冊です.

序文


はじめに

 少子高齢化の進行,人口減少,生産年齢人口の縮小,地域ごとの医療資源の偏在―わが国の医療提供体制は,いま大きな転換期を迎えています.2040年を見据え,新たな地域医療構想や医療計画の議論が進み,外来・入院・在宅・介護を切れ目なくつなぐ地域完結型の医療体制の構築が求められています.その中で,薬剤師に期待される役割もまた,大きく変化しています.
 かつて薬剤師業務は,処方箋に基づく調剤と医薬品の交付が中心に語られることもありました.しかし現在は,患者が薬物治療を安全かつ有効に継続できているかを確認し,必要に応じて介入し,治療成果につなげていく「患者フォローアップ」が,薬剤師の本質的な役割として強く求められています.これは単なる制度対応ではなく,薬剤師が専門職として真価を発揮する重要な実践そのものです.
 本書『薬剤師のための患者フォローアップ術』の最大の特徴は,各種疾患ごとに,病院薬剤師と薬局薬剤師がそれぞれの立場から,どのような視点で患者を捉え,どのような知識をもって,いつ・何を・どのように・何のためにフォローアップを行うのかを,具体的かつ実践的に示している点にあります.専門領域から日常診療で多く遭遇する疾患まで幅広く取り上げており,病院の機能や診療科の特性,薬局の応需状況にかかわらず,多くの現場で役立つ内容となっています.
 また,患者フォローアップの質を高めるうえで欠かせないのが,地域連携,とりわけ薬剤師同士の連携(薬薬連携)です.入院時には薬局から病院へ,退院時には病院から薬局へ,さらには急性期・回復期・慢性期・在宅・介護施設など療養の場が移るたびに,薬剤情報だけでなく,患者の生活背景,理解度,価値観,療養上の課題といった情報を適切につなぐことが重要です.そのためには,病院薬剤師と薬局薬剤師がお互いの役割や視点を理解し,共有すべき情報,連携のタイミング,手段,様式を整備していくことが不可欠です.本書は,そのような地域連携体制づくりにも大いに資する一冊といえるでしょう.
 薬剤師にしか把握できない患者の暮らしの情報と,薬剤師だからこそ評価できる医療・薬学的情報.その両者を統合し,患者一人ひとりに応じた支援につなげることは,まさに薬剤師の専門性の核心です.そしてその実践は,病院か薬局かという枠を越え,地域全体で取り組むことで,より安全で質の高い医療へと結実します.
 本書が,これから患者フォローアップに取り組む方にとって確かな道しるべとなり,すでに実践されている方にとっても新たな気づきと学びにつながることを願ってやみません.そして,時代が変化しても国民の安心と安全な医療を支える薬剤師の力となることを期待しています.
 末筆ながら,本書の企画・編集に多大なるご尽力を賜った 髙井 靖 先生,荒木隆一 先生をはじめ,貴重な知見と経験をご執筆くださった諸先生方,ならびに刊行にご尽力いただいた中外医学社の皆様に,心より敬意と感謝を申し上げます.

2026年6月
村杉紀明

目次


目次

1 薬剤師を取り巻く医療の現状と薬剤師の役割 〈荒木隆一〉

2 薬局の目指すべきところ
 1 薬剤師の連携 全国の取り組み事例 〈荒木隆一〉
 2 地域に根差した薬局の機能と特徴について 〈長津雅則〉

3 患者の価値観を理解する 〈村杉紀明〉

4 患者フォローアップ
 1 バイタルサインによるフォローアップ 〈髙井 靖〉
 2 検査値を活用した患者フォローアップ 〈近藤幸男〉
 3 嚥下困難患者のフォローアップ 〈近藤幸男〉
 4 高齢者のポリファーマシー 〈村杉紀明〉
 5 患者フォローアップ時のePROの活用 〈桂 英之〉

5 薬剤師の将来像・目指すべき方向 〈村杉紀明〉

6 病院薬剤師&薬局薬剤師 疾患別患者フォローアップのポイント
 1 糖尿病
  病院薬剤師〈堀川俊二〉
  薬局薬剤師〈古林美貴〉
 2 高血圧
  病院薬剤師〈澤田和久〉
  薬局薬剤師〈角谷将宏〉
 3 脂質異常症
  病院薬剤師〈武田真央〉
  薬局薬剤師〈原嶋 渉〉
 4 虚血性心疾患
  病院薬剤師〈梶間勇樹〉
  薬局薬剤師〈夏目優太郎〉
 5 心房細動
  病院薬剤師〈芦川直也〉
  薬局薬剤師〈鈴木邦彦〉
 6 心不全
  病院薬剤師〈大橋泰裕〉
  薬局薬剤師〈木村貴徳〉
 7 慢性腎臓病
  病院薬剤師〈三宅健文〉
  薬局薬剤師〈松下智侑〉
 8 脳卒中
  病院薬剤師〈中蔵伊知郎〉
 9 炎症性腸疾患
  病院薬剤師〈平田一耕〉
  薬局薬剤師〈山本ももこ〉
 10 乳癌
  病院薬剤師〈組橋由記〉
  薬局薬剤師〈長久保久仁子〉 
  薬局薬剤師〈牧野輝子〉
 11 肺癌
  病院薬剤師〈木本真司〉
 12 大腸癌
  病院薬剤師〈中村久美〉
  薬局薬剤師〈高見澤里紗 庄司優奈 藤原和史〉
 13 統合失調症
  病院薬剤師〈定岡邦夫〉
  薬局薬剤師〈中田裕介〉
 14 うつ病,抑うつ状態
  病院薬剤師〈別所千枝〉
  薬局薬剤師〈栗原正亮〉
 15 認知症
  病院薬剤師〈定岡邦夫〉
  薬局薬剤師〈中田裕介〉
 16 緑内障
  病院薬剤師〈室井延之〉
  薬局薬剤師〈川口太一〉
 17 アトピー性皮膚炎
  病院薬剤師〈石黒奈緒〉
  薬局薬剤師〈三浦哲也〉
 18 関節リウマチ
  病院薬剤師〈新谷智則〉
 19 骨粗鬆症
  病院薬剤師〈福田喬士〉
  薬局薬剤師〈芝原由典〉
 20 HIV感染症
  病院薬剤師〈大東敏和〉
  薬局薬剤師〈小川和彦〉

7 在宅医療
 1 在宅医療の現状と将来 〈児玉麻衣子〉
 2 がん終末期と緩和医療 〈中村 薫〉
 3 非がん患者の緩和医療について 〈中村 薫〉
 4 褥瘡患者におけるフォローアップのポイント 〈小黒佳代子〉
 5 医療的ケア児 〈飯田祥男〉
 6 認知症患者の服薬管理と家族支援 〈中田裕介〉
 7 在宅における麻薬管理 〈中村 薫〉

索引

執筆者一覧

  • 三重ハートセンター診療支援部長 高井 靖 編著
  • みのり薬局 村杉紀明 編著
  • 市立敦賀病院副院長  荒木隆一 編著
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