こういうことだったのか!! CHDF
内容
ますます筆が冴え渡る小尾口先生の「こういうことだったのか」シリーズ第3弾。CHFの濾過原理と、CHDの透析原理をしっかりマスターすればとっつきにくいCHDFも驚くほど簡単に理解できる。
序文
はじめに
多くの急性期病院においてCHDFはすでに日常の風景なのではないでしょうか.CHDF以外に「CHD」もあれば「CHF」もあり,総称としては「CRRT」と書くことが適切なのですが,日本においてCHDFが“ICUにおける血液浄化”の代名詞となった感があります.
世界においては,必ずしもCHDFはメジャーではなく,多くの国においてCHFが主に使われると聞くと驚く読者は多いのではないでしょうか.CHDFを主に使うのは日本とオーストラリアだけと聞いたことがありますが,オーストラリアに友人がいないので本当かどうかわかりません.本書を読み終えるころには,各国でCHFが主に使われる背景も理解できているはずです(筆者の希望).
少し脱線をして……,トヨタ自動車が開発したプリウスに代表されるハイブリッド車はガソリンエンジンと電気モーターを持ち,それらが精密に制御されています.ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせて動かすことは非常に難しく,初代プリウスの開発当初,車の走行テストをしようにもエンジンがまともに始動すらしなかったとの逸話があります.
読者が車を一から開発するという立場になったとして,いきなりハイブリッド車を作りはしないですよね.ガソリンエンジンの開発をするか,電気モーターの開発をするのか,まずはそこから始めるはずです.CHDF(continuous hemodiafiltration:持続的血液ろ過透析)は文字通り透析原理とろ過原理の両方を持つ方法です.透析原理とろ過原理のハイブリッドをいきなり理解するのは難しいにきまっています.まずは,透析原理,ろ過原理のそれぞれをしっかり理解しなければなりません.そして両方をきちんと理解できれば,CHDFの理解はそれほど難しくありません.
本書の読了後,読者が「いきなりCHDFから理解しようとするから難しいんだよ」と周囲に語ることを期待します.
2018年2月
小尾口邦彦
目次
目 次
CHAPTER 01 用語・略語の整理
CHAPTER 02 拡散とは? ろ過とは? 半透膜とは?
水にしょうゆを垂らすと……
なぜ全体が均一濃度になるのか?
拡散原理の対象となる小分子
半透膜とは
しょうゆの一部を,半透膜を用いて捨てる方法
しょうゆより“重い(分子量が大きい)”物質であれば
しょうゆでなく,かんてんならどのように「捨てる」??
血液浄化・ろ過原理においてターゲットとなる中分子
半透膜通過には2つのパターンがあることを明確に理解する
CHAPTER 03 ヘモフィルターとは?
中空糸は半透膜でもある
ヘモフィルターの構造
対向流
CHAPTER 04 CHD(除水なし)
CHD血液流量6000mL/h・透析液流量500mL/hは何を意味するのか?
CHDパフォーマンスをシミュレーションしてみよう
ざっとパフォーマンスをイメージできるようになろう
血液流量を変えると……
CHDの血液流量をさげてもあまりパフォーマンスは低下しない
CHDとHD(透析室で行う血液透析)は世界が全く違う
CHAPTER 05 CHF
CHF血液流量6000mL/h・ろ液流量500mL/hは何を意味するのか?
CHFパフォーマンスをシミュレーションしてみよう
CHFパフォーマンスは計算いらず
ざっとパフォーマンスをイメージできるようになろう
血液流量を変更すると?
CHAPTER 06 CHD(除水あり)
CHD(除水あり)のパフォーマンス
気楽にCHD(除水あり)パフォーマンスを意識できるようになろう
誤解・混乱を招くポンプ名称
CHAPTER 07 CHDF
日本におけるゴールデンスタンダードCHDF設定
設定7のパフォーマンス
誤解を招く「ろ液ポンプ」名称
補液ポンプの役割は?
CHAPTER 08 CHD・CHF・CHDFの効率比較
CHD・CHF・CHDF のパフォーマンスを比較するための条件設定
小分子クリアランスの比較
中分子クリアランスの比較
必ずCHF を選択すればよいのか?
どのような状況においてCHDFを使用するのか?
CHAPTER 09 CRRT血液系回路にはストーリーがある
CHAPTER 10 液系の整理と総復習を兼ねたCRRT練習問題
CHAPTER 11 CRRT圧解釈
CRRTで測定される圧と計算表示される圧
血液系回路の圧形成
液系回路の圧形成とTMPの考え方
CRRT圧表示画面の経時的デジカメ観察のすすめ
トラブルへの対処方法
CHAPTER 12 “CHDFによる炎症性サイトカイン除去”には議論があることを知る
炎症の本丸は原因臓器
そもそも炎症性サイトカインをCRRTによって除去できるのか?
吸着原理
CRRTによってある程度サイトカインは抜けるが血液中のサイトカイン濃度は変わらないようである
血液浄化を究極まで追求したが……
国際敗血症ガイドライン2016
そろそろこの台詞はやめませんか?
真のエンドポイントと代替エンドポイント(Surrogate Endpoint)
筆者施設では……
索引