働き方改革時代の高齢者の健康と労働

定価:
1,980円(本体価格1,800円+税)

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書誌情報

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サイズ A5判
164頁
ISBN 978-4-498-05920-7
発行日 2019年07月05日

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内容

超少子高齢化社会において社会保障制度を維持するためには,医療や介護需要の抑制,社会的活力の維持が重要である.この観点から,「アクティブエイジング社会」構築の必要性が叫ばれている.その柱の一つが「高齢者の健康と労働」であり,問題打破の大きな足掛かりとなる可能性が高い.本書では,医学の視点からこれらに関する現状の問題点をまとめた.医療従事者と労働政策に携わる人々が正しい知識と問題点を共有できる1冊だ.

序文



 「人生100年時代」というフレーズは,今日の高齢化社会を的確に描出しており新聞紙上等で目にしない日はないといっても過言ではない.
 人生100年時代─高齢化社会を想定した生き方への関心の急速な高まりは比較的新しいが,社会課題としての問題認識は当然に以前から存在していた.国政レベルでは,平成7年に高齢社会対策基本法が成立し,翌平成8年には高齢社会対策大綱が策定された.平成24年の報告書取りまとめでは,「人生90年時代」への備えについて言及されている.マスコミの関心も高く,2012年9月10日付の日経ビジネス誌は100歳まで働かなければならない未来を想定した「隠居べーション」を特集し,その中で100歳のサラリーマンが紹介されている.その後,恐らく「人生100年時代」の本格的な到来は,2016年に出版されたリンダ・グラットン教授の「ライフシフト」(東洋経済新報社刊)であり,その達見は内閣府の人生100年時代構想会議で共有され,働き方改革を通じて施策提言されている.
 従来,退職後の時間の過ごし方が社会的な関心の対象となることは少なかったのではないだろうか.生き方は当然に個別性が高いものであるが,急速に進展する高齢化社会ではそれは多くの人の関心事であり,したがって社会的な取り組み課題である.編著者らは,自身が退職前後の年齢に達したこともあり,日ごろから定年後の就労について意見交換する機会があった.それまでに集積した知識・技能を今の心身状態を介して社会にどう還元できるかといった話の中で醸成された問題意識を基に,第87回日本衛生学会学術総会(平成29年)で「高齢者の労働と健康」をテーマに自由集会を開催した.ここでは,科学的根拠が示されることなく社会慣習として運用される年齢による社会的帰属の変更,定年の問題点をおもに健康との関係性から考察した.その後,相応の時間経過の中でより広範な分野の専門家の知見等を集積して本編とすることができた.
 本書が多くの人の中にある当事者意識を喚起するきっかけになれば幸いである.

令和元年/2019年6月
産業医,元福井県立大学看護福祉学部教授
垂水公男

目次

目次

はじめに
 なぜ今「高齢者の労働」が重要なのか? 〈有賀 徹〉

超高齢社会時代を見越して,持続可能な社会を構築する 〈長谷川 学 和田耕治〉
 人口構造の変化と労働力の推移について
  1.日本の人口構造の変化
  2.日本の労働力人口のこれまでの推移について
  3.高齢者の労働力の推移
  4.高齢者の就業者数と就業率の推移
 将来の労働力人口
  1.労働力人口の将来推計
  2.労働力の需要が増大する要因
 将来の労働力の確保について
  1.就業希望者の就業実現による労働力の確保について
  2.一億総活躍社会に向けて
  3.女性の活躍
  4.外国人労働者の受け入れ
 高齢者の就労について
  1.高齢者の就労希望の状況と生涯現役社会の実現
  2.高齢者が働く理由
  3.高齢者の就労支援の促進
 高齢者の就労と健康
  1.高齢者の就労能力向上
  2.高齢者の就労による健康増進・健康度の上昇
  3.高齢者の就労に必要なこと
  4.「アクティブエイジング社会」の実現

現在の高齢者の労働を取り巻く環境 〈藤井 樹 萩原明人〉
 わが国の高齢者の年金制度の仕組みについて
  1.年金制度の歴史と変遷
  2.現在の年金制度の概要
  3.年金制度が抱える問題
  4.今後の年金制度システムの動向やあり方
 わが国の高齢者雇用促進における制度的な課題について
  1.年金制度
  2.定年退職制度
  3.募集採用における年齢制限

今後の高齢化の動向と労働政策 〈藤井 樹 萩原明人〉
 わが国の高齢化の動向と高齢者の労働政策
  1.わが国の高齢化と高齢者雇用促進に向けたこれまでの政策
  2.高齢者雇用の現状に関する分析
  3.高齢者雇用促進に向けた具体策
 高齢者の労働と健康について
  1.高齢者の労働をめぐる社会的背景と検討課題
  2.高齢者の労働をめぐる検討課題
  3.退職の精神的および身体的健康への影響
  4.退職者の退職時期とその後の健康
  5.健康状態と早期退職のメカニズム

高齢者の就労と健康・メンタルヘルス 〈垂水公男〉
 高齢者就労の背景
 はじめに
 高齢者の労働とメンタルヘルス
 リタイア後の就労はメンタルヘルスに良い
  1.事例紹介
  2.因果関係について
 リタイア後の就労はメンタルヘルスに良くない
  1.事例紹介
  2.因果関係
 関連要因の追加・整理
  1.リタイアのメンタルヘルス影響
  2.労働の質
  3.関連要因の整理
 リタイア後の就労とメンタルヘルス
  1.関係性
  2.生涯現役社会と健康管理

索引

執筆者一覧

  • 産業医 元福井県立大学看護福祉学部教授 萩原明人 編著
  • 国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部客員部長 九州大学名誉教授 垂水公男 編著
  • 独立行政法人労働者健康安全機構理事長 有賀 徹
  • 環境省環境保健部石綿健康被害対策室室長 長谷川学
  • 国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授 和田耕治
  • 医療法人しょうわ会マネジメント本部長,福岡県社会保険労務士会 藤井 樹
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