忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術
内容
「勤務医は忙しいので」「聖職である医師がお金儲けなんて」……さまざまな理由でマネーリテラシーを磨くことを怠った結果、多くの医師は投資の情報弱者の立場に甘んじています。しかし、医師と資産運用は本当に相容れないものでしょうか? 本業である医業のかたわら株式投資もバリバリこなすスーパー勤務医「Dr.K」が、医師ならではの株式投資術を伝授します。
序文
まえがき
患者さんのために日々頑張っている医師、大切な家族のために働いている医師が、この本を手にしていると思います。世間からは裕福とされる職業ですが、ほんの少し贅沢できるくらいの中富裕層が多いのが現状です。
私は関西に住む35歳の勤務医です。株式投資などの資産運用を始めたのは医師になってからですが、医師に向けた株式投資の本がないことに気付きました。そりゃそうですよね、この職業は一般的には聖職とされています。そして、日本国民にとってお金儲けはその対極にある悪しき存在です。両者は決して相容れることのない、不可侵領域に位置します。日本では、お医者さんはお金のことなんて語ってはいけないのです。お金のことなんて考えず、つつましく清貧で暮らすのが正しい日本人の在り方だから。
それゆえ医師は、資産運用に興味がありながらも、仕事の多忙さも相まって、マネーリテラシーを磨くことができません。投資の情報弱者の筆頭に位置しています。
マイナス金利と消費税増税。この数年の間に、私たち日本人にとって“お金を守る手段”が重要な時代に一気に突入しました。そのため、「お金儲けは悪いことだ」などと声高に偏屈な意見をいっている余裕はなくなってきました。誰が何といおうと、お金は大事です。そのことから目を背けて生きることは、人生において大きな損失です。
さて、医師といえば不動産投資がよく資産運用先として例に挙げられます。私は、ここに株式投資が競合していないのが気に食わない。もちろん不動産投資で成功している医師も大勢いますが、株式投資はもう少しハードルの低い投資先なのにと常々感じています。期待リターンと情報アベイラビリティのバランスが優れていて無用な時間が取られない投資先は、他にありません。
私は、医師がお金の話をしてはならないという暗黙の鉄則をぶち破ることにしました。とはいえ匿名ですから、鉄の扉をドカンとぶち破るというほどのインパクトはなく、ノックをして木の扉を開くくらいの影響しかないかもしれません。
人生は一度しかありません。株式投資を敬遠する人生を、そろそろ終わりにしましょう。
Dr.K
関西に住む35歳勤務医。医師免許を取得した時点で、奨学金の負債600万円を抱えた状態だった。リーマンショック後に株式投資に目覚め、なんとなく資産運用を開始。その後幾度となく挫折を味わう。一から経済の勉強をし直し、アベノミクスに乗じて投資資金を30倍に増やす。現在は忙しい診療科に勤務しているため、主に割安に放置された株への投資(バリュー投資)を心がけている。相場の急落時に想定外の安値に陥った株価(パニック値)に指値注文を置く、逆張り投資がメイン。好きな投資格言は「人の行く 裏に道あり 花の山※」。
日経メディカルOnlineに『Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」』を連載中。
※投資家は、付和雷同に群集心理で動きがちです。しかしそれでは成功は得られない。むしろ他人とは反対のことをやった方が、うまくいく場合が多いという意味です。もちろん、逆のことをやったって、うまくいかないことも多いんですが。
あとがき
株式投資は決して無理をせずに継続することが重要です。同時多発テロ、大地震、金融危機……いろいろな原因であなたの投資した企業の株価は急落します。しかし、暴落時に相場から退場しないでください。それでは、退職金を株につぎ込んで大損した高齢者の「株は危ないからやめておけ」と同じ結果になります。
あなたの投資している企業が健全で、テロや金融危機とは関係なく成長していけるのであれば、株価はきっと戻ります。逆風に耐え忍べば、株式投資の世界で長く生きていくことができます。経験を積めば積むほど、損をしにくくなります。忍耐力とリスク管理力も強くなります。
投資はその人の人生を反映します。大げさな表現かもしれませんが、私が株式投資を続けて実感したことです。その人の性格、過去の体験、メンタルの持ちよう、価値観などなど。突き詰めれば自分とどう向き合うか、という哲学的な領域にまで入ってしまいます。
私が株式投資をやっててよかったと思うこと。たとえば、経済に関する知識が増えたこと。今までは経済ニュースなんてチンプンカンプンでした。それが今では、バラエティ番組よりも経済ニュースを見たくなるほどです。そして、子どもにお金の教育ができるようになったこと。自分の子どもには経済的に不自由はさせたくないものです。お金やお金の流れに関する知識や判断力、すなわちマネーリテラシーを子どもに身に付けさせる土壌を与えることができます。そして、勤務医として役に立っているのは、先を見通すクセがついたことです。株式投資の世界では、その企業の業績だけでなく世の中の経済の動向から、1年後、2年後にどうなっているだろうと考えることが重要です。今は自動運転技術が当たり前になっていますが、株式投資の世界でそれがテーマになっていたのは数年前のことです。個人投資家は、常に情報を先取りして動いています。患者さんを診療する際、この検査を提出してこういう結果だったらどう治療するか、といった一歩先のことを考えながら動きます。勤務医にとって重要な「先を見通す」というスキルが養われる点で、株式投資は非常によいトレーニングになるはずです。
この本を手に取ってくださった勤務医の方々が、少しでも株式投資に興味を持ってくれたら嬉しく思います。ではまた、相場で会いましょう。
医師にとって、株式投資は間違いなく
人生にシナジー効果をもたらすだろう。
目次
概論 もくじ
1 なぜ株式投資をすすめるのか
お金って何ですか?
お金は汚いもの、お金儲けは悪いこと?
投資はリスクの高いギャンブル?
株式投資における「リスク」とは
損をしたくない日本人
医師はマネ−リテラシーが恐ろしく低い
医師が株式投資をする前に覚えておくべきたった1つのこと
目標を明確にする:資産を増やしたいのか安全に運用したいのか
そもそも株式とは
株式投資のメリットとデメリット
株式投資は医師に人気のある投資法である
COLUMN 先物取引で大損した外科医
2 証券会社の開設手順
開設するならネット証券(SBI証券を例に)
実際の口座開設手順(SBI証券を例に)
初回ログイン後設定(SBI証券を例に)
ネット銀行の口座開設は少し遅れる
証券口座とネット銀行口座のユーザーネーム・パスワードなどの変更(SBI証券を例に)
証券口座に買付余力を反映させる(SBI証券を例に)
証券口座を開設したら
証券会社によって違う、売買手数料
COLUMN 日本人はお金の話をしたがらない
3 医師の株式投資スタンス
投資によって本業に支障をきたさないこと
短期投資より中長期投資:デイトレはしないこと
COLUMN 株に没頭して病院を休んだ医師
4 なぜ株式投資なのか
医師になぜ株式投資をすすめるのか
医師はFX、先物、オプション取引を避けるべし
医師と不動産投資
COLUMN 病院にかかってくる不動産投資の電話
5 おさえておきたい最低限の知識
日経平均株価とは、TOPIXとは
東証、マザーズ、JASDAQとは
なぜ株価は企業によって異なるのか
板とチャート
ローソク足
チャートパターン
COLUMN 海外で有名なチャートパターン、カップ・ウィズ・ハンドル(取っ手付きカップ)
6 私の株式投資失敗体験記
流行株で吹っ飛んだ研修医時代のボーナス
バイオ株は医師の専門分野?
システムトレードで損失を積み重ねる
仕手株で損をする
ナンピンで損失
株式投資初期に陥りやすい落とし穴
COLUMN リーマンショック少年
各論 もくじ
1 入口戦略
どの銘柄を買うのか
バリュートラップに注意する
配当利回りに注目する
株主優待に注目する
株を買うタイミング
逆張りと順張りはどちらが正しいのか
どのくらいの金額を買うのか
実際に買うときの操作(SBI証券を例に)
分散投資が基本だが、分散しすぎはダメ
今は株を買える時期なのか
バーチャル株式投資ゲーム
COLUMN 運用資金が大きいほど配当金生活が可能
2 保有戦略
狼狽こそが敵
長期投資はロ−リスクではない
長期保有に向いている株とは
含み益・含み損とうまく向き合う
買い増し:○○ショックは天与の買い場
悪材料と向き合う
医師が株価を確認するタイミング
Buy and holdではダメ
COLUMN 1万円の損失でパニックになった内科医
3 医師が確認すべき事項
株価指数:CME日経平均先物、ドル円、ダウ平均株価の終値
経済指標
雑誌、新聞、テレビ
会社四季報
適時開示情報閲覧サービス(TDnet)
決算
もう少し踏み込んで決算を読んでみる:貸借対照表(バランスシート)とキャッシュフロー
景気サイクル
COLUMN 4億円の資産を築いた看護師
4 出口戦略
買いは技術、売りは芸術
セルインメイ
短期的には急騰は一旦売るのも手
中長期的には上昇トレンドに疑問が出たら一旦売るのも手
売らなければならないとき
恩株(おんかぶ)を作る
グランビルの法則
売りは芸術だが技術でカバー可能
実際に売るときの操作(SBI証券を例に)
医師に多い塩漬け株
含み損にどこまで耐えられるか
損切りは「負け」ではない
自分が死んだら株はどうなるのか
COLUMN 隠れた投資:医師向けポイントサイトとふるさと納税
知っておきたい株式用語
あとがき