脳血行再建術 2版

定価:
19,800円(本体価格18,000円+税)

在庫あり

書誌情報

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サイズ B5判
200頁
ISBN 978-4-498-02951-4
発行日 2016年04月13日

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内容

序文

出版にあたって

 この本を出版する企画が出た当初,約半分は私自身が執筆する計画でしたが,「恥はよくかくけれど,論文はちっとも書かない」怠惰な私に業を切らして,ほとんど全てを宝金先生をはじめとする後輩達が書いてくれました.結果的には,私の稚拙な文章力では表現し得なかったものができ上がった次第です.

 私のバイパスの原点は,今は亡き伊藤善太郎先生(前秋田脳血管研究所脳神経外科部長)に始まります.前大脳動脈の血行再建も橈骨動脈を用いた血行再建も全て,伊藤善太郎先生から手取り足取り教えてもらったものです.しかし,症例を重ねる毎に,自分なりの工夫を加えてきたため原法とは随分異なっています.宝金先生は,私が北海道大学で,血管障害班のチーフになった時に最初にチームに加わった,いわば一番弟子です.しかし,実際には彼の海外留学などもあり,ともに仕事ができた期間はごく短いもので,私のやりかたを何度か見せた程度しか,教えた記憶がありません.彼は典型的な「一を聞いて十を知る」タイプの優れた感性のもち主で,8 年前に私が旭川赤十字病院脳神経外科へ赴任以後は,この本に示されているような視覚的に卓越した血行再建を行っています.実際の方法に関しても,現在私が行っている方法とは異なっている部分も多いのですが,そもそも手術方法には絶対的なものはなく,多くは単なる経験法則に基づいていることが多いので,敢えて細部にはこだわらず,現在彼らが行っている方法が記されています.

 最後に,私どもの血行再建に関する基本原則をいくつか列挙しておきます.まず,血行再建において最も重要なことは,長期のpatency を得ることです.一方,less invasive という観点から捉えると,遮断時間をいかに短縮するかが最も重要になってきます.また,手術の適応やどのような血行再建を行うべきか? の答えも術者毎に異なっております.卓越した技術を有する術者にとっては有用な方法でも,未熟な術者ではかえって危険が伴うこともあり,全てが相対的であり絶対的なものではありません.私ども臨床医にとって何よりも優先されるべきものは患者の予後であることを,真摯に受け止める必要があります.

 血管を吻合する技術そのものは決して難しいものではありません.しかし,有効に運用するには,多くの経験と適切な判断が必要になり,必ずしも容易ではありません.これは血行再建に限らず手術全般にいえることですが,誰がやるかが重要なのではなく,どうやるかが重要なことです.この本に示された血行再建を全ての脳神経外科医がマスターする必要はありません.血行再建が好きでこの部門のスペシャリストを志す若い先生達に少しでも参考になれば幸いです.


2000 年3 月28 日
上山博康

目次

目次


Chapter 1 血管吻合の基本 〈杉山 拓 寳金清博〉
 1 バイパス手術の分類
 2 バイパスに必要な基本的技術
  1.donor の剝離
  2.donor の断端形成
  3.Recipient の選択
  4.準備完了(バイパスにとりかかる前に)
  5.動脈遮断
  6.動脈切開
  7.縫合の手順と基本的技術
  8.顕微鏡操作と吻合動作の連動
  9.深部縫合

Chapter 2 基本練習と理論 〈杉山 拓〉
 1 トレーニングの意義
 2 予備的練習
  1.針糸の把持
  2.運針
  3.糸結びの練習
  4.顕微鏡操作との連動
  5.その他の練習法や工夫
 3 実践的練習
  1.手術の概要
  2.セッティングとラットの頸部解剖
  3.前頸正中切開
  4.頸動脈の確保
  5.喘側吻合
  6.Half‒ring bypass
 4 手術の実

Chapter 3 中大脳動脈・前大脳動脈領域に対する血行再建術 〈杉山 拓 寳金清博〉
 1 浅側頭動脈-中大脳動脈バイパス手術
  1.皮膚と浅側頭動脈の外科解剖
  2.体位と皮膚切開
  3.STA 剝離
  4.側頭筋切開と開頭
  5.Recipient の選択と手術計画
  6.Recipient の処理,バイパスの準備
  7.吻合
  8.遮断解除と縫合の完成
  9.バイパス完成後の閉頭
 2 その他の特殊なバイパス
  1.静脈を介在した浅側頭動脈‒中大脳動脈バイパス術
  2.中大脳動脈‒中大脳動脈吻合術
 3 前大脳動脈への血行再建
  1.A3‒A3 side to side anastomosis
  2.STA‒RA(STA)‒ACA Bonnet bypass

Chapter 4 椎骨動脈領域に対する血行再建術〈中山若樹 数又 研 寳金清博〉
 1 STA‒SCA 吻合術(浅側頭動脈‒上小脳動脈吻合術)
 2 錐体骨先端部削除の活用
 3 後大脳動脈再建
  1.PCA に対するhigh flow bypass
  2.PCA に対するmiddle flow bypass
 4 OA‒PICA 吻合術(後頭動脈‒後下小脳動脈吻合術)
  1.後頭動脈の解剖
  2.手 術

Chapter 5 もやもや病に対する血行再建術 〈数又 研 寳金清博〉
 1 間接的血行再建とは
 2 間接的血行再建単独による治療
 3 複合血行再建術
  1.皮切
  2.浅側頭動脈の剝離
  3.筋肉剝離
  4.Burr Hole
  5.開頭(STEP 5)
  6.Pterion 部の骨切除(STEP 6)
  7.硬膜オープン(STEP 7)
  8.直接的バイパス(STEP 8)
  9.硬膜の折り込み(STEP 9)
  10.EDAMS(STEP 10)
  11.閉頭(STEP 11)
  12.変法
  13.追加手術

Chapter 6 Radial artery graft を用いたhigh flow bypass 〈杉山 拓 寳金清博〉
 1 橈骨動脈の解剖
 2 手術手順
  1.橈骨動脈の採取
  2.頸部内頸動脈,外頸動脈の露出
  3.開頭
  4.橈骨動脈の通過ルートの確保(1)
  5.橈骨動脈の通過ルートの確保(2)
  6.アシストバイパスの作成
  7.RA‒M2 吻合
  8.ECA‒RA 吻合
  9.バイパス完成後
  10.閉創

Chapter 7 内頸動脈血栓内膜剝離術(CEA) 〈寳金清博 中山若樹〉
 1 頸部の血管外科に必要な表面解剖
 2 頸部の血管外科に必要な深部解剖
 3 手術手順
  1.患者体位,セットアップ
  2.皮切
  3.広頸筋のカット
  4.静脈の処理
  5.動脈確保
  6.血管遮断と内シャント挿入
  7.血栓内膜剝離
  8.動脈縫合
  9.シャントチューブ抜去,遮断解除
  10.終了
 4 術後のトラブル回避
  1.虚血性の合併症
  2.出血性合併症

Chapter 8 脳動脈瘤手術のためのアシストバイパス 〈中山若樹〉
 1 幅広の中大脳動脈瘤に対するアシストバイパス
 2 中大脳動脈瘤に対するアシストバイパスから分岐血管alteration への移行
 3 Radial artery による腕挙げアシストバイパス
  1.コンセプト
  2.手術の手順
  3.腕挙げアシストバイパスの意義

Chapter 9 脳血行再建術に必要な脳循環動態の知識 〈数又 研〉
 1 もやもや病
 2 脳動脈瘤手術のアシストバイパス
  1.血栓化,大型中大脳動脈瘤におけるアシストバイパスについて
  2.内頸動脈瘤

文献
索引

執筆者一覧

  • 寳金 清博 編著
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