早期食道癌内視鏡ハンドブック
- 定価:
- 14,300円(本体価格13,000円+税)
在庫なし
書誌情報
| サイズ | B5判 |
|---|---|
| 頁 | 166頁 |
| ISBN | 978-4-498-04152-3 |
| 発行日 | 1997年11月01日 |
内容
食道癌の内視鏡による早期診断と治療法の実際を,これから学ぼうとする方々が十分に理解し,実施することができるように解説した入門書であるとともに,日頃,本検査にあたる方々にとっても自己の能力のブラッシュアップに役立つハンドブックである.検査のコツ,注意点や内視鏡像のみかた,診断の考え方,内視鏡的治療手技などを写真,シェーマを多用してビジュアルにわかりやすく示した.内視鏡でこれだけは見てほしい,これは見落とさないでほしいなど,実践的に解説した.
序文
序
早期食道癌に遭遇する機会は著しく増加した.年間100余例扱う食道癌の半数以上が表在癌であり,その過半数が粘膜癌である.外国ではまだ表在癌が少ないようであるが,本邦では既に誰でも見たことのある馴染み深いものとなっている.これは,直視の細径内視鏡とヨード染色の普及によるものであろう.
本書では早期食道癌を発見するためにはどうしたらよいか,その治療方針決定のために必要な事項とその診断,内視鏡的治療のノウハウなど,基礎から臨床の最先端までがわかりやすく述べられている.早期食道癌の内視鏡について,入門書となると共に,何かの折に疑問に思ったことについて,一寸ひもといてみるのに最適で,内視鏡室に,医局の机の上に,1冊置いておくべきものとなったと思っている.
食道癌は扁平上皮に発生した扁平上皮癌が95%以上を占め,腺癌である胃癌や大腸癌とかなり異なる.凹凸に乏しく,アレアの変化やピットパターンの変化は認められず無愛想な顔付きをしている.観察は接線方向となり唾液や粘液を洗い流さなければ粘膜癌の発見は困難であり,基底層型上皮内癌ではどう見ても見えないということになる.そのうえ,粘膜癌のうちはリンパ節転移はまずないと言ってよいが,粘膜下層癌となると一気に半数近くの症例にリンパ節転移を生じて,進行癌ともいうべき病態を呈する.しかし,そんな食道癌ではあるが,胃より優れている点が1つある.それは,ヨード染色さえ行えば誰にでも粘膜癌が発見できるということであり,病巣の範囲を正確に把握できるということである.食道癌の外科的根治術は極めて侵襲が大きく,かつ,術後のQOLに及ぼす影響も甚大である.本書を参考にされ,1例でも多くの粘膜癌が発見され,内視鏡的粘膜切除術で治療されれば,編者達にとって無上の喜びである.
さて,執筆者としては新進気鋭の食道専門医を選び,最新の内容を網羅した.さらに,編者が全て目を通し,内容の不揃いを改め,読者が理解しやすいように統一を図った.この書籍を広く世に問い,読者の御批判を仰ぎたい.
本書の発行にあたっては中外医学社の皆様の絶大なる御協力があったればこそであり,遅れそうになる度に重ね重ねの電話連絡,日曜・休日を何日もつぶしての出社等,心から感謝している.特に,荻野邦義,上村裕也両氏に御礼を申し述べたい.
1997年10月
幕内博康
吉田 操
神津照雄
目次
目 次
§1.食道内視鏡の進歩と発展 <熊谷義也>
1.世界における内視鏡の歴史
2.flexible fiberscopeの開発
3.本邦における食道ファイバースコープの開発
4.細径パンエンドスコープの開発
5.食道色素法の発達
6.チオ硫酸ナトリウム sodium thiosulfateの応用
7.将来の展望
§2.食道内視鏡検査
A.食道内視鏡検査ではどんな準備が必要か <小山恒男>
1.心構えはどうするか
1.スクリーニング
2.精密検査
2.どんな機器,どんな薬剤を用意すべきか
1.用意すべき内視鏡機種
2.用意すべき薬剤
3.前処置をどうするか
1.前投薬
2.前処置
B.食道の観察はどうしたらよいか
1.苦しくない挿入法 <水谷郷一>
1.準備,前処置
2.苦痛のない挿入法の実際
2.内視鏡に必要な食道の解剖 <村岡 実,神津照雄,舟波 裕,磯野可一>
1.口腔の解剖
2.咽頭の解剖
3.縦隔の解剖
4.横隔膜部の解剖
5.食道壁の構造
6.血管系の解剖
7.リンパ系の解剖
8.神経系の解剖
3.食道内視鏡検査の目標と注意点は何か <玉井拙夫>
1.開口部および口腔の観察
2.下咽頭から食道入口部
3.頸部食道および胸部上部食道
4.胸部中部食道・下部食道
5.腹部食道と食道-胃接合部
C.食道内視鏡写真をうまく撮るには <長野正裕>
1.撮影前の心構え
2.使用する内視鏡機種と周辺機材
1.ファイバースコープ
2.電子スコープ
3.光源
4.画像記録
3.機材の最終チェックと撮影直前の準備
1.レンズ面の清浄
2.吸引機構,送気・送水機構の確認
4.撮影中の心構えとその実際
1.通常観察像の撮影
2.色素内視鏡像の撮影
5.撮影後の整理と反省
6.症例
§3.食道癌の早期診断
A.早期食道癌とは <吉田 操>
1.早期食道癌の基本的条件
2.食道早期癌は粘膜癌である
3.粘膜癌の病理組織学的特徴
B.早期食道癌の臨床病型分類とは <吉田 操>
1.0-II型病変は粘膜癌である
2.粘膜癌の病型
3.粘膜癌の肉眼所見
1.0-IIa型
2.0-IIb型
3.0-IIc型
4.病型分類上の問題点
C.食道癌のhigh risk groupとスクリーニングについて <宮治正雄,幕内博康>
1.食道癌のhigh risk groupとは
1.食道癌と年齢,性
2.食道癌と喫煙
3.食道癌と飲酒
4.食道癌と頭頸部癌
5.その他
2.内視鏡による食道癌のスクリーニングをどう行うか
3.食道集検における効率
D.食道癌の内視鏡観察項目は何か <神津照雄>
1.深達度診断
2.多発病巣も含めた癌の広がりの診断
3.特殊な組織型の診断
E.色素内視鏡のすべて
1.ヨード染色法 <神津照雄>
1.ヨード染色法の実際
2.ヨード染色を必要とする対象症例
3.ヨード染色後の対応
2.トルイジンブルー染色 <松本克彦>
1.トルイジンブルー染色の基本原理
2.トルイジンブルー染色の意義
3.トルイジンブルー染色の基本手技
4.早期食道癌の染色所見
1.0-IIa型
2.0-IIb型
3.0-IIc型
3.二重染色法 <門馬久美子>
1.染色の目的
2.方法
1.前処置
2.二重染色
3.食道粘膜癌の診断
1.平坦型(IIb)の深達度診断
2.軽度陥凹型(IIc)の深達度診断
4.チオ硫酸ナトリウムの基礎 <村上雅彦,亀山秀人,草野満夫>
1.チオ硫酸ナトリウムとは
2.ヨウ素に対する作用
3.使用方法
4.副作用予防以外の利点
5.ヨード染色とチオ硫酸ナトリウムの臨床応用 <米川 甫>
1.薬剤と注入方法
2.チオ硫酸注入の成績
1.食道内視鏡所見の変化
2.チオ硫酸注入後の自覚症状の改善
3.トルイジンブルー染色の促成化への応用
F.深達度はどこまで読めるか <有馬美和子,神津照雄,小出義雄,磯野可一>
1.内視鏡による深達度診断
2.超音波内視鏡による深達度診断
3.IIc型の診断
1.内視鏡診断
2.EUS診断
3.症例
4.IIa型の診断
1.内視鏡診断
2.EUS診断
G.内視鏡でここまでわかる <吉田 操>
1.内視鏡所見と組織型
1.0-Isep型をみたとき何を考えるか
2.0-Ip
2.壁内転移巣
H.内視鏡でみえる微小ヨード不染帯とは <島田英雄,幕内博康>
1.微小ヨード不染帯とは
2.微小ヨード不染帯の病理診断
3.微小ヨード不染帯の内視鏡観察での鑑別診断は可能か
4.内視鏡で観察される10mm以下のヨード不染帯は何か
5.食道癌に併存する5mm 以下のヨード不染帯は何か
6.微小ヨード不染帯の臨床的意味は何か
7.微小ヨード不染帯をどのように取り扱うか
I.食道癌と紛らわしい疾患は <菅 知也,門馬久美子,吉田 操>
1.0-IIa型と鑑別すべき隆起性病変
1.glycogenic acanthosis
2.乳頭腫 papilloma
3.hyperkeratosis, hyperparakeratosis
2.0-IIb型と鑑別すべき平坦病変
1.ヨード不染帯の鑑別
2.異型病変と0-IIb
3.0-IIc型と鑑別すべき陥凹性病変
1.異所性胃粘膜 ectopic gastric mucosa
2.食道炎 esophagitis
3.薬物性食道潰瘍 drug induced esophageal ulcer
§4.早期食道癌の内視鏡的治療
A.早期食道癌の治療法にはどんなものがあるか <神津照雄>
1.早期食道癌の治療法の種類と変遷
1.組織破壊法
2.組織回収法
2.早期食道癌の内視鏡的治療におけるインフォームドコンセント
1.癌の治療的意味合い
2.癌の診断的意味合い
3.内視鏡的粘膜切除術の今後の問題点
B.内視鏡的食道粘膜切除の適応を考える <河野辰幸>
1.食道表在癌の臨床病理
1.外科切除例の治療成績
2.癌深達度とリンパ節転移,脈管内侵襲
3.深達度と臨床病型
4.病変の大きさと脈管内侵襲
5.脈管内侵襲,導管内伸展の部位とリンパ節転移部位
2.粘膜切除術の現状からみて
1.内視鏡的食道粘膜切除術式
2.内視鏡的食道粘膜切除による切除領域
3.食道におけるEMRの安全性
3.臨床診断の現状からみて
4.内視鏡的粘膜切除の適応
C.内視鏡的粘膜切除術の手技と成績は
1.EEMR-tube法 <幕内博康>
1.EEMR-tube法
1.準備するもの
2.前処置
3.手技
4.手技上の注意点
2.EEMR-tube法の成績
2.EMRC法 <井上晴洋,河野辰幸,竹下公矢>
1.定義と特徴
2.器具について
3.手技
3.ダブルチャンネル法 <門馬久美子>
1.使用する器具と薬剤
1.使用する処置具
2.使用する薬剤
2.内視鏡的粘膜切除手技
1.粘膜切除の方法
2.2チャンネル法の手技のコツ
3.完全切除の判定
3.粘膜切除の治療成績
1.対象症例
2.合併症
3.食道潰瘍の治癒経過
4.分割切除例における完全切除と局所再発
5.粘膜切除例の予後
D.EMR 後の標本の取扱いをどうするか <川村 徹,滝澤登一郎,小池盛雄>
1.切除標本の取扱い方とその検索方法
1.新鮮切除標本の伸展・固定
2.固定標本の実体顕微鏡写真撮影と切り出し
2.病理診断およびその問題点
1.食道表在癌の深達度の評価
2.切除断端の評価
3.分割切除の問題
E.内視鏡的粘膜切除術の術後管理はこうする <千野 修,幕内博康>
1.術後の自・他覚症状
2.入院期間
3.術後の食事管理
4.輸液管理
5.抗生物質の投与
6.粘膜保護剤,制酸剤
7.その他
F.EMR後の諸問題を考える <吉田 操>
1.断端
1.切除度の定義
2.臨床的不完全切除の頻度
2.m3, sm1癌をどう治療するか
1.m3, sm1症例に対するEMRの適応
2.m3, sm1症例に対するEMRの成績
3.follow up
1.局所再発の有無
2.異時性重複癌の検索
G.偶発症の予防とその対策は <幕内博康,千野 修>
1.食道におけるEMRの合併症とその頻度
1.全国集計による合併症と頻度
2.自験例の合併症と頻度
2.合併症の原因・予防・対策
1.食道穿孔
2.動脈性出血
3.狭窄
4.食道静脈瘤出血
5.その他の偶発症
索 引
コラム
内視鏡検査にsedationは必要か
食道内視鏡検査で見落しやすい部位はどこか
ヨード染色を上手に行うには
ヨード染色で苦痛を訴えるとき
ヨード染色でヨード過敏症は大丈夫か
深達度診断は内視鏡かEUSか
EMR後にH2blockerやPPIは必要か