目 次
I.Basic Neuroscience
1.神経生理
1) | 脊髄損傷の回復機構 〈西村幸男 伊佐 正〉 | |
霊長類の皮質脊髄路: 古くて新しい問題
皮質脊髄路損傷後における機能回復の神経メカニズム
2) | 神経根磁気刺激法の開発 〈松本英之 宇川義一〉 | |
最大上刺激の達成(頸部)
最大上刺激の達成(腰仙部)
馬尾伝導時間の測定
大脳皮質脊髄円錐部運動伝導時間の測定
末梢神経疾患への応用と課題
2.神経病理
1) | PSPでの小脳病変 〈代田悠一郎 宇川義一〉 | |
PSPにおける小脳病変の概要
PSPにおける運動失調の見直し: PSP with cerebellar ataxia
病態生理学的な意義づけ
PSPの亜型と小脳病変
2) | 中枢神経疾患・筋疾患とアクアポリン 〈星 明彦 宇川義一〉 | |
中枢神経系に発現するAQP
AQPの水チャネル以外の隠れた機能
中枢神経系の浮腫病態とAQP4の関係
中枢神経疾患とAQP
骨格筋に発現するAQP
筋疾患とAQP
3.生化学(分子生物学)
1) | 嗅覚系による情動や行動の制御メカニズム 〈小早川 高 小早川令子〉 | |
嗅覚系と情動や行動との関係
マウスに存在する複数の嗅覚サブシステム
同種動物間の社会コミュニケーション行動の制御
警戒フェロモンや天敵に対する恐怖行動の制御
匂い分子に対する忌避行動の制御
嗅覚研究の将来
2) | 神経筋疾患のRNAi治療の展望 〈久保寺隆行 仁科一隆 横田隆徳〉 | |
ウイルスベクターを用いたRNAi遺伝子治療
非ウイルスベクターを用いたRNAi遺伝子治療
4.画像
1) | 脳腫瘍の低酸素イメージング 〈久慈一英〉 | |
低酸素描出メカニズム
18F-FMISOによる低酸素イメージング
新しい脳腫瘍低酸素イメージング薬剤の開発
低酸素イメージングの臨床利用
2) | Susceptibility-weighted imaging(SWI): 中枢神経疾患への応用 〈井田正博〉 | |
SWIの原理
SWIの臨床応用
3) | PET/CT,PET/MRI,SPECT/CT 〈今泉昌男〉 | |
PET/CT
PET/MRI
SPECT/CT
II.本年の動向
1) | ADNIとJ-ADNI 〈岩坪 威〉 | |
米国ADNIとその進捗
J-ADNIの成立と現状
今後の動向
2) | 神経難病とQOL 〈小森哲夫〉 | |
神経難病のQOL向上の考え方
身体症状とQOLの改善
症状の緩和とQOLの向上
QOL評価と心理支援
社会生活とQOL
QOL向上は多専門職種の取り組みが必要
3) | 脳卒中リハビリテーションにおける医療連携システム 〈辻 哲也〉 | |
脳卒中診療の動向と医療連携システムの必要性
脳卒中リハビリテーションの流れ
脳卒中診療の機能分化と連携
病期別の診療計画の特徴
脳卒中における連携パスのあり方
4) | 神経障害性疼痛(神経障害痛)とその治療 〈細川豊史〉 | |
神経障害性疼痛とは
神経障害性疼痛の分類と診断
神経障害性疼痛の治療
薬物治療
5) | サリドマイドと神経治療 〈桑原 聡〉 | |
サリドマイド薬害の歴史と再評価
Crow-Fukase(POEMS)症候群
多発性硬化症
神経サルコイドーシス
てんかん,脳炎
神経変性疾患
今後の展望
6) | 脳科学と倫理 〈福士珠美〉 | |
多分野融合型学際研究としての脳神経倫理推進の仕組み
脳神経倫理研究のグローバル化
脳神経科学研究者と脳神経倫理―研究倫理とレギュラトリー・サイエンス,科学コミュニケーションの実践の重要性
7) | プリオン病の髄液診断の可能性 〈新 竜一郎 佐藤克也〉 | |
生化学的マーカーの検討・限界
髄液からの異常型PrPの検出
8) | 運動ニューロン疾患の病態に基づく画期的治療の開発 〈坂野晴彦 井口洋平 勝野雅央 鈴木啓介 祖父江 元〉 | |
SBMAに対する分子標的治療
ALSに対する分子標的治療
9) | 神経疾患の遺伝子診断ガイドライン 〈後藤 順 辻 省次〉 | |
ガイドラインの概要
ガイドラインのいくつかの注意点
遺伝子診断に関連する問題および今後
III.各種疾患
1.感染・炎症疾患
1) | 結核性髄膜炎に対する迅速・高感度診断法 〈高橋輝行 田村正人 田宮 崇 高須俊明〉 | |
結核菌の核酸増幅法
PCR法による結核性髄膜炎の診断
結核性髄膜炎に対する迅速・高感度診断法の新規開発
2) | 真菌性髄膜炎の診断と治療―最近の動向 〈柴田 護〉 | |
クリプトコッカス髄膜炎
カンジダ髄膜炎
2.脳血管障害
1) | 脳卒中治療ガイドライン2009 〈伊藤義彰 鈴木則宏〉 | |
脳卒中一般
脳梗塞・TIA
脳出血
くも膜下出血
無症候性脳血管障害
その他の脳血管障害
リハビリテーション
2) | TIA(Transient Ischemic Attack; 一過性脳虚血発作) 〈卜部貴夫〉 | |
TIA後の脳梗塞発症頻度
TIAのリスク評価スコア
TIAの早期診断と早期治療の重要性
TIAの概念の変遷とガイドライン
3) | 脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療 〈甲賀智之〉 | |
治療計画の進歩
他の治療モダリティーとの併用
有害事象への対応
大型病変に対する治療
疫学および基礎研究
3.脳腫瘍
1) | 神経膠腫に対する分子標的薬(アバスチン)治療 〈永根基雄〉 | |
悪性神経膠腫と血管新生
Bevacizumabによる悪性神経膠腫の治療・臨床試験
Temozolomide治療後の再発悪性神経膠腫に対するbevacizumab単独療法の自験例
Bevacizumabの抗腫瘍機序
Bevacizumab療法の有害事象
Bevacizumab療法に対する治療効果の予測
Bevacizumab治療における問題点
2) | 神経膠腫のgenome-wide sequencing 〈園田順彦 冨永悌二〉 | |
膠芽腫の発生に関与する3つの経路の解析
IDH1遺伝子
GBMの遺伝子分類
3) | 脳腫瘍手術におけるfunctional neuronavigation 〈鎌田恭輔〉 | |
Functional neuronavigation
術中画像とNeuronavigation
4.外傷
1) | 頭部外傷後の高次脳機能障害 〈中村俊規〉 | |
認知リハビリテーションの世界的現状
高次脳機能障害の中核症状
神経再生と脳内環境
心的外傷をふまえた精神症状分類の新たな試み
脳外傷における心的外傷,その実在と影響
診断と,損害賠償上の諸問題
高次脳機能障害,将来のリハビリテーションとは?
2) | 脊髄損傷慢性期に対する嗅粘膜移植法 〈大西諭一郎 岩月幸一 吉峰俊樹〉 | |
脊髄損傷の病態
急性期から亜急性期の移植療法
慢性期の移植療法
嗅粘膜移植術
5.変性疾患
1) | 脊髄小脳失調症31型(SCA31) 〈石川欽也 佐藤 望 網野猛志 新美祐介 融 衆太 水澤英洋〉 | |
16番染色体長腕連鎖型の発見からpuratrophin-1まで
臨床像と神経病理所見
原因遺伝子の同定とSCA31の命名
SCA31の原因は5塩基(TGGAA)nなどを含む非翻訳リピート
SCA31の病態はまだ謎
2) | CARASILの臨床・病理像と病態機序 〈野崎洋明 西澤正豊 小野寺 理〉 | |
歴史的背景
CARASILの疫学
CARASILの臨床
CARASILの神経画像所見
CARASILの診断
CARASILの病理所見
CARASILの病態仮説
3) | パーキンソン病の発症関連遺伝子多型 〈戸田達史 佐竹 渉〉 | |
多因子遺伝性疾患としての孤発性パーキンソン病と発症関連遺伝子多型
ゲノムワイド関連解析(GWAS,ジーバス)とは
パーキンソン病の大規模GWAS
新規感受性遺伝子について
稀な多型(rare variant)とゴーシェ病
6.中毒・代謝疾患
1) | Gilles de la Tourette症候群をめぐる最近の話題 〈金生由紀子〉 | |
臨床症状・表現型
疫学
神経心理及び神経生理
脳画像
遺伝子解析
薬物療法
薬物以外の治療法
GTS研究の展望
2) | 糖尿病の血糖管理と脳卒中 〈高橋愼一〉 | |
糖尿病と脳卒中(脳梗塞)の疫学研究
糖尿病の診断基準とHbA1c表記
脳卒中危険因子としてのIFGとIGT
高血糖と血管障害のメカニズム
厳格な血糖管理と大血管症予防
低血糖予防と血糖変動抑制
複合因子の管理
脳卒中急性期の高血糖管理
脳に対するインスリンの作用
7.脱髄・免疫性疾患
| GBSとガングリオシド複合体抗体―最近の知見 〈楠 進〉 | |
GBSにおけるガングリオシド複合体に対する抗体
ガングリオシド複合体抗体の産生機序
他のニューロパチーにおけるガングリオシド複合体抗体
単独のガングリオシドに特異的な抗体と複合体の反応
今後の検討課題
8.末梢神経障害
1) | CIDPの遺伝子多型と治療反応性 〈飯島正博 小池春樹 祖父江 元〉 | |
EFNS/PNSによる診断基準
ギラン・バレー症候群とacute-onset CIDPの鑑別
CIDPの多様性; 治療反応性を規定する臨床因子
CIDPの遺伝子多型と治療反応性
FcγRIIBによるCIDP病態機序
2) | 家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)の肝移植と新たな治療の開発 〈安東由喜雄〉 | |
エビデンスとしての肝移植
肝移植の問題点
ドミノ肝移植
対症療法
TTRの四量体の安定化作用によるFAPの治療―NSAIDs誘導体,Cr
3+ 遺伝子発現をターゲットにした治療
抗体治療
その他のミスフォールディングをターゲットにした治療
眼アミロイドーシスに対する新たな治療の試み
9.筋肉疾患
1) | 針を刺さない筋電図の可能性: Clustering Index(CI)法について 〈園生雅弘 上杉春雄 東原真奈 Erik Stalberg〉 | |
表面電極による検査: 従来の試み
高密度表面筋電図(HD-SEMG)
運動単位数推定(motor unit number estimation; MUNE)
Clustering Index(CI)法の開発と臨床応用
2) | 抗MuSK抗体陽性重症筋無力症 〈木村政勝 白石裕一〉 | |
神経筋接合部の病態
臨床像
治療
10.自律神経疾患
1) | 皮膚生検による自律神経機能評価 〈林 理之〉 | |
皮膚の神経支配と神経を染色するマーカー
皮膚末梢神経の病理学検索のための皮膚生検の手順
皮膚生検で得られる病理的指標
各種神経疾患と皮膚生検
皮膚生検とα-synuclein
2) | 体位性頻脈症候群(PoTS) 〈田村直俊〉 | |
概念
診断基準
臨床的特徴
分類
関連病態
発生機序
治療
11.機能性疾患
1) | 頭痛とボツリヌストキシン 〈有村公良〉 | |
これまでの経緯と現状
頭痛に対するBoNTの作用機序
その他の頭痛
2) | 難治性てんかんに対する迷走神経刺激療法 〈川合謙介〉 | |
実験研究,作用機序など
小児てんかんに対する効果
全般てんかんに対する効果
てんかんを伴う特殊症候群における効果
刺激条件,実用的問題,副作用など
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