目 次
I.呼吸器系の生物学
1. | 呼吸器疾患とiPS細胞 〈星野勇馬〉 | |
幹細胞から肺細胞および肺前駆細胞への分化法
幹細胞を用いた肺疾患の再生治療
2. | 呼吸器疾患におけるIL-17 〈星野友昭 中川原寛子 西山 守〉 | |
ナイーブCD4陽性T細胞はTh1細胞,Th2細胞,Treg細胞とTh17細胞に分化する
IL-17
IL-23はTh17細胞からのIL-17A,IL-17F,IL-21,IL-26,CCL20を強く産生させる
iNKT細胞,CD8陽性T細胞,γδT細胞やlymphoid tissue inducer-like細胞もIL-17を産生する
IL-17受容体は気道上皮に発現し,IL-17AはIL-17受容体を介しCXCケモカインを誘導し,好中球・マクロファージを活性化する
IL-17Aは抗炎症作用をもつ
IL-17Aは気道上皮細胞からムチン産生を誘導し嚢胞性線維症を悪化させる?
気管支喘息モデルでIL-17は喘息の重症化に関与する
Th17細胞がステロイド抵抗性喘息の病態に関与している可能性がある
IL-17はCOPD患者の肺の病変部に発現している 今後の研究と課題
3. | 呼吸器疾患: 感受性遺伝子 〈瀬戸口靖弘〉 | |
COPDと呼吸機能
喘息
間質性肺炎
急性肺障害
肺癌
4. | 細胞老化とIPF 〈原 弘道 荒屋 潤 桑野和善〉 | |
細胞老化とは
細胞老化と各種疾患
細胞老化とIPF
COPDとIPFの細胞老化の相違点
5. | MicroRNAと呼吸器疾患 〈高橋史行 佐藤 匡 高橋和久〉 | |
肺癌とmiRNA
呼吸器疾患とmiRNA
今後の展望
6. | 気道のアクアポリン 〈礒濱洋一郎〉 | |
気道のAQP局在とその役割
気道疾患とAQP類の発現
一酸化窒素(NO)とAQP5
呼吸器疾患治療薬の作用とAQPs
7. | ニューデリー・メタロβラクタマーゼ(NDM-1) 〈舘田一博 石井良和〉 | |
メタロβラクタマーゼ
NDM-1の特徴
blaNDM-1遺伝子を保有するプラスミドの特徴
NDM-1産生菌の特徴
NDM-1産生菌による感染症の治療
8. | 肺癌とHIFs 〈柳 重久 三好かほり 坪内拡伸 中里雅光〉 | |
HIFs機構
他の転写因子とHIFの相互作用
HIFによる遠隔転移制御
癌幹細胞とHIF
肺癌とHIF
HIF標的癌治療戦略
9. | 転写コアクチベーターTAZと肺の発生・発達および肺気腫への関与 〈長瀬隆英〉 | |
転写コアクチベーターTAZについて
TAZノックアウトマウスの作成と解析
TAZノックアウトマウス肺における遺伝子発現の解析
II.疾患の病因と病態
1. | 特発性肺線維症のガイドライン 〈海老名雅仁〉 | |
新しいガイドラインの目的
結論の要約
推薦される治療
危険因子
診断
画像の診断基準
病理組織の診断基準
今後の課題
2. | 非線形ダイナミクス解析 〈越久仁敬〉 | |
なぜ病態の解析に非線形ダイナミクスが重要なのか?
気道構造のフラクタル性: 致死性喘息に至る気道狭窄のメカニズム
肺組織のネットワーク構造: 肺気腫の進展機構
肺機能指標の長期の時系列相関: 疾患増悪の予測,薬剤反応性の予測
呼吸運動の非線形ダイナミクス: 集中治療室におけるモニタリング,ウィーニング予測
3. | 気管支喘息病態における気道バイオマーカー 〈冨田桂公 東田有智〉 | |
呼気ガス分析
呼気凝集液分析
揮発性有機化合物(VOC)
4. | COPDの発症に関与する喫煙感受性規定遺伝子 〈山口佳寿博〉 | |
Candidate-gene association study(CGAS)
Genome-wide association study(GWAS)
5. | 肺腺癌におけるEGFRとKRAS 〈谷田部 恭〉 | |
EGFR遺伝子変異の検出方法
KRAS遺伝子変異と浸潤性粘液癌
6. | 肺癌とCancer-associated fibroblast(CAF) 〈十合晋作 高橋和久〉 | |
癌関連線維芽細胞の起源
微小環境におけるCAFの作用
肺癌における癌関連線維芽細胞の作用
肺癌における癌関連線維芽細胞の臨床的検討
癌間質線維芽細胞を標的とした治療
7. | COPDとセロトニントランスポーター 〈石井健男〉 | |
セロトニントランスポーターの役割: 分子生物学的側面から
セロトニントランスポーターの脳・喫煙感受性における役割
セロトニントランスポーターの肺局所における役割
セロトニントランスポーターとCOPD: 関連遺伝子解析の結果を中心に
セロトニントランスポーターとCOPD: 併存症における役割
8. | UCTD 〈滝澤 始〉 | |
UCTDの概念
関連する疾患とUCTDの問題点
自己抗体と肺病変,とくにIPの関連について
UTCDとIIP
UCTD-ILDの現状での理解と疑問: 今後の課題
9. | 特発性肺線維症と肺癌 〈後藤明輝 李 治平 深山正久〉 | |
疫学的事項
病理学的事項・分子異常
注目すべきトピック
III.診断の進歩
1. | 右心不全の診断 〈佐藤 徹〉 | |
2. | 肺がん集団検診ガイドライン 〈遠藤千顕 近藤 丘〉 | |
理想的な肺がん集団検診ガイドラインとは
実際の肺がん集団検診ガイドライン
3. | モストグラフによる気道メカニクスの評価―末梢気道の解釈をめぐって― 〈黒澤 一 大石淳一〉 | |
FOTが測定するもの
測定原理
FOTの発展の経緯
FOTの特徴
モストグラフの特徴
呼吸周期依存性
気管支喘息管理における有用性
周波数依存性の解釈
4. | 肺がん診断とCirculating tumor cells(CTC) 〈木村英晴 西尾和人〉 | |
バイオマーカー研究においてCTCが注目を浴びている
CTCの検出方法
新たなCTC検出法
肺がんにおけるCTC研究の現状と問題点
5. | Procalcitoninの臨床的意義 〈渡辺雅人 田村仁樹 石井晴之〉 | |
PCTの構造と意義
市中肺炎(CAP)におけるPCTの意義
PCTガイド下の抗菌薬治療
結核感染症におけるPCTの意義
6. | 呼吸器感染症の迅速診断 〈長谷川直樹〉 | |
ICTなど免疫反応を用いる検査
遺伝子診断
迅速検査の意義とその活用
7. | RECIST ver.1.1の臨床的意義 〈渡辺裕一〉 | |
臨床試験のツールであるRECIST: 目的と対象
臨床試験のツールであるRECIST: 方法
RECISTの臨床的意義
IV.治療の進歩
1. | 気管支喘息と抗コリン薬 〈横江琢也 足立 満〉 | |
抗コリン薬の作用機序
新しい薬理作用
喘息と迷走神経
気道炎症,杯細胞過形成に対する作用
気道平滑筋の肥厚に対する作用
気道リモデリングの抑制機構
喘息と抗コリン薬
2. | COPDに対する新規β2刺激薬治療 〈南方良章 一ノ瀬正和〉 | |
β2刺激薬の作用機序
短時間作用型と長時間作用型
我が国で使用可能なβ2刺激薬の現状
新たなLABAに求められる事項新たなLABA(Ultra-LABA)
合剤としてのLABAの使用
3. | ARDSにおける肺保護戦略 〈山田芳嗣〉 | |
人工呼吸に起因する肺傷害―VILIとVALI
VILIおよびVALIの力学
肺保護戦略
4. | 喘息に対する抗サイトカイン療法 〈町田健太朗 東元一晃 井上博雅〉 | |
喘息の病態とサイトカイン
抗サイトカイン療法
サイトカイン療法
今後の展望
5. | 新しい局面を迎えたLAM治療 〈安藤克利 瀬山邦明〉 | |
これまでの治療
病態解明の進歩
CAST試験
MILES試験今後の課題
今後の治療の展望
6. | 二次性肺高血圧治療の考え方 〈坂巻文雄〉 | |
PAHの治療: 肺血管拡張薬の進歩
膠原病関連高血圧症
呼吸器疾患に伴うPH
その他の主な二次性肺高血圧
7. | 肺疾患における免疫抑制剤 〈権 寧博 小林朋子 橋本 修〉 | |
呼吸器領域で使用される免疫抑制剤
免疫抑制剤が使用される呼吸器疾患
期待される新薬
8. | 肺扁平上皮癌に対する治療戦略 〈宇留賀公紀 岸 一馬 内藤陽一〉 | |
遺伝子因子
シグナル伝達経路
病理組織診断
1st lineの治療戦略
2nd lineの治療戦略
新規分子標的薬(抗体薬) 新規分子標的薬(低分子薬)
今後の展望
9. | インフルエンザ治療の進歩 〈川名明彦〉 | |
2009年のパンデミックの概要
インフルエンザ治療をめぐる最近の論調
抗インフルエンザウイルス薬使用のガイドライン
抗インフルエンザウイルス薬
10. | 制吐薬: 治療の進歩と展開 〈酒井 洋〉 | |
抗がん剤による悪心・嘔吐
制吐薬開発の歴史と進歩,制吐薬ガイドライン
急性期・遅発期の悪心・嘔吐に有効な制吐薬
制吐療法の課題と今後の展開
11. | 慢性血栓塞栓性肺高血圧症: 治療の進歩 〈更科俊洋 松原広己〉 | |
定義
疫学
予後
治療
12. | がんワクチン療法の進歩 〈中島 淳〉 | |
がんに対する免疫とがんワクチン
がんワクチンの種類
免疫療法の評価に関する問題
がんワクチン治療の実際
今後の展望
索 引