Annual Review循環器2015
【編集】 / 小室一成 東京大学教授 / 佐地 勉 東邦大学教授 / 坂田隆造 京都大学教授
B5判 318頁
定価12,100円(本体11,000円 + 税)
ISBN978-4-498-13419-5
2015年01月発行
在庫なし
Annual Review循環器2015
【編集】 / 小室一成 東京大学教授 / 佐地 勉 東邦大学教授 / 坂田隆造 京都大学教授
B5判 318頁
定価12,100円(本体11,000円 + 税)
ISBN978-4-498-13419-5
2015年01月発行
在庫なし
注目すべきトピックを厳選し,その分野の第一人者が内外の文献を踏まえて最新の進歩を展望する.定評あるシリーズの最新年度版である.
目 次
I.循環器の生物学
1. | 成体心筋細胞は分裂するか? 〈武田憲文 原 弘典 小室一成〉 |
2. | 肺動脈性肺高血圧の新たな罹患関連遺伝子 〈森崎裕子 森崎隆幸〉 |
3. | 心筋におけるミトコンドリア融合の生理的役割 〈笠原敦子〉 |
4. | 変異遺伝子特異的サイレンシングによる 肥大型心筋症の発症予防 〈脇本博子〉 |
5. | 筋線維芽細胞の起源と心臓線維化 〈山上喜由 岡 亨〉 |
1. | 右心機能の評価と右心不全の治療 〈李 政哲 大門雅夫〉 |
2. | 成人先天性心疾患の心不全の諸問題・最近の動向 〈椎名由美 八尾厚史〉 |
3. | HFpEFに対するミネラルコルチコイド受容体拮抗薬のエビデンス 〈筒井裕之〉 |
4. | インクレチン関連薬は心不全治療薬となり得るか? 〈坂東泰子 室原豊明〉 |
1. | MSCT/MRIによる冠動脈疾患診断の進歩 〈後藤義崇 佐久間 肇〉 |
2. | 脆弱性プラーク(vulnerable plaque)の同定と治療 〈北端宏規 久保隆史 赤阪隆史〉 |
3. | 冠動脈疾患予防に対する脂質異常症の治療(ACC/AHAガイドライン2013と新しい治療展望) 〈梶波康二 高野信太郎 高村敬明〉 |
4. | 経皮的冠動脈形成術における最近の進歩 〈小林欣夫〉 |
5. | 冠動脈疾患治療における抗血小板療法 〈上妻 謙〉 |
6. | 糖尿病と冠動脈疾患治療:新たな展開 〈内藤 亮 宮内克己〉 |
1. | 不整脈アブレーション治療の進歩 〈夛田 浩〉 |
2. | 心原性脳塞栓症リスク評価と抗凝固薬 〈赤尾昌治〉 |
3. | 致死性不整脈の診断と治療 〈草野研吾〉 |
4. | 特発性心室細動の病態と治療 〈深田光敬 青沼和隆〉 |
5. | 慢性炎症と不整脈 〈岩崎雄樹 清水 渉〉 |
6. | CRTD/ICDの進歩 〈栗田隆志〉 |
7. | 不整脈の遺伝子診断と治療 〈相庭武司〉 |
1. | 高血圧治療ガイドライン2014―改訂のポイント 〈島本和明〉 |
2. | 心血管リスクとしての血圧変動性 〈浅山 敬 大久保孝義〉 |
3. | 妊娠高血圧症候群の原因と治療 〈石光俊彦 里中弘志 八木 博〉 |
4. | 強皮症に伴う肺高血圧症 〈波多野 将〉 |
5. | 肺動脈性肺高血圧症の新規治療薬−新薬の臨床試験結果とcost-efficacyの概念 〈渡邉裕司〉 |
1. | 小児期肺動脈性肺高血圧の診療の最新知見 〈高月晋一 佐地 勉〉 |
2. | 小児領域のcardiac resynchronization therapyの適応基準と至適ペーシング部位の重要性 〈安河内 聰〉 |
3. | 完全大血管転位症および大血管転位型両大血管右室起始症(false Taussig-Bing奇形)に対するhalf-turned truncal switch手術と右室流出路再建 〈山岸正明〉 |
4. | 最近の肺動脈絞扼術について 〈宮本隆司 石井陽一郎 小林富男〉 |
5. | Structural Heart DiseaseへのインターベンションMitraClip療法の適応および僧帽弁閉鎖不全症に対する治療の今後の展望 〈松本 崇〉 |
6. | 先天性心疾患児の脳循環と高次脳機能発達 〈伊吹圭二郎 市田蕗子〉 |
7. | フォンタン手術後の長期予後からみた Failing Fontanの病態と心肺関連因子 〈大内秀雄〉 |
1. | 低左心機能に対する冠血行再建PCI vs CABG 〈丸井 晃 坂田隆造〉 |
2. | 大動脈弁置換の現況: 機械弁,生体弁,TAVR 〈南方謙二 坂田隆造〉 |
3. | TEVAR時代におけるB型解離の治療戦略 〈齋藤武志 齋木佳克〉 |
4. | CLIに対する治療戦略:Bypass vs EVT 〈宮田哲郎〉 |
5. | Fontan手術後遠隔期の合併症 〈角 秀秋〉 |
序
「Annual Review 循環器」は1986年の創刊で,2015年版は創刊30周年の記念誌となる.本書の主旨に従って,2014年に発表された循環器領域の基礎研究や臨床研究の論文のなかでエビデンスレベルが高く分野別に注目に値する論文を選んで紹介している.かくして本書は循環器に携わる諸兄に時宜を得た重要な知見を紹介しつつ30年の歴史を刻んできた.1年間に公表される循環器領域の論文は膨大で,基礎研究から臨床研究まで幅広くかつ奥深い.これらの中から分野のバランスよく論文を厳選し,循環器領域全体の最新知見を一冊の書物にまとめて提供するのが本書の使命である.
ところで2014年は,わが国の医学論文の不正が大きな話題となった年でもあった.降圧剤「ディオバン」研究,同じく降圧剤「ブロプレス」研究,そしてアルツハイマー治験薬研究など,いずれも最近わが国でも盛んになってきた大規模臨床研究に関わるものであった.これらの不正が発覚した当初は国もマスコミも,従って国民も,研究に携わる医師の研究遂行能力の不足が根本にあり,それを補完する目的で企業人が参画して不正の土壌が醸し出された,との論調であった.しかし問題の本質は医師の研究遂行能力の有無ではない.能力の有無に関わらず実際の診療に関与するものはデータの取り扱いやデータ分析に関わってはいけないとする臨床研究の大原則の真意を理解せず,ご都合主義に胡坐をかいて安直に成果を求めた研究姿勢の未熟が本質的であろう.
上記の臨床研究には企業側から数千万〜数億円の資金が提供されている.莫大な資金である.実際の研究費としていくら掛ったのか知る由もないが,しかし臨床研究には労力も資金力も必要であることもまた事実である.それらの殆どは,研究での不正とバイアスを除去する仕組みつくりとその運営に費やされる.研究のエビデンスレベルは不正とバイアス除去の厳格さと同義である.
わが国で臨床研究の重要さが認識されるようになったのは2000年代初頭であろう.以来ようやく臨床医学研究者に研究計画―プロトコル―の何たるかが学ばれ始め,しかしその拡がりは極めて緩除であったように思われる.わが国の大規模臨床研究が,莫大な研究資金の何故に必要かの理解に至る前に,外形をのみ真似て始まったところに事件の萌芽があったのかもしれない.
「Annual Review 循環器」は前年に公表された関連論文の中から,エビデンスレベルの高い,インパクトのある論文を取り上げ解説するのが使命である.それらの中に,不正やバイアスの混入したものがあるとしたら,我々は誤った情報を拡散させていることになる.医学研究に携わるものとして肝に銘じ,編集者として一層の眼力を養わねばと思う今日この頃である.
2014年12月
編集者一同
執筆者一覧
【編集】
小室一成 東京大学教授
佐地 勉 東邦大学教授
坂田隆造 京都大学教授
赤阪隆史 和歌山県立医科大学教授
【著者】
武田憲文 原 弘典 小室一成
森崎裕子 森崎隆幸 笠原敦子
脇本博子 山上喜由 岡 亨
李 政哲 大門雅夫 椎名由美
八尾厚史 筒井裕之 坂東泰子
室原豊明 後藤義崇 佐久間 肇
北端宏規 久保隆史 赤阪隆史
梶波康二 高野信太郎 高村敬明
小林欣夫 上妻 謙 内藤 亮
宮内克己 夛田 浩 赤尾昌治
草野研吾 深田光敬 青沼和隆
岩崎雄樹 清水 渉 栗田隆志
相庭武司 島本和明 浅山 敬
大久保孝義 石光俊彦 里中弘志
八木 博 波多野 将 渡邉裕司
高月晋一 佐地 勉 安河内 聰
山岸正明 宮本隆司 石井陽一郎
小林富男 松本 崇 伊吹圭二郎
市田蕗子 大内秀雄 丸井 晃
坂田隆造 南方謙二 齋藤武志
齋木佳克 宮田哲郎 角 秀秋
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