Annual Review 糖尿病・代謝・内分泌2014
【編集】
B5判 216頁
定価10,780円(本体9,800円 + 税)
ISBN978-4-498-12352-6
2014年01月発行
在庫なし
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Annual Review 糖尿病・代謝・内分泌2014
【編集】
B5判 216頁
定価10,780円(本体9,800円 + 税)
ISBN978-4-498-12352-6
2014年01月発行
在庫なし
目 次
I.糖尿病
Overview 〈寺内康夫〉 |
1. | 膵β細胞の分化?脱分化による量の調節機構 〈北村忠弘〉 |
2. | グルカゴン研究の現状と課題 〈石原寿光〉 |
3. | 膵β細胞イメージングの現状 〈豊田健太郎 稲垣暢也〉 |
4. | 糖代謝と肝臓 〈松木 核 細岡哲也 小川 渉〉 |
5. | 糖尿病とアルツハイマー病 〈里 直行〉 |
1. | 糖尿病治療における食事療法の課題 〈伊藤千賀子〉 |
2. | インスリン治療の新展開 〈熊代尚記 弘世貴久〉 |
3. | 糖尿病とスタチン 〈柴 輝男〉 |
4. | 糖尿病患者における歯周病治療 〈中川種昭〉 |
Overview 〈石橋 俊〉 |
1. | 脂肪組織マクロファージとインスリン抵抗性 〈薄井 勲 戸辺一之〉 |
2. | 小胞体ストレスとVLDL分泌 〈太田嗣人〉 |
3. | エネルギー代謝と動脈硬化におけるリポ蛋白リパーゼの意義 〈野牛宏晃〉 |
4. | ω-3多価不飽和脂肪酸の抗動脈硬化作用 〈西尾善彦〉 |
5. | コレステロール逆転送系と動脈硬化 〈綾織誠人〉 |
1. | 動脈硬化のリスクマーカー 〈藍 真澄〉 |
2. | インクレチン関連薬の抗動脈硬化作用 〈平野 勉〉 |
3. | 高齢者脂質代謝異常症の臨床 〈林 登志雄〉 |
4. | 脂質異常症治療薬開発の現状 〈荒井秀典〉 |
5. | 肥満治療の新展開 〈卯木 智 前川 聡〉 |
Overview 〈伊藤 裕〉 |
1. | 胎児期?新生児期の環境とエピジェネティクス制御 〈亀井康富 橋本貢士 小川佳宏〉 |
2. | iPS細胞からの褐色脂肪細胞の分化誘導 〈佐伯久美子〉 |
3. | Wntシグナルによる消化器上皮幹細胞制御 〈佐藤俊朗〉 |
4. | 匂い情報を伝達する嗅覚神経回路による食欲情動の制御 〈小早川 高〉 |
5. | 多能性幹細胞を用いた糖尿病治療法開発の展望 〈土生正信 川口義弥〉 |
1. | 下垂体機能低下症に対する成長ホルモン補充療法の効果 〈島津 章〉 |
2. | 原発性アルドステロン症と超選択的副腎静脈採血 〈大村昌夫 牧田幸三 松井青史 松澤陽子 斎藤 淳 西川哲男〉 |
3. | 副腎疾患と遺伝子異常:an update 〈後藤孔郎 柴田洋孝〉 |
4. | FGF23関連低リン血症性疾患 〈福本誠二〉 |
5. | 減量手術および代謝手術の現状と展望 〈笠間和典 関 洋介〉 |
6. | 先天性甲状腺疾患と遺伝子異常 〈中島康代 山田正信〉 |
7. | アンジオテンシンブロックメモリーの臨床応用 〈篠村裕之 伊藤 裕〉 |
序にかえて
伊勢神宮式年遷宮
―糖尿病代謝内分泌学の“基礎と臨床”を思う
2013年,伊勢神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう)が挙行された.1300万人以上の参拝者が“おいせさん”に詣で,それぞれに,心新たな時を迎えた.
20年に一度,定期的(式年)に,神様が宿る正殿(しょうでん)の隣に,全く同じ様式の新正殿を建て,御神体を遷す.この遷御(せんぎょ)の儀が神無月に行われた.正殿だけでなく,御垣内(みかきうち)の建物全て,14の別宮(べつぐう)の社殿や鳥居なども造り替えられ,1576点におよぶ神宝(しんぽう)なども,新調されて納められた.この祭事は,飛鳥時代,持統天皇在位中の690年に始まり,1300年以上続いている.
全システムを定期的に全くリニューアルするというコンセプトが古代日本人の精神構造の中に芽吹き,そしてそれが連綿と継承されてきたことに驚嘆した.常にみずみずしさを尊ぶ神道の「常若(とこわか)」の考えに根差していると言われている.
何故「20年」なのかも興味深い.技術継承が可能な期間という説,穀物の貯蔵の限界期間説などがあるが,定かではない.5カ年計画というように,5年はわれわれの活動を一つ区切らせる程度の年月,10年は一昔,記憶をたどらないと思いだせないほどの昔,そして20年は大昔となるが,これだけの“初期化”の実行には確かに適切な,あるいは“すこし早目”の時間間隔かもしれない.(そういえば,我々臨床教室の教授在任期間の限界値もこのあたりにある.)
今回も,糖尿病,代謝,内分泌学の基礎,臨床にわたる最先端の領域を我々3人の編者が選び出し,それぞれ執筆を御依頼した先生方により見事に説明いただいた.その概要に関しては,各編のOverviewをご参照いただきたい.
医学は,「恒常性の維持」の破綻のプロセスとその人的制御の可能性の窮理であるが,糖尿病・代謝・内分泌の領域はまさにその中心に位置する.
長期にわたりその構造機能を可能な限り維持する努力を重ねながらも,定時を設定しておいてその時期が来ると,躊躇うことなく全システムを一新する.その様式を持ってはじめて精神母体の常若が実現されるという事実を目の当たりにして,内分泌代謝学の基礎研究と臨床開発の新たな方向性をみる思いがした.
細胞,臓器間の精緻な情報ネットワークの中で保たれる生命の維持と,個体の死を乗り越えた世代継承のメカニズムとして,局所炎症とその(過)修復,分化脱分化のゆらぎ,エピジェネティックによる遺伝子情報の書き換えなど様々なパラダイムが本書において紹介されている.時間の流れの中で連続的に進むこうした慢性的な生命現象とはまた別に,なにか我々がまだ見つけていない“不連続的なイベント”が生体恒常性維持には必要ではないかと予感した.
我々臨床家にとって基礎研究の臨床応用は極めて魅力的なチャレンジである.本書でも示されているように,エネルギー代謝における腸管内分泌学の進歩から生まれたインクレチン製剤が糖尿病診療を一変させ,脂質代謝研究の中から見出だされたPCSK9阻害薬・CETP阻害薬の臨床応用等も進みつつある.しかしながら,これまで,まさに浜の真砂のように報告されてきた基礎研究成果を実際の臨床の場にトランスレーションすることに成功した事例は極めて少ない.基礎と臨床の“不連続性”を我々は痛感している.我々の体に本来存在する,生命のメッセンジャーであるホルモンを注視することは,その不連続性を乗り超えるひとつのヒントになると思う.
糖尿病,代謝,内分泌の基礎と臨床に関して,序文とはかなり趣を異にした雑感を述べさせていただいた.2013年は,20年に一度の年であったということで何卒ご容赦いただきたい.最後に,ご多忙にもかかわらず各テーマの最先端の研究を真撃にレヴューいただいた執筆者の先生方に深く感謝申し上げる.
2013年12月
編集者一同
執筆者一覧
【編集】
寺内康夫 横浜市立大学教授
伊藤 裕 慶應義塾大学教授
石橋 俊 自治医科大学教授
【著者】
寺内康夫 北村忠弘 石原寿光
豊田健太郎 稲垣暢也 松木 核
細岡哲也 小川 渉 里 直行
伊藤千賀子 熊代尚記 弘世貴久
柴 輝男 中川種昭 石橋 俊
薄井 勲 戸辺一之 太田嗣人
野牛宏晃 西尾善彦 綾織誠人
藍 真澄 平野 勉 林 登志雄
荒井秀典 卯木 智 前川 聡
伊藤 裕 亀井康富 橋本貢士
小川佳宏 佐伯久美子 佐藤俊朗
小早川 高 土生正信 川口義弥
島津 章 大村昌夫 牧田幸三
松井青史 松澤陽子 斎藤 淳
西川哲男 後藤孔郎 柴田洋孝
福本誠二 笠間和典 関 洋介
中島康代 山田正信 篠村裕之
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