目 次
I.造血幹細胞
1. | インターフェロンシグナルによる造血幹細胞の機能制御 〈佐藤 卓〉 | |
造血幹細胞が休眠状態を保つ理由
I型インターフェロンシグナル経路
インターフェロンシグナルの制御不全と造血異常
IRF2を介した生理的I型IFNシグナルの適切なコントロールによるHSC機能制御
I型IFNシグナルによるHSC活性化とそのメカニズム
2. | CML幹細胞の制御メカニズム 〈仲 一仁 平尾 敦〉 | |
幹細胞疾患としてのCML
Wnt/β-catenin
Hedgehog(Hh)シグナル
PML
Alox5
FOXO
微小環境(ニッチ)からのTGF-βシグナル
HDAC
3. | 治療標的としての白血病幹細胞 〈石川文彦〉 | |
ヒト急性白血病のマウスモデル
白血病幹細胞の生物学的性質と化学療法への抵抗性
白血病幹細胞の細胞周期を修飾した治療の可能性
治療標的としての白血病幹細胞マーカー
4. | 正常および白血病幹細胞におけるSIRPA-CD47系の意義 〈竹中克斗〉 | |
SIRPA-CD47系
正常および白血病造血幹細胞におけるSIRPA-CD47系の意義
AMLにおけるSIRPA-CD47系の意義
造血幹細胞移植におけるSIRPA遺伝子多型の与える影響
今後の課題
5. | 移植後GVHD予防としての大量シクロホスファミドとATG 〈矢部普正〉 | |
移植後大量CYおよびATGが登場した背景
移植後大量CYによるGVHD予防
ATGによるGVHD予防
6. | 造血幹細胞遺伝子治療後のLMO2,EVI1の活性化 〈久米晃啓〉 | |
X-SCID遺伝子治療における白血病発症
LMO2遺伝子と発癌メカニズム
CGD遺伝子治療におけるMDS発症
EVI1遺伝子活性化と細胞増殖
EVI1高発現とゲノム不安定性
II.赤血球系
1. | 骨髄不全症に対する蛋白同化ステロイドホルモンのテロメレース活性化作用 〈山口博樹 檀 和夫〉 | |
蛋白同化ステロイドと骨髄不全症
テロメア長の短縮化と骨髄不全症
性ステロイドホルモンとテロメラーゼ活性
血球系における蛋白同化ステロイドとテロメラーゼ活性
2. | 5q-症候群とmiRNA,p53の異常: 動物モデルでの解析 〈千葉 滋〉 | |
5q-症候群責任遺伝子追求の歴史
RPS14の同定と5q-症候群モデルマウスの作製,およびp53の関与
miRNAと自然免疫シグナル異常
3. | Fanconi貧血の分子病態: DNAクロスリンク修復のメカニズム 〈山下孝之〉 | |
FANCMの機能と蛋白相互作用
FANCD2の機能と蛋白相互作用
ICL修復の分子機構モデル
FA経路と非相同性DNA断端接合(non-homologous end joining, NHEJ)との相互作用
4. | 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対するeculizumab治療 〈植田康敬 西村純一〉 | |
発作性夜間ヘモグロビン尿症の病因と病態
eculizumab(ソリリス)の開発
臨床効果
QOLの改善と安全性評価
本邦での臨床試験の成績
今後の展望,適応と問題点
5. | 鉄過剰と臓器障害 〈生田克哉〉 | |
輸血後鉄過剰症と臓器障害
鉄過剰の評価
非トランスフェリン結合鉄
Deferasiroxによる臓器障害改善
III.白血球系
1. | 骨髄系腫瘍におけるTET2変異 〈宮崎泰司〉 | |
TET2異常の発見
TET2変異の標的細胞
TET2の機能
TET2変異の頻度
2. | 骨髄系腫瘍におけるc-CBL変異 〈真田 昌〉 | |
c-CBLとユビキチン
MDSにおけるaUPDと遺伝子変異
骨髄系腫瘍における
c-CBL変異
変異
c-CBLの分子機構
3. | APL治療の最近の進歩 〈木崎昌弘〉 | |
寛解導入療法
寛解導入療法におけるATOの意義
高齢者への対応
2次性APL
地固め療法
維持療法
再発例のマネージメント
APL幹細胞を標的にした治療の可能性
APL分化症候群
わが国におけるAPL治療
4. | 急性白血病に対するFLT3阻害薬とファルネシル転移酵素阻害薬 〈清井 仁〉 | |
FLT3キナーゼ
第一世代のFLT3阻害剤
第二世代のFLT3阻害剤
FLT3阻害剤の今後の展望
ファルネシル転移酵素
ファルネシル転移酵素阻害剤の作用機序
FTIの臨床効果
FTIの今後の展望
5. | 骨髄移植後再発白血病における6番染色体Uniparental disomy(UPD)によるHLA欠失とその意義 〈高橋義行〉 | |
がんに対するCTLの認識と治療への応用
がんにおけるHLAの変異
Single nucleotide polymorphism(SNP)アレイによるアリル特異的なコピー数の解析とUniparental disomyの検出
HLAハプロ一致造血細胞移植後再発白血病におけるHLAの解析
6. | がん性疼痛における造血因子の役割 〈山口晃史 松村 到〉 | |
がん組織におけるG-CSF,GM-CSF発現
神経細胞におけるG-CSF受容体(G-CSFR),GM-CSF受容体α(GM-CSFRα)の発現
神経細胞上のG-CSFRやGM-CSFRαの機能解析
G-CSF,GM-CSFの神経線維に対する電気生理的な効果と疼痛刺激に対する生体反応への影響
腫瘍縮小と無関係な痛みの軽減
IV.リンパ球系
1. | 悪性リンパ腫の発生におけるA20遺伝子異常の重要性 〈加藤元博 小川誠司〉 | |
A20とNF-κB経路
NF-κB経路と悪性リンパ腫
非ホジキンリンパ腫における
A20遺伝子の異常
ホジキンリンパ腫における
A20遺伝子の異常
A20欠失のリンパ腫における役割
2. | ホジキンリンパ腫治療の最近の進歩 〈照井康仁〉 | |
治療前の最初の評価で必要な検査は何か?
限局期ホジキンリンパ腫の一次治療
進行期ホジキンリンパ腫の一次治療
高齢者の治療
奏効性の評価とモニタリング
再発性ホジキンリンパ腫の新しい治療戦略
3. | 小児ALL,乳児白血病とDNAメチル化異常 〈石前峰斉 江口真理子〉 | |
DNAメチル化と細胞分化
白血病におけるDNAメチル化の意義
小児ALLとDNAメチル化
乳児白血病とDNAメチル化―MLL転座型白血病―
予後予測因子としてのDNAメチル化
DNAメチル化と新規治療
4. | 母体ALL細胞の胎児移行による乳児白血病の発症 〈磯田健志 水谷修紀〉 | |
過去の事例にみる腫瘍細胞の母児間転移
異なる2者間の転移をどのように証明するのか?
血液腫瘍の母児間転移―遺伝子レベルでの証明―
自験例のBCR-ABL1陽性リンパ芽球性リンパ腫の治療
母児間転移の不成立例―文献的考察―
血液腫瘍の母児間転移―経過の考察と今後に向けて―
5. | 多発性骨髄腫に対する新規治療法 〈張 高明〉 | |
多発性骨髄腫に対する分子標的薬剤
プロテアソーム阻害薬の作用機序と臨床効果
免疫調整薬(IMiDs)
初発症例に対する分子標的薬の効果
分子標的薬同士の併用
強化療法,維持療法としての新規薬剤
新規分子標的薬の有害事象について
V.血小板系
1. | 個体発生における血小板の役割 〈井上克枝〉 | |
血小板のリンパ管発生における役割
血小板の動脈管閉塞における役割
2. | 生体分子イメージングでみる慢性炎症を背景とした血栓形成過程と血小板機能 〈西村 智〉 | |
肥満と慢性炎症: 生体分子イメージングでみる肥満脂肪組織
生体内の脂肪組織の可視化: 生体分子イメージングの開発
血小板機能の可視化
iPS由来血小板の体内イメージング
次世代のイメージング: 深部を照らす機能イメージング
3. | 非定型溶血性尿毒症症候群 〈松本雅則〉 | |
HUSとは
補体の活性化
第二経路(alternative pathway)の活性化
補体関連因子の遺伝子異常とaHUS
aHUSの治療
4. | ITPに関する最近の進歩 〈西本哲也 桑名正隆〉 | |
ITPの病名,分類の見直し
抗血小板抗体産生機序およびその制御機構
Helicobacter pylori除菌療法が血小板を増やす機序
TPO受容体作動薬
Syk阻害薬
VI.凝固線溶系
1. | 血液線維素溶解系因子による骨髄細胞の動態制御 〈服部浩一 西田知恵美〉 | |
MMP活性を介した骨髄細胞と微小環境との相互作用
MMP-9の活性化による骨髄細胞の動態制御機構
血液線維素溶解系を起点とした骨髄細胞動態制御機構
2. | 抗リン脂質抗体症候群に関する最近の話題 〈渥美達也〉 | |
抗リン脂質抗体の主要な対応抗原: β2-グリコプロテインI
抗リン脂質抗体とβ2-グリコプロテインIの相互作用
抗リン脂質抗体と補体
抗リン脂質抗体の臨床検査としての進歩
3. | 抗血栓薬反応性と遺伝子多型 〈後藤信哉〉 | |
クロピドグレルの代謝と遺伝子多型
ワルファリンの薬効と遺伝子多型
パーソナルゲノムの時代を迎えて
4. | 活性化プロテインCの敗血症治療薬としての意義 〈朝倉英策〉 | |
敗血症における凝固活性化
炎症と凝固のクロストークの概念
プロテインCと凝固・線溶
敗血症に対するAPC治療の意義
敗血症に対するAPCの臨床試験
敗血症に対するAPCの今後について
APCの抗炎症効果に関する近年の話題
5. | 血友病遺伝子治療法開発の最近の進歩 〈三室 淳〉 | |
血友病A遺伝子治療
血友病B遺伝子治療
血友病遺伝子治療における安全性の問題
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