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書籍詳細

小児心電図トレーニング

小児心電図トレーニング

保崎純郎 著

B5判 260頁

定価7,480円(本体6,800円 + 税)

ISBN978-4-498-04547-7

1988年07月発行

在庫なし


 近年,心エコー図検査,とくに断層心エコー検査装置が改善され,先天性心疾患や川崎病心臓後遺症の診断に役立っている.しかし,小児の心疾患の診断に現病歴,聴診,視診,そして心電図と胸部X線写真が有用であることはいうまでもない.とくに,記録が容易である心電図から多くの情報が得られる.さらに,約15年前から学校心臓検診が普及して小学生,中学生を対象にして心音図とともに,心電図を記録する機会が非常に多くなったので,医師が小児心電図を読影する機会が増加してきた.
 小児の心電図を読影する際,小児心電図では加齢に伴う種々の変化や特徴があること,さらに対象となる心疾患が成人と異なることをまず理解することが重要である.次に,小児心電図を読影するのに,小児心電図のパターンをよく理解し,そのパターンに慣れることが小児心疾患の診断に役立つと著者は考えている.そこで,本書では先天性心疾患の心電図を多くし,一部を二色刷にしてわかりやすくし,そして説明文もできるだけ理解しやすいものにした.さらに,中外医学社からすでに発刊されている小沢友紀雄博士の「心電図トレーニング」と同じく,説明を省いた心電図を再度提示し,反復して判読のトレーニングができるよう工夫してある.

 さて,著者もメンバーであったアイ・ビー・エムパートーシップにより結成された心電図研究班が全国の3歳から18歳までの健康小児を対象に心電図を記録し,その膨大な資料を整理して日本人小児の心電図の正常値を1985年に発表した.そこで,従来から使用されていた「小児心電図心室肥大判定基準」を多少改善する必要が生じた.1986年,日本小児循環器学会の心電図専門委員会より12歳以上の年長児を含め,かつ性差を考慮した「点数制による小児心電図心室肥大判定基準」が作製された.さらに,1987年には「小児心電図心室肥大判定基準のめやす」も発表された.以上の小児心電図の心室肥大判定基準は学生教育のみならず,一般診療にも使用されるので,本書ではその解説を詳細に記述した.さらに,日本人小児の心電図の正常値,そして学校心臓検診で発見される不整脈を有する児童・生徒の生活指導に役立つ『小児不整脈の管理基準』についても記述した.
 以上述べたごとく,本書では小児でみられる先天性心疾患や不整脈,そして小児心電図心室肥大判定基準などに重点をおき記述した.そこで読者の方々には,本書の心電図を反復して読影して頂き,小児心電図判読のトレーニングをして頂ければ幸いである.
 本書の出版に際して,土屋史郎先生,泉田直己先生を始めとする東京医科歯科大学小児科の循環器グループの同僚,そして資料の集計に協力して頂いた検査機関の各位に深謝いたします.また,本書の出版に御協力頂いた中外医学社編集部の荻野邦義氏,森本俊子氏に感謝いたします.

1988年6月
保崎 純郎

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目 次

第1部 判読に必要な基本知識
 1.小児心電図の特徴
 2.心電図波形の名称とその測定法
  A.基本波形について
   1.P波
   2.QRS波の波形
   3.ST部分
   4.T波
   5.U波
  B.波形の大きさ(縦の記録)の測定法と注意事項
 3.横の計測値とその測定法
 4.心電図の誘導法
   1.標準肢誘導
   2.単極肢誘導
   3.胸部誘導
 5.小児心電図記録上の注意
   1.交流障害
   2.筋電図の混入
   3.基線の動揺
   4.電極をつける際の注意
   5.電極の使い分け
   6.較正用押しボタンの使用
   7.特別な誘導で記録した場合
   8.鎮静剤の投与法
 6.小児心電図の正常の波形について
   1.P波
   2.Q波
   3.R波
   4.S波
   5.ST波
   6.T波
   7.U波
 7.測定値の正常値と年齢による変化
   1.心拍数
   2.PR時間(PQ時間)
   3.R-R時間(間隔)
   4.QRS時間(幅)
   5.QR時間
   6.QT時間
   7.その他
 8.QRS電気軸の計測法と小児の正常値
   1.QRS電気軸の表現法
   2.QRS電気軸の測定法
   3.I誘導とaVF誘導から電気軸を推測する方法
   4.小児の年齢別QRS電気軸の正常範囲
 9.健康小児の波形の年齢と性による変化
   1.新生児期
   2.乳児期から3歳未満の幼児
   3.3歳より18歳まで
 10.測定値の年齢と性による変化
   1.SV1+RV5
   2.SV1+RV6
   3.SV2+RV6
   4.SV3+RV3
   5.V1誘導のR/S
   6.V6誘導のR/S
   7.RV1+SV5/SV1+RV5
   8.V5誘導のT/R
   9.その他
 11.12誘導別の小児心電図波形の特徴
   1.標準肢誘導
   2.単極肢誘導
   3.胸部誘導

第2部 異常心電図の読み方
 1.小児心電図の心室肥大の判定
  A.右室肥大
   1.新生児期(生後4週以内)の右室肥大
   2.乳児期(1ヵ月〜12ヵ月)の右室肥大
   3.幼児,学童(1歳以上12歳未満)の右室肥大
   4.12歳以上の右室肥大
  B.左室肥大
   1.新生児期(生後4週以内)の左室肥大
   2.乳児期(1ヵ月〜12ヵ月)の左室肥大
   3.幼児,学童(1歳以上12歳未満)の左室肥大
   4.12歳以上の左室肥大
  C.両室肥大
   1.新生児期の両室肥大
   2.乳児期の両室肥大
   3.幼児期以降の両室肥大
 2.心房負荷
   1.右房負荷のP波
   2.左房負荷のP波
   3.両房負荷のP波
 3.不整脈
  不整脈総論
   1.不整脈の種類
   2.不整脈の頻度
   3.聴診でわかる不整脈とわからない不整脈
   4.不整脈の心電図上のチェックポイント
  不整脈各論
  A.洞結節の刺激生成異常
   1.洞性頻脈
   2.洞性徐脈
   3.洞性不整脈
  B.ペースメーカーの移動
  C.異所性刺激生成異常
   1.能動的刺激生成異常
    a.期外収縮
     1)上室性期外収縮
     2)心室性期外収縮
    基礎心疾患のない健康小児でみられた心室性期外収縮について
    b.心房細動
    c.心房粗動
    d.発作性頻拍症
     1)発作性上室性頻拍症
     2)心室性頻拍症
    e.心室細動
   2.受動的刺激生成異常
    補充収縮・補充調律
   3.その他の刺激生成異常
    a.接合部調律
     1)冠静脈洞調律
     2)冠状結節調律
     3)左房調律
    b.房室解離
  D.興奮伝導障害
   1.房室ブロック
    a.1度房室ブロック
    b.2度房室ブロック
    c.3度(完全)房室ブロック
   2.洞房ブロック
   3.心室内伝導障害
    a.右脚ブロック
     1)完全右脚ブロック
     2)不完全右脚ブロック
    b.左脚ブロック
    c.左脚分枝ブロック
  E.早期興奮症候群
   1.WPW症候群
   2.WPW症候群の異型例
  F.洞不全症候群
  G.その他の不整脈
   1.房室干渉解離
   2.副収縮
   3.遺伝性QT延長症候群
 4.小児心疾患の心電図の特徴
  A.先天性心疾患の心電図の特徴
   1.心室中隔欠損症
   2.心房中隔欠損症
   3.肺動脈狭窄症
   4.動脈管開存症
   5.大動脈狭窄症
   6.心内膜床欠損症
    a.不完全型心内膜床欠損症
    b.完全型心内膜床欠損症
   7.大動脈縮窄症
   8.ファロー四徴症
   9.完全大血管転換(位)症
   10.三尖弁閉鎖症
   11.総肺静脈還流異常症
   12.部分的肺静脈還流異常症
   13.純型肺動脈閉鎖症
   14.エプスタイン奇形
   15.先天性冠状動脈起始異常症
    BLAND-WHITE-GARLAND症候群
   16.左心形成不完全症候群
   17.単心室
   18.右胸心
   19.原発性肺高血圧症
   20.その他の先天性心疾患の心電図
    a.修正大血管転換症
    b.大動脈肺動脈中隔欠損症
    c.総動脈管残遺症
    d.無脾症・多脾症
  B.後天性心疾患
   1.僧帽弁閉鎖不全症
   2.大動脈弁閉鎖不全症
   3.川崎病心臓後遺症
   4.心筋炎
   5.心膜炎
  C.心筋症
   1.特発性心筋症
    a.拡張型心筋症
    b.肥大型心筋症
   2.原発性心内膜線維弾性症
 5.電解質異常や薬剤による心電図の変化
  A.電解質の異常
   1.カリウムの異常
    a.高カリウム血症の心電図
    b.低カリウム血症の心電図
   2.カルシウムの異常
    a.高カルシウム血症
    b.低カルシウム血症
  B.薬剤による心電図の変化
   1.ジギタリス剤による心電図の変化
   2.アンソラサイクリン系薬剤による心電図の変化
  C.心疾患以外でみられる心電図の変化

参考文献
索引

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執筆者一覧

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