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書籍詳細

症例で学ぶ高次脳機能障害

症例で学ぶ高次脳機能障害

―病巣部位からのアプローチ―

鈴木匡子 編集

B5判 274頁

定価7,920円(本体7,200円 + 税)

ISBN978-4-498-22822-1

2014年09月発行

在庫あり

脳損傷の患者には複数の高次脳機能障害が混在することが多く、それをどのように整理して捉えるかが重要です。本書では個々の症例において実際の診察のプロセスを再現し、診断に至る思考、適切な検査の選択実施、その結果を解釈して症状診断に至る流れを丁寧にシミュレートします。またおおまかな病巣ごとに区切った構成とし、どの部位の病巣でどのような高次脳機能障害が出現しやすいかを実例を通して学ぶことが出来ます。



 「高次脳機能障害は難しい」という臨床家の声をよく聞く.それはなぜかと考えるに,失語,失行,失認など個々の症候に関する知識はあっても,目の前の患者をどう診察して,どの所見をとるべきかがわからないのが大きいと思われる.ましてや実際の患者は複数の高次脳機能障害を併せもつことが多いため,その診断は容易ではない.しかし,系統的に適切な診察をすれば,複雑にみえる症候を解きほぐすことは可能である.また,必要な神経心理学的検査を適宜選んで行えば,経過観察やリハビリテーションに役立つことがある.このようなことは,経験を積んだ指導者のもとで共に患者を診ながら学ぶのが最善だが,そのような機会はなかなか得られないのが実状である.
 そこで,本書はさまざまな症候を示す症例を呈示して,なるべく実際の診察に添うような形で,高次脳機能障害を診断していくプロセスを再現したいと考えた.紙上ですべてを伝えることは困難だが,初診時の所見をもとに,適切な検査を選択実施し,その結果を解釈して症候の診断に至る流れがわかるように,症例を詳細にご呈示いただいた.実際の症例を追体験することで,診察の進め方,考え方を学ぶ一助となれば幸いである.また,診察に役立つ基礎知識や用語を,「診察メモ」,「用語メモ」として適宜挿入し,症例の理解を深められるようにしてある.
 本書のもう一つの特徴は,症例を症候ごとに呈示するのではなく,おおまかな病巣別に記載する形にしたことである.MRI/CTが普及しているわが国では,高次脳機能障害について診察を依頼される場合,おおまかな病巣部位はすでにわかっていることが多い.病巣部位が近似していても,諸要因により症候が同じとは限らないが,病巣部位と症候にゆるやかな関連があることも事実である.したがって,病巣の広がりから出現しうる高次脳機能障害を予測することができれば,効率的な診察・診断につながる.逆に,診察によって,画像で示された病巣部位より機能障害の範囲は広いことが明らかになることもある.なお,実際の病巣は複数の領域にまたがっていることが多いが,本書では症例を選ぶ手がかりとなるように,最も強い機能障害を呈している部位を基準に分類してある.正確な病巣に関しては,症例ごとに確認しながら読み進めていただきたい.
 本書で用いた用語に関しては日本神経学会の神経学用語集に準拠して統一したが,高次脳機能障害の症候に関する用語はまだ見解が一致していないものも多い.その場合は原則として著者の表記に従ったが,章により異なるなど混乱をきたす可能性のある場合は,編者の判断で統一してある.不備な点,適切でない部分などお気づきになった場合は,忌憚のないご意見,ご助言をお寄せくださるようお願いしたい.
 本書に掲載された症例は,全国で高次脳機能障害の臨床に携わっている専門家が自ら経験した症例についてご呈示いただいたものである.貴重な症例をお寄せいただいた著者の皆様に深謝するとともに,これらの症例を通して高次脳機能障害への理解が深まり,臨床に役立つことを心から願っている.
終わりに,本書の企画から発刊にいたるまでご尽力いただいた中外医学社の岩松宏典氏,中畑謙氏にも謝意を記す.

2014年9月
山形大学大学院医学系研究科
高次脳機能障害学講座  教授
鈴木匡子

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目 次

Chapter 1 前頭葉
 [主病巣が外側]
  CASE 01 うまく話せない.〈丹治和世〉
  CASE 02 話せない.〈大槻美佳〉
  CASE 03 言葉が出にくい.右手足が動きにくい.字が書けない.〈大槻美佳〉
 [主病巣が内側底面]
  CASE 04 (家人より)やる気はあるのに行動が伴わない.性格が変わってしまった.〈三村 將,繁野玖美〉
  CASE 05 (家人より)新しいことが覚えられない.〈菊池大一,藤井俊勝〉
  CASE 06 左下肢が動かない.うまく話せない.〈橋本律夫〉
 [主病巣が外・内側]
  CASE 07 (家人より)行動がおかしい.家事をしない.〈下村辰雄,竹下千映子〉

Chapter 2 側頭葉
 [主病巣が外側]
  CASE 08 人の話す言葉がわからない.雑音に聞こえる.〈丹治和世〉
  CASE 09 言葉がうまく出てこない.〈遠藤佳子〉
  CASE 10 右側がよく見えない.自動車の自損事故を起こした.〈大槻美佳〉
 [主病巣が内側]
  CASE 11 もの忘れすると周囲から言われる.
      (家人より)もの忘れ.〈今村 徹〉
 [主病巣が前部]
  CASE 12 (家人より)会話がちぐはぐ.自宅のトイレの場所がわからない.〈朴 白順,月浦 崇,上田敬太,藤井俊勝〉
  CASE 13 2回目の手術後に記憶が悪くなった.言葉がパッと出てこない.〈遠藤佳子〉
  CASE 14 言葉が出てこない.言葉が理解できないことがある.〈松田 実〉

Chapter 3 頭頂葉
 [主病巣が外側]
  CASE 15 右手で物が取り出しにくい.〈寺田さとみ,武田克彦〉
  CASE 16 眼がおかしい.疲れると目の前のものを探せないことがある.〈鈴木匡子〉
  CASE 17 駐車場に車を入れるとき,ずれた.字が書けない.〈平山和美〉
  CASE 18 特に困っていることはない.
      (家人より)左側にあるものに気づかない.〈太田久晶,石合純夫〉
  CASE 19 声が出にくい.
      (家人より)左側の身体や空間に注意を向けられない.病識が乏しい.〈太田久晶〉
  CASE 20 右手に力が入らない.左手も動かしずらい.〈中川賀嗣〉
  CASE 21 もの忘れがひどい.料理が作れない.計算ができない.〈永井知代子〉
  CASE 22 漢字が思い出せなくなった.〈永井知代子〉
  CASE 23 言葉がうまく話せない.〈松田 実〉
  CASE 24 言葉が出ない.〈櫻井靖久〉
 [主病巣が外側・皮質下]
  CASE 25 板書が遅い.一度に書き写すことができない.〈斎藤尚宏〉
  CASE 26 計算ができない.右下肢のびりびり感.〈平山和美〉
  CASE 27 道具の持ち方がしっくりこない.〈早川裕子〉
 [主病巣が内側]
  CASE 28 方向感覚がなくなった.〈高橋伸佳〉

Chapter 4 後頭葉
 [主病巣が外側]
  CASE 29 仮名文字が読めない.〈櫻井靖久〉
 [主病巣が内側]
  CASE 30 道に迷う.人の顔がわからない.〈高橋伸佳〉
  CASE 31 物を見ても何かわからない.字が読めない.顔を見ても誰かわからない.色がなく白黒の世界に見える.〈平山和美〉
  CASE 32 焦点が合わない.右側が見えない.〈櫻井靖久〉
  CASE 33 眼は最近よくなった.寝たり起きたり,ものを食べるときの動作が大変だったが,この頃よほど上手になった.〈鈴木匡子〉
  CASE 34 右視野が見にくい.目の前が淡いピンク色に見える.顔の識別ができない.〈永井知代子〉

Chapter 5 大脳深部
 [視床]
  CASE 35 (家人より)傾眠.反応が鈍い.〈橋本律夫〉
 [視床・内包]
  CASE 36 (家人より)もの忘れする.元気がなくなった.〈丹治和世〉
 [基底核]
  CASE 37 (声が)こもっているような感じ.〈佐藤睦子〉
 [乳頭体・脳弓]
  CASE 38 (家人より)もの忘れ.〈飯塚 統,森 悦朗〉

Chapter 6 白質ほか
 [脳梁前部]
  CASE 39 左手が思いどおりに動かない.〈西川 隆〉
 [脳梁膨大部]
  CASE 40 特になし.〈鈴木匡子〉
 [びまん性軸索損傷]
  CASE 41 (家人より)もの忘れ.〈前島伸一郎,大沢愛子〉
 [水頭症]
  CASE 42a (家人より)うまく歩けない.〈伊関千書〉
  CASE 42b (家人より)転びやすい.〈伊関千書〉
 [小脳]
  CASE 43 (家人より)不注意である.促されないとすぐに行為をやめてしまう.〈大沢愛子,前島伸一郎〉

和文索引
欧文索引

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執筆者一覧

鈴木匡子 山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学講座教授 編集
丹治和世 山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学講座准教授 
大槻美佳 北海道大学大学院保健科学研究院准教授 
三村 將 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室教授 
繁野玖美 世田谷区立総合福祉センター成人担当 
菊池大一 中村記念病院神経内科医長 
藤井俊勝 東北福祉大学健康科学部  兼  感性福祉研究所教授 
橋本律夫 国際医療福祉大学病院神経内科  教授 
下村辰雄 秋田県立リハビリテーション精神医療センター副センター長 
竹下千映子 秋田県立リハビリテーション精神医療センターリハビリテーション部 
遠藤佳子 東北大学病院リハビリテーション部 
今村 徹 新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健学専攻言語聴覚学分野教授 
朴 白順 京都大学大学院人間・環境学研究科認知・行動科学講座 
月浦 崇 京都大学大学院人間・環境学研究科認知・行動科学講座准教授 
上田敬太 京都大学医学研究科脳病態生理学講座(精神医学) 
松田 実 東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野准教授 
寺田さとみ 東京大学医学部附属病院神経内科 
武田克彦 国際医療福祉大学三田病院神経内科部長 
平山和美 山形県立保健医療大学作業療法学科教授 
太田久晶 札幌医科大学保健医療学部作業療法学科教授 
石合純夫 札幌医科大学医学部リハビリテーション医学講座教授 
中川賀嗣 北海道医療大学心理科学部教授 
永井知代子 帝京平成大学健康メディカル学部言語聴覚学科教授 
櫻井靖久 三井記念病院神経内科部長 
斎藤尚宏 山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学講座 
早川裕子 横浜市立脳血管医療センターリハビリテーション部 
高橋伸佳 千葉県立保健医療大学リハビリテーション学 教授 
佐藤睦子 総合南東北病院神経心理学研究部門科長 
飯塚 統 東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野 
森 悦朗 東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野教授 
西川 隆 大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科教授 
前島伸一郎 藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学II講座教授 
大沢愛子 国立長寿医療研究センター機能回復診療部 
伊関千書 山形大学医学部第三内科(神経内科) 

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