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書籍詳細

Annual Review 循環器2014

Annual Review 循環器2014

【編集】

B5判 316頁

定価12,100円(本体11,000円 + 税)

ISBN978-4-498-13418-8

2014年01月発行

在庫なし



目 次




I.循環器の生物学



1.心筋細胞分化におけるエピゲノム制御
〈野村征太郎〉


  心臓発生における心筋細胞分化における遺伝子制御


  遺伝子をクロマチンレベルで制御するエピゲノムという機構


  細胞分化におけるエピゲノムダイナミクス


  エピゲノム改変機構


  将来の展望

2.成熟した心筋細胞は増殖・再生するか?
〈神田真人 永井敏雄〉


  各モデルでの心筋再生と心筋細胞増殖について


  心筋細胞増殖についての考察


  哺乳類の心筋細胞増殖に関する最近の報告

3.ミトコンドリアDNA蓄積による炎症誘導と心不全
〈山口 修〉


  心不全と炎症反応について


  心臓における炎症機序


  サイトカインを標的とする心不全治療戦略


  心臓におけるオートファジー性分解の役割


  ミトコンドリアDNA蓄積と心筋炎・心不全

4.新規老化促進因子C1qによるWntシグナル活性化と老化関連疾患
〈住田智一 小室一成〉


  Wntシグナルとは


  Wntシグナルと老化


  補体分子C1qによるWntシグナル活性化と個体老化

5.マクロファージと側副血行路形成
〈竹田征治 斎藤能彦〉


  側副血管の形成


  側副血管形成におけるモノサイト,マクロファージの役割


  モノサイト・マクロファージの多様性


  マクロファージをターゲットとした治療応用の可能性

6.代謝と循環器疾患に関わるmicroRNA
〈尾野 亘〉


  代謝と循環器疾患に関わるmicroRNA


  合成RNAの薬剤としての発展


  血中miRNA測定法の進展


  今後の方向性



II.心不全



1.心不全とインスリン抵抗性
〈清水逸平 吉田陽子 南野 徹〉


  個体老化と細胞老化


  脂肪老化と糖尿病


  心臓老化とインスリンシグナル


  心不全におけるインスリン抵抗性の意義

2.心不全における小胞体Ca2+ATPaseの機能修飾
〈池田安宏〉


  心臓の収縮とCa2+イオン


  筋小胞体とCa2+制御


  SERCA機能を修飾する分子複合体


  SERCA機能修飾が心不全治療として注目される理由


  病的心におけるSERCA機能


  SERCA機能と翻訳後修飾


  PP1/PLNとSERCA機能改善


  SERCA機能を改善させる遺伝子治療の臨床応用


  Istaroxime-Na+/K+-ATPase阻害とSERCA活性化をもたらす新しい強心薬


  ニトロキシル(nitroxyl)−NO類似物質

3.アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬の心不全治療効果
〈川井 真 吉村道博〉


  心不全におけるARBによるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系のコントロール


  RAAS抑制薬による心不全コントロール


  ナトリウム利尿ペプチド(NP)ファミリー


  ネプリライシン阻害薬


  IMPRESS


  OVERTURE


  PARAMOUNT


  将来の展望

4.迷走神経刺激による心不全治療
〈稲垣正司 杉町 勝〉


  自律神経系と心不全


  心不全に対する迷走神経刺激治療の効果(実験的検討)


  心不全に対する迷走神経刺激治療の効果(臨床試験)


  迷走神経刺激による心不全治療の機序


  課題と将来の展望

5.急性心不全のレジストリー研究
〈佐藤直樹〉


  日本のHHFの診療状況


  レジストリーから得られた知見


  レジストリーの限界


  今後の展望

6.ASV
〈百村伸一〉


  ASVのSDBに対する効果


  ASVはSDB合併心不全患者の予後を改善するか?


  左室駆出率の保持された心不全に対するASVの効果


  ASVの腎機能改善効果


  ASVの不整脈に対する効果 ASVの血行動態に対する急性効果


  ASVの交感神経抑制作用


  睡眠呼吸障害の有無にかかわらず慢性心不全の治療法としてのASV

7.ESC急性および慢性心不全の診断・治療ガイドライン2012
〈筒井裕之〉


  心不全ガイドラインの変遷


  心不全の定義


  ESC心不全ガイドライン2012のポイント

8.AHA Scientific Statement 2012: 補助人工心臓の新しいRecommendation
〈福嶌教偉〉


  Recommendations for MCS


  MCSの適応について


  MCSの患者選択



III.虚血性心疾患



1.心筋再生療法の現状と将来
〈海野一雅 室原豊明〉


  非心臓由来細胞を用いた心筋再生療法


  将来臨床応用が期待される心筋再生療法

2.解剖学診断と機能的診断の融合
〈川崎友裕〉


  心臓CTと負荷心筋SPECTの融合(Fusion)


  心臓CTによる心筋パーフュージョンとの融合


  心臓MRIによる心筋パーフュージョンとの融合

3.心筋虚血診断の現状と新たな問題点
〈塩野泰紹 久保隆史 赤阪隆史〉


  心筋虚血同定の意義


  解剖学的診断法の限界


  最も診断精度の高い生理学的心筋虚血診断法: 心筋血流予備量比(FFR)


  大規模臨床試験を経て心筋虚血診断のゴールドスタンダードとなったFFR


  心筋虚血診断法の拡大


  限界と問題点


  将来展望

4.冠動脈イメージングガイドによる冠動脈形成術の現状と将来
〈安藤博彦 天野哲也〉


  PCIにおけるイメージングモダリティの役割


  適切なPCI適応決定


  PCI周術期心筋梗塞


  ステント再狭窄,ステント血栓症,neoatherosclerosis


  非標的病変イベント


  薬物効果判定

5.急性冠症候群(STEMI/Non-STEMI)の新しいガイドライン
〈郷原正臣 木村一雄〉


  急性心筋梗塞(ST上昇型)


  非ST上昇型急性冠症候群


  限界将来の展望

6.冠動脈動脈硬化とmicro RNA
〈佐藤 衛〉


  Micro RNAとは


  血管内皮細胞特異的miRNA


  血管平滑筋細胞特異的miRNA


  血管炎症を制御するToll-like receptor 4シグナル関連miRNA


  血管エイジング関連miRNA

7.安定型冠動脈疾患における冠血行再建としてCABGとPCIの選択―対立から融和の先にあるハートチームについて
〈平山篤志〉


  冠動脈疾患の予後についての概念の変遷と冠血行再建術の意義


  SYNTAX試験とその冠血行再建術の選択に及ぼす影響


  ハートチームとはどうあるべきか?


  今後の問題点

8.ACCF/AHA 2013年3月の新しいPADのGuidelineについて
〈飯田卓馬 飯田 修〉


  診断


  治療



IV.不整脈



1.新しい抗凝固薬の使い方と問題点
〈是恒之宏〉


  ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバンのEBM


  腎機能がよければまずNOACを考慮する


  中等度腎機能低下症例への適応をどう考えるか


  消化管出血は,アジア人ではいずれの薬剤もワルファリンより多くはない


  ワルファリンの選択肢


  EBMを比較する場合の注意点

2.成人先天性心疾患に合併する不整脈と治療
〈宮崎 文〉


  CHDにおける刺激伝導系の異常と不整脈


  ACHD患者の加齢に伴う催不整脈性


  治療

3.永久ペースメーカの進歩(MRI対応機種・遠隔モニタリングなど)
〈岡村英夫〉


4.AEDの普及と効果
〈野々木 宏〉


  院外心停止に対する市民によるAEDの効果


  AED設置場所の検討


  AEDの機能評価


  家庭におけるAEDの効果


  院内心停止におけるAEDの効果


  我が国におけるAED設置の効果

5.植込み型除細動器(ICD・CRTD)の現状と問題点
〈宮内靖史 清水 渉〉


  ICDショック回避の重要性


  新しい自動除細動機器の登場


  CRTにおけるトピック



V.高血圧・肺高血圧



1.腎動脈内アブレーションによる降圧以外の効果について
〈奥山裕司 中谷大作 南都伸介 小室一成〉


  高血圧発症・維持における腎交感神経系の役割


  腎動脈内アブレーションで全身的な交感神経活性は低下するのか?


  腎動脈内アブレーションの降圧以外の効果について


  本治療法の名称―腎動脈内アブレーション

2.ミネラルコルチコイド受容体による血圧調節の新しい機序
〈柴田洋孝〉


  アルドステロンと高血圧・心血管障害


  アルドステロンによるMR活性化


  生活習慣病におけるMR活性化


  MR関連高血圧の新たな治療戦略

3.遺伝性高血圧症の分子機構
〈若林麻衣 内田信一〉


  偽性低アルドステロン症II型とは


  WNKキナーゼについて


  PHAIIの病態生理


  WNK-OSR1/SPAK-NCCシグナル伝達系の制御因子


  新しいWNKキナーゼ活性化の分子機序


  PHAII発症のメカニズム

4.高血圧と認知機能
〈茂木正樹 堀内正嗣〉


  高血圧と認知症・認知機能


  降圧薬治療と認知症・認知機能


  高血圧とアミロイドβの蓄積


  降圧薬治療とアミロイドβの蓄積

5.成人先天性心疾患における肺高血圧
〈丹羽公一郎〉


  成人先天性心疾患における肺高血圧


  アイゼンメンゲル症候群


  内科的治療


  肺血管拡張薬の最近の報告


  併用療法(combination therapy)


  生命予後予測因子と肺血管拡張療法 合併症の治療


  外科手術

6.慢性肺動脈血栓塞栓症に対するballoon pulmonary angioplasty
〈溝口博喜 松原広己〉


  Chronic thromboembolic pulmonary hypertension


  CTEPHに対するballoon pulmonary angioplasty


  Balloon pulmonary angioplastyの臨床


  Balloon pulmonary angioplastyの成績

7.腫瘍塞栓性肺動脈微小血管症による肺高血圧症
〈波多野 将〉


  PTTMの病態生理と疫学


  PTTMの症状と診断


  PTTMの治療



VI.先天性心疾患・小児



1.左心低形成症候群HLHSの肺血流管理―インターベンション,姑息術
〈上田秀明〉


  胎児治療


  胎児診断


  出生後の姑息手術までの急性期管理


  最初の姑息手術(米国)


  最初の姑息手術(日本)


  Hybrid治療


  Norwood手術とhybrid治療との比較


  予後の比較

2.“Borderline” 左室の新生児重症大動脈弁狭窄(Critical AS)に対する左室rehabilitationを目指した姑息的管理―両側肺動脈絞扼術,動脈管ステント,BAS併用
〈安河内 聰〉


  新生児重症大動脈弁狭窄の定義


  重症大動脈弁狭窄の血行動態 重症大動脈弁狭窄の治療方針


  境界型の左室とは?


  左室のre-habilitationとは?


  境界型の左室に対する治療方針


  治療成績

3.成人領域におけるASD, PFOの経皮的閉鎖術
〈原 英彦〉


  経皮的ASD閉鎖術


  経皮的PFO閉鎖術


  PFOの診断について治療に対する考え方


  実際の治療がどのように行われているのか?


  新世代のデバイス



VII.心血管外科



1.左主幹部・3枝病変の冠血行再建術 PCI vs CABG
〈丸井 晃 坂田隆造〉


  SYNTAX試験


  PCI vs CABG: 左主幹部病変


  PCI vs CABG: 3枝・多枝病変


  新たなリスクモデルに向けて

2.小児用補助人工心臓の現況
〈小野 稔〉


  BTTにおけるVADの有用性


  わが国における小児VAD


  Berlin Heart Excor Pediatricの概要


  Berlin Heart Excor Pediatricの臨床成績


  今後の展開

3.弓部大動脈瘤の低侵襲治療 TEVAR±Debranch
〈加藤雅明〉


  ハイブリッド治療―方法と成績


  完全カテーテル治療―方法と成績

4.HLHS外科治療の新展開
〈太田教隆 坂本喜三郎〉


  Norwood手術


  Hybrid approach


  超重症群に対する治療戦略(出生前診断,胎児治療)


  右心バイパス手術


  精神運動発達

5.自己心膜を用いた僧帽弁形成術
〈岡田行功〉


  リウマチ性僧帽弁逆流


  感染性心内膜炎による僧帽弁逆流


  先天性僧帽弁逆流・クレフト


  虚血性心筋症・拡張型心筋症における機能性僧帽弁逆流


  僧帽弁輪石灰化による僧帽弁逆流


  弁形成術後再手術

索 引

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 今年の秋のノーベル医学賞の発表に,日本人の名前はなかった.文学賞で期待されたM氏の名前もなく国内では盛り上がりに欠けた感がある.なぜか“日本人が2年連続紙で受賞することがない”というジンクスもあるようだ.5つの部門の歴代の日本の受賞者総数は18名だそうだ.医学生理学賞のみに限ると総受賞者数200人のうち,日本人はこれまで2名が受賞している.1987年の利根川進先生と,2012年の山中伸弥先生である.1900年代初頭には,日本人が発見したものでも,共同研究者であった外国人の手柄として持っていかれたこともしばしばだったようだ.

 最多は米国の90,英国31,ドイツ15,フランス11,スエーデン8,と続き,ロシアも日本と同じ2つである.アジアでは中国にも韓国にも受賞者はいない.何故2つかというと,やはり110年の歴史の中で,日本からの英文医学論文が少ないためもあろう.10年ほど前,ACCの開会式で流れた歴代の循環器領域のノーベル賞受賞者をReviewしたビデオを見て感激したことがあり,制作した企業に確かめたら「本社で確かに制作して開会式会場で発表したが手には入らない」と言われた.やはりテーマの多くは,基礎的細胞生物学的な研究が多く,免疫,腫瘍,新規ウイルスなどの発見が続く.
 

 循環器関連で個人的に記憶にあるものを示してみたい.1956年,クルナン,リチャーズ,ホルスマンらの心臓カテーテルと循環器の病理学的変化に関する発見(イヌ),1982年,サミュエルソン,ベリストローム,ベインらによる,プロスタグランジンの発見およびその研究,1998年の,ファーシュゴット,イグナロ,ムラドによる,循環器系における情報伝達としての一酸化窒素に関する発見(ウサギ,モルモット)の3つである.

 わが国にはその他にもこの賞に匹敵する研究成果が多くある.心内刺激伝導系の発見や,心臓ナトリウム利尿ペプチド,エンドセリン,HMG-CoA,FK-506の発見などが候補にも挙がらないのは不思議で残念だ.その他日本人の名前を冠した血管炎,手術法,医療機器,診断指針,心エコー上のparameter,圧-容積関連指標,特殊な心筋症のtypeなど,素晴らしい先達者の偉業に触れるのも心が癒される.それらのoriginalityの高い発見のきっかけを知るのも重要な研究なのであろう.これらも引けを取らず素晴らしい発見だ.その発見のきっかけはChance favors the prepared mindだけではないだろう.

 今回の“Annual Review循環器2014”に選ばれたテーマにも,Genome, Proteome, Epigenetics, miRNAによる発現調節,臨床では新しいガイドライン,心不全・心機能低下の治療最前線など,小児から心臓外科までの最新の情報が幅広く取り上げられている.必ずや読者の満足度を満たすものと確信する.

2013年12月
編集者一同

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執筆者一覧

【編集】  
小室一成  東京大学教授  
佐地 勉  東邦大学教授  
坂田隆造  京都大学教授  
赤阪隆史  和歌山県立医科大学教授  
【著者】  
野村征太郎  神田真人  永井敏雄  
山口 修  住田智一  小室一成  
竹田征治  斎藤能彦  尾野 亘  
清水逸平  吉田陽子  南野 徹  
池田安宏  川井 真  吉村道博  
稲垣正司  杉町 勝  佐藤直樹  
百村伸一  筒井裕之  福嶌教偉  
海野一雅  室原豊明  川崎友裕  
塩野泰紹  久保隆史  赤阪隆史  
安藤博彦  天野哲也  郷原正臣  
木村一雄  佐藤 衛  平山篤志  
飯田卓馬  飯田 修  是恒之宏  
宮崎 文  岡村英夫  野々木 宏  
宮内靖史  清水 渉  奥山裕司  
中谷大作  南都伸介  小室一成  
柴田洋孝  若林麻衣  内田信一  
茂木正樹  堀内正嗣  丹羽公一郎  
溝口博喜  松原広己  波多野 将  
上田秀明  安河内 聰  原 英彦  
丸井 晃  坂田隆造  小野 稔  
加藤雅明  太田教隆  坂本喜三郎  
岡田行功  

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