Annual Review 循環器2014
【編集】
B5判 316頁
定価12,100円(本体11,000円 + 税)
ISBN978-4-498-13418-8
2014年01月発行
在庫なし
Annual Review 循環器2014
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B5判 316頁
定価12,100円(本体11,000円 + 税)
ISBN978-4-498-13418-8
2014年01月発行
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目 次
I.循環器の生物学
1. | 心筋細胞分化におけるエピゲノム制御 〈野村征太郎〉 |
2. | 成熟した心筋細胞は増殖・再生するか? 〈神田真人 永井敏雄〉 |
3. | ミトコンドリアDNA蓄積による炎症誘導と心不全 〈山口 修〉 |
4. | 新規老化促進因子C1qによるWntシグナル活性化と老化関連疾患 〈住田智一 小室一成〉 |
5. | マクロファージと側副血行路形成 〈竹田征治 斎藤能彦〉 |
6. | 代謝と循環器疾患に関わるmicroRNA 〈尾野 亘〉 |
1. | 心不全とインスリン抵抗性 〈清水逸平 吉田陽子 南野 徹〉 |
2. | 心不全における小胞体Ca2+ATPaseの機能修飾 〈池田安宏〉 |
3. | アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬の心不全治療効果 〈川井 真 吉村道博〉 |
4. | 迷走神経刺激による心不全治療 〈稲垣正司 杉町 勝〉 |
5. | 急性心不全のレジストリー研究 〈佐藤直樹〉 |
6. | ASV 〈百村伸一〉 |
7. | ESC急性および慢性心不全の診断・治療ガイドライン2012 〈筒井裕之〉 |
8. | AHA Scientific Statement 2012: 補助人工心臓の新しいRecommendation 〈福嶌教偉〉 |
1. | 心筋再生療法の現状と将来 〈海野一雅 室原豊明〉 |
2. | 解剖学診断と機能的診断の融合 〈川崎友裕〉 |
3. | 心筋虚血診断の現状と新たな問題点 〈塩野泰紹 久保隆史 赤阪隆史〉 |
4. | 冠動脈イメージングガイドによる冠動脈形成術の現状と将来 〈安藤博彦 天野哲也〉 |
5. | 急性冠症候群(STEMI/Non-STEMI)の新しいガイドライン 〈郷原正臣 木村一雄〉 |
6. | 冠動脈動脈硬化とmicro RNA 〈佐藤 衛〉 |
7. | 安定型冠動脈疾患における冠血行再建としてCABGとPCIの選択―対立から融和の先にあるハートチームについて 〈平山篤志〉 |
8. | ACCF/AHA 2013年3月の新しいPADのGuidelineについて 〈飯田卓馬 飯田 修〉 |
1. | 新しい抗凝固薬の使い方と問題点 〈是恒之宏〉 |
2. | 成人先天性心疾患に合併する不整脈と治療 〈宮崎 文〉 |
3. | 永久ペースメーカの進歩(MRI対応機種・遠隔モニタリングなど) 〈岡村英夫〉 |
4. | AEDの普及と効果 〈野々木 宏〉 |
5. | 植込み型除細動器(ICD・CRTD)の現状と問題点 〈宮内靖史 清水 渉〉 |
1. | 腎動脈内アブレーションによる降圧以外の効果について 〈奥山裕司 中谷大作 南都伸介 小室一成〉 |
2. | ミネラルコルチコイド受容体による血圧調節の新しい機序 〈柴田洋孝〉 |
3. | 遺伝性高血圧症の分子機構 〈若林麻衣 内田信一〉 |
4. | 高血圧と認知機能 〈茂木正樹 堀内正嗣〉 |
5. | 成人先天性心疾患における肺高血圧 〈丹羽公一郎〉 |
6. | 慢性肺動脈血栓塞栓症に対するballoon pulmonary angioplasty 〈溝口博喜 松原広己〉 |
7. | 腫瘍塞栓性肺動脈微小血管症による肺高血圧症 〈波多野 将〉 |
1. | 左心低形成症候群HLHSの肺血流管理―インターベンション,姑息術 〈上田秀明〉 |
2. | “Borderline” 左室の新生児重症大動脈弁狭窄(Critical AS)に対する左室rehabilitationを目指した姑息的管理―両側肺動脈絞扼術,動脈管ステント,BAS併用 〈安河内 聰〉 |
3. | 成人領域におけるASD, PFOの経皮的閉鎖術 〈原 英彦〉 |
1. | 左主幹部・3枝病変の冠血行再建術 PCI vs CABG 〈丸井 晃 坂田隆造〉 |
2. | 小児用補助人工心臓の現況 〈小野 稔〉 |
3. | 弓部大動脈瘤の低侵襲治療 TEVAR±Debranch 〈加藤雅明〉 |
4. | HLHS外科治療の新展開 〈太田教隆 坂本喜三郎〉 |
5. | 自己心膜を用いた僧帽弁形成術 〈岡田行功〉 |
序
今年の秋のノーベル医学賞の発表に,日本人の名前はなかった.文学賞で期待されたM氏の名前もなく国内では盛り上がりに欠けた感がある.なぜか“日本人が2年連続紙で受賞することがない”というジンクスもあるようだ.5つの部門の歴代の日本の受賞者総数は18名だそうだ.医学生理学賞のみに限ると総受賞者数200人のうち,日本人はこれまで2名が受賞している.1987年の利根川進先生と,2012年の山中伸弥先生である.1900年代初頭には,日本人が発見したものでも,共同研究者であった外国人の手柄として持っていかれたこともしばしばだったようだ.
最多は米国の90,英国31,ドイツ15,フランス11,スエーデン8,と続き,ロシアも日本と同じ2つである.アジアでは中国にも韓国にも受賞者はいない.何故2つかというと,やはり110年の歴史の中で,日本からの英文医学論文が少ないためもあろう.10年ほど前,ACCの開会式で流れた歴代の循環器領域のノーベル賞受賞者をReviewしたビデオを見て感激したことがあり,制作した企業に確かめたら「本社で確かに制作して開会式会場で発表したが手には入らない」と言われた.やはりテーマの多くは,基礎的細胞生物学的な研究が多く,免疫,腫瘍,新規ウイルスなどの発見が続く.
循環器関連で個人的に記憶にあるものを示してみたい.1956年,クルナン,リチャーズ,ホルスマンらの心臓カテーテルと循環器の病理学的変化に関する発見(イヌ),1982年,サミュエルソン,ベリストローム,ベインらによる,プロスタグランジンの発見およびその研究,1998年の,ファーシュゴット,イグナロ,ムラドによる,循環器系における情報伝達としての一酸化窒素に関する発見(ウサギ,モルモット)の3つである.
わが国にはその他にもこの賞に匹敵する研究成果が多くある.心内刺激伝導系の発見や,心臓ナトリウム利尿ペプチド,エンドセリン,HMG-CoA,FK-506の発見などが候補にも挙がらないのは不思議で残念だ.その他日本人の名前を冠した血管炎,手術法,医療機器,診断指針,心エコー上のparameter,圧-容積関連指標,特殊な心筋症のtypeなど,素晴らしい先達者の偉業に触れるのも心が癒される.それらのoriginalityの高い発見のきっかけを知るのも重要な研究なのであろう.これらも引けを取らず素晴らしい発見だ.その発見のきっかけはChance favors the prepared mindだけではないだろう.
今回の“Annual Review循環器2014”に選ばれたテーマにも,Genome, Proteome, Epigenetics, miRNAによる発現調節,臨床では新しいガイドライン,心不全・心機能低下の治療最前線など,小児から心臓外科までの最新の情報が幅広く取り上げられている.必ずや読者の満足度を満たすものと確信する.
2013年12月
編集者一同
執筆者一覧
【編集】
小室一成 東京大学教授
佐地 勉 東邦大学教授
坂田隆造 京都大学教授
赤阪隆史 和歌山県立医科大学教授
【著者】
野村征太郎 神田真人 永井敏雄
山口 修 住田智一 小室一成
竹田征治 斎藤能彦 尾野 亘
清水逸平 吉田陽子 南野 徹
池田安宏 川井 真 吉村道博
稲垣正司 杉町 勝 佐藤直樹
百村伸一 筒井裕之 福嶌教偉
海野一雅 室原豊明 川崎友裕
塩野泰紹 久保隆史 赤阪隆史
安藤博彦 天野哲也 郷原正臣
木村一雄 佐藤 衛 平山篤志
飯田卓馬 飯田 修 是恒之宏
宮崎 文 岡村英夫 野々木 宏
宮内靖史 清水 渉 奥山裕司
中谷大作 南都伸介 小室一成
柴田洋孝 若林麻衣 内田信一
茂木正樹 堀内正嗣 丹羽公一郎
溝口博喜 松原広己 波多野 将
上田秀明 安河内 聰 原 英彦
丸井 晃 坂田隆造 小野 稔
加藤雅明 太田教隆 坂本喜三郎
岡田行功
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