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書籍詳細

ナースの臨床検査

ナースの臨床検査

奈良信雄 編著

B5判 172頁

定価4,180円(本体3,800円 + 税)

ISBN978-4-498-07552-8

2002年01月発行

在庫あり

今日のナースに必要とされる臨床検査の知識をわかりやすく,実践的に解説したテキスト.臨床検査の意義と内容,看護との関わりを解説した後,一般検査,血液検査,生化学検査,内分泌検査,免疫血清検査,微生物検査,病理検査,生理機能検査についてそれぞれの検査の内容,意義,基準値,解釈,注意点などを明快にまとめた.知識の整理から病棟での活用まで,看護学生,看護婦,コメディカルスタッフにとって必読の書.

はじめに

 現代の医療では,「根拠に基づいた医療」すなわちEBM(evidence based medicine)が根幹になっている.
 従来の医療は,どちらかといえば,経験に基づいていた面があった.もちろん経験に根づいた医療は,今日においてもなお,貴重である.疾病を診断したり,患者の看護を行う際に,それまでの経験が大いに活用されている.しかし,医学が発展した今日,経験だけに頼るのではなく,より理論的な根拠に基づいた医療の実践が求められる.個々の患者の病態について,理論的な根拠を得るための情報を提供するのは,臨床検査である.すなわち,科学的な医療を実践する上で,臨床検査の意義は大きい.
 ところで,現代の医療においてもう一つ強調すべき重要な側面が,チーム医療の実践であろう.医学医療が細分化し,高度に専門化した現在,特殊な技能をもつ医療従事者が知恵を出し合って患者の治療に専念することが望まれる.看護という専門技能を有するナースは,チーム医療の中でも中心的な役割を担っている.
 さて,チーム医療という大枠の中で,科学に基づいた医療を有機的に行うとなれば,すべての医療従事者が患者の病態を的確に把握しておくことが要求される.患者の病態を知らずしてチーム医療を行うことは,船頭が多いばかりで決して理想とした目的に到達することはできないからである.
 たとえば,患者の病態をめぐって種々の職種の医療従事者が一堂に会してカンファレンスを開く場合,患者の病態を把握しておかなければディスカッションにはならない.肝硬変の患者について治療方針,看護方針を議論する場合,肝機能検査の解釈を正しく評価することができなければ,決して理想的な結論にたどりつくことはできまい.
 そこで,ナースにとっても,個々の患者についての臨床検査の結果,解釈を十分に認識しておくことが不可欠といえる.すべての医療従事者が個々の患者の病態を正しく把握してこそ議論することができ,共通した目標に向かうことができるだろう.
 こうした背景から,本書ではナースの皆さんに,臨床検査はどういった意義があり,内容はどういうものか,そして検査結果の解釈のしかた,などといった点を解説することにした.臨床検査項目は日々増えており,すべての臨床検査にあまねく精通しておくことは困難かもしれない.しかし,ごく日常の臨床に頻用される臨床検査を理解しておくだけで,科学に基づき,なおかつチーム医療をスムーズに進めるには十分である.
 本書では,臨床検査の中でも特に重要性の高いものを優先して紹介することにした.それぞれの分野の専門家にわかりやすく記述していただいた.日常の看護業務の中で,ぜひ役に立てていただきたいと思う.また,ナースをめざして日夜勉学に励まれる看護学生の皆さんも,本書を通して臨床検査を学んでいただきたいと思う.
 本書の企画・編集には,中外医学社企画部の小川孝志氏のご協力を仰いだ.ここに深謝したい.

2001年秋
編集者 奈良信雄

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目 次

1.総論
1.臨床検査の意義と内容  <奈良信雄>
  1.臨床検査とは
  2.医療における臨床検査の意義
  3.臨床検査の種類
  4.臨床検査の進め方
  5.検査結果の解釈
  6.検査結果を解釈する上で注意すべき事項
2.看護と臨床検査  <奈良信雄>
  1.医療の中の臨床検査
  2.看護と臨床検査

2.各論
1.一般検査  <奈良信雄>
 A.尿検査
  1.尿量
  2.尿pH
  3.尿の比重
  4.尿タンパク
  5.尿糖
  6.尿潜血
  7.ケトン体
  8.尿沈渣
 B.便検査
  1.便潜血
  2.寄生虫
 C.髄液検査
 D.穿刺液検査(胸水,腹水,心嚢水)
 E.関節液検査
2.血液検査  <奈良信雄>
 A.赤血球沈降速度(血沈,赤沈)
 B.血球検査
  1.赤血球,ヘモグロビン,ヘマトクリット
  2.網赤血球数
  3.白血球
  4.血小板
  5.末梢血液像
 C.止血・血栓検査
  1.出血時間
  2.毛細血管抵抗試験
  3.血小板機能検査
  4.プロトロンビン時間(PT)
  5.活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
  6.トロンボ試験(TT)
  7.ヘパプラスチン試験(HPT)
  8.凝固因子
  9.フィブリノーゲン
  10.フィブリン分解産物(FDP)
  11.プラスミン−アンチプラスミン複合体(PIC)
  12.アンチトロンビンIII(AT III)
  13.トロンビン−アンチトロンビンIII複合体(TAT)
 D.骨髄検査
 E.染色体検査
3.生化学検査  <奈良信雄>
 A.血清タンパク検査
  1.血清総タンパク(TP)
  2.血清アルブミン(Alb)
  3.血清タンパク分画
  4.血清膠質反応
 B.血清脂質検査
  1.総コレステロール(T-Chol)
  2.トリグリセリド(TG)
  3.リポタンパク分画(LP)
  4.アポリポタンパク
  5.HDL-コレステロール(HDL-C)
  6.LDL-コレステロール(LDL-C)
 C.糖質検査
  1.血糖
  2.糖化ヘモグロビン(ヘモグロビンA1c),フルクトサミン,糖化アルブミン
  3.1, 5アンヒドログルシトール(1, 5AG)
  4.インスリン,Cペプチド
 D.肝・胆道系検査
  1.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
  2.乳酸脱水素酵素(LDH)
  3.ビリルビン(Bil)
  4.アルカリホスファターゼ(ALP)
  5.γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)
  6.ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)
  7.コリンエステラーゼ(ChE)
  8.アンモニア(NH3)
  9.インドシアニングリーン(ICG)試験
 E.膵機能検査
  1.アミラーゼ(AMY)
  2.リパーゼ
 F.腎機能検査
  1.血中尿素窒素(BUN)
  2.クレアチニン(Cr)
  3.クレアチニンクリアランス(Ccr)
  4.フェノールスルホンフタレイン試験(PSP)
  5.フィッシュバーグ尿濃縮試験
  6.尿中微量アルブミン
  7.β2ミクログロブリン(β2MG)
 G.尿酸
 H.電解質検査
  1.ナトリウム(Na)
  2.カリウム(K)
  3.クロール(Cl)
  4.カルシウム(Ca)
  5.リン(P)
 I.無機質検査
  1.鉄(Fe)
  2.総鉄結合能(TIBC),不飽和鉄結合能(UIBC)
  3.フェリチン
  4.銅(Cu)
  5.マグネシウム(Mg)
 J.筋関連酵素
  1.クレアチンキナーゼ(CK,CPK)
  2.アルドラーゼ(ALD)
  3.ミオシン軽鎖
4.内分泌検査  <池田 斉>
 A.内分泌総論
  1.ホルモン分泌と疾患
  2.ホルモン測定
  3.負荷試験の意義
 B.下垂体前葉ホルモンの検査
  1.成長ホルモン(GH)
  2.プロラクチン(PRL)
  3.副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
  4.甲状腺刺激ホルモン(TSH)
  5.黄体形成ホルモン(LH)
  6.卵胞刺激ホルモン(FSH)
 C.下垂体後葉ホルモンの検査
  1.抗利尿ホルモン(ADH)
 D.甲状腺ホルモンの検査
  1.遊離サイロキシン(FT4)
  2.遊離トリヨードサイロニン(FT3)
  3.抗TSHレセプター抗体(TRAb)
  4.抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)
  5.抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体)
  6.カルシトニン
 E.副甲状腺ホルモンの検査
  1.副甲状腺ホルモン(PTH)
 F.副腎皮質ホルモンの検査
  1.コルチゾール
  2.アルドステロン
 G.副腎髄質ホルモンの検査
  1.尿中カテコラミン
  2.血中カテコラミン
 H.男子性腺ホルモンの検査
  1.テストステロン
 I.女子性腺ホルモンの検査
  1.エストラジオール(E2)
  2.プロゲステロン
 J.その他のホルモン
  1.血漿レニン
  2.エリスロポエチン
5.免疫血清検査  <佐藤和人>
 A.免疫血清総論
  1.抗原抗体反応
  2.抗原,抗体の検出法
 B.感染症,炎症マーカーの検査
  1.C反応性タンパク(CRP)
  2.血清梅毒反応(STS,TPHA)
  3.肝炎ウイルス検査(HAV,HBV,HCV)
  4.成人T細胞白血病ウイルス検査(HTLV-I)
  5.エイズ関連検査(HIV)
  6.EBウイルス検査(EBNA,VCA,EA)
 C.免疫グロブリン,補体などの検査
  1.免疫電気泳動検査
  2.免疫グロブリン定量
  3.血清補体価
  4.クリオグロブリン
  5.寒冷凝集反応
  6.ベンス ジョーンズ タンパク(BJP)
 D.細胞性免疫の検査
  1.T細胞,B細胞比率
  2.T細胞サブセット
 E.自己抗体の検査
  1.リウマトイド因子(RF)
  2.抗核抗体(ANA)
  3.LE細胞
  4.LEテスト
  5.抗DNA抗体
  6.抗Sm抗体
  7.抗ミトコンドリア抗体
  8.抗甲状腺抗体
  9.抗赤血球抗体(クームス試験)
  10.抗平滑筋抗体
 F.輸血に関する検査
  1.ABO血液型
  2.Rh血液型
  3.不規則抗体
  4.交差適合試験
  5.HLA
 G.免疫学的妊娠反応
 H.腫瘍マーカーの検査
  1.αフェトプロテイン(AFP)
  2.がん胎児性抗原(CEA)
  3.CA19-9
  4.前立腺腫瘍マーカー(PSA,PAP,γ-Sm)
  5.乳がん関連腫瘍マーカー
  6.婦人科領域の腫瘍マーカー
  7.肺がん腫瘍マーカー
6.病原微生物検査  <岡村 登>
 A.微生物検査法の種類と適応
  1.塗抹検査
  2.培養検査
  3.免疫学的検査
  4.遺伝子検査
 B.検体の取り扱い方
  1.検体採取のしかた
  2.検体の保存,移送法
  3.バイオハザード
 C.主要な病原微生物と特徴
  1.グラム陰性桿菌
  2.グラム陰性球菌
  3.グラム陽性桿菌
  4.グラム陽性球菌
  5.偏性嫌気性菌
  6.マイコバクテリウム属
  7.マイコプラズマ
  8.スピロヘータ
  9.リケッチア
  10.クラミジア科
  11.真菌
  12.ウイルス
  13.原虫
6.病理検査  <奈良信雄>
 A.細胞診検査
 B.病理組織検査
  1.生検
  2.迅速病理検査
  3.手術摘出標本検査
7.生理機能検査  <奈良信雄>
 A.循環機能検査
  1.心電図検査(ECG)
  2.心臓エコー(超音波)検査
  3.脈波検査
 B.呼吸機能検査
  1.肺活量測定
  2.努力性肺活量測定
  3.動脈血ガス分析
 C.神経機能検査
  1.脳波検査
  2.筋電図検査
 D.エコー検査

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