第4版の序
本書の第3版は1992年に発行され.それから今日まで3年の歳月が流れている.わずか3年とはいえ医学・薬学のたゆまぬ進歩は新しい用語とそれらの略語を生み出してゆく.そうした状況は本書の改訂を余儀な〈し,今回新たな用語を追加し改訂第4版を発行することとした.本書には,医学・薬学の専門雑誌に記載されていた用語の略語約300語を新規に追加収載した.
前版の序にも記したことであるが,略語を用いることは誤解や間違いのもとになるので,その使用に当たっては慎重な配慮が欲しいものである.本書は略語が何を意味するかを調べる手段に用いる辞典であって,公的に認められた略語であることを意味するものでもなく,また略語の使用を推奨するものでもない.本書が少しでも読者諸賢のお役に立てば編者として喜ばしいことである.
第4版の発行にあたり,絶大なるご支援とご理解を戴き本書をここまで育てて戴いた中外医学社青木三千雄社長,ならびに本書を編纂するに当たり,終始ご協力を載いた企画部荻野邦義氏,編集部秀島 悟氏,斎藤喜信氏の諸氏に衷心より謝意を表します.
1995年8月
福室 憲治
序
現代社会のいろいろの分野で略語が用いられているが,日本語の略語というのは少くて,多くは欧米で用いられている用語を簡略化したものである.この傾向は医学・薬学の領域においてもまた顕著である.
略語を用いることは大変便利である,しかし,語源を知らない者にとっては,1つの略語が何通りもの語義に解釈できることもり,また略し方に一定の法則がないため,適当に略語を作って用いているものもあり,学会発表や雑誌論文などにこれらの略語が用いられると,意味を取り違えたり,意味がわからなかったり,およそ理解することが困難となる.
この略語は,医学,薬学の専門用語ばかりでな〈,医薬品名称にもあり,医薬品名の読み違いは医療過誤に結びつく可能性がある.したがって一般に略語を用いることは好ましくないが,現実には略語が氾濫している時代であり,なんらかの方策が必要と思われる.この問題解決の助けとなる医学略語辞典がすでに何冊か出版され利用されている.
しかし,略語も時代とともに変化し,新しいものも生まれてきているところから,新しい略語辞典を企画した.本書は古くから用いられている略語に,最近の医学,薬学系雑誌に見られる略語と新医薬品の略名をできるだけ加えたつもりである.本書が略語の的確な理解に役立てばと願っている次第である.しかし不備な点も多々あることと思うので,御指摘,御叱正をいただければ幸いである.
最後に,本書の共編者である関 隆博士は,本書の刊行を見ずに編集途上で急逝され,誠に残念なことであった.ここにご冥福をお祈り致します.
また本書の出版に当り,中外医学社青木三千雄社長の温かいご理解と,企画部中田久夫,編集部秀島 悟,井上博子の諸氏に多大のご協力を賜わった.ここに深甚の謝意を表します.
1982年10月
編者しるす