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書籍詳細

脳脊髄MRA

基礎と臨床‐流れの画像化

脳脊髄MRA

中田 力 他編著

B5判 250頁

定価12,100円(本体11,000円 + 税)

ISBN978-4-498-02922-4

1997年04月発行

在庫なし

近年著しい進歩と普及をみせるMR Angiographyの新しいガイドブック.MRA による解剖, 脳動脈瘤, 脳血管障害, 脳血管奇形, モヤモヤ病, 頸部血管病変, 脊髄動静脈奇形などについて, 他に類を見ない豊富な症例をベースとした最新の画像を多数配し, 基本から懇切に解説した.読影力の向上を目指してMRI ,MRA の原理や新しい撮像法の実際についてもわかりやすく解説した.脳ドックに関わるスタッフ, 神経内科, 脳神経外科医必携の書である.

はじめに
 核磁気共鳴学の祖, BlochとPurcellがノーベル物理学賞を分け合ったのは1952年のことである. 1991年ノーベル化学賞を受賞したErnstにより1966年にFourier化された核磁気共鳴法はLauterburに引き継がれ1973年にMRIを生んだ. 量子力学の身近な応用として比較的長い歴史を持つ核磁気共鳴学が医学における革命児となる前触れである. それでも全盛期を迎えたCTの陰に隠れて, 70年代に核磁気共鳴で画像を作る方法論を語っていた頃の我々はまだまだminorityに過ぎなかった. MRIが一挙にポピュラーなものとなったのは80年代に入ってからである.

 Roentgenを祖とするX線画像学が20世紀の覇者であったとすれば, 核磁気共鳴画像学は21世紀を担う学問である. X線画像学に慣れ親しんだ20世紀の臨床家にとって根本的な物理特性を異にする核磁気共鳴画像学の登場は脅威であった. それでも「X線画像学との対比によるMRIの導入」という初期の戦略が功を奏し, MRIは臨床家に無理なく受け入れられることとなった. しかしその反面様々な問題点を生み出したことも隠せない. 核磁気共鳴画像学が成熟期に入った現在, X線画像学との対比を避けMRIを核磁気共鳴そのものから理解することが強く望まれる所以である. 「流れの画像」はその代表例と言える.

 Singerを祖と仰ぐ「流れの核磁気共鳴学」はMRAとして臨床に登場した. 実際のところ, MRAがangiographyではなくfow imageであることはよく知られてはいるが, 慣れ親しんだX-ray angiographyに近づけるために様々な情報が切り捨てられている事実はあまり知られていない. 本書は次世代の「流れの画像」を意識しながら, MRAを画像神経学と核磁気共鳴学の両面から理解することを目標として書かれたものである.

 本書は, 多くの方々の御協力により完成にいたることができました. 中でも, 中外医学社の小川孝志氏, 上村裕也氏, そして, 多くの貴重な資料を提供して下さった柏葉脳神経外科病院, 札幌麻生脳神経外科病院の関係者の皆様に深く感謝いたします.

1997年3月
中田 力

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目 次

1章 MRの基礎 中田 力
 PartI Principle of MRI
  1. Nuclear magnetism
   1. classical description of NMR
    a Larmor precession
    b Larmor frequency
    c Boltzmann distribution
    d macroscopic magnetization and Bloch equation
   2. biological signal sources for MRI
    a 共鳴周波数と磁場強度
    b chemical shift artifact
    c MRIcontrastmechanics
    d 脂肪画像
   3. microscopic environment of water molecules
    a 水の分子構造
    b 水素結合と構造化
    c 水の分子運動と相関時間
    d 生体における水
    e 水分子の巨視的な動き
  2. Spatial encoding and k-space analysis
   1. conventional 2DFT MRI
    a excitation, relaxation, and reception
    b 傾斜磁場
    c selective excitation and slice definition
    d frequency encoding and Fourier transform
    e phase encoding and second dimension
    f basics pin-echosequence and 2DFT processing
   2. k-space analysis
    a sampling matrix and spatial resolution
    b k-space and k-trajectory
  3. Pulse sequences and weighted images
   1. spinecho
   2. gradient echo
   3. diffusion weighted imaging
 PartII Principle of MR angiography
  1. Time-of-flight angiography
   1. time-of-flight effect and inflow effect
   2. time-of-flight angiography
  2. Phase-contrast angiography
   1. phase-shiftと傾斜磁場
    a 静止している組織の場合
    b 移動している組織の場合
   2. phase-contrast angiography
   3. MRA画質改善のための工夫
  1. phase dispersionの抑制
  2. saturationの抑制
  3. magnetization transfer
  
2章 脳血管解剖とMRA 青樹 毅
  1. 頚動脈系
   1. 内頚動脈
   2. 前大脳動脈,前交通動脈
   3. 中大脳動脈
  2. 椎骨脳底動脈系
   1. 椎骨動脈
   2. 脳底動脈
   3. 後大脳動脈
  3. 静脈系
   1. 静脈洞
   2. テント上の静脈系
   3. 後頭蓋窩の静脈系
   
3章 脳動脈瘤のMRA 宝金清博
  1. 脳動脈瘤発見のためのMRAの方法
   1. sequence
   2. 撮像部位
   3. 観察方法
   4. targetMIP・原画像の観察
  2. 動脈瘤発見の感度と特異度
  3. 偽陽性と偽陰性
   1. なぜ偽陽性が起こるか?
   2. なぜ偽陰性が起こるか?
  4. 破裂脳動脈瘤のMRA
   1. 破裂脳動脈瘤の診断
   2. 脳血管攣縮の診断
  5. 特殊な動脈瘤
   1. 巨大動脈瘤
   2. 解離性脳動脈瘤
  6. 動脈瘤の治療方針とMRA
  7. 未破裂脳動脈瘤のMRA
  8. まとめ
  
4章 閉塞性脳血管病変のMRA 青樹 毅
  1. 閉塞性脳血管病変のMR診断法
   1. spinecho(SE), inversion recovery(IR)
   2. MRA
   3. selective MRA, time-resolved MRA
   4. contrast-enhanced dynamic perfusion imaging
   5. diffusion imaging
  2. 梗塞脳・虚血脳のMRIと頭蓋内血管のMRI
   1. 梗塞脳・虚血脳のMRI
   2. 頭蓋内血管のMRI
  3. 閉塞性脳血管病変のMRAの方法
   1. 撮像シーケンス
   2. 撮像部位
   3. 画像再構成と観察方法
  4. 内頚動脈系の閉塞性脳血管病変
   1. 主幹動脈閉塞のMRA
   2. 側副血行とMRA
   3. 動脈狭窄病変のMRA
  5. 椎骨脳底動脈系の閉塞性脳血管病変
  6. MRAによる血流方向性の同定と側副血行の評価
   1. MRAを用いた血流方向の評価
   2. pre-saturationpulseを用いたMRA
  7. 頭蓋内閉塞性静脈病変とMRA
   1. 静脈性梗塞・静脈閉塞のMRI
   2. 静脈閉塞のMRA
   
5章 脳血管奇形のMRA 青樹 毅
  1. 脳血管奇形の分類と頻度
  2. 脳動静脈奇形
   1. AVMの疾患概念
   2. AVMの自然経過
   3. AVMのCT・MRI診断
   4. AVMのTOFMRA
   5. AVMのPCMRA
   6. 治療前検査および治療効果の評価法としてのMRA
   7. 硬膜動静脈奇形, 硬膜動静脈瘻
  3. 静脈血管腫
   1. 静脈血管腫のCT・MRI診断
   2. 静脈血管腫のMRA診断
  4. 海綿状血管腫,毛細血管拡張
  
6章 もやもや病のMRA 宝金清博
  1. もやもや病とMRA
  2. もやもや病のMRA
   1. 撮像法
   2. もやもや病のMRA
    a Willis動脈輪の狭窄・閉塞性変化
    b もやもや血管の描出
    c 側副血行路の描出
    d 病期分類
  3. もやもや病臨床におけるMRAの有用性
   1. MRAによる治療効果の判定
   2. もやもや病のscreening
   3. 片側もやもや病(もやもや病疑診例)のMRA
  4. まとめ
  
7章 頚部血管のMRA 宝金清博
  1. 頚部血管の画像診断の目的
   1. 頚部内頚動脈の診断
   2. 椎骨動脈の画像診断
  2. 頚部血管の検査方法
  3. 頚部頚動脈および椎骨動脈のMRAの撮影方法
  4. 頚部内頚動脈のMRA(正常例と狭窄)
  5. 頚部椎骨動脈の評価
  6. まとめ
  
8章 Phasecontrast法の臨床応用 隅田昌之・井川房夫・魚住 徹
  1. 対象と方法
  2. 結果
   1. 正常
   2. AVM
   3. venous angioa
   4. cavernous carotid fistula
   5. 脳動脈瘤
   6. もやもや病
   7. 脳梗塞
   8. その他
   9. 2D-PC法の臨床応用
  3. まとめ
  
9章 脊髄動静脈奇形のMRI・MRA 飛騨一利
  1. 脊髄血管の撮像について
  2. 脊髄動静脈奇形とMRA
  3. 脊髄動静脈奇形とMRI
  4. 代表症例
   〔症例1〕 perimedullary AVF
   〔症例2〕 perimedullary AVF with large varix
   〔症例3〕 intramedullary AVM
   〔症例4〕 dural AVF
   〔症例5〕 perimedullary AVF治療の前後例
   〔症例6〕 dural AVF治療の前後例
   
10章 Perfusion imageとdiffusion image 宝金清博・松沢 等
  1. MRによる流れの画像
   1. 流れの画像
   2. 中枢神経系の流れ
   3. 流れの速度とMRを用いた流れの画像
  2. 微小循環
  3. Perfusion image(潅流画像)
  4. Diffusion weighted image(拡散強調画像)
   1. 拡散とは
   2. NMRと拡散
   3. 拡散強調画像で何を見ているのか?
   4. 拡散強調画像の臨床例
   5. 拡散の非等方性
   
11章 MRによる流れの画像化の展望 松沢 等
  1. 流れの画像化
   1. projectionangiography
   2. 流速の定量
    a directbolustracking
    b pre-saturation
    c Fouriervelocityimaging
    d phasecontrastimaging
   3. 速度分布の描出, shearstressの測定
   4. 流線の描出
   5. 乱流の描出
  2. 流体力学の基礎
   1. 流体の方程式
    a Navier-Stokes方程式
    b 連続の式
   2. 定常流とReynolds数
    a Reynolds数
    b 慣性力と粘性力
    c 力学的相似とファントーム実験
   3. 層流と乱流
    a 層流の速度分布
    b 乱流の速度分布
    c 層流から乱流への遷移
   4. 拍動流とW ersley数
    a 拍動流とW ersley数
    b W ersley数と拍動パターンの変化
   5. 流線
    a 流線の方程式
    b 流線関数
   6. shearstress
    a Newton流体とshearstress
    b 非Newton流体

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