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書籍詳細

図解 局所麻酔ハンドブック

図解 局所麻酔ハンドブック

釘宮豊城 他編著

B5判 198頁

定価8,360円(本体7,600円 + 税)

ISBN978-4-498-05508-7

1996年03月発行

在庫なし


 局所麻酔法に関する書物はすでに数多く見られる.今回の主旨は初心者が局所麻酔を行うにあたって必要とされる知識,手技,合併症およびその実際を具体的にわかりやすく解説するというものである.したがって,なるべく多くの図,写真,表などを用いて視覚的に注意点,コツ等を理解してもらうように試みた.
 執筆は当麻酔科学教室の教室員に分担してもらい,執筆も兼ねた編集には小生と,同僚でありまたペインクリニック,疼痛治療に造詣の深い宮崎東洋教授があたった.基本的手技は当然のことながら当教室の方法が主として書かれているが,当大学病院の分院である浦安病院,伊豆長岡病院の教室員にも参画してもらっており,それら病院における手技,また各人が個人的に好んで用いている手技なども特に制限はつけずに執筆してもらった.このようなことから,同じ局所麻酔法でも執筆者により多少とも手技が異なっている場合もあるが,編集段階では特に訂正等は行わなかったことを念頭に置いて読んでいただきたいと思っていると同時に,このような編集方針をとったことで,今までの教科書とはひと味違ったニュアンスが出れば幸いであると考えている.
 局所麻酔法は全身麻酔法に比べて手軽に施行でき,偶発症なども稀で,安全な麻酔法であると一般的には考えられており,実際もその通りであることが多い.しかしながら,局所麻酔薬やブロックに伴う基本的な知識,注意事項等を熟知していないと,重大な偶発症を惹起し,取り返しのつかないような結果になる可能性もあることを知っておいてほしい.したがって,本書の「I.局所麻酔の基礎,II.局所麻酔薬による偶発症,III.救急蘇生,IV.局所麻酔に必要な器具」は,実際に局所麻酔を施行する前にぜひ熟読し,完全に理解してほしいものである.
 多忙な臨床業務にもかかわらず本書のために時間を割いて原稿を仕上げてくれた教室員および本企画を立て,編集していただいた中外医学社の荻野邦義,稲垣義夫両氏に心より感謝の意を表したい.

1996年1月
順天堂大学医学部麻酔科学教室
釘宮豊城

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目 次

I 局所麻酔の基礎〈宮崎東洋〉
 A.局所麻酔の定義
 B.局所麻酔法
  1.局所麻酔薬を用いる麻酔法
  2.局所麻酔薬を用いない麻酔法
  3.局所麻酔の特徴
 C.局所麻酔薬
  1.局所麻酔薬の構造と作用機序
   a.基本構造
   b.エステル型とアミド型
   c.作用機序
   d.麻酔効果に関連する性質
  2.局所麻酔薬の薬理作用
   a.神経線維の太さと伝導機能
   b.最低麻酔効果濃度
   c.分離麻酔
   d.神経幹での作用
   e.中枢神経への作用
   f.心循環系への作用
   g.胎盤通過性
   h.タキフィラキシス
   i.吸収,分解,排泄
  3.主な局所麻酔薬
   a.エステル型局所麻酔薬
   b.アミド型局所麻酔薬

II 局所麻酔薬による偶発症〈釘宮豊城〉
 A.局所毒性
 B.急性中毒
  1.血中濃度を決定する因子
  2.局所麻酔薬中毒の症状
  3.局所麻酔薬中毒の鑑別診断
 C.アレルギー

III 救急蘇生 〈三原純〉
 A.2次救命処置におけるABC
  1.気道確保
   a.下顎挙上法
   b.エアーウェイ
   c.気管内挿管
   d.気管内挿管が困難な場合
  2.人工呼吸
   a.呼吸バッグ
   b.人工呼吸器
  3.心マッサージ
   a.胸骨圧迫心マッサージ
   b.開胸心マッサージ
  4.救命処置に使用する薬品
   a.投与ルート
   b.第1選択薬
   c.慎重に使用する薬剤
  5.不整脈と治療
   a.致死的不整脈
   b.致死的不整脈に移行しやすい不整脈
 B.心拍再開後
  1.集中治療の開始
  2.脳指向集中治療
   a.蘇生後脳障害
   b.治療
 C.法的なことがら
 D.救急蘇生法の再訓練

IV 局所麻酔に必要な器具〈徳田秀光〉
  1.局所麻酔に直接必要なもの
  2.局所麻酔薬を正しく行うための補助診断装置
  3.合併症の対策に必要なもの

V 各種ブロック
 A.表面麻酔 〈水嶋章郎〉
 B.侵潤麻酔 〈水嶋章郎〉
 C.脊椎麻酔 〈神山洋一郎〉
  1.脊椎麻酔に必要な基礎知識
  2.脊椎麻酔法の実際
 D.硬膜外麻酔 〈伊藤博巳〉
  仙骨硬膜外麻酔法
 E.経仙骨孔ブロック 〈井関雅子〉
 F.上肢の局所麻酔,ブロック 〈西村欣也〉
  1.腕神経叢ブロック
   a.斜角筋間法
   b.鎖骨上法
   c.腋窩法
  2.指神経ブロック
  3.正中神経ブロック
  4.橈骨神経ブロック
  5.尺骨神経ブロック
  6.頸神経叢ブロック
  7.肩甲上神経ブロック
 G.下肢のブロック 〈田邉豊〉
  1.外側大腿皮神経ブロック
  2.大腿神経ブロック
  3.閉鎖神経ブロック
  4.坐骨神経ブロック
  5.3 in 1腰神経叢ブロック
  6.足趾の神経ブロック
 H.肋間神経ブロック 〈井関雅子〉
 I.静脈内局所麻酔 〈蓮見謙司〉

VI 各科に特有な局所麻酔
 A.歯科・口腔外科 〈弘田博子〉
  1.解剖
  2.カートリッジとカートリッジ用注射器
  3.歯科用局所麻酔の特色
  4.表面麻酔
  5.侵潤麻酔法
  6.周囲麻酔法
  7.伝達麻酔
 B.眼科 〈白石正治〉
  1.眼科領域の神経支配
  2.眼科領域における局所麻酔の分類
  3.それぞれの局所麻酔法
   a.表面麻酔
   b.侵潤麻酔
   c.瞬目麻酔
   d.球後麻酔
   e.眼周囲麻酔
 C.産科・婦人科 〈菊地利浩〉
  1.妊婦の生理学的,解剖学的変化
  2.局所麻酔薬の妊婦への影響
   a.薬物の胎盤通過と胎児への移行
   b.局所麻酔薬の子宮収縮,血液への影響
  3.経膣分娩の麻酔(無通分娩)
   a.局所侵潤麻酔
   b.傍頸管ブロック
   c.陰部神経ブロック
   d.硬膜外麻酔法
   e.仙骨硬膜外麻酔法
   f.脊椎麻酔法
  4.帝王切開の麻酔
   a.脊椎麻酔法
   b.硬膜外麻酔法
   c.局所侵潤麻酔法
 D.整形外科 〈岡崎敦〉
  1.肩関節,肩鎖関節手術
  2.鎖骨骨折
  3.上腕骨骨折
  4.前腕骨骨折,手指手術
  5.肋骨骨折
  6.骨盤骨折
  7.大腿骨頸部骨折
  8.膝関節手術
  9.足関節手術
  10.内側上腕皮神経,肋間上腕神経ブロック
 E.形成外科 〈奥野滋子〉
  1.頭部の手術
   a.頭皮の手術
   b.前額部の手術
   c.後頭部の手術
  2.眼瞼,眉毛周囲の手術
   a.眉間,眉毛部の手術
   b.上眼瞼の手術
   c.涙嚢の手術
   d.下眼瞼,顔面中央部,上口唇および内側の粘膜の手術
  3.下口唇,下顎の手術
  4.口腔の手術
  5.鼻形成術
   a.鼻背部の手術
   b.鼻骨骨折徒手整復術
  6.外耳の手術
  7.胸壁,乳房の手術
  8.腋臭症の手術
  9.上肢の手術
  10.下肢の手術
  11.外性器の手術
 F.小児科 〈水嶋章郎〉
  1.小児での局所麻酔の意義
  2.局所麻酔薬の選択
  3.器具
  4.小児に有用な神経ブロック
   a.仙骨ブロック
   b.胸腰部硬膜外ブロック
   c.脊椎ブロック
   d.腸骨鼠径,腸骨下腹神経ブロック
   e.陰神経ブロック
   f.腕神経叢ブロック・腋窩ブロック
   g.肋間神経ブロック
  5.皮膚表面麻酔:lidocaineテープ
 G.内視鏡 〈小松研二〉
  1.気管支鏡・消化管内視鏡の麻酔
   a.咽頭,喉頭の解剖
   b.内視鏡施行時の前投薬
   c.咽頭,喉頭の表面麻酔
   d.上喉頭神経ブロック
   e.消化管内視鏡のための局所麻酔
   f.気管支鏡のための局所麻酔
  2.尿道,膀胱検査のための局所麻酔
   a.尿道表面麻酔
   b.膀胱表面麻酔

付)局所麻酔薬一覧 〈伊藤博巳,釘宮豊城〉
索引

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