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書籍詳細

耳鼻咽喉科 頭頸部外科 画像診断

耳鼻咽喉科 頭頸部外科 画像診断

舩坂宗太郎 他編

B5判 260頁

定価15,950円(本体14,500円 + 税)

ISBN978-4-498-06230-6

1993年発行

在庫なし

耳鼻咽喉科,頭頸部外科領域の単純X線,断層,造影X線およびCT,MRIを中心に,エコー,シンチ,血管造影なども含めた画像診断の実際を鮮明な写真と懇切な解説でまとめた.まず各部位のmodality 毎の正常像とそのシェーマを付した解剖的解説を施し,次に各部位での奇形・骨折・炎症・腫瘍など各疾患の画像の読影が解説されている.特に病態に関連して画像がどのように変化するかなど役立つ情報が随所にもられている.

はじめに
 耳鼻咽喉科の対象領域は,解剖学的にきわめて複雑な部位であり,補助診断法としての画像読影は容易ではない.さらに近年CTやMRIなどの導入により,骨はもとより軟部組織の正確な読み取りが要求されるようになった.しかも,これらの画像描出技術の進歩はまことに目覚ましく,より細部にわたる描出を可能としつつある.このため,より複雑な解剖学的知識とより詳細な病態像の知識なくしては正しい読影は不可能で,いうなれば「猫に小判」となってしまう恐れがある.
 しかし,それぞれの画像あるいは各断面像について,複雑な解剖学的知識と詳細な病態像の知識をもって読影することは,一朝一夕にできることではない.この莫大な知識を効率よく把握するには,常に「なぜこのような画像を呈するのか」という問い掛けと納得が必要である.本書はこの目的を達成すべく企図されたものである.幸い,各執筆者のご協力によりこの意図が充分生かされたものとなった.すなわち,前半の基礎編ではそれぞれの画像の撮り方と描出された構造が,適切な写真と線画で簡にして要を得,しかも適宜病態像にも言及して記載されている.そしてそれぞれの画像診断法の利点と限界が述べられているのも読者にとっては大いに参考となるであろう.また,CT,MRIなどについては,その原理の分かりやすい説明は本書の特色といってよい.後半の臨床編では耳,鼻,のどの各部について病像にもとづく画像の異常が記載されており,ここでは単に画像の説明でなく疾病の本態や経過にも触れ,他の症状も考察に入れながら診断に進むという当然ではあるが大切な基本姿勢が貫かれている.
 このような企図を生かすため,基礎編と臨床編とであえて重複を厭わない方針とした.したがって読者は自己の知識に応じてどのページから読まれてもよいと思う.ただ初心者は基礎編をできれば頭蓋骨標本を手元におきながら読んで,しっかりと基礎知識を頭に入れて欲しい.そうすれば臨床像で「なぜこのような画像を呈するのか」の理解が容易にでき,応用の効く「読影力」が具わるはずである.
 本書を企画するにあたっての懸念は,工学技術の進歩が早いため上梓されたときは時代遅れとなりはしないかということであった.この懸念は,各執筆者が多忙のなか短期間に書き上げていただき,出版に賛同された中外医学社社長青木三千雄氏,直接担当された高橋衛氏の適切な対応により見事に吹き飛んだ.ここに心から感謝の意を表する次第である.

1993年2月
舩坂宗太郎

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目 次

I.基礎編
 1.耳部,側頭部〈野田正信・前原忠行〉
  1.単純X線写真
   a.標準的撮影法
   b.その他の撮影法
  2.断層X線写真
   a.多軌道断層撮影
  3.CT
   a.CTの装置と原理
   b.一般のCT(単純,造影)
   c.高分解能CT
   d.ガスCT
   e.鼓室内生食注入CT
   f.再構成画像
  4.MRI
   a.MRIの原理と撮像法
   b.利点と限界
   c.一般MRI画像
   d.サーフェスコイルを用いた高分解能MRI
   e.造影MRI
 2.鼻・副鼻腔,上咽頭,翼口蓋窩,中咽頭〈関 恒明・蜂屋順一〉
  1.鼻・副鼻腔の単純X線撮影
   a.後前方撮影
   b.側面撮影
   c.CALDWELL撮影
   d.WATERS撮影
  2.鼻・副鼻腔のCT・MRI
   a.CT検査法
   b.MRI検査法
   c.前頭洞
   d.篩骨洞
   e.蝶形骨洞
   f.上顎洞
   g.その他副鼻腔以外の構造物
  3.上咽頭・中咽頭のCT・MRI
   a.CT検査法
   b.MRI検査法
   c.上咽頭(鼻咽頭)
   d.中咽頭
  4.X線造影検査
   a.外頸動脈撮影
   b.唾液腺造影検査
 3.下咽頭,喉頭,上部食道
  1.単純X線写真 〈辰野 聡・多田信平〉
   a.特質と適応
   b.撮影法
   c.正常解剖
  2.喉頭断層撮影 〈辰野 聡・多田信平〉
   a.特質と適応
   b.撮影法
   c.正常解剖
  3.CT 〈辰野 聡・多田信平〉
   a.特質と適応
   b.撮影法
   c.正常解剖
  4.MRI 〈辰野 聡・多田信平〉
   a.特質と適応
   b.撮影法,正常解剖
  5.造影X線写真 〈阿部公彦・若林ゆかり〉
   a.食道造影法
   b.喉頭造影
 4.甲状腺,頸部〈網野三郎・阿部公彦・若林ゆかり〉
  1.単純X線写真
  2.CR
  3.CT
  4.MRI
 5.その他〈網野三郎・阿部公彦・若林ゆかり〉
  1.甲状腺シンチグラム
   a.123Iシンチグラム
   b.99mTcシンチグラム
   c.201T1シンチグラム
   d.67Gaシンチグラム
  2.超音波検査

II.臨床編
 1.耳部,側頭部
  1.奇形 〈平出文久・永瀬茂代〉
   a.外耳奇形
   b.中耳奇形
   c.内耳奇形
  2.外傷 〈平出文久・永瀬茂代〉
  3.異物 〈平出文久・永瀬茂代〉
  4.炎症 〈船井洋光〉
   a.悪性外耳炎
   b.Keratosis obturansと外耳道真珠腫
   c.急性乳様突起炎
   d.非真珠腫性慢性中耳炎
   e.後天性真珠腫
   f.中耳炎術後再発
  5.腫瘍 〈平出文久・吉田知之〉
   a.良性腫瘍
   b.悪性腫瘍
  6.人工内耳適応診断のための画像診断 〈熊川孝三〉
   a.CT
   b.高分解能MRI
 2.鼻・副鼻腔,上咽頭,中咽頭
 A.鼻・副鼻腔 〈飯沼壽孝〉
  1.外傷
   a.鼻骨骨折
   b.吹きぬけ骨折
   c.頬骨弓骨折
   d.三脚骨折
   e.複合骨折
   f.粉砕骨折
  2.炎症性疾患(含む嚢胞)
   a.副鼻腔・腔内の所見
   b.骨壁の変化
   c.慢性副鼻腔炎
   d.副鼻腔嚢胞
  3.腫瘍
   a.良性腫瘍
   b.悪性腫瘍
 B.口腔,上咽頭,中咽頭,副咽頭腔,下顎骨 〈石毛俊行・金子敏郎・今野昭義〉
  1.口腔
  2.上咽頭
  3.中咽頭
  4.副咽頭腔
  5.下顎骨
 C.唾液腺 〈石毛俊行・金子敏郎・今野昭義〉
  1.炎症
   a.唾石
   b.唾液管炎
   c.小児反復性耳下腺炎
  2.非炎症性腫脹
   a.SJOGREN症候群
   b.ガマ腫
   c.軟部好酸球性肉芽腫症(木村氏病,eosinophilic granuloma)およびその他の疾患
  3.腫瘍
   a.耳下腺良性腫瘍
   b.耳下腺悪性腫瘍
   c.顎下腺腫瘍
   d.舌下腺腫瘍
   e.小唾液腺腫瘍
 3.下咽頭,喉頭,気管〈宮田 守・森田 守〉
  1.奇形
   a.下咽頭
   b.喉頭
   c.気管,気管支
  2.外傷
   a.下咽頭
   b.喉頭,気管
  3.炎症
  4.腫瘍
   a.下咽頭
   b.喉頭
   c.気管
 4.頸部〈久 育男・村上 泰〉
 A.甲状腺
  1.奇形
   a.異所性甲状腺
  2.炎症
   a.化膿性甲状腺炎
   b.亜急性甲状腺炎
   c.慢性甲状腺炎
  3.腫瘍
   a.良性腫瘍
   b.悪性腫瘍
 B.リンパ節
  1.炎症
  2.腫瘍
   a.悪性リンパ腫
   b.頸部リンパ節転移
 C.その他
   a.頸嚢胞
   b.頸部軟部組織原発性疾患

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