頭頸部画像診断学
高橋睦正 編著
四六倍 236頁
定価7,920円(本体7,200円 + 税)
ISBN978-4-498-01323-0
1997年09月発行
在庫なし
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頭頸部画像診断学
高橋睦正 編著
四六倍 236頁
定価7,920円(本体7,200円 + 税)
ISBN978-4-498-01323-0
1997年09月発行
在庫なし
解剖学的に複雑な構造をもち精緻な読影力が要求される頭頸部の画像診断の実際について,CT,MRI を中心に鮮明な写真を多数配しつつわかりやすく解説した書. 眼窩, 頭蓋底, 側頭骨, 下顎骨, 顎関節, 鼻腔, 副鼻腔, 上咽頭, 咽頭間隙, 口腔, 中咽頭, 下咽頭, 喉頭, 唾液腺, 甲状腺, リンパ節, 頸部食道の各領域ごとに正常解剖から各種異常像の読影の実際までを懇切に説いている. この領域の画像診断のために必携の書である.
頭頚部放射線学head and neck radiologyは頭蓋底から胸郭入口部までの放射線診断および放射線治療を含む放射線医学の重要な分野である.脳神経の放射線診断は神経放射線学neuro-radiologyと呼ばれ,境界領域であり,頭蓋底,側頭骨,眼窩などの疾患は両方で対象とされている.最近,本領域は急速に発展,拡大してきており,放射線医学の大きな一分野として重要な役割を担いつつある.頭頚部放射線学がこのように発展,分化してきた理由として,1)対象となる臓器・組織系統が多様であり,血管,神経,リンパ節などを包む筋膜構造のX線解剖が最近解明されてきたこと,2)CT,MRI,超音波など多くの放射線医学的検査が適応されること,3)腫瘍,炎症,外傷,先天奇形,血管性病変など多様な病変が発生すること,4)放射線治療やinterventional radiologyが有効な疾患が多く,根治可能な腫瘍性病変が多く発生すること,5)多くの診療科にまたがる分野であること,などの理由があげられる.
頭頚部放射線学はこのように急速に分化し,発展しつつあるため,国内でも国際的にも情報交換,研究者の交流の場が必要であることから,1958年から国際頭頚部放射線学会が組織され,3〜4年ごとに開催されており,また,わが国でも1988年から日本頭頚部放射線研究会が組織され活動している.上記の国際頭頚部放射線学会はこれまで世界各地で13回実施されてきたが,西暦2000年に第15回の学会を日本で開催することが決められている.このような時期に本書を上梓し,世に送ることは誠に喜ばしいことと考える.
頭頚部放射線学はこのように国際的にも国内でも放射線医学の中で急速に分化してきたが,これまで本領域を扱った著書はごく限られていた.本書はこのような状況の下に,本領域に携わる多くの医師らの要望に応えて上梓し,世に送ることにしたものである.
本書の特徴は頭頚部に発生するすべての疾患の画像所見および画像の特徴を詳しく解説したことである.すなわち,頭頚部の領域を部位ごとに分類し,単純撮影,CT,MRI,血管造影,超音波,核医学画像などを駆使して鑑別診断から最終診断に至る過程を疾患ごとに詳述したものである.本書によれば初学者から第一線の医師まで何らかの新知見が学べると考える.
頭頚部放射線学の診断にあたる多くの医師,とくに放射線医,放射線腫瘍医,耳鼻咽喉科医,眼科医,脳神経外科医をはじめとする臨床各科の医師らが本書を活用されることを切望している.本領域の診療に携わる医師らの批判や意見を頂きながら改訂の機会があればよりよい本に完成していきたいと考えている.
1997年8月吉日
高橋睦正
目 次
1眼 窩〈百島祐貴,志賀逸夫〉
概 説
検査法
1. MRI
2. CT
3. 単純X線撮影
4. 血管撮影
異常像
A. 眼窩内占拠性病変(腫瘍および腫瘍類似疾患)
1. 分 類
2. 視神経・視神経鞘の病変
a. 視神経膠腫
b. 視神経鞘髄膜腫
3. 眼窩内の腫瘤状病変
a. 海綿状血管腫
b. 神経鞘腫
c. 類表皮腫と類皮腫
4. 眼窩内のびまん性病変
a. 眼窩炎性偽腫瘍
b. リンパ腫
c. 転移性眼窩腫瘍
d. WEGENER肉芽腫症
e. 毛細血管性血管腫
f. リンパ管腫
g. 蔓状神経線維腫
5. 涙腺の病変
a. 上皮性病変
b. 非上皮性病変
c. 涙腺の両側性腫大
6. 眼球内の病変
a. 網膜芽細胞腫
b. 黒色腫
c. 転移性眼球腫瘍
B. 球後視神経炎
1. 病 態
2. 画像所見
C. 甲状腺機能異常に伴う眼窩病変
1. 病 態
2. 画像所見
3. 鑑別診断
D. 血管性病変
1. 眼窩静脈瘤
2. 頚動脈海綿静脈洞瘻
E. 眼窩骨折
1. 病 態
2. 画像所見
F. 先天異常
1. 一次硝子体過形成遺残
2. コロボーマ
2頭蓋底,側頭骨〈根本 裕,井上佑一,田代敬彦,幸 茂男〉
概 説
検査法
正常像
1. 外 耳
2. 中 耳
3. 内 耳
4. 顔面神経
5. 頚静脈孔
6. 舌下神経管
7. 頚動脈管
異常像
A. 炎症性疾患
1. 外 耳
2. 中 耳
a. 急性中耳炎
b. 慢性中耳炎
c. 慢性乳突炎
d. 鼓室硬化症
e. 肉芽腫
f. 真珠腫
3. 内 耳
迷路炎
4. 顔面神経
BELL麻痺
B. 腫 瘍
1. 外耳道
a. 閉塞性角化症
b. 真珠腫
c. 骨 腫
d. 外骨症
e. 癌
2. 中 耳
グロームス腫瘍
3. 内耳道および小脳橋角部
聴神経腫瘍
4. 錐体尖
a. コレステロール肉芽腫
b. 軟骨腫,軟骨肉腫
5. 顔面神経鞘腫
6. 骨原発性腫瘤
7. 頚静脈孔腫瘍
8. 舌下神経腫瘍
9. 斜 台
脊索腫
C. 外 傷
1. 側頭骨骨折
2. 耳小骨離断
3. 顔面神経麻痺
4. 迷路の振盪
D. 奇 形
1. 外耳道閉鎖
2. 内耳奇形
E. その他の疾患
1. 線維性骨異形成症
2. 耳硬化症
3下顎骨,顎関節〈中里龍彦,玉川芳春〉
概 説
下顎骨の画像検査法
歯の成長過程
異常X線所見
1. 境界明瞭な透過像
a. Periodontal cyst
b. Lateral periodontal cyst
c. Traumatic cyst
d. STAFNE's cyst
2. 多房性透過像
a. Ameloblastoma
b. Odontogenic keratocyst
c. Giant cell granuloma
d. Cherubism
3. 歯冠部周囲透過像
4. 根尖部周囲の硬化像
a. Cementoblastoma
b. Periapical cemental dysplasia
5. その他の境界明暸な硬化像
a. Odontoma
b. Osteoma
6. 骨破壊像と硬化像の混在
a. Chondrosarcoma
b. Osteosarcoma
7. びまん性骨硬化像
a. Fibrous dysplasia
b. PAGET's disease
顎関節疾患の画像診断
1. 関節円板
2. 顎関節内障
a. 復位を伴う関節円板転位
b. 復位を伴わない関節円板転位
4鼻腔,副鼻腔〈興梠征典,古澤光浩,高橋睦正〉
概 説
検査法
1. 単純撮影
2. CT
3. MRI
正常解剖
1. 前頭洞
2. 篩骨洞
3. 上顎洞
4. 蝶形骨洞
5. 鼻 腔
6. osteomeatal unit
7. 蝶口蓋孔
8. 翼口蓋窩
9. 側頭窩,側頭下窩
異常像
1. 炎症性病変
a. 急性副鼻腔炎
b. 慢性副鼻腔炎
c. 嚢胞とポリープ
d. 真菌症
e. 肉芽腫
f. 粘液嚢胞
g. 副鼻腔炎の合併症
2. 悪性腫瘍
a. 扁平上皮癌
b. 腺様嚢胞癌
c. 悪性リンパ腫
d. 嗅神経芽細胞腫
e. 横紋筋肉腫
f. 形質細胞腫
3. 良性腫瘍
a. 若年性血管線維腫
b. 内反性乳頭腫
c. 線維性骨異形成症
5上咽頭〈西村龍一〉
概 説
検査法
正常解剖
異常像
1. 悪性腫瘍
a. 上咽頭癌
b. 悪性リンパ腫
c. 横紋筋肉腫
d. リンパ節
e. その他
2. 良性腫瘍および良性疾患
a. アデノイド
b. 若年性血管線維腫
c. 咽頭後膿瘍
d. その他
総合画像診断
6咽頭間隙〈馬場祐之,高橋睦正〉
概 説
検査法
正常解剖
1. 傍咽頭間隙
2. 頚動脈間隙
3. 咀嚼筋間隙
4. 咽頭後間隙
5. 耳下腺間隙
6. 椎前間隙
7. その他の間隙
異常像
1. 傍咽頭間隙
a. 唾液腺腫瘍
b. 小唾液腺腫瘍
c. 第2鰓原性嚢胞もしくは第2鰓溝(裂)嚢胞
d. その他の病変
e. 周囲間隙の病変による傍咽頭間隙の変型
2. 頚動脈間隙
a. 傍神経節腫瘍
b. 神経鞘腫
c. 神経線維腫
d. 髄膜腫
3. 咀嚼筋間隙の病変
4. 咽頭後間隙
5. 椎前間隙(椎体周囲間隙)
総合画像診断
7口 腔〈荒川昭彦〉
概 説
検査法
1. 単純X線写真
2. CT
3. MR
4. 血管造影
5. 超音波検査
正常解剖
1. 舌の解剖
a. 内舌筋
b. 外舌筋
2. 口腔底の解剖
異常像
1. 悪性腫瘍
2. 良性腫瘍
3. 炎症性疾患
総合画像診断
8中咽頭〈鈴木恵子,大川智彦〉
概 説
検査法
正常像
異常像
1. 悪性腫瘍
症例1. 口蓋扁桃の扁平上皮癌
症例2. 口蓋扁桃の未分化癌
症例3. 舌根の中分化扁平上皮癌
症例4. 舌根の高分化扁平上皮癌
症例5. 側壁の中分化扁平上皮癌
症例6. 舌根部の悪性リンパ腫
2. 良性腫瘍
症例7. 脂肪腫
総合画像診断
9下咽頭〈辰野 聡,多田信平〉
概 説
正常解剖
1. 癌取り扱い規約に基づく区域解剖
2. 正常嚥下の解剖生理
検査法と正常像
1. 単純撮影と断層撮影
2. 造影検査
3. CT
4. MRI
異常像
1. 非腫瘍性病変
a. 先天性梨状窩瘻
b. 咽後膿瘍
c. 異物誤飲
d. 憩 室
e. web
f. 嚥下障害
2. 腫瘍性病変
10喉 頭〈栗山啓子〉
概 説
検査法
1. CT
2. MRI
正常解剖
1. 声門領域
2. 声門上領域
3. 声門下領域
異常像
1. 腫 瘍
a. 悪性腫瘍
b. 良性腫瘍
2. 声帯麻痺
総合画像診断
11唾液腺〈利波久雄,山本 達〉
概 説
検査法
1. CT
2. MRI
正常解剖
1. 耳下腺
2. 顎下腺
3. 舌下腺
異常像
1. 腫 瘍
a. 多形性腺腫
b. WARTHIN腫瘍
c. その他の良性腫瘍
d. 悪性腫瘍
2. 炎 症
a. 唾液腺炎
b. 木村病
3. SJO¨GREN症候群
4. 唾石症
5. ガマ腫
総合画像診断
12甲状腺〈笠木寛治,小西淳二〉
概 説
検査法
1. 超音波
2. 核医学検査法
a. 甲状腺シンチグラム
b. 腫瘍シンチグラム
3. CT
4. MRI
正常解剖
異常像
1. 甲状腺癌
2. 腺 腫
3. 腺腫様甲状腺腫
4. バセドウ病
5. 橋本病
6. 亜急性甲状腺炎
7. 悪性リンパ腫
総合画像診断
13リンパ節,その他の軟部組織〈黒崎喜久〉
概 説
検査法
異常像
1. リンパ節疾患
a. リンパ節転移
b. 結核性リンパ節炎
c. その他の感染性リンパ節炎
d. HIV感染症
e. 木村病
2. その他の軟部組織疾患
a. 鰓原性嚢胞
b. 神経原性腫瘍
c. リンパ管腫
d. 脂肪腫
14頚部食道〈土亀直俊〉
概 説
検査法
1. 単純撮影
2. 食道造影
3. 内視鏡検査
4. CT,MR
5. US,EUS
6. RI
正常解剖
異常像
1. 悪性腫瘍
2. 良性腫瘍
3. その他
4. 縦隔腫瘍など食道外病変による
症例(食道癌)
a. 進行癌例
b. 早期癌例
c. 転移性食道癌
d. BARRETT食道
e. 粘膜下腫瘍(平滑筋腫)
f. 乳頭腫
g. 憩室―ZENKER憩室
h. 食道壁内仮性憩室症
i. 真菌症
j. 食道異物
k. 食道web
l. 先天性表皮水疱症に伴う食道狭窄
m. アカラシア
n. 食道異所性胃粘膜
o. 縦隔型肺癌
p. Bronchogenic cyst
q. 右鎖骨下動脈起始異常
索 引
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